はじめに―ユビキチンとは何か
田中啓二
(財)東京都医学研究機構東京都臨床医学総合研究所分子腫瘍学研究部門
現在“ユビキチン”は,生命の謎に鋭く迫る分子として生命科学のあらゆる領域で縦横無尽に活動している.かつて1つの分子が研究分野の枠を超えて跳梁跋扈し,蹂躙の限りを尽くすといったことがあったであろうか.ユビキチンはまさしく変幻自在のふるまいで,遭遇する世界を手当たり次第に席巻しているかに見える.ユビキチンは発見されて四半世紀にすぎないが,この間におけるユビキチン研究は,驚異と呼ぶにふさわしい激しさで進展してきた.
ユビキチンは新奇な翻訳後修飾分子(モディファイヤー)であり,その語源はubiquity(普遍性・遍在性)に由来する.これまで蛋白質の翻訳後修飾にはリン酸,アセチル基,メチル基,糖鎖,脂質の付加などにみられるように数多くの例が知られている.しかし,ユビキチンはこれらとは本質的に異なっており,一言でいえば「ユビキチンは蛋白質の蛋白質による蛋白質のためのモディファイヤー」である.選択的蛋白質のマーカー分子として同定されたユビキチンは,古風な生化学にしかすぎなかった蛋白質分解の世界を革命的に変貌させ,かつて経験したことがないような魅惑に満ちた世界に導いたのである.一方,蛋白質分解に準拠しないユビキチンの役割が相次いで発見され,ユビキチンは新しいシグナリング分子としても脚光を浴びつつある.これはもちろん,ユビキチン依存性蛋白質分解の役割が減退したことを意味するわけではなく,現在なおその重要性は拡大の一途をたどり続けている.他方,“病気の阻止と克服”は,21世紀の生命医化学研究において避けて通れない課題であるが,この疾病対策においてもユビキチンは大きな期待を担っている.というのは,ユビキチンは医学・生理学的に重要なキー分子となっていることに加えて,ユビキチン代謝系の破綻に伴う疾病が数多く発見されているからである.
このような状況を踏まえ,本誌ではユビキチンに不案内な読者への便宜をはかるために基礎編を設けるとともに,ユビキチンに関連した疾患に関する最新の研究動向について包括的に編集した.
田中啓二
(財)東京都医学研究機構東京都臨床医学総合研究所分子腫瘍学研究部門
現在“ユビキチン”は,生命の謎に鋭く迫る分子として生命科学のあらゆる領域で縦横無尽に活動している.かつて1つの分子が研究分野の枠を超えて跳梁跋扈し,蹂躙の限りを尽くすといったことがあったであろうか.ユビキチンはまさしく変幻自在のふるまいで,遭遇する世界を手当たり次第に席巻しているかに見える.ユビキチンは発見されて四半世紀にすぎないが,この間におけるユビキチン研究は,驚異と呼ぶにふさわしい激しさで進展してきた.
ユビキチンは新奇な翻訳後修飾分子(モディファイヤー)であり,その語源はubiquity(普遍性・遍在性)に由来する.これまで蛋白質の翻訳後修飾にはリン酸,アセチル基,メチル基,糖鎖,脂質の付加などにみられるように数多くの例が知られている.しかし,ユビキチンはこれらとは本質的に異なっており,一言でいえば「ユビキチンは蛋白質の蛋白質による蛋白質のためのモディファイヤー」である.選択的蛋白質のマーカー分子として同定されたユビキチンは,古風な生化学にしかすぎなかった蛋白質分解の世界を革命的に変貌させ,かつて経験したことがないような魅惑に満ちた世界に導いたのである.一方,蛋白質分解に準拠しないユビキチンの役割が相次いで発見され,ユビキチンは新しいシグナリング分子としても脚光を浴びつつある.これはもちろん,ユビキチン依存性蛋白質分解の役割が減退したことを意味するわけではなく,現在なおその重要性は拡大の一途をたどり続けている.他方,“病気の阻止と克服”は,21世紀の生命医化学研究において避けて通れない課題であるが,この疾病対策においてもユビキチンは大きな期待を担っている.というのは,ユビキチンは医学・生理学的に重要なキー分子となっていることに加えて,ユビキチン代謝系の破綻に伴う疾病が数多く発見されているからである.
