やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序文

 本書は,はじめミシガン糖尿病研究訓練センター(MDRTC)患者教育委員会の指示のもと,教材として作成されたものです.本書の初版は,糖尿病センターの入院患者の教育用にデザインされ,Linda K.Strodtman,MS,RN,Patricia A.Barr,BS,Martha M.Funnell,MS,RN,およびJohn C.Floyd,Jr.,MDによって1984年に編集されました.
 そして,糖尿病治療の技術的進歩と,ケアおよび教育の変化という両面を反映して,第2版が1987年に,第3版が1991年に刊行されました.この第4版は,国定の基準とアメリカ糖尿病協会の認定を満たすのに必要な内容領域を網羅するように,1997年に改訂されたものです.
 本書の刊行は,MDRTC患者教育委員会,臨床実施コア,教育的開発評価コア,継続的教育発展コアの多くのメンバーによる努力の成果と言えるでしょう.第4版の改訂に際しては,Martha M.Funnell,Marilynn S.Arnold,Patricia A.Barrの3名が,編集および主な執筆にあたりました.他の協力者については,記憶の許す限りすべて前のページに挙げてあります.
 本書の使用にあたっては,各施設の糖尿病教室における個々のニーズを満たすように,資料を改変して工夫を加えることをお勧めします.その際には,必ず次のような注を付けてください.
 「この資料は,“Life with Diabetes:A Series of Teaching Outlines(アメリカ糖尿病協会,1997)”を引用・改変したものです*.」
 なお,本書の資料の公布は,アメリカ糖尿病協会の書面による許可なしには認められません.各施設の糖尿病教室で使用する場合のみ,資料の複写が許されます.
 本書が,糖尿病の患者教育に有効に活用されることを願ってやみません.
 Martha M.Funnell,MS,RN,CDE
 Marilynn S.Arnold,MS,RD,CDE
 Patricia A.Barr,BS
 *日本語版の無断複写は,著作権法上での例外を除き禁じられています.複写される場合は,そのつど事前に日本著作出版権管理システム(FAX.03-3815-8199)の許諾を得てください.

本書の概要

 ●本書の目的
 本書の第一の目的は,糖尿病の患者教育における医療専門職のガイドとなることです.本書は,糖尿病に関連する多くのトピックについての情報を提供します.内容は,一般的には1型あるいは2型糖尿病の成人を対象としていますが,若年患者や特殊な学習の必要がある患者に合わせて使用することもできます.詳細部分は意図的に簡潔に書かれており,指導者が講義を始める前に概要をすばやく見直すことができるようになっています.各セッションの内容は,多くの情報源により構成され,各分野の専門家によって検討されています.いくつかのセッションでは,その内容や始まりと終わりの形式は,われわれの最良の折衷案を反映したものとなっています.
 本書は,教育プログラムと教育方法の一つの例にすぎません.本書は決して医療スタッフや教育の代わりとなるものではなく,指導者に糖尿病に関する内容や教育方法を教えることを意図するものでもありません.本当に効果を生み出すためには,医療専門職は糖尿病教室を始める前に,糖尿病に関する内容,糖尿病のケア,ならびに行動変化の方法,教育,カウンセリングについて学ぶ必要があります.
 ●本書の構成と利用のコツ
 本書の前半は,一般的に糖尿病の患者さんに知っておいてもらいたい基本的な情報を含むセッションから成ります.後半は,特別な状況で役立つ発展的な情報を含むセッションから成ります.実際の講義では,本書に記載されている順序どおりにセッションを教える必要はなく,また1つのセッションでその内容をすべて教える必要もありません.
 各セッションには,次の内容が含まれています――セッションの目的,セッションに参加する前に参加者が知っておくべき予備知識,セッションの講義に必要な資料,推奨される提示の方法,網羅すべき概念と明解な詳細と指導者用ノートまたは指導のコツを含む展開の仕方,評価および記録の方法,セッションのテーマに関連する参考文献など.
 各セッションには,糖尿病についての基本的な情報,糖尿病のセルフケア,一般的なヘルスケアの実践も含まれます.特定の民族,文化,あるいは年代の集団に固有の情報は含まれませんが,1型と2型の糖尿病は区別されています.セッションを進めるにあたっては,参加者一人ひとり,および全体でのニーズを見きわめることが重要です.参加者とそのニーズによっては,特定の情報を追加したり削除したりする必要があるかもしれません.また,参加者の言語能力を考慮することが特に重要です.アメリカ成人の25%は,簡単なテキストを読むことさえ困難であり,口頭で示された複雑な情報を理解する能力も限られています.したがって,講義の際は,概念を単純化し,簡潔で直接的な言葉を用い,あまりなじみのない言葉については説明を加えてください.
