やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

■編者の序
 痛みのマネジメントについては,これまで西洋医学と東洋医学(鍼灸医学)のそれぞれの立場から記述した書籍はみられたが,双方の医学を統合して一書にまとめたものは少ない.
 今回,臨床鍼灸師はもとより臨床経験の浅い鍼灸師や鍼灸を学ぶ学生,あるいは診療のなかに鍼灸を取り入れて治療する医師や東洋医学に興味をもつ医学生のためにも理解しやすく,すぐに活用できる痛みのマネジメントのハンドブックを旨として,本書が企画・出版されることになった.
 西洋医学編では,痛みの診察,治療に必要と考えられる現在の基本的な知識,共通の認識を,図を多用して解説していただいた.痛覚はヒトが生物として生きていくために必要,不可欠な警報である.その反面,警報としての役目を終えた過剰な痛みが遷延すると,身体,精神に重大な機能的,器質的障害を起こし,社会生活,家庭生活をも破壊してしまう.痛みによる苦痛,苦悩は古代も現代も変わらない,西洋も東洋も変わらない,その時々,その場所で人々は知恵を絞って痛みの緩和に対処してきた.
 今日に至るわが国のペインクリニックでは,電気刺激療法としての鍼通電,薬物療法としての漢方薬も早くから治療手段として取り入れられてきたが,本編で紹介するように西洋医学を主体とした薬物療法,神経ブロック療法として発展してきた.
 しかしながら,頑固な慢性痛の治療ははなはだ困難であり,現在のペインクリニック治療技術をもってしてもいかんともしがたい.侵襲の大きい無理な治療を重ねれば合併症,副作用が患者さんを苦しめ,それがまた身体を蝕み,痛みを助長し,さらに新しい痛みを生む.
 全人的な立場から調和のとれた治療が求められている.慢性痛の治療は心の治療をかねるので,患者さんとのコミュニケーション,信頼関係がことのほか大事である.身体,精神を含めた幅広い関係分野の専門家が参画して行う総合チーム形態での痛みの治療が必要となる.
 現在,日本では多くの鍼灸治療法が用いられている.鍼灸医学編では,頭部から下肢および特殊な痛みに対して,それぞれの立場から各治療法について紹介していただいた.
 ここで編者の個人的見解を述べることを許していただければ,長い疼痛治療の経験からもっとも強調したいことは,原因や病症が異なっていても,どんな痛みにも共通した東洋医学的痛みの性質による分類と治療法が存在することである.編者がもっとも大切と考えるのは,すべての疼痛を“虚痛“と“実痛”という2種類の痛みの性質に弁別して治療することである.その鑑別方法はいたって簡単である.虚痛の場合は,(1)疼痛部位を触ったり,圧したりすると疼痛が軽減する,(2)暖めると疼痛が軽減する.実痛の場合には,(1)疼痛部位を触ったり,圧したりすると疼痛が増悪する.(2)冷やすと疼痛が軽減する.虚痛は,軽減するからそうすることを,あるいはされることを好む性質の痛みであり,どちらかといえば慢性的な疾患に多い.実痛には,火傷・打撲などの急性的な痛みや三叉神経痛またはある種の帯状疱疹後神経痛などがある.実痛は虚痛と逆と逆の性質の痛みであり,したがって,治療も虚痛と実痛とに分けて対照的な治療法となる.虚痛の場合,多くは虚証であり,局所のツボ(標治法)がよく,そして強い刺激(鍼通電刺激も含む)が有効な場合も多い.一方,実痛はその反対で,多くは実証が多く,局所は刺激しないで,むしろ遠隔のツボを取穴すべきであると考える.このように痛みの原因や病証が異なっていても,この痛みの性質から治療法を決定することができる,患者さんの体質・病因・病態・病期を考慮して行うのが鍼灸治療の基本的姿勢であるが,痛み治療でもまったく同様である.
