やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

新版第2版の序
 本書はわが国におけるADLに関する最初の単行本として1978年に刊行された.その序文で「ADLは,MMTやROMとならんで,リハビリテーションの概念のはじまりと共に歩んできた最も基本的な評価法の1つである」と記述された.以来32年を経て,成熟期にあるわが国のリハビリテーションを反映させるべく新版として全面的に改訂したが,それからすでに10年が過ぎた.
 ADLはリハビリテーションの理念とも密接である.編者の一人が評価会議の席で頻繁に飛び交うADLという用語にはじめて接したのは1971年の暮れに受けた神奈川県の七沢理学診療病院での研修時であった.耳慣れない用語に頻繁にさらされて以来,ADLのA(activities)の訳語について自分なりに考え続け,納得できるようになったころ,本書の第3版(1992年)の表題は「日常生活活動(動作)」と改められた.当時,高次脳機能障害に対する取り組みが広がり,失語症に関連してCADLの翻訳書が登場していた.このAはabilityである.日常の生活活動や社会参加においてコミュニケーション能力は非常に重要な機能である.さまざまにグローバル化が進展中の現代,新しい領域の概念とともに言語の翻訳は重要な課題である.われわれの診療実践で生まれた概念を外国語で表記する努力が求められる時代でもある.
 本書を土屋弘吉,今田 拓,大川嗣雄の諸先輩より引き継いで新版として刊行したときには表題を「日常生活活動(ADL)」としたが,動作のイメージを払拭することは難しい.リハビリテーションが医療において脚光を浴び始めた時代に先行して,医療の目標は救命だけでなく生活の回復に拡大され,医療のアウトカムの指標として日常の活動に着目されるようになっていった.そこでヒトのfunctioningとしてのactivityが評価の対象として普及し始めた.一方で,医療では先行して人体の解剖学的,生理学的指標も利用され,生化学的指標が追加され,さらに疾患特異性の高いバイオマーカーが追加されつつある.
 本書は生活活動を主題としたテキストである.ADLはまさにリハビリテーションの概念のはじまりとともに発展した評価法であり,病者の日常的活動回復と拡大が治療あるいは処遇の目標でもある.訓練が中心の時代には,必要なADLの指導では活動を最も単純な動作(motion)に分割して,これら動作を訓練として実行することで活動を拡大し,自立させることが重視された.日常的活動の拡大では,はじまりの時代から動作訓練による個人の能力の拡大だけでなく,自助具の考案と活用も指導に含まれたが,工学技術の進歩は活動における環境の役割を意識させてきた.工学技術へのアクセスや活用を保証する制度も環境として理解されるようになった.ある面では個人因子と環境因子の相互関係により日常的活動の可能性が規定される.今や,わが国は医療において医学的リハビリテーションが最も普及した国の一つとなっている.医療保険における配慮だけでなく,介護保険法,障害者自立支援法,交通バリアフリー法,ハートビル法,障害者差別禁止法の制定など,わが国におけるリハビリテーション関係法制度も大きく改革され,日常的活動における就学,就労,余暇活動の支援技術も改善・発展させてきた.
 本書の改訂にあたっては,ADLの評価と支援に関して実践的な視点からできるだけ最新の情報を盛り込み,内容を整備することを企図した.しかし,診療と生活支援技術の発展は加速されつつあり,内容の充実にもかかわらず,いまだ不備のあることは免れない.とはいえ,本書がリハビリテーションを志す学生諸君,そして病院や施設や地域で働くリハビリテーション関係者に大いに活用され,リハビリテーションがより充実したものへと発展することを願うものである.そして,関係諸氏よりのご批判とご意見をいただいて,本書をよりよいものとしていきたい.
 なお,本書の改訂を企画し,出版の労をとられた医歯薬出版編集部のスタッフに心より感謝申し上げる.
