やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第4版の序
 2004年に本シリーズ第3版を発行してから,8年が経過した.この間,難易度が上がっていく国家試験に対して精度を高めるべく,刷を重ね,年々見直しを行い,国試対策に取り組む学生の方々の期待に応えるように編集を行ってきた.
 さて,このたび歯科衛生士国家試験出題基準の見直しが行われ,2011年4月にその内容が公開された.今回の改定の背景には,高齢化の進展,歯科医療の高度化・専門化の環境の変化等に対応した歯科衛生士の役割の拡充はもとより,歯科衛生士教育が2年制から3年制に移行したことにより,教育内容が充実されたこと及び2010年6月30日歯科衛生士法施規則の改正により,歯科衛生士国家試験の試験科目が改正されたことによるものと思われる.
 今回の出題基準の改定点を分析すると,上記のような点をふまえた試験科目の項目の追加及び大綱化,そして問題数の増加と必要性に応じた改定となっているといえる.
 この見直し後の出題基準は,2012年3月に実施される第21回歯科衛生士国家試験から適用される.よって本書の改定は急務と考え,以上を考慮しかつ前版の基本的な編集方針は踏襲しつつ,第4版として『歯科衛生士国家試験出題基準平成23年版』に沿った形での改訂を行った.
 歯科衛生士学校の学生の方々が,本書で受験対策に取り組んでいただき,国家試験に合格されることを期待してやまない.
 2012年1月
 歯科衛生士国家試験対策検討会

第3版の序
 1999年に本シリーズ第2版を発行してから,4年が経過した.この間,難易度があがっていく国家試験に対して精度を高めるべく,刷を重ね,年々見直しを行い,国試対策に取り組む学生の方々の期待に応えるよう編集を行ってきた.
 さて,このたび再度歯科衛生士試験出題基準の見直しが行われ,2003年6月にその内容が公開された.今回の改定の背景には,高齢社会,2000年の介護保険施行に対応した歯科衛生士の役割の拡充はもとより,少子化の進行や,健康日本21の策定,健康増進法施行などの健康支援への動きがある.歯科医療技術の進歩もある.そしてなにより,歯科衛生士教育が2年制から3年制へ移行し始め,今後進んでいくであろう全国区での3年制への移行を見すえた地ならしの意味が大きいと思われる.
 今回の出題基準の改定点を分析すると,上記のような点をふまえた項目の追加と,従来から指摘されてきた項目重複の整理と格付けの見直し,実際行われているまたは出題されている項目の明文化などであり,必要性に応じた小改定となっているといえる.
 この見直し後の出題基準は,2004年3月に実施される第13回歯科衛生士試験から適用される.よって本書の改訂は急務と考え,以上を考慮しかつ前版の基本的な編集方針は踏襲して,第3版として必要最小限の改訂を行った次第である.
 歯科衛生士学校の学生の方々が,本書で受験対策に取り組んでいただき,国家試験に合格されることを期待してやまない.
 2004年1月
 歯科衛生士試験対策検討会

第2版の序
 本シリーズを1996年に発行して以来3年が経過した.この間,国家試験対策に取り組む多くの歯科衛生士学校の学生の方々にご利用いただいた.本書の出版企画の意図は,「ただ単に知識の整理を行ったのみでなく,国家試験対策について十分検討し,学力向上のための効果的な勉強ができるように配慮した」(「第1版の序」より)ことにある.この所期の目的がほぼ達成できたことは,本書を編集した歯科衛生士試験対策検討会としては喜びにたえない.
 さて,このたび本書の第2版の改訂版を出版することになった.その理由は,以下のとおりである.
 本年(1999年)4月に「歯科衛生士試験出題基準」が改訂された.今回の改訂は5,6年以内に予定される歯科衛生士養成の修業年限延長(2年以上から3年以上へ)による「出題基準」大改訂までの暫定措置として行われた.現在,歯科衛生士養成施設で使われている教科書の内容を,一部あと追い的に反映した性格をもつ小改訂といえる.
