やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第2版の序

 本書がはじめて刊行されたのは1976年のことですから,すでに17年の歳月が流れたことになります.その間,歯型彫刻の基本に変化はみられませんでしたが,実習教育法の工夫,改善を重ねてきましたので,その教育体験を基に図版と解説を中心に内容の一新と充実をはかり,最新歯型彫刻の名に恥じないよう,改訂の筆を随所に加え出版の運びになりました.
 改訂の主なる要点をあげてみますと,
 1)歯型彫刻に必要な歯の解剖学の章では,天然歯を標本模型にかえて,ひとめ見て各部の名称をわかりやすくし,かつ解剖的特徴を大幅に改訂して,その理解を助けるため新たに図版を加えたこと.
 2)デッサンでは,各歯種のすべてにわたって標本模型の展開図に改め,さらに歯冠形態の把握と計測ができやすいように,透明の計測用方眼定規を採用したこと.
 3)ステップ示説では,その開始から削除のステップ,完了の状態まで,彫刻の進め方をわかりやすく解説するよう努めたこと.
 4)能率的な彫刻の図柄はそのまま活用し,解説により具体性をもたせるよう改め,各ステップの時間配分を明示したこと.
 5)臨床への応用では,歯型彫刻が歯科臨床技術の基礎として重要な地位を占めていることを力説した.すなわち,全部鋳造冠ではステップによる彫刻法をそのまま臨床へ活用することが可能なこと.またジャケットクラウンを陶材焼付鋳造冠にかえ,各種彫刻技術の有効性を示したこと.さらに人工歯排列と形態修正,窩洞と成形充填の関係についても加筆した.
 以上のように,初版を基にして大幅な内容の改訂を行いましたが,これらすべてのよりどころは,永年にわたる実習指導者の教育体験から得た成果によるものであります.本書の改訂を機にこれらの点を明記し,ここに改めて多くの関係者各位に厚く感謝の意を表し,第2版の序といたします.
 平成5年2月 立春 尾花甚一
 第2版の序
 はしがき

I 歯型彫刻とは――その意義と目的
II 歯型彫刻に必要な歯の解剖学
 1.上顎中切歯1
 2.上顎側切歯2
 3.上顎犬歯3
 4.上顎第一小臼歯4
 5.上顎第二小臼歯5
 6.上顎第一大臼歯6
 7.上顎第二大臼歯7
 8.下顎中切歯1
 9.下顎側切歯2
 10.下顎犬歯3
 11.下顎第一小臼歯4
 12.下顎第二小臼歯5
 13.下顎第一大臼歯6
 14.下顎第二大臼歯7
III 歯型彫刻の基本的な考え方――歯の形態を観察し,立体的に再現する
 1.ステップ模型
 2.ノギスによる計測
 3.計測法デッサン
 4.デッサンの基礎――形態のとらえ方
 5.凸部の彫刻――投影法
 6.凹部の彫刻――高低法
 7.細部の彫刻――直彫法
IV 歯型彫刻上達の心得
 1.姿勢
 2.器具と材料
 3.器具の扱い方の基本
V デッサン
 1.上顎中切歯1
 2.上顎側切歯2
 3.上顎犬歯3
 4.上顎第一小臼歯4
 5.上顎第二小臼歯5
 6.上顎第一大臼歯6
 7.上顎第二大臼歯7
 8.下顎中切歯1
 9.下顎側切歯2
 10.下顎犬歯3
 11.下顎第一小臼歯4
 12.下顎第二小臼歯5
 13.下顎第一大臼歯6
 14.下顎第二大臼歯7
VI ステップ示説
 1.上顎中切歯1
 2.上顎第一小臼歯4
 3.上顎第一大臼歯6
 4.下顎第一大臼歯6
VII 能率的な彫刻法
 1.1の彫刻(ワックス)
 2.4の彫刻(ワックス)
 3.6の彫刻(石膏)
 4.6の彫刻(石膏)
VIII 実習作品の評価
 1.上顎中切歯1
 2.上顎第一小臼歯4
 3.上顎第一大臼歯6
 4.下顎第一大臼歯6
IX 臨床への応用
 1.全部鋳造冠
 2.陶材焼付鋳造冠
 3.人工歯の形態修正
 4.その他・保存修復

 文献