やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 私がいうまでもなく,欠損補綴は安全でなければならない.リスクファクターはことさらに排除しなければならない.
 では,安全につながる基本とは何であろうか?それは,患者さん自身のBiological Informationを利用することである.このことをいつも忘れずに,欠損することで失った多くの部分を「模倣」することにこだわってほしい.それが成功への方程式といえる.顔貌を構成するmouth(口),chin(顎),rip(唇),cheek(1)などをトータルに考えてバイオミメティック・デザイン(生体模倣のデザイン)が行えるよう,今後もおおいに努力してみよう.いつかは,患者さんから顔の見える歯科技工士になれることを夢見て…….
 それでは,私とつながる多くの人々に,期待を込めて本書を捧げる.
 2005年10月
 川島 哲
はじめに

Part0 オリエンテーション
 歯科技工を愛する君へ
 なぜデンチャーはボリュームセラーなのか
 口腔を模倣するための装置である欠損補綴物をイメージできるか
 バイオミメティック・デンチャーの意義
 歯科医師が歯科技工士に提供する情報のポイント
Part1 デンチャー製作のすべての前提となるインプレッション(印象)について
 インプレッション(印象)は歯科技工のスタート
 ピックアップ印象について
 コンプリートデンチャーのインプレッションについて
 ケースプレゼンテーション
Part2 マスターモデル製作にあたっての4つのポイント
 より丁寧な石膏の注入について
 スクリューポスト法について
 咬合器の選択について
 マスターモデル基底面の形状について
Part3 一歩進んだ基本設計を行うために
 T.K.M.セオリーに基づいた基本設計デザインとは
 上顎コンプリートデンチャーのバリエーションについて
 下顎コンプリートデンチャーのバリエーションについて
 パーシャルデンチャーの基本設計とその手順について
 キャストパーシャルデンチャーの着脱方向について
 レストプレパレーションについて―鉤歯の工夫
Part4 一歩進んだ構造設計を行うために
 TKアンダーカットゲージについて
 構造設計上のトラブルについて
Part5 キャストデンチャーの全製作ステップを把握しよう
 上顎コンプリートデンチャー
 下顎コンプリートデンチャー
 上顎パーシャルデンチャー
 下顎パーシャルデンチャー
Part6 適合を左右する複印象法のメカニズムについて
 よい適合とは?
 適合をよくするための必要条件と複印象用フラスコの選択
Part7 鋳造のポイント
 鋳造法の選択と鋳造の基礎知識
 自分の鋳造能力をチェックしよう
 加圧鋳造について
Part8 T.K.M.による研磨のステップをマスターしよう
 Co-Cr合金の研磨
 バイオ・キャストパーシャルの研磨
Part9 ベストな器材・機材を選択しよう
 器材の管理とメーカーへの疑問
 新器材・機材の評価
おまけ ガラススケールを用いた人工歯排列法

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 ・文献
 ・索引
 ・あとがき