 以上,私見を述べたが,東洋医学の鍼治療は施術者それぞれの理念に基づいて行われる.鍼灸施術が有効か否かは術者の表現力,つまり施術に当たっての診断と技術にかかっている.それには不断の努力と向上心が必要である.言語で表現できない奥深いものがある.日々臨床経験のなかから修得すべきものであろう.
 時はまさに補完・代替医療の時代である.疼痛治療においても西洋医学と,東洋医学(鍼灸医学),両医学の特性を生かした新しい疼痛管理システムが構築されることが望まれる.そのためにはお互いの医学について理解し,協力し合うことが大切である.
 分担された各執筆者は一流の研究者であり,臨床家でもある.頁数は限られているが,それぞれの立場から経験に基づいた疼痛対策における有益な情報がふんだんに盛り込まれている.
 本書が痛みのマネジメントを行う治療家の手引書となり,また学びつつある鍼灸学生や鍼灸に興味をもつ医学生の東洋医学への入門の契機となるように,そして治療を実践するうえで,各論全般にわたる簡便で,しかも適切なガイドブックとなるよう切望してやまない.
 2005年5月
 加納龍彦
 田山文隆
・編者の序(加納龍彦・田山文隆)

I.西洋医学編(加納龍彦編集)
 A.総論(加納龍彦)
  1)痛みついての基本事項
   (1) 痛みの意義,二面性
   (2) 痛みの表現
   (3) 痛みの客観的評価
   (4) 痛みの経路
   (5) 痛みの増強,経路の修復
   (6) 痛みを抑える身体の機能
    (a)脊髄での調節
    (b)脳を介した抑制
    (c)痛みを抑える物質の産生
   (7) 痛みの分類
  2)痛みの治療
   (1) 古代の痛みの治療
   (2) 現代の痛みの治療
    (1)薬物療法
    (2)神経ブロック療法
    (3)物理療法
    (4)理学療法(リハビリテーション)
    (5)心理療法
    (6)外科療法
 B.各論
  1.頭痛(佐野智美)
   1)はじめに
   2)分類
   3)診察のポイント
    (1) 病歴をとる場合
    (2) 身体所見をとる場合
    (3) 臨床検査を行う場合
     (1)CT,MRI
     (2)X線撮影(歯根嚢胞)
     (3)血液検査
     (4)髄液検査
     (5)脳波
   4)それぞれの病態(痛み)の特徴
    a)一次性(機能性)頭痛
     (1) 片頭痛
     (2) 緊張型頭痛
     (3) 群発頭痛
    b)二次性(症候性)頭痛
     (1) くも膜下出血
     (2) 髄膜炎
     (3) 側頭動脈炎
     (4) 脳腫瘍
     (5) 心因性頭痛
     (6) 頚性頭痛=頚部痛,頚肩腕痛,頚肩腕症候群
     (7) 頭部神経痛
     (8) 薬剤乱用頭痛
     (9) 低髄液圧症候群
     (10) アイスクリーム頭痛
     (11) 二日酔
     (12) 香水頭痛
   5)治療方針・治療法(一次性頭痛の3疾患を中心に)
    (1) 一般療法
    (2) 運動療法
    (3) 薬物療法
    (4) その他の治療
   6)楽しく頭痛とつきあうために
  2.顔面痛(福重哲志)
   1)はじめに
   2)基本的事項
    (1) 顔面の痛覚線維
    (2) 痛みの原因
   3)顔面痛の分類
    (1) 部位による分類
    (2) 痛みの成因による分類
   4)診察のポイント
    (1) 問診のポイント
     (1)痛み発症様式
     (2)痛みの部位と広がり
     (3)痛みの性質
     (4)痛みの強さ
     (5)痛みの経過
     (6)今までの治療の経過および効果
     (7)痛みの増悪因子,軽快因子
     (8)随伴症状
     (9)合併症
     (10)既往歴
    (2) 身体所見診察のポイント
     (1)局所所見
     (2)神経学的所見
     (3)各器官の検査
    (3) 臨床検査のポイント
