やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

簡にして要を得る

 私の知っている名口腔外科医(すでに亡くなったが)は,大きな手術のある前夜,必ず教授室で独り,マンガを見るように分厚い解剖図譜を眺めていた.むろん,熟知している神経や動脈の走行や位置をレビューしていたのである.私は,彼のような執刀医に手術を受ける患者さんは幸せだ,と思った.
 本ハンドブックは,日常臨床で遭遇する全身管理の問題点とその対処法を中心に,外来,入院,手術,病棟,さらには薬剤の処方・投与まで,細部にわたって簡潔に記載されている.臨床医,とりわけ臨床経験を積もうとする若い臨床医,臨床研修医,臨床実習生が,白衣のポケットに入れて,折にふれて頁をめくってチェックできるように,ハンディサイズになっている.
 医局や診療室において,満載された有用かつ高度な情報から,その要点をたやすく引き出せる.体裁は見やすく,内容は簡にして要を得ている.
 先の名口腔外科医は乱筆で,処方せんはいつも書きなぐりだった.薬局はその筆跡に慣れていたが,時折,字が読めない,と問い合わせの電話がきた.実は読めないのではなく,薬量などの書き違いを確認していたのだ.どんな名医でも勘違いや思い違いはある.そのチェック機構ができていないと,医療事故を招くもとになる.
 それには,医者自身がその場で確認できる資料があれば,第一のチェックポイントとなる.私は,患者さんの前で確認することがあってもよいと思う.患者さんは,医者はオールマイティと信じがちだが,それは大間違いである.目の前で気軽にハンドブックをめくる担当医に,患者さんが信頼を寄せる時代が来ている.
 臨床研修の必修化を前に,名医・良医を目指す臨床医の方々に,本書を推薦する次第である.
 2001年5月 財団法人歯科医療研修振興財団専務理事 日本歯科大学学長 中原 泉

監訳者の序

 本書の原著であるOXFORD HANDBOOK OF DENTAL PATIENTS CAREが出版されたのは1998年であるが,本ハンドブックは1989年のBritish Dental Jounalに掲載されたスカリー教授の「Patient care(患者管理)」を継承したもので,臨床実習生や卒後研修医,さらに開業医はもとより病院歯科で活躍している多くの臨床医にも役立つように編集されている.また本書は,臨床で使用されている薬剤や投与量,あるいは薬剤の相互作用についても詳しい内容が簡潔にまとめられており,大きさもポケット版でありながら,有用な情報が豊富にかつ容易に理解できるよう構成されている.
 本書は,確立された歯科医学の教科書を目指しているのではなく,研修医や開業医などが口腔の疾患について口腔局所のみに限定せずに,全人的な診方ができるように,基本となる総合的な臨床能力を身につけることを目的に書かれている.特に口腔外科疾患患者に関しては,初診から検査,入院,手術,術後を通じて,研修すべきあらゆる内容・要点が箇条書きと表を使って要領よくまとめてある.
 たとえば各症状に対して,それに対応する疾患名が整理されていたり,検査についても,結果に対する解釈が理解しやすいように表として整理されている.また,歯科患者の医学的既往から,関連する系統的な疾患が引き出せるように記述されており,考えられる多くの問題点や対処法が述べられている.外科的処置を受ける患者の管理や,入院に関しても細部にわたってまとめられており,術前の準備から手術時の注意事項(たとえば患者の取り違え手術の予防策なども),手術室でのあらゆる研修事項(たとえば手洗いと術衣の着用の仕方,患者の準備,手術助手のやり方など),われわれが日常の臨床で何気なく教育していたり,あるいは研修内容から漏れていたような事項についても実践的に記述されている.
 原著では,章の最後に職業上の一般的情報として,就職するときの応募の仕方,面接,職が決まったときの注意点などが細かく記載されているが,本書ではわが国の実状にあった内容のみを採用してある.