 2020年1月
 江藤文夫
 伊藤利之


新版の序
 早いもので,本書第3版の改訂(1992年)からすでに18年が経過し,この間に,編者の土屋弘吉,今田 拓,大川嗣雄各先生が故人となられた.第3版の改訂時,すでに土屋・大川両先生の体調はおもわしくなく,代わりに私が改訂の編集作業を手伝わせていただいた.今田先生から御茶ノ水の山の上ホテルに呼び出されときのことは今も鮮明に覚えている.その後,2007年7月に今田先生が逝去され,その遺言として,今回の改訂作業の依頼を受けたのだが,私としては3人の恩師の魂のこもった書籍だけに,それを引き継ぐ喜びと緊張とが入り混じり複雑な思いであった.幸い,朋友の江藤文夫先生がパートナーを勤めてくれることになり,気持ちを切り替え,改訂とはいえ新刊書籍を世に出すつもりで編集に取り組むことができたと感謝している.
 本書は,初版が1978年の発行であるから,すでに32年の長きにわたり,多くのリハビリテーション関係者の教科書または参考書としてその役割を果たしてきた経緯があり,わが国のリハビリテーションの歴史を振り返れば,まさに成熟期にある書といって過言ではない.それだけに,編集にあたっては本書の貴重な歴史を踏襲するとともに,偏ることなく最近のニーズを網羅したADL全般が見渡せる書となるように心掛けたつもりである.とりわけ各論(第8章)の執筆者には,臨床経験の浅い読者のために,ADLの評価法と支援技術について,できるだけ図や写真を用いた実践的な解説に努めていただいた.いうまでもなく,ADLは社会の文化や科学技術と密接に関係することから,支援技術や方法が大幅に変更されることも稀ではなく,それに伴う評価法の開発も必須の条件である.その意味で,この間にWHOから新たな枠組みと理念に基づく国際生活機能分類(International Classification of Functioning,Disability and Health:ICF)が発表され(2001年),健康状態を軸とした考え方とこれを構成する各レベルの双方向性,さらには個人因子と環境因子の存在が強調されたことは,ADLを考えるうえで新たなバージョンが示された大きな出来事であった.また,高齢者の介護を保障する介護保険法,身障・知的・精神の3障害を一元化した障害者自立支援法,交通バリアフリー法,ハートビル法の制定など,わが国のリハビリテーション関係法制度も大きく変革され,ADLの評価が日常的に用いられるとともに,支援技術や方法も社会参加などの分野で大きな改善を得た.さらには,2006年12月に国連総会において「障害者権利条約」が採択され,わが国においても2007年9月,これに署名したことからその批准に向けた活動が活発化しており,そのなかでADLからQOL重視への流れが次第に強まっている.
 このような情勢を背景に,本書では新たに「国際生活機能分類」と「高次脳機能障害」の章を設け,その考え方とニーズに対応するように努めた.また,図表を多く取り入れたことから,より見やすく,読みやすくするためにB5判からA4判へとサイズアップを図ったが,これによりメタボリックシンドロームを予防できれば幸いである.
 本書の編集にあたっては,実践的な視点を重視する立場から中村春基,宮永敬市両氏にご協力をいただいた.そのおかげで編集作業が大いにはかどり,内容も充実したことを共に喜んでいただければ幸いである.編集期間が短かったこともあり,まだまだ不備のあることは免れないが,それは今後の改訂作業の中で修正することとしたい.何はともあれ,本書がリハビリテーションを志す学生諸君,そして病院や地域で働くリハビリテーション関係者の糧として大いに活用され,それによってリハビリテーション医療,介護,社会福祉のサービスがより充実したものへと発展することを切に願うものである.
 なお,本書の改訂を企画された医歯薬出版編集部には心より感謝申し上げる.
 本書の初版から第3版までの編者であり,その歴史的な礎を築いていただいた,故・土屋弘吉,今田 拓,大川嗣雄の各先生方に深甚の敬意を表し,ここに本書を捧げるものである.
 2010年3月
 伊藤利之
 江藤文夫


第3版の序
 本書の初版から14年の月日が流れた.この間,わが国のリハビリテーション医学の発展は目ざましく,国際的にも大きく評価されるに至り,1997年には第8回国際リハビリテーション医学会の日本における開催も決定した.