このような状況を踏まえ,本誌ではユビキチンに不案内な読者への便宜をはかるために基礎編を設けるとともに,ユビキチンに関連した疾患に関する最新の研究動向について包括的に編集した.
はじめに―ユビキチンとは何か―Introduction(田中啓二)
●第1章 基礎編
1.ユビキチンシステムのメカニズム―Mechanisms of the ubiquitin system(佐伯 泰・横沢英良)
●ユビキチン酵素カスケードとユビキチン化の機能
●ユビキチンリガーゼE3の多様性
●ユビキチン結合蛋白質の機能
●ユビキチンシステムと疾病
●ユビキチン-プロテアソームシステムを標的とする創薬
2.プロテアソームシステムのメカニズム―Mechanism of the proteasome system(田中啓二)
●プロテアソームの分子構造
●免疫プロテアソーム
●PA28 とハイブリッドプロテアソーム
●プロテアソームのバイオロジー
●プロテアソームのパソロジー
●おわりに
3.ユビキチンシステムの構造生物学―Structural biology of ubiquitin system(水島恒裕)
●ユビキチン活性化酵素(E1)
●ユビキチン結合酵素(E2)
●ユビキチンリガーゼ(E3)
●おわりに
4.脱ユビキチン化酵素―Deubiquitinating enzynes(和田圭司・節家理恵子)
●UCH
●UBP―新展開する生物学的研究
●DUB―次世代の研究に向けた概念の進展
●おわりに
5.ユビキチンファミリーのクロストーク―Cross-talking of ubiquitin with the type-1 Ubiquitin-like proteins(内村康寛・斉藤寿仁)
●ユビキチン修飾とNEDD8修飾
●ユビキチン修飾とISG15修飾
●ユビキチン修飾とSUMO修飾
●そのほかの1型UBLとユビキチン修飾
●おわりに―ユビキチンと1型UBLにみる4つのクロストークのパターン
●第2章 病態生理編
6.SCF型ユビキチンリガーゼと発癌―2つのF-box蛋白質による蛋白質分解制御機構―Dual regulation of protein degradation by F-box proteins(恒松良祐・中山敬一)
●SCF型ユビキチンリガーゼ-F-box蛋白質によって生み出される特異性と多様性
●F-box蛋白質Fbw7とNotchシグナリング
●Fbw7とSkp2によるサイクリン Eの制御
●Fbw7とSkp2によるc-Mycの制御
●今後の展望
7.p53・RBファミリーのユビキチン依存的代謝機構―Ubiquitin-dependent proteolysis of p53 and RB family proteins(北川雅敏)
●p53の分解機構
●RBファミリーの機能と分解機構
●おわりに
8.BRCA1ユビキチンリガーゼと乳癌―BRCA1 ubiquitin ligase and breast cancer(太田智彦・福田 護)
●BRCA1の多様な生物学的機能
●BRCA1-BARD1に触媒される異型ポリユビキチン鎖
●BRCA1-BARD1の基質
●おわりに
9.ユビキチンと抗癌剤の作用―Ubiquitin and antitumor agents(冨田章弘・鶴尾 隆)
●プロテアソーム阻害剤の抗癌作用
●抗癌剤の作用とユビキチン-プロテアソーム系
●ユビキチン-プロテアソーム系によるトポイソメラーゼの分解制御
●おわりに
10.ユビキチン化を介するβ-カテニンの分解制御とその異常による発癌―Regulation of β-catenin degradation through ubiquitination and tumorgenesis by its abnormality(菊池 章)
●Wntシグナル伝達経路
●蛋白質複合体を介するβ-カテニン分解の制御
●あらたなβ-カテニン分解制御
●β-カテニン分解制御の異常と発癌
●おわりに
11.APC/サイクロソームと SCFによるサイクリンの分解機構―サイクリンのユビキチン化分解機構―Mechanisms of cyclin destruction via the APC/cyclosome and SCF ubiquitin ligases(登田 隆・片山 諭)