 このハンドブックに記載されているすべての薬剤の適応,および使用量は,医学文献上推奨されているもので,一般診療で用いられている方法に従っている.しかし薬剤の使用の基準は常に変わり,特に新しい薬剤に関しては国によっても基準が変わることがあるため,常に新しい指示に注意を払う必要がある.薬の使用にあたっては添付文書などを十分に参照されたい.なお,原著に記載されている医薬品で,わが国で許可されていないものについては原文表示とし,製造されていない薬剤の商品名については部分的に削除した.
 わが国においては,歯科医師の卒後研修制度が法制化され,1年以上の研修が義務化されようとしているが,本書には歯科医師として習得すべき多くの情報が,up to dateの内容も含めて書かれているため,研修医だけでなく教育にあたる指導医や開業医にとっても価値ある参考資料になるものと思われる.
 本ハンドブックが,多くの歯科医学徒や臨床医から絶大な信頼と好評を得ることができ,英国および諸外国と同様に,わが国でも診療の場において有用な実用書として愛読され,座右の書となれば,私たちにとってこのうえない喜びである.
 2001年5月 古屋英毅 瀬戸ユ一 上田 裕

序文

 歯学部の卒業生は,大学での比較的保護された教育環境から,困難で,時には深刻な臨床上の問題を扱わねばならない世界に放り出される.経験の浅いなかで判断し,患者や同僚の専門医との関係を築きながら,ほとんど責任のない学生から資格をもった専門医へ移行するのは,衝撃的なことであろう.限られた経験しかないときこそ情熱が最高となることが多い.新たな卒業生たちには,洞察力をもち,自分の能力と限界を認識することが望まれる.この移行期における大きな変化とは,治療技術の学術面を議論することから,その概念を臨床で実際に使用することであるが,より実践的な患者管理を行えるようにはまだなっていない.総合病院で研修医として勤務したり,障害のある患者の治療にあたっている者は,これらの不十分な点によりはっきりと気づく場合が多い.経験を積んだ専門医でさえ,特に新薬や新しい装置を導入する場合などに,データを正確に思い出すことがむずかしいことがある.
 本書の目的は,おもに病院に勤務する歯科医療スタッフに向けて,診断と管理の実際を注解(覚え書き)と図表にして示し,これらの状況に役立たせることである.概要を簡単にまとめており,いつもポケットに常備して参照したり,卒前の基礎トレーニングを補うような備忘録として使用したりするよう計画されている.本書はほかの医療専門分野と重複し,またその境界線上にあるような歯科領域の多くを記載しているが,法歯学領域や手術手技の詳細など,現在の標準テキストにあるすべてのデータを記載しようとするものではない.したがって本書には,口腔医学と口腔病理学の臨床や,口腔および顎顔面外科手術(補綴,インプラント,歯科矯正,外傷学など),および関連の鎮静・麻酔・治療が含まれている.
 歯科学は急速に進歩しており,学部の課程ではもはや卒業生がそのまま自立して臨床に携わるには不十分であり,少なくとも英国やその他のいくつかの国々では,義務的な職業訓練が必要となっている.一般専門訓練期間の必要性は認められているが,われわれには専門化が不可欠である.幸い継続教育が認められ,義務となっている国が増えてきている.
 しかし卒業生に必要なすべての情報を吸収できる形にまとめることは困難である.英語を使用する世界での情報交換が増えていることから,本書は北米,ニュージーランド領,ヨーロッパ,オーストラリアやその他の地域の病院,一般開業,歯学部卒後研修生のコミュニティを対象としてつくられている.本書はOxford handbook of clinical dentistryと共に使用するべきで,特に高度な治験を行う病院や修士課程,および上級学生や補助スタッフなどにも有用であることがおわかりいただけるだろう.
 British Dental Journalで仕事をしているときに本書の前版であるPatient care;a dental surgeon's guideの出版に助力してくださったMargaret SewardさんとSue Silverさんに特に感謝したい.
 1998年5月 ロンドン,バンクーバー,メルボルン C.Scully J.Epstein D.Wiesenfeld

 免責
 医学と歯科医学は急速に変化しており,それに伴い治療法,使用できる薬剤およびそれらの副作用と相互作用も変化する.したがって読者には常に,メーカーが発行する最新の製品情報とデータシート(および最新の管理規約と安全性規則)から製品情報を確認することが望まれる.