 ADLの問題はリハビリテーション医学の進歩,そして経験をしたことのない高齢化社会を現実に迎えながら,リハビリテーション医学の重要な課題として常に新鮮な役割を担ってきた.このことは,ADLの問題が今日の複雑な人間文化のいろいろな側面を組み合わせるための重要なキーワード的使命を果たしてきたことを意味している.それは分野的には医科学と社会医学の接点,方法論的には医学と教育学の接点,そして政策的には医療と保健福祉の接点における具体的かつ迫力をもった課題となった.
 本書は,ADLに関心をもっておられる多くの関係の方々に,ADLの基本的理念や知識の提供という使命を背負いながら,経過的に部分改訂を重ねてきたが,近年のリハビリテーション医学の進歩や社会情勢の変化はかなり大きな改訂を迫られる状況をもたらした.その間には,“Activities of Daily Living”を日常生活動作とすべきか日常生活活動と訳すべきかという長い論争,ADL各動作項目の価値分析の変遷,さらにコミュニケーションを中心とした高次脳機能障害とADLの問題など,いずれもADLの本質にかかわる重要な新しい課題となって広がってきている.また1990年,政府は「高齢者保健福祉推進十ヵ年戦略」を発表し,社会福祉関係8法の改正とともに在宅ケアに関する新しいシステムを進め,その一環として「障害老人の日常生活自立度判定基準」を示すなど,日常生活活動評価の意義は社会的にも高まっている.
 このような情勢を踏まえ,3年間にわたる執筆各位のご協力によって,レイアウト全体を刷新し新しい章を設けるなど,まさに「日常生活活動」と題した新刊書ともいえるこの一書が日の目を見たことは,編集者としてまことに喜ばしく,ご尽力いただいた関係各位のご努力を銘記するものである.
 この書が,今後大いに活躍の期待されているリハビリテーション関係者の糧となって,リハビリテーション医療や社会福祉サービス実践の場面で,とくに在宅ケアの第一線においても活用され親しんでいただけることを願っている.
 1992年3月
 土屋弘吉
 今田 拓
 大川嗣雄


第2版の序
 本書は,初版が昭和53年11月に発行されて以来,わが国唯一の日常生活動作の書としてリハビリテーション関係者に親しまれてきたが,それから4年の歳月を経た昭和57年12月に,面目を一新したこの第2版が完成したことは,まことに喜びに堪えない.
 近年,わが国のリハビリテーションは著しい躍進を遂げ,リハビリテーション医,理学療法士,作業療法士をはじめとするリハビリテーション従事者の数も増加し,リハビリテーション医学会は第20回を迎えて2,203名の会員を擁するに至った.その間にあって,本書はADLに関する唯一の指導書として,その概念に一定の方向づけを行い,その方法論にも学問的な整理を行ってきたことはそれなりに評価されよう.しかし4年間の経過の間に,ADLに関する研究と臨床の進歩は著しく,それらの成果を大幅に取り入れる必要に迫られてきた.
 最近4年間の動向として,厚生省特定疾患研究の「神経・筋疾患のリハビリテーションに関する研究班」の「ADL分科会」がADL評価表の試案をつくり,「日常生活動作テストの手引」を作成した実績があったことや,またWHOが1980年に国際障害分類(ICIDH)試案を発表し,わが国でも厚生省を中心にこれらの検討が行われて,ADLの概念について新しい問題提起がなされていることなどが注目される.また福祉機器の開発が進んだことにより,ADLの面でもこれを積極的に取り上げる必要に迫られてきた.
 以上のような流れの中にあって,今回の改訂の主な方針は大体次のように要約される.
 (1) ADLに関する内外の動向に応じて本書の総論部を修正し,とくに1章を新たに設けて国際障害分類とADLの関連について総説した.
 (2) 重度障害者のADLの幅を増大させる環境制御装置に関する1章を設け,リハビリテーション工学と医学との提携により重度障害者に対する自立を一歩前進させる途を示した.
 (3) 在宅障害者あるいは寝たきり老人の増加が今後の大きな社会問題になりつつあるので,いかにADLの指導を行うかを,評価から援助の実際まで詳しく解説した.
 (4) 障害別ADL訓練(第7章)については,第1版の記述をよりきめ細かく改訂した.
 (5) 最後に付した「社会資源の活用」も必要に応じて利用して頂けるように充実させた.
