やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに

 治療が終わっても,なんらかの形で患者さんとつながりをもっていたい,との想いから考えついたのが当院の機関誌『歯苦歯苦』の発行でした.10年前のいまごろのことです.当時のスタッフがそれこそ「四苦八苦」して考えついたタイトルで,辞書によると「四苦八苦」とは,「非常な苦しみ.また困難に打ち勝つために非常に苦労することのたとえ」とあり,患者さんにとっても私たちにとっても実感のある名前だと思っています.
 この『歯苦歯苦』は,はじめは歯のミニ情報,定期検査のお知らせ,新人スタッフの紹介などで構成されていましたが,第3号から患者さんの治療体験記を投稿していただいたところ,これが大好評.ついお説教じみてしまう私たちの言葉よりも,患者さんご自身の経験に基づいた迫力満点のお話しは,同じ病気に悩む方々の共感を呼び,励ましにもなったようでした.それからというもの,この体験記が『歯苦歯苦』のメインとなり,「傑作」も生まれてまいりました.
 歯槽膿漏というのはなかなかやっかいな病気です.これを治すには,肉体的にも,精神的にも,時間的にも,経済的にも,犠牲をはらわなければなりません.「そこまで苦労しても残したいと思いますか?」「あなたにとっての歯の価値ってなんですか?」と,患者さんの書いてくださった文章と口の中の写真をご紹介しながら,あなたにもおたずねしたいと思います.
I 患者さんの体験配から
 ・3年の苦闘,4年めハッハッハ
 ・これはなんとかなるぞ!
 ・困った!困った!
 ・ブラッシングでただいま絶好調
 ・あれっ,お父さんその歯どうしたの
 ・いまは幸せいっぱいです
 ・歯ブラシ10分,ガーゼ10分 ナイター見ながら楽しく磨いています
 ・磨きづらい所を磨く道具
II どんなふうに治るのか
 ・磨けていなかった私
 ・前歯の変化
 ・奥歯の変化
III 治療が終わっても
 ・この分だと,生あるかぎり自分の歯を守りとおせる
 ・健康な歯肉

 あとがき