     (1)画像検査
     (2)血液検査
   5)診断のフローチャート
   6)部位別に考えられる疾患
   7)それぞれの病態の特徴
    (1) 三叉神経痛
    (2) 舌咽神経痛
    (3) 帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛
    (4) 原発性閉塞隅角緑内障急発作
    (5) 耳痛
    (6) 急性副鼻腔炎
    (7) 術後性上顎嚢胞
    (8) 顎関節症
    (9) 舌痛症
    (10) 非定型顔面痛
   8)治療方針・治療法
    (1) 三叉神経痛
    (2) 舌咽神経痛
    (3) 帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛
    (4) 原発性閉塞隅角緑内障発作
    (5) 耳痛
    (6) 急性副鼻腔炎
    (7) 術後性上顎嚢胞
    (8) 顎関節症
    (9) 舌痛症
    (10) 非定型顔面痛
  3.頚部痛(入江将之)
   1)はじめに
   2)分類
   3)診察のポイント
    (1) 病歴をとる場合
     <頚椎疾患による疼痛は>
     (1)頚椎の痛み
     (2)神経根痛
     (3)脊髄性疼痛
    (2) 身体所見をみる場合
     (1)頚椎部
     (2)腕神経叢部
     <神経学的診察>
    (3) 臨床検査を行う場合
     (1)単純X線
     (2)MRI
     (3)CT
   4)診断のフローチャート
   5)部位別に考えられる疾患
   6)それぞれの病態の特徴
    (1) 頚髄症
    (2) 頚椎症性神経根症
    (3) 頚椎椎間板ヘルニア
    (4) 頚椎症
    (5) 頚椎後縦靭帯骨化症
    (6) 頚椎椎間関節症
     急性疼痛性頚部拘縮
    (7) 環軸椎亜脱臼
    (8) 外傷性頚部症候群
    (9) 胸廓出口症候群
   7)治療方針・治療法
    (1)安静
    (2)薬物療法
    (3)神経ブロック療法
    (4)外科療法
    (5)理学療法
    (6)装具療法
  4.胸部痛・背部痛(杉山和英)
   1)はじめに
   2)分類
   3)診察のポイント
    (1) 病歴の取り方
    (2) 身体所見
     (1)胸部理学所見
     (2)腹部理学所見
     (3)神経学的所見
    (3) 臨床検査
     (1)スクリーニング検査
     (2)必要により追加する検査
   4)診断のフローチャート
   5)それぞれの病態の特徴
    (1) 循環器疾患
    (2) 呼吸器疾患
    (3) 消化器疾患
    (4) 胸壁疾患
     (1)肋骨骨折
     (2)肋間神経痛
     (3)頚椎疾患
     (4)胸椎疾患
      I 胸椎圧迫骨折
      II 胸椎後縦靭帯骨化症,
       黄色靭帯骨化症
      III 胸椎椎間板ヘルニア
      IV 化膿性脊椎炎
      V 脊髄腫瘍,脊椎腫瘍
     (5)Tietze症候群(肋軟骨炎)
     (6)胸肋鎖骨異常骨化症
   6)治療方針・治療法
  5.腹痛(杉山和英)
   1)はじめに
   2)分類
    (1) 内臓痛
    (2) 体性痛
    (3) 関連痛
   3)診察のポイント
    (1) 患者の全身状態
    (2) 病歴の取り方
    (3) 腹部身体所見
    (4) 検査
   4)診断のフローチャート
    (1) 急性腹症
     (1)腹腔内臓器の穿孔
     (2)腹腔内大量出血
     (3)臓器の血行障害
   5)部位別に考えられる疾患
   6)それぞれの病態の特徴
    (1) 腹痛を呈する循環器疾患
    (2) 急性腹痛をきたす消化器疾患