●M期サイクリンのユビキチン化と分解―APC/サイクロソーム
●G1,Sサイクリンのユビキチン化と分解―SCF
●分裂酵母 SサイクリンCig2―APC/サイクロソームとSCFの共役機構
●疾患とのかかわり
●おわりに
12.ユビキチンと色素性乾皮症―Ubiquitin and xeroderma pigmentosum(菅澤 薫)
●ヌクレオチド除去修復のメカニズム
●ヌクレオチド除去修復とユビキチン化
●XPバリアント群と損傷乗越え DNA合成
●損傷乗越えDNA合成とユビキチン化
13.ユビキチンとFanconi貧血―モノユビキチン化シグナルで制御されるFanconi anemia-BRCA pathway―Ubiquitin and Fanconi anemia(谷口俊恭)
●FAの特徴
●FA貧血の原因遺伝子
●Fanconianemia-BRCA pathway
●FANCD2のATMによるリン酸化
●腫瘍とFanconi anemia-BRCA pathway
●おわりに
14.ユビキチンとAlzheimer―Ubiquitination of tau as an abnormal protein in Alzheimer's disease病(森 啓)
●Alzheimer病におけるユビキチン異常反応の分子背景
●モノユビキチンとポリユビキチン
●Alzheimer病神経原線維変化におけるユビキチン化標的分子
●Alzheimer病でのユビキチン異常が示唆する意味
15.孤発性Parkinson病の解明に向けて―Mechanism of parkin and perspective for Parkinson's disease(佐藤栄人・服部信孝)
●Parkinの構造と機能
●α-synucleinの蓄積による PD
●孤発型 PDの解明に向けて
●おわりに
16.ユビキチンとポリグルタミン病―MJD1をユビキチン化するE3:UFD2a/E4B―Ubiquitylation in polyglutamine disorders―UFD2a/E4B as an E3 for MJD1(畠山鎮次)
●品質管理に関与するユビキチンリガーゼとしてのU-ボックス蛋白質群
●ポリグルタミン病とユビキチン-プロテアソーム系
●ポリグルタミン病におけるユビキチンの関与を示す遺伝学的所見
●MJD1を分解するユビキチン-プロテアソームシステム―UFD2a/E4B
●おわりに
17.ユビキチンと筋萎縮性側索硬化症(ALS)―Ubiquitin and amyotrophic lateral sclerosis(石垣診祐)
●ALSとユビキチン陽性封入体
●変異SOD1による家族性ALS発症メカニズムとユビキチン-プロテアソームシステム
●変異SOD1のユビキチン化
●変異SOD1特異的ユビキチンリガーゼ―Dorfin
●おわりに
18.ユビキチンとウイルス感染―Viral E3 ubiquitin ligases(石戸 聡)
●KSHV K3,K5によるMHC classIの抑制
●K3,K5によるCTL抑制
●K5 によるNK細胞の抑制
●K5 によるICAM-1,B7-2の抑制とNK活性化の抑制
●K3,K5蛋白は抗原提示関連分子を標的とするE3ユビキチンリガーゼである
●予想されるK3,K5による抑制の分子機構
●K3,K5に関する研究の発展性
19.ユビキチンとウイルス出芽―ウイルス出芽とMVB sorting pathway―Ubiquitin in virus budding(安田二朗)
●ウイルスの出芽モチーフ
●ウイルス出芽にかかわる宿主因子
●ウイルス出芽とMVB sorting pathway
●おわりに
20.ユビキチンリガーゼIAPによるアポトーシス制御―Apoptosis regulation by IAP ubiquitin ligases(高橋良輔)
●IAPの構造と機能
●ショウジョウバエIAPとその阻害因子によるアポトーシス制御
●ショウジョウバエIAPによるカスパーゼのユビキチン化
●ショウジョウバエIAPとN末端側
●哺乳類IAPとその阻害因子によるアポトーシス制御
●哺乳類IAPのユビキチンリガーゼ活性とアポトーシス
●アポトーシスを制御するユビキチン結合酵素―Apollon/BRUCE