 これらの改訂によって,本書がADLの指導書として大方のご利用をいただけるものと期待している.
 1982年12月
 土屋弘吉
 今田 拓
 大川嗣雄


初版の序
 わが国において,リハビリテーション学院が設置されたのは昭和38年,理学療法士及び作業療法士法が制定されたのは昭和40年,リハビリテーション医学会が発足したのは昭和38年であり,おおよそこの頃が日本のリハビリテーションの発足の時期と見做されよう.それから十数年を経過し,リハビリテーション医学会はすでに第16回を迎えようとしている.今ではリハビリテーション医学会会員は1,664名に達し,また理学療法士・作業療法士も3,070名を算えている.近代的または超近代的なリハビリテーション病院や施設も建設され,わが国のリハビリテーションは日本の風土の中にしっかりと根をおろしたといえよう.
 しかし実際に目をその内容に転じてみると,いまだに種々の跛行的状態があることに気がつく.医科大学における講座はきわめて少なく,理学療法士,作業療法士の数も著しく不足しており,義肢装具士の身分制度や教育制度に至っては実現の見通しも立っていない.このように日本のリハビリテーションの進運はきわめて前向きではあるが,足並みが揃っているとはいえない状態である.
 さて日常生活動作(ADL)評価は,徒手筋力テスト(MMT)や関節可動域測定(ROM)とならんで,リハビリテーションの概念のはじまりと共に歩んできた最も基本的な評価法の1つである.アメリカでもADLはすでに日常医学用語として医学生や他科の医師の間でも常用されており,わが国でもこの語そのものはリハビリテーション関係者の間に深く浸透している.
 しかし,ひるがえってADLとは何か,とあらためて考えてみると,わからないことが沢山でてくる.否,あまりにもよくわかっているために今更に疑問ももたないというのが偽らざるところであろう.
 日本リハビリテーション医学会の評価基準委員会では,数年にわたりADLの評価基準の問題に取り組んできた.日本や欧米のリハビリテーション専門家にアンケートを送り,各人の意見を求めたところ,意外にもその解釈が統一されていないことに気づいた.そこで評価基準委員会では,長期間の検討の末に,昭和51年合意の結果を日本リハビリテーション医学会に答申した.これが現在の日本リハビリテーション医学会の見解となっている.
 わが国においても,リハビリテーション関係の著書や翻訳書が多々発刊されている.しかし今までにADLに関する単行本が一度も現れなかったのは,その定義づけの困難さ,包括範囲の不明確さ,生活関連動作との関係のあいまいさなどによるものであろう.しかし答申案により学会の見解も統一され,一応の取り扱いの基準が確立されたことは意義深いことといわなければならない.
 実際問題としては,各病院や施設ではそれぞれ独自の工夫を加えてADL評価を実施してきており,現在では大方まとまった体系ができつつあるのが実情である.評価基準委員会の見解が示されたのもまさにこうした時期に応えたものといえよう.この時にあたり,従来リハビリテーションの中で各障害ごとに縦割り的に記述されてきたADLを,横割り的に一括して一書に纏めあげたものが本書である.
 本書はわが国におけるADLに関する最初の単行本として,ADLの概念の混乱を整理し,評価法の基準化を試み,ADL訓練の実際を詳述している.リハビリテーション従事者や学生諸氏の座右の書としてただちに役立つものであることを確信している.
 なお,本書の出版を企画し,出版の労をとられた医歯薬出版株式会社に深甚の敬意を表するものである.