 編集者および出版社は,本テキストの誤りや内容の誤用あるいは不正使用に対する法的責任を負わないものとする.
I.病歴,診査,検査とそれらの解釈および歯科診療録……1
 I-1 病歴,診査および検査……2
 I-2 全身的な既往歴と診察,診査……10
   1.患者の体温測定/10
   2.脈をみる/10
   3.血圧測定/14
   4.胸部の検査/16
   5.脳神経の検査/18
 I-3 放射線診断法,MRI,超音波……19
   1.X線撮影のための依頼書/19
   2.照射/19
   3.ポータブルX線/20
   4.局所X線撮影/20
   5.口内法X線撮影/20
   6.パノラマX線撮影/21
   7.歯科矯正用X線撮影/21
   8.骨折のX線写真/23
   9.コンピューター軸断層撮影法(CATスキャン)/23
   10.磁気共鳴画像(MRI)/23
   11.超音波(US)/23
 I-4 尿検査……24
 I-5 血液検査……25
   1.血液検体の採血法/25
   2.注意点/27
付)体液または組織の検査法……36
 I-6 組織学および細胞学的検査……37
   1.外科切除検体と生検の組織学と免疫学/37
   2.生検手技/37
   3.細胞診断のための口腔塗抹標本/38
 I-7 微生物学および免疫学的検査……39
   1.細菌感染症/39
   2.抗菌薬の感受性試験/39
   3.抗菌薬の効力分析/39
   4.膿/39
   5.洞洗浄/40
   6.血液の培養/40
   7.滲出液と漏出液/41
   8.血清試験/41
   9.痰/41
   10.鼻の分泌物採集/41
   11.口腔,咽頭の分泌物採集/41
   12.組織/42
   13.尿/42
   14.ウイルス感染/43
   15.自己抗体検査/43
 I-8 記録と守秘……46
   1.紹介元またはほかの臨床家への対応/46
   2.守秘義務とデータの保護/47
   3.診療録の閲覧/47
   4.記録の保護/48
   5.法医学的な報告書/48
II.歯科医療において特に重要な系統的疾患……49
 II-1 貧血……50
   1.貧血の検査/50
   2.欠乏性貧血/50
   3.鎌状赤血球貧血/52
   4.診断/53
   5.処置/53
 II-2 出血傾向……55
   1.局所的原因/55
   2.管理/55
   3.全身的原因/55
   4.病歴に現れる重要な出血傾向所見/56
   5.検査室における検査/56
   6.全身的原因の管理:後天性不全/57
   7.肝疾患/59
   8.全身的原因の管理:遺伝性の不全/59
   9.出血傾向のある患者で注意すべきこと/59
 II-3 呼吸循環器系の疾患……61
   1.心疾患/61
   2.心疾患患者において避けること/61
   3.感染性心内膜炎/62
   4.呼吸器系疾患/64
 II-4 薬剤:アレルギーと乱用……65
 II-5 内分泌障害……68
   1.内分泌性糖尿病/68
   2.糖尿病のコントロール/69
   3.診断/70
   4.歯科治療における糖尿病患者の管理/71
   5.副甲状腺機能亢進症/72
   6.副腎皮質機能低下症/74
 II-6 発作と失神……76
 II-7 胃腸疾患……77
 II-8 入院と治療……78
 II-9 感染症……79
   1.呼吸器感染症/79
   2.性感染症/79
   3.交差感染の制御/88
   4.臨床領域/90
 II-10 黄疸と肝疾患……93
   1.B型肝炎ワクチン/96
 II-11 腎疾患……97
 II-12 妊娠の可能性……99
 II-13 悪性疾患,放射線療法あるいは化学療法を含む……101
   1.診断/101
   2.疾患の検討/102
   3.口腔組織における治療の効果/102
   4.管理/104
   5.口腔癌の術前管理/106
   6.細胞毒性化学療法,あるいは放射線療法前の管理/107
   7.外科的処置/107
   8.化学療法あるいは放射線療法を受ける患者の管理/107