 ●栄養に関するセッションの概要
 本書の重要な部分は栄養に関するセッションですが,これは糖尿病のセルフケアにおいて最も難しい側面です.1994年の栄養に関する勧告の採用に伴い,食事計画に対する多くのさまざまなアプローチが作成されました.ある方法は,従来の食事計画ほど厳格ではなく,患者さんにとって使用しやすいものであるかもしれません.しかし,食事計画の選択肢の増加は,指導者にとっては非常に大きな挑戦を課されることとなります.指導者は,これらの選択肢について患者さんに説明するための情報と技能を獲得し,患者さんが個々の目標に到達できるよう個別の計画を作成するのを支援しなければなりません.
 本書の栄養に関するセッションは,食事計画を変更し,それを持続することは基本的に困難であり,変更が少なければ少ないほど実行しやすくなるという理解に基づいています.患者さんと医療専門職のスタッフが,通常の好ましい食事パターンを理解していれば,少ないけれども効果的かつ合理的な変更を選択することができるでしょう.本書は,糖尿病教室の参加者に構築された食事計画の情報を与える前に,いつ,どのくらい,何を食べているかを知る助けとなるよう意図された活動を提供します.単に食事計画を変更するように言われたのでは,人はしばしば欲求不満に陥ってしまいます.参加者に,ここで提供する情報は,科学的知見の最近の解釈(常に変化しています)に基づいていることを知らせてください.
 食物の選択を改善することには,多くの潜在的な利点があります.血糖管理は糖尿病特有の利点で,これは急性および長期の合併症を減少させることに最も貢献し,日々の快適な暮らしを可能にします.したがって,基本となる栄養に関するセッションの第一の焦点は,血糖管理となります.このことは,全身の健康のための食物選択という文脈で提唱されますが,全身の健康に利点のある変更と,血糖管理に直接的に貢献する変更とを区別して指導することが重要です.
 各セッションは,参加者が食事の1つか2つの側面に同時に焦点を当てることを助け,長期目標に向かっての行動のステップを促すよう意図的に配列されています.さまざまな食物の選択が血糖に与える影響についての情報を得るため,参加者は血糖自己測定を行うことが推奨されます.以下に示すように,基本編のこれらのセッションによって,血糖管理を支える栄養に関する情報が得られることでしょう.
 3.食事の基本
 このセッションでは,食物を食べるタイミングに注意し,食べる量に対する意識を高めるよう呼びかけています.具体的な食物の変更や適正量については,ここでは触れられていません.
 4.食物と血糖
 このセッションでは,食物グループ,各グループに含まれる食物,ならびに各グループの食物がどのように血糖に影響を与え,全身の健康に貢献しうるかについて述べられています.参加者は,さまざまな食物が血糖値に与える実際の影響を評価するため,すべてのグループの食物を食べて,血糖自己測定を行うことが推奨されます.
 5.食事計画を立てる
 このセッションは,食事計画のための系統立てたアプローチへの最初の導入部です.フードガイドピラミッド,既製のメニュー,プレート法,炭水化物計量法の4つの方法が紹介されています.適正な摂取量は,フードガイドピラミッドでは各食物グループの回数分量で,プレート法ではプレートを満たす割合で示されます.この2つの方法を実施するには,参加者が食物グループと各グループの食物をよく理解していることが必要です.参加者は,これらのアプローチ法を用いながら,自宅でも外出先でも食事計画を実行することになります.
 6.食物の買い方
 食事計画を実行するにあたって主な障害となるのは,必要な食物を買い置きできないことです.このセッションでは,参加者が計画を進め,計画に合った食物を買う助けとなる情報と技能を提供します.
 発展編には,必ずしも参加者全員に必須とは限らないセッションがあります.以下のセッションは,特別な医学的ニーズとより高度な食事計画のアプローチを含みます.
 17.食物と体重
 体重の管理は,2型糖尿病で血糖を改善する一つの方法です.
 18.心臓の健康のための食事
 このセッションは,心血管系の疾患を予防するための栄養学的アプローチを網羅しています.
