やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

『歯科衛生学シリーズ』の誕生─監修にあたって
 全国歯科衛生士教育協議会が監修を行ってきた歯科衛生士養成のための教科書のタイトルを,2022年度より,従来の『最新歯科衛生士教本』から『歯科衛生学シリーズ』に変更させていただくことになりました.2022年度は新たに改訂された教科書のみですが,2023年度からはすべての教科書のタイトルを『歯科衛生学シリーズ』とさせていただきます.
 その背景には,全国歯科衛生士教育協議会の2021年5月の総会で承認された「歯科衛生学の体系化」という歯科衛生士の教育および業務に関する大きな改革案の公開があります.この報告では,「口腔の健康を通して全身の健康の維持・増進をはかり,生活の質の向上に資するためのもの」を「歯科衛生」と定義し,この「歯科衛生」を理論と実践の両面から探求する学問が【歯科衛生学】であるとしました.【歯科衛生学】は基礎歯科衛生学・臨床歯科衛生学・社会歯科衛生学の3つの分野から構成されるとしています.
 また,これまでの教科書は『歯科衛生士教本』というような職種名がついたものであり,これではその職業の「業務マニュアル」を彷彿させると,看護分野など医療他職種からたびたび指摘されてきた経緯があります.さらに,現行の臨床系の教科書には「○○学」といった「学」の表記がないことから,歯科衛生士の教育には学問は必要ないのではと教育機関の講師の方から提言いただいたこともありました.
 「日本歯科衛生教育学会」など歯科衛生関連学会も設立され,教育年限も3年以上に引き上げられて,【歯科衛生学】の体系化も提案された今,自分自身の知識や経験が整理され,視野の広がりは臨床上の疑問を解くための指針ともなり,自分が実践してきた歯科保健・医療・福祉の正当性を検証することも可能となります.日常の身近な問題を見つけ,科学的思考によって自ら問題を解決する能力を養い,歯科衛生業務を展開していくことが,少子高齢化が続く令和の時代に求められています.
 科学的な根拠に裏付けられた歯科衛生業務のあり方を新しい『歯科衛生学シリーズ』で養い,生活者の健康に寄与できる歯科衛生士として社会に羽ばたいていただきたいと願っております.
 2022年3月
 一般社団法人 全国歯科衛生士教育協議会理事長
 眞木吉信


発刊の辞
 歯科衛生士の教育が始まり70年余の経過を経た歯科衛生士の役割は,急激な高齢化や歯科医療の需要の変化とともに医科歯科連携が求められ,医科疾患の重症化予防,例えば糖尿病や誤嚥性肺炎の予防など,う蝕や歯周病といった歯科疾患予防の範囲にとどまらず,全身の健康を見据えた口腔健康管理へとその範囲が拡大しています.
 日本政府は,経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」で,口腔の健康は全身の健康にもつながることから,生涯を通じた歯科健診の充実,入院患者や要介護者をはじめとする国民に対する口腔機能管理の推進,歯科口腔保健の充実や地域における医科歯科連携の構築,歯科保健医療の充実に取り組むなど,歯科関連事項を打ち出しており,2022年の現在においても継承されています.特に口腔衛生管理や口腔機能管理については,歯科口腔保健の充実,歯科医療専門職種間,医科歯科,介護・福祉関係機関との連携を推進し,歯科保健医療提供の構築と強化に取り組むことなどが明記され,徹底した予防投資や積極的な未病への介入が全身の健康につながることとして歯科衛生士の活躍が期待されています.
 歯科衛生士は,多くの医療系職種のなかでも予防を専門とする唯一の職種で,口腔疾患発症後はもちろんのこと,未病である健口のうちから介入することができ,予防から治療に至るまで,継続して人の生涯に寄り添うことができます.
 このような社会のニーズに対応するため歯科衛生学教育は,歯・口腔の歯科学に留まらず,保健・医療・福祉の広範囲にわたる知識を学ぶことが必要となってきました.
 歯科衛生学は「口腔の健康を通して全身の健康の維持・増進をはかり,生活の質の向上に資するためのものを『歯科衛生』と定義し,この『歯科衛生』を理論と実践の両面から探求する学問が歯科衛生学である」と定義されます.そこで歯科衛生士の学問は「歯科衛生学」であると明確にするために,これまでの『歯科衛生士教本』,『新歯科衛生士教本』,『最新歯科衛生士教本』としてきた教本のタイトルを一新し,『歯科衛生学シリーズ』とすることになりました.