 1978年10月
 土屋弘吉
 今田 拓
 大川嗣雄
 新版第2版の序
 新版の序
 第3版の序
 第2版の序
 初版の序
第1章 日常生活活動の概念・意義・範囲
 (上田 敏)
  1 はじめに─「参加」向上のための日常生活活動(ADL)
  2 ADL小史
   (1)ADLの誕生
   (2)ADLの発展─障害の重度化への対応
   (3)反省期─ADLへの批判とQOL思想での受け止め
   (4)ADLの再出発─QOL(参加)向上のためのADL(活動)を目指して
  3 ADLの概念・定義・範囲
   (1)ADL概念の再検討の必要性
   (2)初期の概念・定義
   (3)ADLの範囲─初期から最近まで
   (4)ADLの概念・定義・範囲のまとめ
  4 ADLの概念・範囲の拡大を考える
   (1)ADLに関する日本リハビリテーション医学会調査の興味ある結果
   (2)生活関連動作,手段的ADLなど
   (3)家事と基本的ADLとの比較を通して考える
   (4)日常生活活動(ADL)と生活関連活動(APDL)
  5 ADLの理解を深める
   (1)ADLの捉え方(1)─「できるADL」(能力)と「しているADL」(実行状況)
   (2)ADLの捉え方(2)─「普遍的自立」と「限定的自立」
  6 おわりに
第2章 生活関連活動
 (伊藤利之)
  1 日常生活活動(ADL)の概念とその範囲
   (1)ADLの概念
   (2)IADL・EADLの概念
   (3)ADLの範囲規定
   (4)周辺の活動項目
  2 生活関連活動の意義と評価の視点
   (1)家屋内の活動
   (2)庭および自宅周辺の活動
   (3)交通機関を利用した活動
  3 法制度の整備と環境
   (1)交通機関と建築物
   (2)合理的配慮
  4 アプローチの実際
   (1)炊事
   (2)洗濯
   (3)掃除
   (4)電話・メールの利用
   (5)金銭の出納
   (6)服薬および服薬管理
   (7)庭仕事
   (8)日用品の買い物
   (9)交通機関の利用
   (10)社会参加
  5 今後の課題
第3章 国際生活機能分類(ICF)
 (上田 敏)
  1 はじめに
   (1)ICF─WHO保健関連国際分類の中心分類
   (2)ICIDHからICFへ
   (3)ICIDHの「遺産」
   (4)生活機能モデルの重要性
  2 国際生活機能分類(ICF)の概略─生活機能モデルを中心に
   (1)生活機能の3つのレベル
   (2)健康状態と背景因子
  3 生活機能と障害の理解を深める
   (1)ICFにおける「障害」の定義
   (2)生活機能と障害との関係─「大きな四角」のなかの「小さな四角」である「障害」
   (3)ADLへの示唆─プラスを増やすことの重要性
   (4)生活機能と障害の「階層構造」
  4 「活動」と日常生活活動(ADL)
   (1)ICFにおける「活動」と「参加」の範囲
   (2)ICFにおけるADLの位置づけ
   (3)活動の評価点
   (4)「できるADL」(能力)と「しているADL」(実行状況)の差の重要性
   (5)ADLへの示唆─「能力」と「実行状況」の区別と連関
  5 おわりに
第4章 評価
 (辻 哲也)
  1 日常生活活動(ADL)とは
  2 ADL評価法
   (1)開発の歴史
   (2)ADL評価法の最近の使用動向
  3 ADL評価の目的・意義
   (1)自立度・介護度を知る
   (2)リハビリテーション治療の計画を立てる
   (3)治療効果を判定する
   (4)予後を予測する
   (5)他施設や多職種医療職・介護職との情報交換を行う
   (6)費用対効果分析を行う
  4 ADLを評価する際の注意点
   (1)評価法の選択
   (2)評価法への習熟
   (3)評価場面による相違
   (4)評価者による相違
   (5)評価方法による相違
  5 ADL評価法の必要条件
  6 代表的なADL評価法
   (1)FIM
   (2)BI
   (3)mRS
   (4)Katz Index
  7 手段的ADL(IADL)
   (1)LawtonらのIADL評価法
   (2)Frenchay Activities Index(FAI)
   (3)老研式活動能力指標・JST版活動能力指標
  8 ADL評価の実際