●おわりに
21.関節リウマチ発症の病因分子シノビオリン―Synoviolin is a novel causative factor for arthropathy(八木下尚子・中島利博)
●シノビオリンのクローニング
●シノビオリン遺伝子過剰発現マウス
●シノビオリン遺伝子欠損マウス
●RAとERAD(endoplasmic reticulum associated degradation)
●新規治療法の可能性
22.鉄代謝制御メカニズムとユビキチン修飾系―The role of the ubiquitin system in mammalian iron metabolism(岩井一宏)
●ヒトの鉄代謝制御系
●細胞レベルでの鉄代謝制御
●IRE/IRP制御系による鉄代謝制御メカニズム
●ユビキチン修飾系によるIRP2の鉄依存的活性制御機構
●今後への展望
23.ユビキチンと小胞体関連分解(ERAD)―Ubiquitin in the endoplasmic reticulum-associated degradation(ERAD)system(徳永文稔)
●ERADと疾患
●ERADにおけるユビキチン化の重要性
●ERAD基質のユビキチンリガーゼ
●ERADに関与するユビキチン結合性因子
●おわりに
24.ユビキチンと体内時計―Ubiquitin and biological clock(岡村 均・藤本義人・董 新)
25.オートファジーと疾患―Autophagy in diseases(吉森 保)
●オートファジーのメカニズム
●オートファジーの生理機能
●オートファジーとフォールディング病(●図3)
●オートファジーと病原性微生物感染(●図4)
●おわりに
・索引
●サイドメモ目次
・E2の種類とE3との対応
・ユビキチン様ドメイン
・ユビキチン様蛋白質(Ubl)
・r.m.s.d(root mean square deviation)
・小胞体関連分解(ERAD)
・ユビキチンフォールド
・リン酸化によるc―Mycの安定性の制御
・プロテアソームの編集機能
・固形癌の微小環境と薬剤耐性
・サイクリンの発見
・APCの呼称
・損傷による複製阻害とバイパス機構
・神経封入体
・ポリグルタミン病とは
・Omi/HtrA2
●第1章 基礎編
1.ユビキチンシステムのメカニズム―Mechanisms of the ubiquitin system(佐伯 泰・横沢英良)
●ユビキチン酵素カスケードとユビキチン化の機能
●ユビキチンリガーゼE3の多様性
●ユビキチン結合蛋白質の機能
●ユビキチンシステムと疾病
●ユビキチン-プロテアソームシステムを標的とする創薬
2.プロテアソームシステムのメカニズム―Mechanism of the proteasome system(田中啓二)
●プロテアソームの分子構造
●免疫プロテアソーム
●PA28 とハイブリッドプロテアソーム
●プロテアソームのバイオロジー
●プロテアソームのパソロジー
●おわりに
3.ユビキチンシステムの構造生物学―Structural biology of ubiquitin system(水島恒裕)
●ユビキチン活性化酵素(E1)
●ユビキチン結合酵素(E2)
●ユビキチンリガーゼ(E3)
●おわりに
4.脱ユビキチン化酵素―Deubiquitinating enzynes(和田圭司・節家理恵子)
●UCH
●UBP―新展開する生物学的研究
●DUB―次世代の研究に向けた概念の進展
●おわりに
5.ユビキチンファミリーのクロストーク―Cross-talking of ubiquitin with the type-1 Ubiquitin-like proteins(内村康寛・斉藤寿仁)
●ユビキチン修飾とNEDD8修飾
●ユビキチン修飾とISG15修飾
●ユビキチン修飾とSUMO修飾
●そのほかの1型UBLとユビキチン修飾
●おわりに―ユビキチンと1型UBLにみる4つのクロストークのパターン
●第2章 病態生理編
6.SCF型ユビキチンリガーゼと発癌―2つのF-box蛋白質による蛋白質分解制御機構―Dual regulation of protein degradation by F-box proteins(恒松良祐・中山敬一)