 歯科衛生士として求められる基本的な資質・能力を備えるため『歯科衛生学シリーズ』は,プロフェッショナルとしての歯科衛生学の知識と技能を身につけ,保健・医療・福祉の協働,歯科衛生の質と安全管理,社会において貢献できる歯科衛生士,科学的研究や生涯にわたり学ぶ姿勢を修得する教科書として発刊されました.これからの新たな歯科衛生学教育のために,本書が広く活用され,歯科衛生学の発展・推進に寄与することを願っています.
 本書の発刊にご執筆の労を賜った先生方はじめ,ご尽力いただいた医歯薬出版株式会社の皆様に厚く御礼申し上げ,発刊の辞といたします.
 2022年3月 歯科衛生学シリーズ編集委員会
 高阪利美 ** 眞木吉信 * 合場千佳子 石川裕子 犬飼順子
 遠藤圭子 佐藤 聡 白鳥たかみ 末瀬一彦 戸原 玄
 畠中能子 前田健康 升井一朗 水上美樹 森崎市治郎
 山田小枝子 山根 瞳 吉田直美
 (** 編集委員長,* 副編集委員長,五十音順)


執筆の序
 口腔の読み方は一般的にはコウコウであるが,医学ではコウクウである.広辞苑をひもとくと,“口腔“は「口から咽頭に至る部分.食物の摂取・咀嚼・消化および味覚の場であるとともに,発声器の一部をなす」とある.日常,用いている“口”は「動物が体内に食物を摂取する穴状の器官」と説明され,口は顔の開口部であることがわかる.私たちの口は体の前端のくぼみ(口窩)としてつくられ,その後,一枚の膜(口咽頭膜)で腸管の前方(前腸)と境され,その後,口咽頭膜が破れ,口と腸がつながり,また腸管の後端(排泄腔膜)も破れて,口から肛門に至る消化管が完成する.この消化管の成り立ちからもわかるように,口腔は消化管が始まる部位の小部屋で,食物摂取,咀嚼,初期消化を行い,食物を咽頭に送り(食塊移送),嚥下させる機能をもっている.これらの機能を営むために,筋や神経などのさまざまな構造物,歯・歯周組織,舌,唾液腺を備えている.また,口腔は咽頭,喉頭,気管と続き,呼吸の補助通路となっている.実際,原始的な動物では口腔の消化機能はわずかであり,呼吸器としての役割が大きいことから,口腔は呼吸器の一部として発達し,口腔に腺が発達することによって,口腔は単なる消化管の前室から,初期消化器官としての役割を果たすようになった.また,呼吸の補助器官としての役割をもつことから,構音機能をもつようになり,この機能により,発話が可能となり,コミュニケーション能力が獲得された.さらに口腔内には豊富な感覚装置が分布するとともに,特殊化した味細胞が味覚を感受する.まさにヒトが生存するために,そして動物とは異なる人間としての生活を営むために必要な場の入口となるのが「口腔」なのである.
 本書では多様かつ複雑な機能をもつ口腔の構造と機能を果たすための仕組みを扱う.『最新歯科衛生士教本』から『歯科衛生学シリーズ』に転換するにあたり,執筆者の入れ換え,目次,項目建ての見直しを行うとともに,用語解説やコラムなどにより内容の充実化や,図表内の丁寧な解説を心がけ,より理解しやすいよう平易な表現に努めた.また,重要語句の太字での表記など,読みやすさの改善にも配慮した.
 急激な高齢化の進展は疾病構造の変化や社会ニーズの多様化をもたらし,歯科医療のあり方も大きく転換させている.特に口腔機能の重要性や全身疾患をもつ患者の口腔健康管理の重要性が認識され,さらには在宅医療や地域包括ケアシステムを推進する中,他職種との連携が不可欠となっている.そのため,歯科衛生士の業務は拡大し,より高度な知識と技術が求められており他職種との共通理解である全身の構造と機能の知識に加え,専門職として口腔の構造と機能を理解し,医療・介護関係職との連携を深めていく必要がある.
 本書が歯科衛生士を目指す初学者から,臨床のさまざまな場で活躍する歯科衛生士,さらには高度な歯科衛生士教育・研究に携わる方々が歯・口腔の構造と機能の理解を深めることに役立つことを願っている.