   (1)採点方法の基本型(運動項目)
   (2)項目ごとの採点方法(運動項目)
   (3)採点方法の基本型(認知項目)
   (4)項目ごとの採点方法(認知項目)
第5章 自助具
 (宮永敬市)
  1 自助具とは
  2 自助具の歴史
  3 自助具の位置づけ
  4 自助具の範囲
  5 自助具の役割
   (1)失われた身体機能の補助
   (2)自ら行う生活の獲得
  6 共用品・共用サービス
  7 自助具と法的責任
  8 自助具導入の流れ
   (1)ニーズの把握
   (2)評価
   (3)計画策定
   (4)自助具の検討
  9 自助具選定の考え方
   (1)生活便利品の活用
   (2)市販自助具の活用
   (3)市販品の改良
   (4)個々の障害状況に合わせて作製
  10 自助具作製のポイント
   (1)材料の選び方
   (2)よく用いられる材料
   (3)材料の加工に用いられる主な道具
   (4)作製上の留意点
   (5)新たな製作技術
  11 自助具の分類と紹介
   (1)食事動作関連の自助具
   (2)整容動作関連の自助具
   (3)更衣動作関連の自助具
   (4)トイレ動作関連の自助具
   (5)入浴動作関連の自助具
   (6)家事動作関連の自助具
   (7)コミュニケーション関連の自助具
   (8)余暇活動関連の自助具
   (9)その他の自助具
  12 自助具の情報収集・入手先
   (1)介護実習・普及センター
   (2)福祉用具サービス事業所
   (3)インターネット
第6章 支援機器と住環境
 (渡邉愼一)
  1 支援機器とは
  2 起居・移乗・移動を支援する機器
   (1)起居動作を支援する機器
   (2)移乗動作を支援する機器
   (3)移動を支援する機器
  3 コミュニケーションを支援する機器
   (1)呼びベル
   (2)文字盤
   (3)キーボード型機器
   (4)パソコンおよびパソコン入力装置
   (5)意思伝達装置
   (6)環境制御装置
   (7)障害者用電話機
  4 入浴・排泄を支援する機器
   (1)入浴
   (2)排泄
  5 住環境の整備
   (1)基本的考え方
   (2)手順
   (3)住宅改修の実際
第7章 コミュニケーション
 (阿部晶子,小森規代)
  1 コミュニケーションとその障害
   (1)コミュニケーションとは
   (2)コミュニケーション障害の種類と特徴
  2 失語症
   (1)障害の特徴
   (2)評価
   (3)リハビリテーション
  3 認知症の言語・コミュニケーション障害
   (1)アルツハイマー病(AD)
   (2)原発性進行性失語(PPA)
  4 dysarthria(運動障害性構音障害)
   (1)障害の特徴
   (2)評価
   (3)リハビリテーション
  5 器質性構音障害
   (1)障害の特徴
   (2)評価
   (3)リハビリテーション
第8章 障害別日常生活活動訓練の実際
 I 片麻痺(前田眞治,清水 忍,原 麻理子)
  1 障害の概要
  2 評価
   (1)非麻痺側上肢による代償
   (2)装具,車椅子による代償
   (3)高次脳機能障害
   (4)高齢者
  3 ADL練習の注意点
  4 基本・応用動作練習の実際
   (1)食事動作
   (2)整容動作
   (3)更衣動作
   (4)起居動作
   (5)移乗動作
   (6)移動
   (7)排泄
   (8)コミュニケーション
  5 在宅生活におけるADLと処々の工夫
   (1)ADLにおける工夫
   (2)生活関連活動における工夫
 II 脊髄損傷(橋元 隆)
  1 障害の概要
  2 基本的評価
   (1)損傷レベルと残存能力の把握
   (2)症状,随伴症状,合併症の把握
   (3)個人の基礎的能力の把握
  3 ADLの評価
  4 必須基本練習
   (1)関節可動域維持・改善
   (2)呼吸管理
   (3)血圧調整
   (4)起立練習
   (5)筋力強化
   (6)バランス練習
   (7)皮膚管理
   (8)排泄管理
   (9)不全麻痺筋へのアプローチ
  5 ADLの実際
   (1)体位変換
   (2)起居動作
   (3)移乗動作
   (4)車椅子
   (5)歩行
   (6)身の回り動作
  6 社会参加