   9.化学療法薬と処方/108
   10.神経学的ならびに精神医学的疾患/108
 II-14 その他の関連した病態……111
 II-15 人工器官と移植体……113
   1.人工器官/113
   2.移植臓器/114
III.救急……115
 III-1 気道閉塞……116
   1.気道内の異物による機械的閉塞/116
   2.気道の圧迫/117
   3.急性喘息発作/118
 III-2 虚脱……119
   1.失神/119
   2.卒倒/119
   3.体位性低血圧/122
 III-3 胸痛……123
   1.狭心症/123
   2.心筋梗塞/123
 III-4 心停止……124
 III-5 糖尿病……126
   1.虚脱/126
   2.低血糖/126
 III-6 コルチコステロイド不全……128
 III-7 てんかん……130
   1.てんかん重積状態/130
 III-8 アナフィラキシー……132
 III-9 精神医学的救急……134
   1.特殊な精神医学的救急の管理/134
   2.患者の強制入院または拘留(隔離)/136
 III-10 出血……137
 III-11 薬剤反応……138
IV.口腔診断と病理学……139
 IV-1 歯……140
   1.歯の萌出と発育/140
   2.歯の萌出/140
   3.う蝕予防/141
   4.その他の歯の疾患/142
 IV-2 その他の口腔疾患の症状と徴候のABC……144
   1.麻痺/151
   2.水疱/151
   3.口の火傷/151
   4.異常味覚(口腔内の不快な味)/154
   5.分泌物/155
   6.口腔乾燥症/155
   7.構音障害/156
   8.嚥下困難/157
   9.顔面神経麻痺/157
   10.顔面の腫脹/158
   11.口臭/159
   12.過剰な色素沈着/160
   13.味覚喪失/160
   14.疼痛/161
   15.知覚異常と知覚喪失/164
   16.色素沈着/165
   17.紫斑病/165
   18.赤い病変/165
   19.流涎(よだれ)/166
   20.開口障害/166
   21.潰瘍/167
   22.白斑/168
   23.口腔乾燥症/169
 IV-3部位ごとの疾患……170
  【歯肉】
   1.発赤/170
   2.出血/170
   3.腫脹/171
   4.潰瘍/171
  【舌】
   1.腫脹あるいは脱落期嚢腫症/171
   2.舌の炎症/173
  【口蓋】
   1.脱落期嚢腫症/173
   2.発赤/174
  【口唇】
   1.口角炎(口唇炎)/174
   2.出血/174
   3.水疱/174
   4.剥離および痂皮形成/175
   5.腫脹/175
   6.潰瘍/176
   7.白色病変/176
  【唾液腺】
   1.口腔乾燥症/176
   2.腫脹/176
   3.唾液腺の疼痛/177
  【顎関節】
   1.強直症/178
   2.脱臼/178
   3.開口制限/178
   4.疼痛/178
  【心因性の可能性がある口腔愁訴】……179
  【頸部の腫脹】
   1.頸部リンパ節/179
   2.唾液腺/180
   3.側頸部/180
   4.正中頸部/180
  【鼻と上顎洞】
   1.鼻からの分泌物/181
   2.疼痛/181
   3.腫脹/181
V.治療法……183
 V-1 情報開示と秘密保持について……184
   1.情報を開示しなければならないとき/184
   2.患者の同意を得るべきとき/184
   3.情報を明らかにしてはいけない場合/185
 V-2 処方……186
   1.病院における処方/186
   2.薬剤と食物吸収/186
   3.小児への処方/187
   4.妊婦および授乳中の者への処方/188
   5.高齢者への処方/188
 V-3 筋肉注射による投薬……189
   1.注射部位/189
   2.注射方法/189
 V-4 麻酔,麻薬,薬物中毒……192
   1.鎮痛薬使用の一般原則/192