 2022年3月
 編集委員
  前田健康
  増田裕次
I編 歯・口腔の構造
 1章 口腔とその周囲の解剖学
  (1)-口腔とは
   1.口腔とその周囲の表面
   2.口腔前庭
    1)口唇粘膜
    2)頬粘膜
    3)歯肉
   3.固有口腔
    1)口蓋
    2)口腔底
    3)舌
    Coffee break 食べることとヒトの進化
  (2)-口腔を構成する骨
   1.頭蓋を構成する骨
    1)頭蓋の前面
    2)頭蓋の上面
    3)頭蓋の後面
    4)頭蓋の側面
    5)頭蓋の下面
    6)頭蓋の内面
   2.口腔を構成する骨
    1)上顎骨
    2)口蓋骨
    3)下顎骨
    4)舌骨
  (3)-頭頸部の筋と作用
   1.顔面筋(表情筋)
    1)頭頂部の筋
    2)耳介周囲の筋
    3)眼の周囲の筋
    4)鼻の周囲の筋
    5)口の周囲の筋
    ClinicalPoint 表情筋マッサージ
   2.咀嚼筋
    1)咀嚼筋群
    2)咀嚼筋の作用の概要
   3.舌筋
   4.頸部の筋
    1)広頸筋
    2)胸鎖乳突筋
    3)舌骨上筋群
    4)舌骨下筋群
   5.顎下三角とオトガイ下三角
    1)顎下三角
    2)オトガイ下三角
   6.翼突下顎隙と翼突下顎縫線
    ClinicalPoint 筋と歯科臨床
  (4)-顎関節
   1.骨
    1)下顎頭
    2)下顎窩
   2.軟組織
    1)関節円板
    2)外側翼突筋
    3)関節包
    4)靱帯
  (5)-口腔周囲の脈管
   1.動脈系
    1)総頸動脈
    2)外頸動脈
    3)内頸動脈
   2.静脈系
    1)内頸静脈
    2)翼突筋静脈叢
    3)外頸静脈
    4)下顎後静脈
    Coffee break 眼底検査の目的
   3.リンパ系
    1)オトガイ下リンパ節
    2)顎下リンパ節
    3)深頸リンパ節
    4)浅頸リンパ節
    5)頸リンパ本幹
    6)扁桃
  (6)-神経
   1.三叉神経
    1)概要
    2)眼神経(三叉神経第1枝)
    3)上顎神経(三叉神経第2枝)
    4)下顎神経(三叉神経第3枝)
   2.顔面神経
    1)概要
    2)顔面神経の主な枝
    ClinicalPoint 三叉神経痛
   3.舌咽神経
    1)概要
    2)舌咽神経の主な枝
    ClinicalPoint 顔面神経麻痺
   4.迷走神経
    1)概要
    2)頭頸部の主な枝
   5.舌下神経
    1)概要
    2)舌下神経の主な枝
    ClinicalPoint 反回神経麻痺と舌下神経麻痺
   6.頭頸部に分布する脊髄神経
    1)後頭部の神経支配
    2)頸神経叢
   7.頭部の自律神経
    1)頭部の交感神経系
    2)頭部の副交感神経系
    3)主な腺の自律神経支配
  (7)-唾液腺
   1.唾液腺
   2.大唾液線
    1)耳下腺
    2)舌下腺
    3)顎下腺
   3.小唾液腺
  (8)-咽頭と喉頭の構造
   1.咽頭
    1)咽頭の区分
    2)咽頭の構造
   2.喉頭
    1)喉頭の支柱
    2)喉頭の内腔
    3)喉頭の筋
   3.食道
   4.嚥下に関与する筋群
    1)口腔周囲の筋(主なもの)
    2)咀嚼筋
    3)舌筋
    4)軟口蓋の筋
    5)舌骨上筋群,舌骨下筋群
    6)咽頭筋
    7)喉頭筋
    8)食道の筋
 2章 歯の形態
  (1)-歯の解剖学総論
   1.歯とは何か
   2.歯の特徴
   3.歯の構造
    1)歯の外形
    2)歯の固定
   4.歯の種類と名称
    1)生歯による分類
    2)位置と形による分類
   5.歯の数と歯の記号
    1)歯の数