   (1)自動車の運転
   (2)就労・就学
   (3)スポーツ,レジャー活動
   (4)結婚生活
  7 二分脊椎症(spina bifida)
   (1)病巣レベルと移動能力
   (2)失禁
   (3)ADL指導と障害管理
  8 脊髄損傷リハビリテーションの今後
 III 切断(陳 隆明,柴田八衣子,大籔弘子)
  1 上肢切断者のADL
   (1)はじめに
   (2)能動義手の操作性を高める手先具と手継手
   (3)能動義手の問題点
   (4)切断レベルに応じたADL
   (5)成人に対する筋電義手
   (6)筋電義手の問題点
   (7)切断レベルに応じたADL
   (8)小児に対する筋電義手
   (9)筋電義手の問題点
   (10)切断レベルに応じたADL
  2 下肢切断者のADL
   (1)はじめに
   (2)下肢切断者のADLを補完するもの
   (3)切断レベルに応じたADL
   (4)スポーツレクリエーション
  3 結語
 IV 関節リウマチ(水落和也,坂本安令)
  1 障害の概要
   (1)病態・診断・治療
   (2)障害像の特徴
  2 機能評価
   (1)総合的機能評価
   (2)臨床における具体的な機能評価
  3 リハビリテーションアプローチ
   (1)基本的治療
   (2)ADL指導の実際
  4 結語
 V 筋萎縮性疾患(小林庸子,斎藤規久代)
  1 はじめに
  2 デュシェンヌ型筋ジストロフィー
   (1)疾患の概要
   (2)機能障害の概要と評価
   (3)ADLへのアプローチ・環境整備の実際
   (4)社会参加に向けた活動
  3 小児期発症で急速に進行する筋萎縮性疾患
  4 成人期発症・成人期進行の筋萎縮性疾患
   (1)疾患の概要
   (2)評価
   (3)アプローチの実際
  5 筋萎縮性側索硬化症
   (1)疾患の概要
   (2)進行の特徴と評価
   (3)ADLへのアプローチと留意点
   (4)ALSで特に留意すること
 VI 脳性麻痺(小ア慶介,鈴木ほがら,佐々木清子,直井寿徳)
  1 障害の概要
   (1)病態
   (2)診断
   (3)ADLからみた機能評価
  2 ADLの実際
   (1)粗大運動
   (2)移乗
   (3)姿勢管理
  3 評価の目的と内容
   (1)評価の目的
   (2)評価の内容
  4 評価方法
   (1)ADLの評価法
   (2)質的評価を含めたADLの分析
  5 支援方法
   (1)基本的な方針
  6 具体的なADLの支援
   (1)食事
   (2)更衣
   (3)排泄
   (4)入浴
   (5)整容
   (6)コミュニケーション
   (7)発達障害を伴う脳性麻痺児へのADL指導
 VII 呼吸器疾患(花山耕三,佐藤宏樹,守山 峻)
  1 障害の概要
  2 COPD患者におけるADL評価
  3 ADLトレーニングの実際
   (1)基礎的な動作練習
   (2)具体的な動作練習
  4 在宅生活における工夫
 VIII 循環器疾患(井添洋輔,上月正博)
  1 はじめに
  2 急性心筋梗塞
   (1)障害の概要
   (2)評価
   (3)基本訓練・応用訓練(運動処方)
   (4)在宅生活におけるADLと諸々の工夫
  3 心不全
   (1)障害の概要
   (2)評価
   (3)基本訓練・応用訓練(運動処方)
   (4)在宅生活におけるADLと諸々の工夫
 IX 高次脳機能障害(江藤文夫)
  1 高次脳機能障害とは
   (1)高次脳機能障害支援モデル事業
   (2)医療の対象としてのアクティビティ(活動)
   (3)高次脳機能と人間の活動
  2 ADLの階層構造と老化に伴う経過
   (1)医療全般におけるADLの重視
   (2)退行過程におけるADLの崩壊と機能評価
  3 個別症候とADLの訓練・指導
   (1)記憶障害のある人
   (2)注意障害のある人
   (3)失行のある人
   (4)失認のある人
   (5)遂行機能障害などのある人
  4 認知症の経過
   (1)認知症とは
   (2)認知症の臨床経過と重症度評価
  5 認知症とADLの指導─活動中心の支援とケア
   (1)訓練・指導の基本方針
   (2)残存機能と現実見当識の強化
   (3)活動参加への支援
   (4)おわりに

 索引