   2.非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)/192
   3.オピオイド,麻薬,薬物中毒/196
 V-5 歯科用抗菌薬……198
   1.抗菌薬使用の適応/198
   2.抗菌薬の選択について/198
   3.感染のため抗菌薬に反応しない場合/205
   4.投与・投薬経路/205
   5.抗真菌薬/207
   6.抗ウイルス薬/207
 V-6 免疫反応抑制薬と免疫調整薬……209
 V-7 中枢神経系-活性薬……213
   1.催眠薬/213
   2.抗不安薬/213
   3.精神安定薬/216
   4.抗うつ薬/216
   5.抗うつ薬使用のための一般的原則/218
   6.抗痙攣薬/219
 V-8 その他の薬剤……220
   1.抗線維素溶解薬/220
   2.予防接種/220
   3.唾液代用薬と唾液分泌促進薬/220
   4.レチノイド/222
 V-9 薬剤の副作用……223
VI.局所麻酔法,精神鎮静法,全身麻酔法……241
 VI-1 手技の選択……242
   1.意識下鎮静法または全身麻酔法/242
 VI-2 筋弛緩薬……245
   1.スキサメトニウム/245
   2.Atracrium/245
   3.その他の筋弛緩薬/245
 VI-3 ガス麻酔薬……247
 VI-4 静脈麻酔薬……249
 VI-5 意識下鎮静法……250
   1.患者の評価と選択/250
   2.鎮静法の選択/250
   3.鎮静法の施行規定/250
   4.鎮静法の同意/251
   5.経口鎮静法/251
   6.吸入鎮静法/252
   7.吸入鎮静法の手順/254
   8.静脈内鎮静法/256
   9.ベンゾジアゼピン系薬剤との併用で薬物相互作用が考えられるもの/259
   10.フルマゼニル/259
   11.外来で静脈内鎮静法や全身麻酔を受ける患者に指示する重要事項/260
 VI-6 歯科治療のための外来での精神鎮静法または全身麻酔前の日常の精査……262
   1.術前/262
   2.上記以外に常時チェックすべき項目/263
   3.静脈内鎮静法の手順/263
   4.術後/265
   5.患者への術後の指示/265
VII.外科的処置を受ける患者の管理……267
 VII-1 入院……268
 VII-2 入院患者の治療と患者の入院について……269
   1.緊急入院が必要な場合/269
   2.通常の入院治療が必要な場合/270
   3.通常の入院治療における例外/270
   4.入院生活と病気に対する患者の反応/271
   5.親族やパートナー/271
 VII-3 入院,診察,検査,同意……273
   1.入院/273
   2.診察/273
   3.検査/273
   4.同意/273
 VII-4 術前の準備,手術リストの作成,術前投薬……276
   1.入院当日/276
   2.標準的な手術リスト/277
   3.手術当日/277
   4.術前投薬/278
   5.顎顔面および顎矯正手術/281
   6.入院患者の全身麻酔下歯科治療における術前の確認事項の概要/282
 VII-5 外科手術:安全のために……284
   1.患者の取り違え手術/284
   2.手術側あるいは手術部位の誤り/285
 VII-6 手術室で……286
   1.手洗いと術衣の着用/286
   2.患者への準備/287
   3.手術の補助/288
   4.生検標本/288
   5.手術記録/289
 VII-7 術後の合併症に対するケア……290
   1.早期の術後ケア/290
   2.反射機能が回復してからのケア/290
   3.術後の口腔内の合併症とそのケア/290
   4.術後の口腔以外の合併症とそのケア/296
   5.術後の黄疸/298
   6.摂食障害/298
 VII-8 ショック……300
   1.血漿増量剤/300
   2.中心静脈圧(CVP)測定/302
 VII-9 静脈内輸液……303
   1.点滴速度/305
   2.静脈内輸液の装着/305
   3.静脈内輸液の合併症/310