    2)歯の記号
   6.方向用語
   7.歯冠と歯根の形態
    1)歯冠の形態
    2)歯根の形態
    3)歯頸線
    4)歯髄腔の形態
   8.咬頭と歯根の数
   9.歯の左右の特徴
    1)彎曲徴
    2)歯根徴
    3)隅角徴
   10.歯の機能
  (2)-永久歯
   1.永久歯の特徴
   2.永久歯の形態学的特徴
    1)切歯
    2)犬歯
    3)小臼歯
    4)大臼歯
    ClinicalPoint 歯根の形態とSRP
  (3)-乳歯
   1.乳歯の特徴
   2.乳歯の機能と特色
    1)乳切歯
    2)乳犬歯
    3)乳臼歯
  (4)-歯の異常
   1.歯数の異常
   2.大きさの異常
   3.歯の重複
   4.歯冠の異常
    ClinicalPoint 歯頸部の形態とSRP
   5.歯根の異常
   6.萌出異常
    1)萌出時期の異常
    2)歯の位置の異常
  (5)-歯列と咬合
   1.歯列
    1)歯群
    2)歯列
    3)歯列弓と形態
    4)咬合彎曲
    5)歯列と頭蓋との関係
    6)対合(対向)関係
    7)接触点
    8)空隙
   2.咬合
    1)咬合の型
    2)下顎位
    3)下顎の運動
    4)歯科矯正学的分類
 3章 歯および歯周組織の構造と機能
  (1)-エナメル質
   1.エナメル質の概要
   2.エナメル質の性状
   3.エナメル質の構造
    1)エナメル小柱と小柱間質
    2)無小柱エナメル質
   4.エナメル質に存在する構造物
    1)横紋【エナメル小柱】
    2)レチウス条
    3)新産線
    4)周波条
    5)シュレーゲル条
    6)エナメル葉
    7)エナメル叢
    8)エナメル紡錘
    9)エナメル-象牙境
    10)歯小皮
    ClinicalPoint エナメル質の臨床
  (2)-象牙質・歯髄複合体
   1.象牙質・歯髄複合体の概要
   2.象牙質・歯髄複合体の機能
   3.象牙質の構造
    1)象牙細管
    2)象牙質基質
    3)象牙質の石灰化様式
    4)象牙質に認められる主な構造物
    5)象牙質の成長線
   4.歯髄の構造
    1)歯髄の細胞成分
    2)歯髄表層の細胞分布
    3)歯髄の細胞間質
    4)歯髄の血管と神経
   5.象牙質・歯髄複合体の加齢変化
    1)象牙質に認められる変化
    2)歯髄に認められる変化
    ClinicalPoint 象牙質の臨床
  (3)-セメント質
   1.セメント質の概要
   2.セメント質の分類
    1)無細胞セメント質
    2)有細胞セメント質
   3.セメント質の構造
    1)セメント細胞
    2)線維成分
    3)セメント質の成長線(層板構造)
    4)セメント質と象牙質の境界
    5)エナメル質とセメント質の境界
    ClinicalPoint セメント質とスケーリング・ルートプレーニング(SRP)
  (4)-歯根膜
   1.歯根膜の概要
   2.歯根膜の機能
   3.歯根膜の構造
    1)細胞外基質
    2)主線維
    3)歯根膜の細胞成分
    4)歯根膜の血管と神経
    ClinicalPoint 歯根膜の臨床
  (5)-歯槽骨
   1.歯槽骨の概要と機能
   2.歯槽骨の構造
    1)固有歯槽骨
    2)支持歯槽骨
  (6)-歯肉
   1.歯肉の概要
   2.歯肉の区分と歯槽粘膜
    ClinicalPoint 歯槽骨の臨床
   3.歯肉上皮
    1)外縁上皮
    2)内縁上皮
   4.歯肉固有層
    1)線維成分
    ClinicalPoint 歯周組織の臨床
    2)細胞成分
II編 歯および歯周組織の発生
 1章 顔面と口腔の発生
  (1)-鰓弓の形成
   1.鰓弓とは
   2.鰓溝と鰓嚢