 19.炭水化物の計量
 20.糖尿病食品交換表
 21.食事計画を立てるために食品交換表を用いる
 22.交換価を計算する
 ●評価
 教育過程は,達成された結果の評価なしには完了しません.結果の評価は,いくつかの方法によって行うことができます.糖尿病の自己管理の技能,内容については,参加者の予備知識を評価し,その評価に基づいて学習目標を作成し,そしてvログラム終了時に学習目標を達成しているかどうかを見きわめるという従来の方法によって,評価することができます.糖尿病のセルフケアの技能については,観察によって評価する必要があります.
 知識を適用する能力については,学習された内容よりも評価することが困難です.行動の変更を評価する一つの方法は,個人的な目標,その目標を達成するための計画の作成と実行,および目標の達成を通して行うというものです.このアプローチでは,参加者は,糖尿病のケアにとって適切な意味のある個人的な目標を定義し,はっきりさせる必要があります.一般に,糖尿病に関連する全体的,あるいは長期的目標を設定することから始めるのが最も効果的です.たとえば,4カ月で10ポンド(約4.5kg)やせるなどです.そして,長期的目標を達成するのに役立つであろう行動変更の短期的目標を選択します.たとえば,次の2週間に朝食を7日のうち5日とるなどです.それから,行動変更の短期的目標をどのくらい達成することができたかを評価します.この評価は,目標が達成されない場合,追加の目標設定,あるいは問題解決のための決定を下す材料として用いられます.また,糖尿病教室を何回か開催するうちに,経時的に教育の進行具合をモニターするのに用いることもできます.
 個別の学習目標と行動変更の目標の達成に加えて,他の効果測定をプログラムの効果の評価に用いることができます.測定することのできる項目には,代謝コントロールのレベル,急性合併症,合併症のモニター,糖尿病に関連する入院,失業と不登校,心理社会的指標などがあります.項目測定は,プログラムのデザイン,対象となる集団,情報源,および目標に基づいて決定します.
 ●情報源
 資料編には,本書を活用するのに役立つように,追加情報も付されています.視聴覚教材や印刷教材などの情報源,医療専門職と患者組織を含む他の情報源のリスト,刊行物,インターネットの情報源,補助文献のリストなどが紹介されています.
 ●認定プロセス
 アメリカ糖尿病協会(ADA)の認定プロセスは,ADAと多くの糖尿病関連組織によって承認された国内基準を満たす糖尿病教育プログラムを正式に認める国内の自主的プロセスです.現在では,アメリカ国内の500以上の糖尿病教育プログラムが認定されています.認定には,1年間のデータ集積,プログラムの実施と構造,カリキュラムと教材,患者の記録,フォローアップの評価,効果測定を評価する包括的な適用を完全に満たしていることが必要です.
 本書のカリキュラムを用いる認定を申請する場合は,カリキュラムに加える変更,カリキュラムのプログラムへの個別化の方法,目次一覧,目次の項目別目標,対象とする集団へのプログラムの提示方法についての記載を含んでいれば,全体のカリキュラムを提出する必要はありません.
 ADA認定プロセスのさらに詳しい情報を得るには,ADA(電話1-800-232-6733)から入手できる「基準を満たすには」の最新版を参照するか,認定スタッフ(電話1-888-232-0822)にコンタクトをとってください.

監訳にあたって

 アメリカ糖尿病協会(ADA)の糖尿病教育シリーズとして幅広く活用されている「Life with Diabetes」をここに翻訳出版できたことはうれしい限りです.ADAによる糖尿病患者教育の歴史は大変古く,その中でも本書は第4版を重ねる権威あるものとなっています.序文にも記されているとおり,初版はミシガン糖尿病研究訓練センター患者教育委員会によって,1984年に編集されたという経緯のあるものです.
 この本の特徴は,お手に取っていただければおわかりのように,糖尿病教室の現場で有効に活用できるよう数々の工夫が凝らされている点にあります.本文および資料は自由自在に編集できるよう,ルーズリーフ対応形式となっています.