 VII-10 輸血および血液製剤の輸注……313
   1.適応/313
   2.血液型検査と交差試験/313
   3.輸血用サンプルの採取と輸血指示書の完成/314
   4.患者への血液や輸血製剤の投与/314
   5.静脈のケア/316
   6.輸血の合併症/316
   7.遅延型不適合反応/317
   8.血液の細菌による汚染/317
   9.循環過負荷/318
   10.クエン酸およびカリウム中毒/318
   11.出血傾向/318
   12.輸血で遅延して起こる合併症/318
 VII-11 患者の退院と回復期……319
   1.退院/319
   2.回復期/319
   3.正規でない退院/320
   4.病院での死亡/320
VIII.口腔顎顔面外科:外傷患者……321
 VIII-1 顎顔面外傷:重要点の要約……322
 VIII-2 顎顔面外傷患者の初期管理……324
   1.気道/324
   2.出血/332
   3.火傷/333
   4.頭蓋(頭部損傷)と麻痺(神経学的評価)/334
   5.脳脊髄液の漏出/338
   6.頸椎損傷/338
   7.胸部損傷/339
   8.複視/340
   9.義歯/歯/340
   10.薬剤/340
   11.患者環境の整備(管理)/340
   12.眼と耳/340
   13.顔面裂傷/341
   14.異物/345
   15.尿生殖器,腹部,その他の損傷/345
   16.銃創/346
   17.刺創/347
   18.既往歴/347
   19.感染/348
 VIII-3 入院の必要な顎顔面および頭部損傷患者……350
 VIII-4 顎顔面骨折患者に対する外科処置の優先順位……351
 VIII-5 顎顔面骨折に対する最終的処置……352
   1.頬骨骨折/353
   2.下顎骨骨折/355
   3.中顔面骨折/357
   4.顎顔面骨折:術後管理/359
 VIII-6 顎関節の脱臼……362
 VIII-7 外傷歯……363
 VIII-8 被虐待児(事故によらない損傷あるいは幼児虐待)……364
   1.特徴/364
   2.病変/364
   3.虐待が疑われたときの対応/364
IX.口腔顎顔面外科:軟組織外科,抜歯,歯槽外科,補綴前外科,インプラント,外科的矯正,口唇・口蓋裂,癌の手術……367
 IX-1 軟組織外科……368
   1.外科用メス/368
   2.電気凝固と電気メス/368
   3.凍結外科/368
   4.レーザー外科/369
 IX-2 抜歯……371
   1.小児における抜歯/371
 IX-3 歯槽外科……372
   1.埋伏歯/372
   2.埋伏歯の抜歯/374
   3.歯原性感染/375
   4.根尖歯周病変/376
   5.歯原性嚢胞/376
 IX-4 補綴前外科……378
   1.軟組織の処置/378
 IX-5 デンタルインプラント……379
 IX-6 外科的矯正……383
   1.術式/383
 IX-7 口唇・口蓋裂……387
 IX-8 癌の手術……388
   1.合併症/391
X.職業上の一般的情報……393
 X-1 新しい職場(地位)への応募……394
   1.履歴書/394……394
 X-2 面接の前に……396
 X-3 面接当日にあたって……397
 X-4 職への採用が決まった場合……399
 X-5 スタッフの一員として成功するために……400
   1.コミュニケーション/400
   2.個人間の関係/400
   3.同僚およびスタッフに対する接し方/400
   4.ゴールデンルール(重要規則)/402
   5.信頼/403
   6.専門医への紹介/403
   7.仕事を離れるときの当番/403
   8.病院の年間予定および研究日(休暇)について/404
   9.患者に対する接し方/404
   10.自費の患者/404
 X-6 仕事をやめるとき……405
 X-7 管理上のポイント……406

付録……407
   1.一般的に使われる記号,略語と歯科医学のなかの頭文字/408
   2.頭蓋計測点と水平面/420
