やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

推薦文―繰り返し本別冊の活用を―

 臨床検査技師国家試験の受験資格は,厚生労働大臣・文部科学大臣指定の3年制短期大学・専門学校および厚生労働大臣の承認(指定科目を履修すること)した大学を卒業した者に与えられる.
 この試験は,医療関係職種の国家資格試験としては,合格率が低い部類に属し,現在までは約60〜70%である.そして内容は年々多様化し,レベルも高くなっている.
 平成15年(第49回)からは,その出題範囲が『臨床検査技師国家試験出題基準』(ガイドライン)により行われる.この目標と内容は,医師,看護師などと同様に,医療の場において,それぞれの実際的業務が担当できる資質を担保することにある.すなわち,実際の基礎・基本と臨地実習での実践を総合・複合的に評価することにある.
 平成12年,教育内容が大綱化され,その運用も弾力的に改正されて,各短期大学・専門学校・大学の教育は,固有の教育方針により“均質出来上がりから機会の均等化教育”となり,各学校の社会的責任は重くなった.そのため,発展する臨床検査学と業務領域の拡大を含めての『教育課程(カリキュラム)と教育要綱(シラバス)』により,初歩から実際までの継続的教育を計画して行うこととしている.したがって,学生自身が授業に対し受け身的な態度ではなく,入学時から学習内容に沿って学習時間を意識的に1日の生活時間の中に配分するとともに,学習時期をしっかり認識し,最短年数で効率よく学習が終了するよう努めなければならない.
 そのための参考書の1冊が本別冊である.
 国家試験の内容は法令で定めた科目であるが,実際には,基礎分野の検査の基本内容を含めていることから,この別冊問題集は,1年時の基礎分野の学習にも役立ち,専門基礎分野と専門分野は連動した形で基礎から実際までの理解にも必要となる.学生は予習・復習という学習習慣を身につけることが必要であるが(一夜漬けの学習では間に合わない),各科目の学習領域ごとに使用している教科書・参考書を調べるとともに,ガイドラインに沿って編集されたこの問題集や,また全国臨床検査技師教育施設協議会編の『臨床検査技師国家試験問題集CD-ROM付』(医歯薬出版)を併せて使用することにより,短時間で効率よい学習ができると思われるので薦めたい.また,検査のポイントを把握し,次のステップに繋がるようになっているので,繰り返し演習することを勧めたい(繰り返し学習は記憶を増強する).
 本別冊の編集は,全国臨床検査技師教育施設協議会の所属する学校で専任教員として教育熱心な先生方が,ガイドラインに沿って学生の立場に立ち編集したもので,随所に必要最小限の解説を加えているので要点がよくわかると考える.
 学生は,3年あるいは4年間の教育を終えるときの資格取得として国家試験を受けるという意識で最終学年の後期から準備を始めるのが一般的であろう.しかし,その前に臨地実習,就職試験や進学試験などがあり,その準備は少なくとも2年次9月から始めることが肝要である.医療社会の厳しい状況から,選考に当たっては履歴のほか,学校での既修得科目と成績評価,社会常識試験,進学の考え方や試験に合格するレベルの確認などが前提となる.そのためには単位取得後も実力が増進するよう自分の責任で学習計画を立て,自己学習を繰り返す必要がある.そして,この問題集がボロボロになるくらいまで活用することにより,実力を備えてほしい.
 あなたの国家試験合格と希望する社会への進出が成功することを祈る.
 平成14年10月吉日
 全国臨床検査技師教育施設協議会
 会長 北村清吉
 推薦文… III
 「本誌別冊」の特徴および活用にあたって  II

I章 臨床検査総論
 ・「臨床検査総論」国家試験出題基準
 ・解説
  検査総合管理学(検査管理総論)問題
  生物化学分析検査学(臨床検査総論)問題
  形態検査学(医動物学)問題
 ・「臨床検査総論」国家試験問題例
II章 臨床検査医学総論
 ・「臨床検査医学総論」国家試験出題基準
 ・解説
  臨床病態学(臨床医学総論)問題
  臨床病態学(臨床病理学総論)問題
  保健医療福祉と医学検査(医学概論)問題
 ・「臨床検査医学総論」国家試験問題例
III章 臨床生理学
 ・「臨床生理学」国家試験出題基準
 ・解説
  人体の構造と機能(生理学)生理機能検査学(臨床生理学)問題
 ・「臨床生理学」国家試験問題例
IV章 臨床化学
 ・「臨床化学」国家試験出題基準
 ・解説
  人体の構造と機能(生化学)生物化学分析検査学(臨床化学,放射性同位元素検査技術学)問題
 ・「臨床検査総論」国家試験問題例
V章 病理組織細胞学
 ・「病理組織細胞学」国家試験出題基準
 ・解説
  人体の構造と機能(解剖学)医学検査の基礎と疾病との関連(病理学)問題
  形態検査学(病理組織細胞学)問題
 ・「病理組織細胞学」国家試験問題例
VI章 臨床血液学
 ・「臨床血液学」国家試験出題基準
 ・解説
  形態検査学(臨床血液学)問題
 ・「臨床血液学」国家試験問題例
VII章 臨床微生物学
 ・「臨床微生物学」国家試験出題基準
 ・解説
  医学検査の基礎と疾病との関連(微生物学)問題
  病因・生体防御検査学(臨床微生物学)問題
 ・「臨床微生物学」国家試験問題例
VIII章 臨床免疫学
 ・「臨床免疫学」国家試験出題基準
 ・解説
  病因・生体防御検査学(臨床免疫学)問題
 ・「臨床免疫学」国家試験問題例
IX章 公衆衛生学
 ・「公衆衛生学」国家試験出題基準
 ・解説
  保健医療福祉と医学検査(公衆衛生学)問題
  保健医療福祉と医学検査(関係法規)問題
 ・「公衆衛生学」国家試験問題例
X章 医用工学概論
 ・「医用工学概論」国家試験出題基準
 ・解説
  医療工学及び情報科学(医用工学概論)問題
  医療工学及び情報科学(情報科学概論)問題
  検査総合管理学[検査機器学](検査機器総論)問題
 ・「医用工学概論」国家試験問題例

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