 糖尿病における患者教育は,医療スタッフとともに,患者さんが正しい知識を会得し,よりよいコントロールを維持していくためのいくつかの技法を身につけてもらうことを目指しています.わが国でも,同様の目的をもった指導書が(社)日本糖尿病学会の編集によって刊行されているのはご承知のとおりです.そしてこのほかにも,患者さんを教育する立場にある医療スタッフ向けに,食事療法,運動療法,インスリン注射療法,妊娠と糖尿病,血糖の自己測定など,さまざまな分野のてびきやガイドが数多く出回っています.しかし,糖尿病教室の運営にあたって現場ですぐ使える教材としての書物はというと,これはまさに文化の相違かと思わせるほどに,本書のような形のものはいまだ手にすることがありませんでした.
 「糖尿病教室パーフェクトガイド」と邦題を付したこの「Life with Dia-betes」には,糖尿病のある生活(生涯)を送る患者さんへの教育の仕方とその中身が,文字どおり漏らすことなく盛り込まれているのには感服せざるをえません.すでにご覧いただいている方も多いかと思いますが,この本の姉妹書ともいうべき「Complete Guide to Diabetes糖尿病コンプリートガイド」(医歯薬出版刊)でも,アメリカには確かな糖尿病文化があると強く感じさせられましたが,本書に接することでこの感をさらに強くしたことは否めないところでした.
 これはやはり歴史の差なのでしょうか.アメリカでは20世紀の初頭,すでに糖尿病は死を意味する疾患として認識されており,インスリンの発見が Life with Diabetes(糖尿病とともに生きること)を可能としたという経緯があり,今日ではアメリカ人にとって大変ポピュラーな疾患として受け入れられています.そして,このような背景において全米に糖尿病文化が培われ,この病気とともに生きるうえでは自己責任,自己管理が強く求められるということが広く深く浸透している様子がうかがわれます.それ故に,糖尿病のある生活をどうサポートするかという具体策が,「糖尿病コンプリートガイド」の中でも,本書の中でも明快にされている点は特筆されます.
 本書の初版は,2人の糖尿病認定看護婦と,科学修士と医師各1人の参画によって編集されました.しかし第4版では,医師の名はなくなり,2人の糖尿病認定看護婦と1人の科学修士によって編集されているのも注目されるところです.本年,わが国でも「糖尿病療養指導士」が認定されました.他の医療スタッフとともにこれらのマンパワーが,わが国における糖尿病教室をいま以上に発展させていくであろうことは間違いのないところだと思います.しかし,糖尿病教室を運営していくための具体策についての情報は,必ずしも十分とはいえません.その点において,この本には現場の様子が懇切丁寧に示されています.アメリカの糖尿病文化そのものが表されているとも言える本書から,糖尿病をどうとらえ,糖尿病のある生活を個々人の責任において展開していくことの必要性と重要性をいかに伝えるかを学び,これをわが国の実状に見合う形に修整しながら活用することは,今後のわが国における患者教育に大きな利益をもたらしてくれるものと確信いたします.
 この本の活用法は,「本書の概要」に明示されています.そこでは主に栄養に関するセッションが取り上げられていますが,この本の構成は「糖尿病とは」から始まる16のセッションと,これを補完する形の10のセッション,あわせて26のセッションから成り立っています.この本を糖尿病教室に利用される医療スタッフにおかれては,彼我の実状の相違に十二分な注意を払ったうえで,いまわが国で糖尿病とともに生活している患者さんに真に役立つ糖尿病教室を実践していただくことを切に願うものです.
 最後に,この本の日本語版を刊行することに賛意を表されたADAの関係者,多忙ななか読みやすい形の翻訳をしていただいた成宮 学,竹村 徹の両先生,そして編集作業のすべてを手際よく進めていただいた医歯薬出版魔フ編集者と関係各位には,その絶大なるご尽力に心からなる敬意と謝意を表し,監訳者の言葉といたします.
 2001年8月吉日 タニタ体重科学研究所所長 前東京慈恵会医科大学健康医学センター健康医学科教授 池田義雄

翻訳にあたって

 多くの場合,病気になることは,“日常“から“非日常”に移ることを意味します.たとえば,肺炎になれば抗生物質の投与を受け,禁酒・禁煙となり,安静を保つように指示されます.しかし,この治療期間は永遠に続くわけではなく,ある限定された期間であり,その期間だけ我慢して治療に専念し,病気が治れば“日常“に戻ることができます.これに比べて糖尿病のような生活習慣病は,ライフスタイルのわずかなずれが積み重なって生じます.したがって,そのずれを軌道修正する必要があり,軌道修正ができたら,その修正した軌道を継続維持する必要があります.すなわち,病気になることは,“日常”の中の問題になるわけです.そして,その治療の中でも基本となるのは食事・運動療法であり,患者さん自身が積極的に治療に取り組む必要があります.このように“日常”の中に病気があり,患者さん自身が治療の主役にならなくてはならない糖尿病のような病気では,患者さんのメンタルケアも治療の成否にとって重要な要素となります.そしてその際,治療を指導する医療者側は,個々の患者さんのQOLに応じた個別の指導を行う必要があります.さらに,その指導技術の向上には,個々の患者さんの治療に取り組む経験の積み重ねが不可欠となります.