   3.腹部診察/421
   4.歯科と医科における資格/422
   5.アメリカやカナダで用いる略語/424
   6.歯科外科における滅菌消毒/430
   7.それ以上の判断/431
索引……432

図表
I.病歴,診査,検査とそれらの解釈および歯科診療録
 表1-1 一般的に使われている歯の記号……3
 表1-2 歯の疾患の検査法……4
 表1-3 顎,副鼻腔疾患の検査法……5
 表1-4 顎関節疾患の検査法……6
 表1-5 唾液腺疾患の検査法……6
 表1-6 粘膜疾患における検査方法……8
 図1-1 病巣の部位,大きさ,形態の概略図……9
 図1-2 関連した病歴……11
 表1-7 バイタルサインの重要な変化……12
 表1-8 発熱の原因……13
 表1-9 感染症患者におけるバイタルサインの変化……13
 表1-10 心疾患の一般症状と徴候……15
 表1-11 心疾患の特徴……15
 表1-12 血圧異常の原因……16
 表1-13 感冒と呼吸器疾患の徴候……16
 表1-14 重要な肺障害におけるおもな徴候……17
 表1-15 脳神経検査……18
 表1-16 さまざまな部位の病変を示すのに推奨されるX線写真撮影法……22
 表1-17 尿検査結果の解釈……24
 表1-18 血管穿刺の合併症(穿刺損傷を除く)……25
 図1-3 手と腕の静脈……26
 表1-19 血液検査結果の解釈……28
 表1-20 生化学検査結果の解釈……30
 表1-21 よく見られる抗核抗体と疾患……44
 表1-22 歯科領域の診断に有用なほかの自己抗体……45
II.歯科医療において特に重要な系統的疾患
 表2-1 鉄欠乏性貧血……51
 表2-2 鉄分の状態に変化がある貧血……51
 表2-3 鉄欠乏症の治療……51
 表2-4 巨赤芽球性貧血の治療で使われる薬剤……52
 表2-5 凝固障害における検査所見……56
 表2-6 歯科口腔外科処置を必要とする血友病患者管理の概説……58
 表2-7 ワルファリン治療患者への処方……60
 表2-8 感染性心内膜炎に対する抗菌薬予防法……63
 表2-9 全身的コルチコステロイド治療の既往がある患者の管理についての提案……66
 表2-10 糖尿病のタイプ……68
 表2-11 糖尿病の生化学的徴候……68
 表2-12 インスリン製剤……69
 表2-13 糖尿病における全血ブドウ糖定量……70
 表2-14 投与方法A-全身麻酔下の糖尿病患者管理……73
 表2-15 カルシウム代謝疾患の生化学的異常所見……74
 表2-16 感染性疾患:感染症の潜伏期間と伝染性……79
 表2-17 感染性疾患……80
 表2-18 梅毒血清反応……84
 表2-19 肝疾患で禁忌となる歯科で使用されている薬剤……93
 表2-20 おもなタイプのウイルス性肝炎の特徴の比較……94
 表2-21 血清学的B型肝炎の解釈……95
 表2-22 慢性腎不全患者への使用が禁忌,あるいは使用で意見が分かれる薬剤……98
 表2-23 歯科で用いる薬剤で,妊娠中または授乳期は禁忌となるもの……100
 表2-24 悪性腫瘍のTNM分類……101
 表2-25 癌治療の口腔合併症……103
 表2-26 放射線療法による口腔合併症の管理……105
 表2-27 細胞毒性薬剤の処方計画……109
 表2-28 その他の細胞毒性薬剤……110
 表2-29 薬剤禁忌とポルフィリン症で使用される代替薬……112
III.救急
 図3-1 ハイムリック法……117
 表3-1 歯科治療時の虚脱の管理についての要約……120
 表3-2 心肺蘇生法……125
 表3-3 糖尿病における虚脱……127
 表3-4 アナフィラキシーの薬剤治療……133
IV.口腔診断と病理学
 表4-1 歯の発育……140
 表4-2 飲料水中のフッ化物濃度に応じて各年齢層の子どもに推奨されるフッ化物……141
 表4-3 歯の疾患……142
 表4-4 より一般的な急性の口腔疾患に対する治療法……144
 表4-5 その他の口腔疾患の治療法……146
 表4-6 比較的みられる小水疱性疾患の鑑別と治療法……152
 図4-1 頭部および頸部における知覚神経支配領域……161
