やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社


 歯科技工士の資格試験(国家試験)が大きく変わろうとしている.現在,歯科技工士国家試験は厚生労働省から各都道府県に事務委託されているのは周知のとおりであるが,2009年9月に,国家試験制度の見直しにより「歯科技工士試験」が「歯科技工士国家試験」に改められたこともあり,厚生労働大臣免許にふさわしい客観的な評価法が担保された全国統一試験を早期に実現することが,歯科技工関係者の悲願となっている.一方で,2008年4月30日付の厚生労働省医政局歯科保健課長通知において,歯科技工士試験(国家試験)に関しては複数の自治体において問題を共同で作成し,これらを共通で出題しても差し支えないことが示された.これを受けて,大阪府,京都府,滋賀県の3府県では,2012年の国家試験から共通の問題で実施されることになった.このような動きをみても,歯科技工士国家試験の全国統一化が実現される日もそう遠くはないものと思われる.全国統一化の実現のためには,試験問題の妥当性や正確性のさらなる向上が望まれるところである.
 資格試験の出題基準は,前回は1996年に改正され,この出題基準に基づく試験が1997年より実施されてきた.当時,厚生省健康政策局歯科衛生課(現厚生労働省医政局歯科保健課)の監修,全国歯科技工士教育協議会の編集により『顎口腔機能学の解説並びに歯科技工士試験出題基準』が出版されたが,これは各都道府県で個別に行われている資格試験の試験問題が歯科技工士の業務に関連のある範囲内で作成され,適正な水準で行われることを意図したものであった.歯科技工士学校における教育ならびに資格試験を受験する学生の勉学の「めやすとなる範囲と水準」を示すものとなり,双方にとってきわめて有意義であった.また,2006〜2008年には,歯科技工士教育の基盤であるだけでなく,資格試験における出題基準の根幹としての役割も担ってきた「歯科技工士教本」が,教養課程の充実と専門教育の強化,さらには最新の材料・機器や新しい歯科技工技術を習得させることを目的として刷新され,「新歯科技工士教本」として発刊された.近年の歯科技工に関連する学問分野の多様化・高度化が如実に現れたものとなっている.
 このような流れを受け,2010年7月に厚生労働省医政局歯科保健課から各都道府県歯科技工士国家試験担当者に向けた通達により,2012年の国家試験より新しい出題基準(平成24年版歯科技工士国家試験出題基準)が適用されることとなった.これをもって,教本と国家試験出題基準が時代の進歩に合わせてリニューアルされたことになる.
 本書は,現在の教育と新しい出題基準に対応できるように,1986年からの「注解歯科技工士国家試験問題集(第1版〜第4版)」,1999年からの「新編注解歯科技工士国家試験問題集(第1版〜第2版)」の内容を一新して刊行するものである.これまでの問題集の優れた点を継承し,さらに改善を加えて,国家試験対策はもちろん,日々の学習においても知識の整理ができるような配慮を施したつもりである.出題は可能な限り多肢選択問題として近い将来の国家試験全国統一化を見据えたものとし,「注解」では,学生に具体的に何を知ってほしいのか,何が重要なのかを明確にした.本書が学生や国家試験受験生の役に立つことを期待して止まない.
 2011年12月
 関西北陸地区歯科技工士学校連絡協議会
 会長 矢谷博文
 科目担当編集委員 杉田順弘(主担)
 小長光均,下郡俊映
 秦野博司,渡邉飛鳥
第1章 歯の概説
 知識の整理と重要事項
 問題−注解・解答
第2章 永久歯の形態
 知識の整理と重要事項
 問題−注解・解答
第3章 歯の発生
 知識の整理と重要事項
 問題−注解・解答
第4章 歯と歯周組織
 知識の整理と重要事項
 問題−注解・解答
第5章 歯の異常
 知識の整理と重要事項
 問題−注解・解答
第6章 歯列と咬合
 知識の整理と重要事項
 問題−注解・解答
第7章 頭蓋の骨
 知識の整理と重要事項
 問題−注解・解答
第8章 口腔周囲の筋
 知識の整理と重要事項
 問題−注解・解答
第9章 口腔
 知識の整理と重要事項
 問題−注解・解答
 
 ☆チェック項目リスト(索引)