やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第2版発行にあたって
 “カラー写真で学ぶ”シリーズの「妊産褥婦のケア」は2001年に発刊,2007年に増補して,内容の充実を図ってきましたが,初版から13年が経過し,この度,第2版を刊行することになりました.これまで多くの方々にご活用いただき深く感謝申し上げます.母性看護は現在・未来に必須であり,その担い手は女性と子どもの健康と未来を託されています.しかし,少子化現象と分娩件数の減少,地方における産科医の不足による産科入院施設の縮小や廃止は,看護系大学の増加とあいまって,母性看護学教育,特に臨地実習の実習施設確保の危機にあると言っても過言ではありません.教員は大学内での講義や演習を充実させ,短期間に効果的な臨地実習を実施することに苦慮し,知識のみならず質の高い看護技術の習得と実践能力の養成を目指し,学生は学習者として,知識,技術,態度の修得に日々努力を重ねていることでしょう.
 今回の改訂は,初版同様,少ない機会でも緻密な経験と確実な看護技術の修得を目指せるように,学習者にとって読みやすく,実践をイメージしやすいように配慮しました.また,妊娠中の体重増加推奨値の日本産科婦人科学会,厚生労働省「健やか親子21」,日本肥満学会との違いや,分娩後の早期母子接触の留意点について日本産科婦人科学会,日本小児科学会,日本看護協会,日本助産師会などからの提示があったことなどを考慮して,参考資料を掲載いたしました.アセスメントや計画立案の際に,元になる根拠は何かを選択的に考えられるように,one pointとともにお役立てください.また,既刊書と併せて母性看護技術の自己学習や復習,臨地実習前の事前学習にご活用いただき,学習効果が上がることを願っています.看護学生に限らず,実習指導や初任者のための手引き書としてもご活用いただければ幸いです.
 今回も医歯薬出版担当各位に多大なるご協力とご助言を賜り,感謝申し上げます.
 2014年9月
 櫛引美代子

はじめに
 看護教育の臨地実習はクライアントの協力なしには到底成り立たないことは周知の事実です.しかし,出生率の低下,少子化現象は分娩件数の減少という現実のもとに,母性看護教育にとって臨地実習における対象の不足という問題を抱えているのが現状です.臨地実習は看護の実践であり,学生は実習場において看護の実践によって学習し,さらに知識と技術を統合し,判断力,実践力を向上させることはいうまでもありません.一方,看護技術は学生時代に基礎を修得することであり,就職してから必要な技術訓練を重ね,習熟するのが原則ではありますが,クライアントに要求されるケアは安全で,質の高いものです.限られた実習時間内にいかに効果的な実習を展開させるかは教師の飽くなき課題であり,学習中の学生であってもケアの実践をおろそかにできることではありません.
 学生にとって,少ない経験でも緻密な経験,未経験の技術でもできるだけ現実的にイメージして経験することは,実習の学習効果を高めることができるでしょう.できるだけイメージしやすいように考慮して発刊した「カラー写真で学ぶ周産期の看護技術」が,好評を得て,皆様のお役にたてたことは誠に嬉しい限りです.しかし,周産期の看護技術は新生児の沐浴や身体計測,胎盤,レオポルド触診など限られた内容でした.その後,妊婦や褥婦に関する内容をという声に押されて,姉妹書として本書出版の運びとなりました.本書の用語,方法は発刊物の中で使用頻度の高いものを用いました.既刊書と併せて母性看護技術の自己学習や復習に手軽にご活用いただければ幸いです.また,看護学生に限らず,実習指導や初任者の簡単な手引書として応用していただければと願っています.
 今回も医歯薬出版担当各位に多大なるご協力とご助言を賜り,改めて感謝申し上げます.
 2001年3月
 櫛引美代子
 第2版発行にあたって
 はじめに

1.妊婦健康診査の準備と介助
 目的 留意事項(妊婦健康診査および保健指導の回数 必要物品の準備
 検尿,体重・血圧測定 浮腫の観察 乳房の観察
 X線骨盤撮影時の介助 NST(non stress test))
2.妊婦体操
 目的 留意事項 方法(正しい姿勢の指導 妊婦体操)
3.骨盤位矯正位(膝胸位)骨盤位の自己回転促進法
 目的 留意事項 指導法 膝胸囲指導の実際
4.分娩期の看護
 リラクゼーション 産痛の緩和 分娩直後の母子対面と早期母子接触
 分娩後30分以内の直接授乳 母乳育児を成功させるための10カ条
5.産褥期の子宮の観察
 目的 観察の要点 指導法
6.悪露交換
 目的 留意事項 必要物品 検診台で行う洗浄法の手順
7.母児同室時のオリエンテーション
 授乳指導 おむつ交換
8.産褥体操
 目的 留意事項 指導法

 文献