 表4-7 顔面痛の重要なタイプによる鑑別と治療法……162
V.治療法
 表5-1 小児への投与簡略ガイド……187
 表5-2 小児への処方における投薬量の調節……187
 図5-1 筋肉注射の部位……190
 表5-3 鎮痛薬……193
 表5-4 抗菌薬……199
 表5-5 抗真菌薬……206
 表5-6 口腔ウイルス感染の抗ウイルス薬療法……208
 表5-7 歯科における副腎皮質ステロイドの局所応用例……209
 表5-8 病巣内投与用副腎皮質ステロイド……210
 表5-9 関節内投与用副腎皮質ステロイド……210
 表5-10 全身投与免疫抑制および免疫調整薬……211
 表5-11 催眠薬……214
 表5-12 抗不安薬……215
 表5-13 鎮静薬……215
 表5-14 抗うつ薬……216
 表5-15 その他の抗うつ薬……217
 表5-16 三叉神経痛治療のための抗痙攣薬……218
 表5-17 抗線維素溶解薬……220
 表5-18 免疫法スケジュール……221
 表5-19 唾液分泌促進薬(催唾薬)……221
 表5-20 レチノイド……222
 表5-21 薬物療法による口腔への副作用……224
 表5-22 特殊疾患(状態)での禁忌薬,減量投与薬……226
 表5-23 歯科で使用される薬剤に対して考えられる禁忌症……231
 表5-24 歯科で起こり得る薬剤の相互作用……236
VI.局所麻酔法,精神鎮静法,全身麻酔法
 表6-1 局所麻酔薬……242
 表6-2 麻酔法,鎮静法の選択……243
 表6-3 ガス麻酔薬……247
 表6-4 常用薬服用中の患者の全身麻酔前管理……248
 表6-5 静脈麻酔薬……249
 表6-6 外来患者に対する経口鎮静法……252
 表6-7 ベンゾジアゼピン系薬剤による静脈内鎮静法……257
 表6-8 血管内注射の合併症……264
VII.外科的処置を受ける患者の管理
 表7-1 小児入院患者に対する術前の投薬……279
 表7-2 成人入院患者に対する術前の投薬……280
 表7-3 手洗い……286
 表7-4 すぐに現れる術後の合併症……291
 表7-5 通常,術後24時間以内に現れる合併症……292
 図7-1 体温,心拍,呼吸,血圧のチャート……293
 表7-6 術後の発熱……297
 表7-7 ショックの治療……301
 表7-8 血漿増量置換剤……301
 表7-9 中心静脈圧の変動……302
 表7-10 輸液のおよそのイオン構成……303
 表7-11 電解質の喪失……303
 表7-12 術後体液バランスのための大まかな指針……305
 図7-2 静脈内輸液の開始……307
 表7-13 健康成人の24時間に必要な水分と塩分のバランスの平均……309
 表7-14 血液および血液製剤……315
VIII.口腔顎顔面外科:外傷患者
 図8-1 扁桃あるいは頭部外傷体位……325
 図8-2 気管内挿管……326
 図8-3 気管切開の顎顔面外科的適応症……329
 図8-4 Wallaceの「9のルール」による火傷範囲の計算……334
 図8-5 神経学的観察チャート……336
 表8-1 顔面骨折および脳脊髄液漏出の合併患者に対する予防的抗菌薬……339
 表8-2 創傷患者の破傷風に対する予防……342
 表8-3 歯科における縫合材料……343
 表8-4 銃創……346
 表8-5 顎顔面骨折におけるX線撮影法……352
 図8-6 中顔面骨折の Le Fort型骨折線……358
 表8-6 外傷切歯の即時的処置……363
IX.口腔顎顔面外科:軟組織外科,抜歯,歯槽外科,補綴前外科,インプラント,外科的矯正,口唇・口蓋裂,癌の手術
 表9-1 骨欠損修復および顎堤造成のための材料……378
 表9-2 現在使用されているおもなインプラント……379
 図9-1 Le FortI 骨切り術……384
 図9-2 縦S状骨切り術……384
 図9-3 矢状分割骨切り術……385
 図9-4 骨体部骨切り術……385
 図9-5 オトガイスライド形成術……386
 表9-3 口唇・口蓋裂患者に対する治療計画……387
 表9-4 ステージ(国際癌会議)……390