   3.鰓弓の上皮と間葉
   4.鰓弓軟骨
   5.鰓弓動脈と鰓弓神経
  (2)-突起の形成と癒合
   1.胎生第5週
   2.胎生第6週
   3.胎生第8週以降
  (3)-口蓋の形成
   1.一次口蓋の形成
    ClinicalPoint 口蓋裂
   2.二次口蓋の形成
  (4)-舌の形成
  (5)-腺の形成
   1.唾液腺の発生
   2.甲状腺の発生
   3.下垂体の発生
    Coffee break ダウン症候群による甲状腺機能低下症
 2章 歯と歯周組織の発生
  (1)-先行歯の発生
   1.歯堤の形成
   2.蕾状期(結節期)歯胚
   3.帽状期歯胚
   4.鐘状期歯胚
    1)象牙質の形成
    2)エナメル質の形成
    3)歯髄の形成
    4)歯根の形成
    5)セメント質の形成
    6)歯根膜の形成
    7)固有歯槽骨の形成
  (2)-代生歯および加生歯の発生
  (3)-歯の萌出
   1.萌出前期
   2.萌出期
   3.機能期
    ClinicalPoint 癒合歯,上皮真珠
  (4)-歯の脱落と交換
  (5)-歯の萌出の臨床的考察
   1.歯の早期萌出
   2.乳歯の早期脱落
   3.乳歯の脱落遅延
    ClinicalPoint 歯の再生の現状
   4.永久歯の異所萌出
III編 歯・口腔の機能
 1章 歯・口腔,顔面の感覚
  (1)-口腔顔面領域の神経生理学
   1.感覚とは
    1)口腔顔面感覚の歯科的重要性
    2)感覚の分類
   2.口腔顔面領域の感覚神経機構
    1)末梢神経
    2)中枢神経
  (2)-口腔顔面痛
   1.歯痛(深部感覚)
    1)歯髄痛
    2)象牙質痛
    3)歯根膜痛
   2.顎関節痛・筋痛(深部感覚)
   3.口腔粘膜痛・顔面痛(表面感覚)
   4.唾液腺痛(内臓感覚)
   5.異常疼痛
    1)関連痛
    2)神経障害性疼痛
    3)非歯原性歯痛
    4)がん性疼痛
  (3)-口腔顔面領域の触圧覚
   1.口腔粘膜と顔面皮膚の触圧覚(表面感覚)
   2.歯の圧覚・位置感覚(深部感覚)
   3.筋感覚(深部感覚)
  (4)-口腔顔面領域の温度感覚ほか
   1.口腔内温度受容の特殊性
   2.食物中の受容器刺激物質(化学受容)
  (5)-口腔感覚とおいしさ
 2章 味覚と嗅覚
  (1)-味覚
   1.味覚の役割
    1)味の識別(基本味)
    2)摂食行動との関連
    3)消化の促進
    4)体内の恒常性維持
    5)食の総合的認知
   2.味覚の感受性
    1)味覚閾値
    2)部位による差異
    3)順応
   3.味覚受容器
   4.味覚の神経機構
   5.味覚障害と味盲
    1)味覚障害
    2)味盲(PTC味盲)
    ClinicalPoint 味覚検査
   6.加齢と味覚
  (2)-嗅覚
   1.嗅覚の役割
    1)一般的なニオイの意義
    2)摂食との関連
    3)社会性とニオイ
   2.嗅覚の特徴
    Coffee break フェロモン
   3.ニオイの受容機構
    1)嗅覚器と嗅細胞
    2)ニオイ受容体とニオイ物質の受容
    3)ニオイと受容とニオイ応答地図
   4.嗅覚の中枢伝導路
    ClinicalPoint 嗅覚検査法
   5.嗅覚の加齢変化と嗅覚障害
 3章 咬合と咀嚼・吸啜
  (1)-下顎位
   1.下顎安静位
   2.咬頭嵌合位
   3.中心位と中心咬合位
  (2)-下顎の運動
   1.下顎運動の特徴
   2.下顎の限界運動
   3.咀嚼筋と下顎位
   4.咀嚼筋の特性
   5.顎運動の調節に働く神経系
   6.筋感覚(筋の伸展受容)
  (3)-顎反射
   1.閉口反射
    1)下顎張反射
    2)歯根膜閉口筋(咀嚼筋)反射
    3)閉口反射
   2.開口反射
    ClinicalPoint 開口反射は咀嚼力調節に関与する?