     (1)感染性胃腸炎
     (2)急性虫垂炎
     (3)胆石症
     (4)急性膵炎
     (5)イレウス(腸閉塞)
     (6)虚血性腸炎
    (3) 慢性腹痛をきたす消化器疾患
     (1)胃・十二指腸潰瘍
     (2)過敏性腸症候群
      I 神経性下痢(下痢型)
      II 痙攣性便秘(便秘型)
      III 交替性便通異常(交替型)
    (4) 泌尿器科疾患による腹痛
     (1)腎尿路結石
     (2)急性腎盂腎炎
    (5) 産婦人科疾患による腹痛
     (1)子宮・付属器の炎症性疾患
     (2)子宮内膜症
     (3)卵巣腫瘍茎捻転
     (4)子宮外妊娠
     (5)進行流産
   7)治療方針・治療法
  6.上肢痛(入江将之)
   1)はじめに
   2)分類
   3)診察のポイント
    (1) 病歴をとる場合
    (2) 身体所見をみる場合
     (1)肩関節部
     (2)上肢部
    (3) 臨床検査を行う場合
     (1)単純X線
     (2)肩関節造影
     (3)MRI
     (4)神経伝導速度
   4)診断のフローチャート
   5)部位別に考えられる疾患
   6)それぞれの病態の特徴
    (1) 肩関節周囲炎
    (2) 上腕二頭筋長頭腱炎
    (3) 石灰沈着性腱板炎
    (4) 腱板断裂
    (5) 肩峰下インピジメント症候群
    (6) いわゆる肩こり
    (7) 上腕骨外上顆炎
    (8) 手根管症候群
    (9) 閉塞性血管血栓炎(Buerger病)
   7)治療方針・治療法
    (1)安静
    (2)神経ブロック療法
    (3)外科療法
    (4)理学療法
  7.腰下肢痛(山田信一)
   1)はじめに
   2)分類
    (1) 部位別にみた腰下肢痛の分類
    (2) 原因別にみた腰下肢痛の分類
   3)診察のポイント
    (1) 病歴をとる場合
    (2) 身体所見をとる場合
   (1)各関節における可動運動領域
   (2)関節に限らない下肢痛
   (3)下肢痛のない腰痛
    (3) 臨床検査を行う場合
   4)診断のフローチャート
   5)部位別に考えられる疾患
   6)それぞれの病態の特徴
    (1) 椎間関節由来の痛み
    (2) 筋・筋膜由来の痛み
    (3) 仙腸関節由来の痛み
    (4) 椎間板ヘルニアによる痛み
    (5) 脊柱管狭窄症による痛み
    (6) 変形性脊椎症による痛み
    (7) 脊椎分離・すべり症による痛み
    (8) 脊椎圧迫骨折による痛み
    (9) その他の骨折
    (10) 腫瘍による痛み
    (11) 炎症性疾患による痛み
    (12) 股関節の痛み
    (13) 膝関節の痛み
    (14) 足関節の痛み
    (15) 血管性障害の痛み
   7)治療方針・治療法
    (1) 安静・自然経過
    (2) 運動・理学療法
    (3) 薬物療法
    (4) 神経ブロック
    (5) 装具療法
    (6) 精神療法
  8.がんの痛み(福重哲志)
   1)はじめに
   2)末期がん患者と接するとき
   3)がん患者の痛みの原因
   4)がんの痛みの分類
   5)がん性疼痛の特徴
   6)診察のポイント
   7)全人的疼痛
   8)がんの痛みの評価
   9)がんの痛みのコントロール
   10)WHOがん疼痛治療指針
   11)WHO方式の薬剤
    (1)非オピオイド鎮痛薬
    (2)モルヒネ製剤
    (3)フェンタニルパッチ
    (4)オキシコドン
    (5)オピオイドローテーション
    (6)鎮痛補助薬
   12) 薬以外の痛みのコントロール
    (1)放射線治療
    (2)神経ブロック
   13) 痛みのコントロールがうまくいかないとき
    (1)痛みの原因の再評価を行う