 この出題基準の改訂の内容を分析してみると,次のとおりである.(1)用語の言い換え,(2)項目の配列や内容の整理,(3)新しい項目の追加,(4)出題内容が他の科目にもわたるようになった,などである.
 しかもこの「新出題基準」は,来年(2000年)3月5日に行われる国家試験から適用される.そこで本書を国家試験受験生のために急きょ改訂した次第である.
 また,今年(1999年)3月実施の歯科衛生士国家試験の出題傾向の変化をみると,
 (1)状況設定問題が増えた
 (2)組み合わせ問題で,3項目組み合わせのものが出題された
 (3)カラーの口腔内写真を見て答える問題が出た
 などの点で,従来とは傾向が変わってきている.合格率も過去数年の99.数%から96.9%へと低下し,受験者6,392名中200名が不合格となっている.
 以上のことを十分考慮し,また「出題基準」の大改訂は5,6年後に行われることを予想して,本書の必要最小限の改訂をした次第である.
 読者の皆さんは,まず本書のVページの「本書の特徴および利用方法」を十分読んでから受験対策に取り組んでいただきたい.
 来春には,多くの受験生が専門性をもった立派な歯科衛生士として誕生することを期待している.
 1999年11月
 歯科衛生士試験対策検討会

第1版の序
 近年の急速な高齢化社会の到来と少子化は,保健・医療・福祉の基本的なフレームの見直しをわれわれに迫っている.
 歯科保健医療をとりまく環境も,1989年から厚生省が提唱している8020運動の推進,1992年からの老人保健法の歯科衛生士による寝たきり老人の訪問指導の実施,1994年の保健所法から地域保健法への改正,1995年の老人保健法による歯周疾患検診の導入,さらに1996年の社会保険歯科診療における歯周治療システムの大幅改定など,新たな時代の到来ともいうべき様相を呈してきた.そのような状況のもとで,歯科衛生士に期待される役割はきわめて大きくなってきている.
 歯科衛生士を目指す諸姉には,それゆえ,臨床や地域保健で活躍するための十分な基礎体力を,まずは教育を通じて身につけることが求められている.
 そこで,このたび教育と国家試験をつなぐ¢橋.の役割を担うことをねらいとした本シリーズを企画した.
 本シリーズの発刊にあたっては,ただ単に知識の整理を行ったのみではなく,国家試験対策について十分に検討し,学力向上のための効果的な勉強ができるように配慮したつもりである.
 すなわち,厚生省の「歯科衛生士試験出題基準」をもとに,「歯科衛生士養成所教授要綱」を加味して各科目のセクション化をはかり,それぞれの重要なエッセンスを解説している.さらに,各科目ごとの主要なテーマを問題例としてあげ,それを解くための基本的な考え方を習得することで,国家試験問題を解くための思考過程が自然と備わるように構成した.また,知識の確認としての一問一答を科目ごとに付して,短時間で学習効果を高めるように工夫してある.
 本書を手にされた諸姉が,これを上手に利用することにより,所期の目的を達成されることを祈念している.