  (4)-摂食行動
   1.食物の認知
   2.咀嚼
    1)咀嚼の意義
    2)咀嚼運動の神経性制御機構
    Coffee break 咀嚼と肥満
    3)咀嚼時の運動
  (5)-咀嚼能力
   1.自己評価法
   2.客観的評価法
    1)咬合力と咀嚼力
    2)食品の粉砕度の測定
    3)グルコース溶出量の計測による方法
   3.咀嚼能力に影響する要因
  (6)-吸啜
   1.吸啜運動
    1)乳児にみられる吸啜に関わる反射
    ClinicalPoint マンチング
    ClinicalPoint 舌挺出反射と咬反射
    2)乳児の口腔の形態と吸啜運動
   2.吸指癖
 4章 嚥下と嘔吐
  (1)-嚥下
   1.摂食嚥下とは
    ClinicalPoint 嚥下時の姿勢
   2.咀嚼・嚥下時の筋の働きと食塊の動き
    1)咀嚼時の食塊の動き
    2)嚥下時の口腔・咽頭内での食塊移送
    Coffee break 咽頭と喉頭の位置関係
    3)食塊の食道通過
    4)嚥下時の気道防御
    Coffee break 口蓋帆張筋の働き
   3.嚥下の神経機構
    1)嚥下の誘発
    ClinicalPoint 食道入口部の開大の重要性
    ClinicalPoint 軟口蓋挙上(鼻咽腔閉鎖)の評価
    2)嚥下の運動パターン形成
    Coffee break 嚥下性無呼吸
   4.嚥下の病態
    ClinicalPoint 声門閉鎖を知る
    ClinicalPoint 嚥下を促す
  (2)-嘔吐
   1.嘔吐とは
    Coffee break 反芻
   2.嘔吐の意義
   3.嘔吐の原因・誘因
   4.嘔吐に伴う自律反射と随伴症状
   5.頻回の嘔吐によって起こる症状
   6.嘔吐の機序
    1)嘔吐中枢
    2)嘔吐の神経機序
    Coffee break 胃食道逆流症
    3)嘔吐中枢からの遠心路
 5章 発声・発語
  (1)-発声機構の概要
    ClinicalPoint 「構音」と「調音」
  (2)-声の生成
   1.声帯の振動
   2.声帯以外の発音
   3.嗄声
   4.音声の性質
    1)声の高さ
    2)声の強さ
    3)声の音色
  (3)-構音のメカニズム
   1.母音と子音
    1)母音
    2)子音
   2.構音障害
    1)器質性構音障害
    2)運動障害性構音障害
    3)機能性構音障害
  (4)-歯・口腔の病態と構音
   1.歯の欠損と構音
   2.不正咬合と構音
    ClinicalPoint 言葉の障害と食べる障害
   3.義歯装着と構音
   4.口蓋裂と構音
   5.口腔腫瘍術後患者の構音
    ClinicalPoint 話し言葉の評価
   6.オーラルフレイルと構音
 6章 唾液
  (1)-唾液の分泌機構
   1.腺房部・導管部の分泌機序
   2.唾液分泌の神経支配
    1)自律神経支配
    2)上位中枢の支配
    3)反射による調節
   3.唾液腺血流の調節機序
  (2)-唾液の性状・成分と機能
   1.唾液分泌量
   2.唾液の性状
   3.唾液の成分と機能
    1)消化作用
    2)保護作用
    3)潤滑作用
    4)緩衝作用
    5)抗脱灰作用・再石灰化作用
    6)洗浄作用
    7)抗菌作用
    8)その他
  (3)-唾液と疾患
   1.口腔乾燥症
   2.唾液とう蝕
   3.唾液と粘膜疾患・歯周疾患
   4.唾液と味覚障害
   5.唾液と嚥下障害
    ClinicalPoint 味覚性耳下腺痛
    Coffee break 唾液とストレス
IV編 歯・口腔の構造と機能を理解するための実習
  (1)-歯の形を理解する実習
   1.3倍大のスケッチ
   2.歯型彫刻
  (2)-口腔の組織を理解する実習
   1.光学顕微鏡による組織標本の観察
  (3)-唾液分泌を理解する実習
   1.安静時唾液の分泌量の測定(吐唾法)
   2.刺激唾液の分泌量の測定
   3.口腔湿潤度の測定(ムーカス(R))
  (4)-口唇・舌の運動機能を理解する実習
   1.舌圧測定
   2.オーラルディアドコキネシス
  (5)-咀嚼・嚥下機能を理解する実習
   1.グルコース溶出量の計測による咀嚼能力測定
   2.篩分法による咀嚼能率測定
   3.反復唾液嚥下テスト(RSST)