    (2)痛みの治療の再評価を行う
    (3)薬物以外でのコントロール法を検討する
   14)おわりに
  9.心因性疼痛(佐野智美)
   1)はじめに
   2)分類
    (1) 疼痛性障害
    (2) 身体化障害
    (3) 転換性障害
    (4) 心気症
    (5) その他の関連疾患
     (1)うつ病
     (2)薬物乱用・薬物依存(薬物使用障害)
     (3)虚偽性障害
   3)診察のポイント
   4)評価
   5)治療方針・治療法
  10.その他(三島康典)
   1 神経因性疼痛(ニューロパシックペイン)
    1) 反射性交感神経性ジストロフィー(RSD/CRPS)
     (1) CRPSの診断基準
     (2) 症状
     (3) 治療
    2)幻肢痛
     (1) 幻肢痛の病態
     (2) 臨床症状
     (3) 幻肢痛の範囲とtelescoping
     (4) 治療
     (5) 予防
    3)腕神経叢引き抜き損傷
     (1) 病態
     (2) 診断と臨床症状
      (1)損傷の部位による症状
      (2)損傷の種類による症状
     (3) 治療
    4)帯状疱疹に関連した痛み
     a)急性帯状疱疹痛
      (1) 好発部位
      (2) 診断
      (3) 帯状疱疹の経過
       (1)皮疹
       (2)痛み
      (4) 治療
     b)帯状疱疹後神経痛(PHN)
      (1) 診断
      (2) 治療
   2 全身性疾患による疼痛
    1)糖尿病性末梢神経障害
     (1) 症状
     (2) 診断
     (3) 治療と予後
    2)痛風
     (1) 症状
     (2) 診断
     (3) 治療
    3)関節リウマチ
     (1) 診断
     (2) 症状
     (3) 治療
    4)感染性疾患による疼痛
     (1) 発生機構
     (2) 治療
   3 スポーツ傷害
    1)スポーツ外傷
     捻挫
     肉ばなれ
     治療
    2)スポーツ障害
     野球肘
     テニス肘
     治療
II.鍼灸医学編(田山文隆編集)
 A.総論
  1.疼痛治療における鍼灸の役割(田山文隆)
   はじめに
   鍼灸医学の基本的考え
   鍼灸治療の特性と役割
   鍼麻酔について
   世界の鍼灸の現況
   補完・代替医療興隆のなかで
  2.鍼治療の種類 尾崎昭弘
   はじめに
   鍼(毫鍼)と鍼管
    (1) 毫鍼
     (1)毫鍼の区分
     (2)毫鍼の材質
     (3)毫鍼の長さ(鍼体長) と太さ(鍼体径)
    (2) 鍼管
     毫鍼の刺鍼の仕方
     刺鍼時の感覚(鍼のひびき)
   疼痛治療に応用される鍼術の種類
    (1) 毫鍼の鍼術(刺法)
     (1)単刺術
     (2)置鍼
     (3)雀啄術
     (4)旋撚術と回旋術
     (5)間歇術
     (6)屋漏術
     (7)振せん術
     (8)乱鍼術
    (2) 皮内鍼,円皮鍼
    (3) 鍼通電
     (1)鍼通電に用いる毫鍼と電極(鍼-鍼電極,鍼-不関電極)
     (2)鍼通電の周波数
     (3)鍼通電の強さ(電圧・電流)
     (4)鍼通電の時間
     (5)鍼通電の機器
     (6)鍼通電の禁忌
     (7)鍼通電の一般的注意
     (8)鍼通電機器の点検・修理
    (4) レーザー鍼
     (1)レーザー鍼の照射部位と照射方法
     (2)レーザー鍼の照射時間
     (3)レーザー鍼の機器
     (4)レーザー鍼の作用
     (5)レーザー鍼の一般的注意
     (6)レーザー鍼の禁忌
  3.灸治療の種類(尾崎昭弘・會澤重勝)
   はじめに