 1996年7月
 歯科衛生士試験対策検討会
I編 歯科予防処置論
  SECTION1 歯科予防処置の概要
   I.歯科衛生士の役割
   II.歯科予防処置の内容
   III.スケーリングとルートプレーニング
  SECTION2 歯科予防処置の基礎知識
   I.歯・口腔の状態把握
   II.歯・口腔の観察に使用する器具
   III.生体への配慮
  SECTION3 スケーリングにおける使用器具
   I.手用スケーラー
   II.シャープニング用器材
   III.超音波スケーラーとエアスケーラー
   IV.歯面研磨用器具
  SECTION4 各種スケーラーの操作法
   I.手用スケーラー
   II.シャープニング
   III.超音波スケーラー
   IV.エアスケーラー
   V.スケーリング時の感染予防対策
  SECTION5 歯面研磨
   I.歯面研磨の目的
   II.歯面研磨操作時の注意点
   III.歯面研磨用具などの取り扱い
   IV.歯面研磨剤
   V.歯面研磨後の処置
  SECTION6 偶発事故の予防とその対策
  SECTION7 齲蝕予防処置の基礎知識
   I.齲蝕予防処置法とその種類
   II.フッ素の知識
   III.フッ化物局所応用法
   IV.フッ化ジアンミン銀塗布法
   V.小窩裂溝填塞法
   VI.齲蝕予防処置を行う対象および処置法の選択
  SECTION8 齲蝕活動性試験
   I.基礎知識
   II.試料による分類
   III.主な齲蝕活動性試験
  SECTION9 フッ化物歯面塗布法
  SECTION10 フッ化ジアンミン銀塗布法
  SECTION11 フッ化物洗口法
  SECTION12 フッ化物の応用(高齢者・成人・矯正患者)
  SECTION13 フッ化物の集団応用時の注意
  SECTION14 小窩裂溝填塞法
  一問一答
II編 歯科保健指導論
 総論
  SECTION1 保健指導
   I.保健指導とは
   II.健康の概念
   III.わが国の健康施策
   IV.保健指導と法律
   V.歯科保健指導の考え方
   VI.保健指導の方法
  SECTION2 口腔保健に関する情報と収集
   I.情報の意義
   II.専門知識の充実をはかるための情報
   III.対象の口腔保健に関する情報の収集
 各論
  SECTION1 対象把握
   I.対象の把握
   II.情報収集の種類
   III.調査のための質問紙作成
   IV.個人に関する情報の収集
  SECTION2 伝達方法
   I.コミュニケーション能力
   II.対話法(話法技術)
   III.媒体の利用法
  SECTION3 業務記録
   I.意義
   II.指導過程
  SECTION4 口腔清掃指導法
   I.意義
   II.用具
   III.指導法
   IV.ブラッシングの要点
  SECTION5 対象別の指導法
  SECTION6 症例別指導法
   I.妊産婦に対する歯科保健指導
   II.歯周疾患患者に対する歯科保健指導
   III.要介護高齢者への歯科保健指導
   IV.障害(児)者に対する歯科保健指導
   V.補綴物装着者,矯正装置装着者に対する歯科保健指導
   VI.有病者に対する歯科保健指導
   VII.その他
  SECTION7 食生活の指導
   I.食習慣の把握
   II.摂食・嚥下状態の把握
   III.甘味嗜好の改善
   IV.齲蝕誘発能をもつ食品
   V.栄養バランスと口腔保健
  SECTION8 食育基本法と食生活指針
   I.食育とは
   II.食育基本法
   III.食生活指針
   IV.生活習慣病と食育
   V.障害者・要介護者の食事介助
  SECTION9 口腔機能の維持
   I.口腔機能の現状維持
   II.機能訓練
   III.専門的口腔ケア
  SECTION10 禁煙支援
   I.喫煙者に対する指導
   II.喫煙状況のアセスメント
   III.禁煙ステージと禁煙支援のポイント
   IV.薬物療法
  SECTION11 集団の指導法
   I.口腔保健活動における歯科衛生士の役割
   II.活動の場
   III.場の理解
   IV.保健指導の展開
  SECTION12 障害者・高齢者の保健・医療・福祉
   I.障害者を支える保健・医療・福祉
   II.高齢者を支える保健・医療・福祉
  SECTION13 訪問指導(患者の居宅)
   I.対象の理解
   II.援助の内容
   III.記録
   IV.評価
  一問一答
III編 歯科診療補助論
  SECTION1 歯科衛生士の役割
   I.歯科診療補助・歯科診療介助・共同動作
   II.歯科衛生士の対応
