やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 本書は,『カラー写真で学ぶ基礎看護技術1 病床環境・バイタルサイン・清潔』に続く第2巻として,皆様にお届けします.
 本書の構成は,「第1章 体位変換」,「第2章 移動」,「第3章 感染を予防する」となっており,いずれも臨地実習で受け持ち患者に実施する頻度の高い,あるいは,すべての患者看護に実施する必要のある最も基本となる看護技術を扱っています.
 編集方針は第1巻と同様ですが,できるだけ実際の技術が,写真を見てわかるように視覚化することや,根拠や留意点,または習得のコツとなるような重要ポイントをわかりやすく示すよう心がけました.
 看護技術の修得は,第一に,どのような人々(人間一般)にも共通する基本となる技術を手順とともに実施し身につける学習が必要です.次に,第二段階では,簡単な状況設定を加えて対象者の個別性に対応した基本技術の応用を学びます.学内の演習では,学生同士で患者,看護者となり簡単な事例に対応した看護技術の適用を体験してさまざまな角度から考えることをするでしょう.さらに第三の段階では,状況を規定する要素の数が多く,複雑に絡んでいる状況下で優先順位をつける能力を加えた技術適用の学習です.すなわち,臨地実習で,実際の患者さんに即した技術の適用を学びます.
 本書は,使い方によってどの段階の学習でも参考となるように編集しています.一度は学内で学んでいても,細かいところは忘れてしまうのが人間です.学内演習で学んだことの復習として,写真を見ながら十分に理解していなかったところの確認学習ができるでしょう.実技試験や実習等の準備学習としても役立ちます.1巻ずつがコンパクトにできていますので,実習等で手軽に持ち歩いて確認しながら学習するのにも適しています.さらには,卒業前に基礎看護技術をもう一度確認して,国家試験の準備や看護師として自信を持って働くための準備としても活用することができます.読者の皆様のそれぞれの活用の仕方で基礎看護技術の修得に役立てていただけたら幸いです.
 最後に,第2巻の発刊にあたり,全体構想等ご指導,ご助言をいただきました北里大学名誉教授岡崎寿美子先生に深謝申し上げます.
 2014年2月
 著者を代表して 堀 良子
 はじめに

第1章 体位変換
 (水口陽子)
 CASE 1 自力で動けない患者の仰臥位から側臥位への体位変換(対面)
 CASE 2 自力で動けない患者の仰臥位から端座位への体位変換
 CASE 3 自力で動けない患者の上方移動
第2章 移動
 (岡村典子)
 CASE 1 部分介助の必要な患者の椅子への移乗
 CASE 2 点滴治療中,ドレーン挿入中の患者の歩行介助
 CASE 3 片麻痺患者の車椅子への移乗と移送(エレベーター,スロープの通り方等を含む)
 CASE 4 ストレッチャーへの移乗と移送
第3章 感染を予防する
 (堀 良子・内藤みほ)
 CASE 1 感染予防に最も重要な手指衛生
 CASE 2 汚染物からの感染防護テクニック
 CASE 3 滅菌物を無菌的に取り扱う

 COLUMN
  同一体位による弊害
  体位変換に関する主な原理
  安全な移動・移乗のために
  車椅子の種類
  スライディングシート(ボード)の使用
  手指衛生の勧告
  防護具の着脱の順序
  医療廃棄物の取り扱い
  本章で記述していない医療関連感染予防対策