   灸に用いる艾(もぐさ)の原料
    (1) T字毛(T字形毛茸)
    (2) 腺毛
   艾(もぐさ)の製法と品質
   灸の種類
    (1) 有痕灸
     (1)透熱灸
     (2)焦灼灸
     (3)打膿灸
    (2) 無痕灸
     (1)隔物灸
     (2)艾条灸(別名:棒艾灸または棒灸,艾巻灸)
     (3)薬物灸
     (4)その他
      (I)電気を用いる器械灸
      (II)光線を用いる器械灸
   疼痛治療に応用される灸術の種類
    (1) 透熱灸
    (2) 隔物灸
    (3) 艾条灸
    (4) 知熱灸
    (5) 温筒灸
    (6) 灸頭鍼
    (7) 光線灸
  4.鍼灸治療の安全性(尾崎昭弘)
   はじめに
   感染の防止
    (1) 清潔な院内環境の保持
    (2) 手洗いと手指消毒
    (3) 施術部位の消毒
    (4) 鍼,器具の滅菌
    (5) 鍼の無菌的な刺鍼手法(鍼のクリーンテクニック)
   重要臓器の傷害の防止
   刺鍼による事故,有害事象の発生防止
    (1) 刺鍼による事故の防止
     (1)折鍼
     (2)気胸
    (2) 有害事象の発生防止
     (1)失神(脳貧血)
     (2)渋鍼(抜鍼困難)
     (3)施灸時の熱傷と灸痕の化膿
 B.各論
  1.頭痛(木戸正雄)
   はじめに
   臨床上の注意事項
   適応となる病態
    (1) 緊張性頭痛
    (2) 片頭痛
   治療方針
   頭痛とその関係経絡
   変動経絡検索法(VAMFIT)
    ●頭痛における変動経絡の検索法
    ●治療方式
    ●留意点
   局所に対する考え方
   具体的な治療方法
   (1) 緊張性頭痛
    <本治法>
    <変動経絡への施術>
    <局所への施術>
   (2) 片頭痛
    <本治法>
    <変動経絡への施術>
    <局所への施術>
  2.顔面痛(北出利勝・石丸圭荘)
   はじめに
   臨床上の注意事項
    ●顔面痛
    ●顎関節症
    ●歯痛
   適応となる病態
    (1) 三叉神経痛と帯状疱疹後三叉神経痛
    (2) 非定型顔面痛
    (3) 顎関節症
    (4) 歯痛
   治療方針
    (1) 三叉神経痛と帯状疱疹後三叉神経痛
    (2) 非定型顔面痛
    (3) 顎関節症
    (4) 歯痛
   具体的な治療法
    (1) 三叉神経痛と帯状疱疹後三叉神経痛
     (1)三叉神経痛
     (2)帯状疱疹後三叉神経痛
    (2) 非定型顔面痛
    (3) 顎関節症
    (4) 歯痛と抜歯後疼痛
     (1)歯痛の選穴
     (2)抜歯後疼痛の選穴
  3.頚部痛(篠原昭二)
   はじめに
   臨床上の注意事項
   適応となる病態
   治療方針
   具体的な治療法
    (1) 臓腑病証の診断と治療
    (2) 経脈病証の診断と治療
     (1)手・足太陽経脈病
     (2)手・足少陽経脈病
     (3)手・足陽明経脈病
    (3) 経筋病の診断と治療
    (4) 外感病による頚部痛の診断と治療
    ※寝違いに対する治療のコツ
     寝違いに対する経筋治療
      (1)手太陽経筋痛の寝違い
      (2)手少陽経筋病の寝違い
      (3)足少陽経筋病の寝違い
      (4)経筋病に湿痰・●(お)血を合併する場合
    ※むち打ち症に対する治療のコツ
     ●雨天で悪化する場合
     ●クーラーや寒冷(天気)で悪化する場合
     ●イライラで悪化する場合
  4-1.上肢痛―肩関節(黒岩共一)
   はじめに
   臨床上の注意事項
   適応となる病態
   治療方針
   具体的な治療法
    TP治療のプロセス
    罹患筋の同定
    代表的罹患筋の硬結,TPの触知法と刺鍼法
     (1) 三角筋
