序
わが国は超高齢化社会に突入し,歯科の領域では生活の質の向上と健康維持をふまえた患者主体の治療が強く求められている.近年ではカリオロジーとペリオドントロジーの進歩により,歯の欠損は特に若年者を中心に明らかな減少傾向を示しているが,人口に占める高齢者の割合が,今後,さらに増加の一途をたどるため,結果として,パーシャルデンチャーによる補綴かインプラント補綴治療を要する部分欠損の患者数は,今後20年間,むしろ増加すると予想される.
しかも患者の要求する治療の質は,マスコミやインターネット等により情報が誰にでも容易に入手できるようになったこともあって,近年急速に高度化と多様化を示しており,今後も,全国的にこの傾向が高まっていくことは必至である.このような治療に対する患者の要求に対して,われわれ歯科医療人は,十分に満足していただける対応ができるように,絶えず基本的な知識と技術の修得を怠ってはならない.
本書では,一般に複雑でとらえどころがなくむずかしいといわれるパーシャルデンチャーの設計について,特に臨床的に頻度の高いクラスプデンチャーにテーマを絞って,その症例に求められていて義歯の設計に盛り込むべき因子を洗い出し,もれることなく治療に的確に盛り込んでいく方法,すなわち予知性の高い治療に仕上げていくための考え方の基本と具体的な設計法について解説した.この考え方の基本は,パーシャルデンチャーに限らず補綴治療全般に幅広く応用すべきものと考えている.
歯科医療は患者の生活の質を左右し,しばしば人生を変えてしまう.医療人には重い責任が課せられており,同時にそこには医療人各自の姿勢により大きなやり甲斐や生き甲斐が生まれる.私たちは,そんな役割を担っていることを共に自覚し,現場の歯科医療に邁進したいものである.
2002年7月
日本歯科大学新潟歯学部歯科補綴学第1講座 教授
小出 馨
新潟市・星デンタルラボラトリー
星 久雄
わが国は超高齢化社会に突入し,歯科の領域では生活の質の向上と健康維持をふまえた患者主体の治療が強く求められている.近年ではカリオロジーとペリオドントロジーの進歩により,歯の欠損は特に若年者を中心に明らかな減少傾向を示しているが,人口に占める高齢者の割合が,今後,さらに増加の一途をたどるため,結果として,パーシャルデンチャーによる補綴かインプラント補綴治療を要する部分欠損の患者数は,今後20年間,むしろ増加すると予想される.
しかも患者の要求する治療の質は,マスコミやインターネット等により情報が誰にでも容易に入手できるようになったこともあって,近年急速に高度化と多様化を示しており,今後も,全国的にこの傾向が高まっていくことは必至である.このような治療に対する患者の要求に対して,われわれ歯科医療人は,十分に満足していただける対応ができるように,絶えず基本的な知識と技術の修得を怠ってはならない.
本書では,一般に複雑でとらえどころがなくむずかしいといわれるパーシャルデンチャーの設計について,特に臨床的に頻度の高いクラスプデンチャーにテーマを絞って,その症例に求められていて義歯の設計に盛り込むべき因子を洗い出し,もれることなく治療に的確に盛り込んでいく方法,すなわち予知性の高い治療に仕上げていくための考え方の基本と具体的な設計法について解説した.この考え方の基本は,パーシャルデンチャーに限らず補綴治療全般に幅広く応用すべきものと考えている.
歯科医療は患者の生活の質を左右し,しばしば人生を変えてしまう.医療人には重い責任が課せられており,同時にそこには医療人各自の姿勢により大きなやり甲斐や生き甲斐が生まれる.私たちは,そんな役割を担っていることを共に自覚し,現場の歯科医療に邁進したいものである.