●SCF型ユビキチンリガーゼ-F-box蛋白質によって生み出される特異性と多様性
●F-box蛋白質Fbw7とNotchシグナリング
●Fbw7とSkp2によるサイクリン Eの制御
●Fbw7とSkp2によるc-Mycの制御
●今後の展望
7.p53・RBファミリーのユビキチン依存的代謝機構―Ubiquitin-dependent proteolysis of p53 and RB family proteins(北川雅敏)
●p53の分解機構
●RBファミリーの機能と分解機構
●おわりに
8.BRCA1ユビキチンリガーゼと乳癌―BRCA1 ubiquitin ligase and breast cancer(太田智彦・福田 護)
●BRCA1の多様な生物学的機能
●BRCA1-BARD1に触媒される異型ポリユビキチン鎖
●BRCA1-BARD1の基質
●おわりに
9.ユビキチンと抗癌剤の作用―Ubiquitin and antitumor agents(冨田章弘・鶴尾 隆)
●プロテアソーム阻害剤の抗癌作用
●抗癌剤の作用とユビキチン-プロテアソーム系
●ユビキチン-プロテアソーム系によるトポイソメラーゼの分解制御
●おわりに
10.ユビキチン化を介するβ-カテニンの分解制御とその異常による発癌―Regulation of β-catenin degradation through ubiquitination and tumorgenesis by its abnormality(菊池 章)
●Wntシグナル伝達経路
●蛋白質複合体を介するβ-カテニン分解の制御
●あらたなβ-カテニン分解制御
●β-カテニン分解制御の異常と発癌
●おわりに
11.APC/サイクロソームと SCFによるサイクリンの分解機構―サイクリンのユビキチン化分解機構―Mechanisms of cyclin destruction via the APC/cyclosome and SCF ubiquitin ligases(登田 隆・片山 諭)
●M期サイクリンのユビキチン化と分解―APC/サイクロソーム
●G1,Sサイクリンのユビキチン化と分解―SCF
●分裂酵母 SサイクリンCig2―APC/サイクロソームとSCFの共役機構
●疾患とのかかわり
●おわりに
12.ユビキチンと色素性乾皮症―Ubiquitin and xeroderma pigmentosum(菅澤 薫)
●ヌクレオチド除去修復のメカニズム
●ヌクレオチド除去修復とユビキチン化
●XPバリアント群と損傷乗越え DNA合成
●損傷乗越えDNA合成とユビキチン化
13.ユビキチンとFanconi貧血―モノユビキチン化シグナルで制御されるFanconi anemia-BRCA pathway―Ubiquitin and Fanconi anemia(谷口俊恭)
●FAの特徴
●FA貧血の原因遺伝子
●Fanconianemia-BRCA pathway
●FANCD2のATMによるリン酸化
●腫瘍とFanconi anemia-BRCA pathway
●おわりに
14.ユビキチンとAlzheimer―Ubiquitination of tau as an abnormal protein in Alzheimer's disease病(森 啓)
●Alzheimer病におけるユビキチン異常反応の分子背景
●モノユビキチンとポリユビキチン
●Alzheimer病神経原線維変化におけるユビキチン化標的分子
●Alzheimer病でのユビキチン異常が示唆する意味
15.孤発性Parkinson病の解明に向けて―Mechanism of parkin and perspective for Parkinson's disease(佐藤栄人・服部信孝)
●Parkinの構造と機能
●α-synucleinの蓄積による PD
●孤発型 PDの解明に向けて
●おわりに
16.ユビキチンとポリグルタミン病―MJD1をユビキチン化するE3:UFD2a/E4B―Ubiquitylation in polyglutamine disorders―UFD2a/E4B as an E3 for MJD1(畠山鎮次)
●品質管理に関与するユビキチンリガーゼとしてのU-ボックス蛋白質群
●ポリグルタミン病とユビキチン-プロテアソーム系