     (2) 斜角筋
     (3) 大胸筋
     (4) 棘下筋
     (5) 小円筋
  4-2.上肢痛―上肢〜肘部(中村辰三)
   はじめに
   臨床上の注意事項
   適応となる病態
   治療方針
   具体的な治療法
    (1) 上腕二頭筋長頭腱炎
    (2) テニス肘
     (1)上腕骨外側上顆炎(外側型)
     (2)上腕骨内側上顆炎(内側型)
    (3) 野球肘
    (4) 肘部管症候群
    (5) 変形性肘関節症
    (6) 関節リウマチ
  4-3.上肢痛―前腕〜手(山本博司)
   はじめに
   臨床上の注意事項
   適応となる病態
   治療方針
   具体的な治療法
    (1) 腱鞘炎
    (2) 橈骨神経痛
    (3) 尺骨神経痛
    (4) 正中神経痛
    (5) 手根管症候群
    (6) 関節リウマチ
  5.胸部痛・背部痛(佐々木和郎)
   はじめに
   臨床上の注意事項
   適応となる病態
   治療方針
   具体的な治療法
    (1) 肩こり
     (1)頚部のこり
     (2)肩甲骨上部のこり
     (3)肩甲間部のこり
    (2) 肋間神経痛
    (3) 帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛
    (4) 胸腹部・内臓からの関連痛
  6.腹痛(今井賢治)
   はじめに
   臨床上の注意事項
   適応となる病態
   治療方針
   具体的な治療法
    (1) 腹痛全般(一般的な鎮痛)
    (2) 胃炎,胃潰瘍
    (3) 機能性胃腸症(functional dyspepsia:FD)
    (4) 便通異常(下痢,便秘),
   過敏性腸症候群
  7.腰痛(北村 智)
   はじめに
   臨床上の注意事項
   適応となる病態
    (1) 急性腰痛症(俗にいうぎっくり腰)
    (2) 慢性腰痛症
    (3) 末梢性坐骨神経痛
   治療方針
   具体的な治療法
  8-1.下肢痛―股関節〜大腿(古屋英冶)
   はじめに
   臨床上の注意事項
   適応となる病態
   治療方針
   具体的な治療法
    (1) 変形性股関節症
    (2) 恥骨結合炎
    (3) 梨状筋症候群
    (4) 坐骨神経痛
    (5) 大腿前面の痛み
     (1)大腿神経痛
     (2)閉鎖神経痛
     (3)外側大腿皮神経痛
    (6) 大腿後側の肉離れ
  8-2.下肢痛―膝関節(越智秀樹)
   はじめに
   臨床上の注意事項
   適応となる病態
   治療方針
   具体的な治療法
    (1) 変形性膝関節症
    (2) 腸脛靭帯炎
    (3) 鵞足炎
    (4) 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
    (5) 内側(外側)側副靭帯損傷
  8-3.下肢痛―下腿〜足部(本田泰弘)
   はじめに
   臨床上の注意事項
   適応となる病態
   治療方針
   具体的な治療法
    (1) 足関節捻挫
    (2) シンスプリント
    (3) 下腿・足の神経痛
    (4) 腓腹筋部の肉離れ・アキレス腱炎
     (1)腓腹筋部の肉離れ
     (2)アキレス腱炎
  9.術後疼痛(石丸圭荘)
   はじめに
   臨床上の注意事項
   適応となる病態
   治療方針
    (1) 術後疼痛
    (2) 術後瘢痕性疼痛
    (3) 抜歯後疼痛
   具体的な治療法
    (1) 術後疼痛
    (2) 術後瘢痕性疼痛
    (3) 抜歯後疼痛
  10.がんの痛み(福田文彦・石丸圭荘)
   はじめに
    ●がん性疼痛の原因
    ●がん性疼痛は全人的な痛み(total pain)
    ● 西洋医学の疼痛管理や治療
   臨床上の注意事項
    <患者の状態を理解する>