2002年7月
日本歯科大学新潟歯学部歯科補綴学第1講座 教授
小出 馨
新潟市・星デンタルラボラトリー
星 久雄
序
Introduction
執筆者一覧
Authors
Part 1 パーシャルデンチャーのための診査と診断
Examination and Diagnosis of Partial Denture Prosthesis
■Section 1 パーシャルデンチャーによる補綴にあたっての重要事項
Section1 The Essentials of Partial Denture Prosthetics
■Section 2 術前の診査・診断
Section2 Examination and Diagnosis of the Prosthesis
■Section 3 残存組織の支持能力の推定
Section3 Supporting Capacity of Residual Tissue
■Section 4 歯列に加わる力の推定
Section4 Estimate of the Occlusal Force
■Section 5 パーシャルデンチャーの設計に有効なケースの分類
Section5 Classification of Clinical Cases for Partial Denture Design
Part 2 パーシャルデンチャーの設計原則
Principals of Partial Denture Design
■Section 1 パーシャルデンチャーの設計原則
Section1 Principals of Partial Denture Design
■Section 2 パーシャルデンチャーの設計にあたり検討すべき6要素の詳細
Section2 Partial Denture Design: 6 Main Factors
Part 3 クラスプデンチャーの構成要素別にみた検討事項
Basic Components of the Clasp Denture
■Section 1 支台装置
Section1 An Abutment
■Section 2 大連結子
Section2 A Major Connector
Part 4 サベイイングと前処置
Surveying and Mouth Preparation
■Section 1 サベイイング
Section1 Surveying
■Section 2 マウスプレパレーション
Section2 Mouth Preparation
Part 5 症例に応じた基本設計3種
The Design of 3 Standard Cases
■基本設計にあたっての設定条件
A condition of the Design
■第1症例 76 567 欠損症例
Case 1 76 567 missing case
■第2症例 765 456 欠損症例
Case 2 765 456 missing case
■第3症例 7621 1256 欠損症例
Case 3 7621 1256 missing case
Part 6 パーシャルデンチャーによる治療の評価と設計のチェック
Assessment and Confirmation of Partial Denture Design
■パーシャルデンチャーによる治療の評価
Assessment of Partial Denture Treatment
■クラスプデンチャー設計チャート
Check-list of Clasp Denture Design
参考文献
References
Introduction
執筆者一覧
Authors
Part 1 パーシャルデンチャーのための診査と診断
Examination and Diagnosis of Partial Denture Prosthesis
■Section 1 パーシャルデンチャーによる補綴にあたっての重要事項
Section1 The Essentials of Partial Denture Prosthetics
■Section 2 術前の診査・診断
Section2 Examination and Diagnosis of the Prosthesis
■Section 3 残存組織の支持能力の推定
Section3 Supporting Capacity of Residual Tissue
■Section 4 歯列に加わる力の推定
Section4 Estimate of the Occlusal Force
■Section 5 パーシャルデンチャーの設計に有効なケースの分類
Section5 Classification of Clinical Cases for Partial Denture Design
Part 2 パーシャルデンチャーの設計原則
Principals of Partial Denture Design
■Section 1 パーシャルデンチャーの設計原則
Section1 Principals of Partial Denture Design
■Section 2 パーシャルデンチャーの設計にあたり検討すべき6要素の詳細
Section2 Partial Denture Design: 6 Main Factors
Part 3 クラスプデンチャーの構成要素別にみた検討事項
Basic Components of the Clasp Denture
■Section 1 支台装置
Section1 An Abutment
■Section 2 大連結子
Section2 A Major Connector
Part 4 サベイイングと前処置
Surveying and Mouth Preparation
■Section 1 サベイイング
Section1 Surveying
■Section 2 マウスプレパレーション
Section2 Mouth Preparation
Part 5 症例に応じた基本設計3種
The Design of 3 Standard Cases
■基本設計にあたっての設定条件
A condition of the Design
■第1症例 76 567 欠損症例
Case 1 76 567 missing case
■第2症例 765 456 欠損症例
Case 2 765 456 missing case
■第3症例 7621 1256 欠損症例
Case 3 7621 1256 missing case
Part 6 パーシャルデンチャーによる治療の評価と設計のチェック
Assessment and Confirmation of Partial Denture Design
■パーシャルデンチャーによる治療の評価
Assessment of Partial Denture Treatment
■クラスプデンチャー設計チャート
Check-list of Clasp Denture Design
参考文献
References