  SECTION2 チーム歯科医療
   I.チーム歯科医療
   II.歯科訪問診療
  SECTION3 患者への対応
   I.一般的対応
   II.全身疾患を有する患者への対応
   III.特別な配慮が必要な患者への対応
  SECTION4 歯科診療器具の取り扱い
   I.チェア,ユニット
   II.歯科用エックス線装置
   III.可視光線照射器
   IV.笑気吸入鎮静法
   V.超音波洗浄器
   VI.レーザー装置
  SECTION5 診療室の清掃
   I.診療環境の整備
   II.器械の整備
  SECTION6 診療室の管理
   I.診療室の環境の基準
   II.医薬品・歯科材料の管理
   III.事務的管理
  SECTION7 共同動作の基本
   I.共同動作の意義
   II.共同動作のルール
   III.術者・補助者の位置と姿勢
   IV.ライティング
   V.トレーセッティング
   VI.器具の受け渡し
   VII.バキュームテクニック
  SECTION8 滅菌・消毒と感染予防
   I.機械・器材の滅菌・消毒の方法と取り扱い
   II.感染防止
  SECTION9 主要歯科材料の取扱い
   I.模型材(石膏)
   II.合着・接着材
   III.印象材
   IV.成形修復材
   V.仮封材
   VI.歯肉排除と使用薬剤
   VII.その他の材料
  SECTION10 歯肉排除
   I.歯肉排除(歯肉圧排)の目的
   II.歯肉排除の種類
   III.圧排用コードを用いた場合の手順
   IV.歯肉排除時の注意点
  SECTION11 防湿,歯間分離
   I.防湿
   II.歯間分離
  SECTION12 窩洞形成
   I.切削器具
   II.隔壁
  SECTION13 成形修復
   I.材料の種類と適応
   II.コンポジットレジン修復
   III.グラスアイオノマーセメント修復
   IV.ラミネートベニア修復
   V.研磨
  SECTION14 歯髄処置
   I.歯髄保護
   II.歯髄除去
  SECTION15 根管処置
   I.根管治療
   II.根管充填
  SECTION16 歯周治療
   I.イニシャルプレパレーション(歯周基本治療)
   II.外科的処置
   III.その他の処置
   IV.メインテナンス
  SECTION17 補綴診査と口腔内写真撮影
   I.補綴診査
   II.口腔内写真撮影
  SECTION18 印象採得
   I.印象採得の種類
   II.印象採得時の診療補助
  SECTION19 咬合採得
   I.咬合採得とは
   II.咬合器
   III.顔弓(フェイスボウ)
   IV.咬合床
  SECTION20 補綴装置の合着・装着
   I.暫間被覆冠(テンポラリークラウン,ブリッジ)
   II.補綴物の装着
  SECTION21 咬合調整
   I.床義歯の咬合調整
   II.クラウン,ブリッジの咬合調整
  SECTION22 麻酔・鎮静
   I.局所麻酔時の器材取り扱いと注意事項
   II.全身麻酔
   III.鎮静法
  SECTION23 抜歯
   I.抜歯の手順と準備器材・術中補助
   II.術中の患者管理
   III.術後の患者への注意
  SECTION24 小手術
   I.切開・排膿
   II.歯槽骨形成
   III.縫合用具の取り扱い
  SECTION25 矯正治療
   I.治療用器具の取り扱い
   II.治療用材料の取り扱い
   III.装置の接着
   IV.装置の撤去
   V.主要矯正装置の取り扱い
  SECTION26 小児歯科
   I.小児患者への対応
   II.開口保持の補助
   III.障害児への対応
   IV.乳歯用冠装着(直接法)の準備器材と手順
   V.保隙装置装着時の注意事項
  SECTION27 エックス線撮影および防護
   I.口外法エックス線撮影法
   II.口内法エックス線撮影法
   III.エックス線防護法
   IV.エックス線撮影補助
  SECTION28 エックス線フィルムの現像管理
   I.暗室と未使用フィルムの管理
   II.フィルム処理法(現像処理)の原理
   III.フィルム処理法
   IV.撮影済みフィルムの管理
  SECTION29 臨床検査法
   I.生理検査
   II.主要な臨床検査法
  SECTION30 救急処置
   I.救急処置のABCD
   II.酸素療法
   III.歯科治療時におけるショック
   IV.過換気症候群
  SECTION31 バイタルサイン
   I.脈拍
   II.呼吸
   III.体温
   IV.血圧
  一問一答
 索引