    ● 心身の状態
    ● チーム医療
    ● 精神的援助
    <鍼灸治療の刺激量>
    <不適応な症状>
   適応となる病態
    適応時期
    適応となる病態
     ●疼痛
     ●その他の愁訴
   治療方針
   具体的な治療法
    (1) 低周波鍼通電療法(いわゆる鍼麻酔)
    (2) 痛みの部位(皮膚の神経分布:デルマトーム)を指標にした治療
     (1)肺がん
     (2)肝臓がん
     (3)胃がん
     (4)大腸がん
     (5)膀胱がん・子宮がん・直腸がん
     (6)脊椎のがん
    (3) 全身状態の改善を目的とした東洋医学的治療(経絡治療を含む)
  11.心因性疼痛(王 財源)
   はじめに
   臨床上の注意事項
   適応となる病態(病因・発病の機序)
    ●経絡の閉塞による疼痛
    ●経絡流注上に出現する疼痛
    ●心因性疼痛の初期は気滞が原因する
    ●精神的素因による疼痛
   治療方針
    ●東洋医学的な治療原則
    ●処方穴(一例)
   具体的な治療法
    (1) 頭痛(肝陽上亢タイプ)
    (2) 脇痛(肝気鬱滞タイプ)
   ※刺入深度(経穴名)
   ※古典にみる痛みの処方穴
   ※精神をリラックスさせる棒灸法
  12.婦人科領域の痛み(矢野 忠)
   はじめに
    月経痛(月経困難症)とは
    月経痛の程度と頻度
    月経困難症の分類
     ● 機能性月経困難症と器質性月経困難症
     ● 医療機関での診断結果
   臨床上の注意事項
   適応となる病態
    (1) 機能性月経困難症の病態生理
    (2) 適応となる病態
   治療方針
    (1) 現代医学的な治療方針
    (2) 東洋医学的な治療方針
     (1)寒湿による痛経
     (2)肝鬱による経痛
     (3)肝腎虚損による痛経
   具体的な治療法
    (1) ゲートコントロール説による鍼灸治療
    (2) 弁証に基づいた鍼灸治療
     (1)肝鬱による痛経
     (2)寒湿による痛経
     (3)肝腎虚損による痛経
    (3) 皮内鍼による予防的治療
  13.泌尿・生殖器系の痛み(北小路博司・本城久司)
   はじめに
    腎部痛
    膀胱部痛
    排尿時痛
    陰嚢部痛
    会陰部痛
    射精痛
    泌尿・生殖器系領域の腫瘍に起因する疼痛(がん性疼痛)
   臨床上の注意事項
    (1) 尿路結石
    (2) 間質性膀胱炎
    (3) 前立腺炎
   適応となる病態
    (1) 尿路結石
    (2) 間質性膀胱炎
    (3) 前立腺炎
   治療方針
   具体的な治療法
    (1) 尿路結石による痛みに対する鍼灸治療
    (2) 間質性膀胱炎による痛みに対する鍼灸治療
    (3) 慢性骨盤痛症候群による痛みに対する鍼灸治療
  14.スポーツ領域の痛み(向野義人)
   はじめに
   臨床上の注意事項
   適応
    (1) 外傷に対する手術の後療法
    (2) 障害に対する西洋医学的治療との併用
    (3) コンディショニング
   治療方針
    (1) 経絡テストの理論的背景
    (2) 経絡テストにおける動きの負荷
    (3) 異常所見
    (4) 有効な経穴を探す方法
    (5) 経絡テスト7原則
     (1)すべての動き―まずチェック
     (2)制限の強い経絡―まず治療
     (3)上下肢に及ぶ異常があるならば―下肢から治療の原則守る
     (4)中心軸への刺激―忘れるべからず
     (5)経穴選択―叩打痛や圧痛で,動きの負荷で効果を確認
     (6)最後に選ぶ―局所の刺激
     (7)効果がなければ―即精査
   具体的な治療法
    (1) とっておきの24穴
    (2) その他の経穴
    (3) 体幹にあって経絡を代表する経穴-兪穴・募穴