●ポリグルタミン病におけるユビキチンの関与を示す遺伝学的所見
●MJD1を分解するユビキチン-プロテアソームシステム―UFD2a/E4B
●おわりに
17.ユビキチンと筋萎縮性側索硬化症(ALS)―Ubiquitin and amyotrophic lateral sclerosis(石垣診祐)
●ALSとユビキチン陽性封入体
●変異SOD1による家族性ALS発症メカニズムとユビキチン-プロテアソームシステム
●変異SOD1のユビキチン化
●変異SOD1特異的ユビキチンリガーゼ―Dorfin
●おわりに
18.ユビキチンとウイルス感染―Viral E3 ubiquitin ligases(石戸 聡)
●KSHV K3,K5によるMHC classIの抑制
●K3,K5によるCTL抑制
●K5 によるNK細胞の抑制
●K5 によるICAM-1,B7-2の抑制とNK活性化の抑制
●K3,K5蛋白は抗原提示関連分子を標的とするE3ユビキチンリガーゼである
●予想されるK3,K5による抑制の分子機構
●K3,K5に関する研究の発展性
19.ユビキチンとウイルス出芽―ウイルス出芽とMVB sorting pathway―Ubiquitin in virus budding(安田二朗)
●ウイルスの出芽モチーフ
●ウイルス出芽にかかわる宿主因子
●ウイルス出芽とMVB sorting pathway
●おわりに
20.ユビキチンリガーゼIAPによるアポトーシス制御―Apoptosis regulation by IAP ubiquitin ligases(高橋良輔)
●IAPの構造と機能
●ショウジョウバエIAPとその阻害因子によるアポトーシス制御
●ショウジョウバエIAPによるカスパーゼのユビキチン化
●ショウジョウバエIAPとN末端側
●哺乳類IAPとその阻害因子によるアポトーシス制御
●哺乳類IAPのユビキチンリガーゼ活性とアポトーシス
●アポトーシスを制御するユビキチン結合酵素―Apollon/BRUCE
●おわりに
21.関節リウマチ発症の病因分子シノビオリン―Synoviolin is a novel causative factor for arthropathy(八木下尚子・中島利博)
●シノビオリンのクローニング
●シノビオリン遺伝子過剰発現マウス
●シノビオリン遺伝子欠損マウス
●RAとERAD(endoplasmic reticulum associated degradation)
●新規治療法の可能性
22.鉄代謝制御メカニズムとユビキチン修飾系―The role of the ubiquitin system in mammalian iron metabolism(岩井一宏)
●ヒトの鉄代謝制御系
●細胞レベルでの鉄代謝制御
●IRE/IRP制御系による鉄代謝制御メカニズム
●ユビキチン修飾系によるIRP2の鉄依存的活性制御機構
●今後への展望
23.ユビキチンと小胞体関連分解(ERAD)―Ubiquitin in the endoplasmic reticulum-associated degradation(ERAD)system(徳永文稔)
●ERADと疾患
●ERADにおけるユビキチン化の重要性
●ERAD基質のユビキチンリガーゼ
●ERADに関与するユビキチン結合性因子
●おわりに
24.ユビキチンと体内時計―Ubiquitin and biological clock(岡村 均・藤本義人・董 新)
25.オートファジーと疾患―Autophagy in diseases(吉森 保)
●オートファジーのメカニズム
●オートファジーの生理機能
●オートファジーとフォールディング病(●図3)
●オートファジーと病原性微生物感染(●図4)
●おわりに
・索引
●サイドメモ目次
・E2の種類とE3との対応
・ユビキチン様ドメイン
・ユビキチン様蛋白質(Ubl)
・r.m.s.d(root mean square deviation)
・小胞体関連分解(ERAD)
・ユビキチンフォールド
・リン酸化によるc―Mycの安定性の制御
・プロテアソームの編集機能
・固形癌の微小環境と薬剤耐性
・サイクリンの発見
・APCの呼称
・損傷による複製阻害とバイパス機構
・神経封入体
・ポリグルタミン病とは
・Omi/HtrA2