 この「Life with Diabetes糖尿病教室パーフェクトガイド」は,糖尿病の患者教育の現場を担当する医療スタッフのためのガイドブックです.しかし,「本書の概要」には次のように記されています.――「本書は,教育プログラムと教育方法の一つの例にすぎワせん.本書は決して医療スタッフや教育の代わりとなるものではなく,指導者に糖尿病に関する内容や教育方法を教えることを意図するものでもありません.」本書は,実際の患者教育を通じて学ぶことに重きを置いており,指導現場での具体的な問題に関しても例を示して解説しています.すなわち,姉妹書である「Complete Guide to Diabetes糖尿病コンプリートガイド」(医歯薬出版刊)が患者さんのよき旅先案内人であったように,本書は医療スタッフのための糖尿病患者教育の実戦書といえます.
 なお,原著は各施設で複写して使用されることが前提となっていますが,わが国では著作権法により無断複写は禁じられており,複写する場合はそのつど事前に日本著作出版権管理システム(FAX.03-3815-8199)の許諾が必要ですのでご注意ください.また,本書はできる限り原著に忠実に翻訳していますが,米国と日本の事情の違いをかんがみて,必要と思われる箇所には簡単な脚注を付しておきました.
 本書がわが国における糖尿病療養指導士制度のスタートの年に発行されることも,単なる偶然と言えない気がしてなりません.本文中でもしばしば「目標は,患者自身に選択させなければならない」と述べられているように,本書全体を通じて一貫しているのは,糖尿病治療への患者さんの積極的な参加と,患者さんの選ぶ権利の重視です.糖尿病療養指導に取り組んでいる一人でも多くの方々に,糖尿病教育という大海へ,「Life with Diabetes糖尿病教室パーフェクトガイド」という有用な海図を持って出航していただくことを切に希望します.Bon voyage!
 2001年8月吉日
 国立西埼玉中央病院内科医長 東京慈恵会医科大学内科助教授 成宮 学
 前国立西埼玉中央病院内科医員 竹村 徹
編集委員一覧
協力者一覧
序文
本書の概要
監訳にあたって
翻訳にあたって

基本編
 1 糖尿病とは
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 膵臓
  視覚資料・例2 正常なブドウ糖代謝
  視覚資料・例3 インスリンの働き
  視覚資料・例4 正常な血糖値とインスリン値
  視覚資料・例5 糖尿病におけるブドウ糖代謝
  視覚資料・例6 経口ブドウ糖負荷試験
  視覚資料・例7 肥満によるインスリン抵抗性
 2 糖尿病とともに生きることを学ぶ
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
 3 食事の基本
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 食事計画を立てる理由
  参考資料・例1 食事日誌の記入例
  参考資料・例2 食事日誌
 4 食物と血糖
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
  記録の方法
  視覚資料・例1 食事計画を立てる理由
  視覚資料・例2 食物中の栄養素
  視覚資料・例3 栄養素が血糖に変わる割合
  視覚資料・例4 栄養素が血糖に変わる速度
  参考資料・例1 食物グループ
  参考資料・例2 食物グループ中の栄養素
 5 食事計画を立てる
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 糖尿病フードピラミッド
  視覚資料・例2 プレート法:朝食
  視覚資料・例3 プレート法:昼食/夕食
  参考資料・例1 糖尿病フードピラミッド
  参考資料・例2 外食する
  参考資料・例3 アルコールを飲む際のガイドライン
  参考資料・例4 糖尿病患者のための料理ブック
 6 食物の買い方
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 食事計画を立てる理由
  視覚資料・例2 栄養表示ラベル
  視覚資料・例3 フリーの食物を選ぶ
  参考資料・例1 買い物ガイド
  参考資料・例2 お金を節約する買い物のコツ
  参考資料・例3 栄養の表示
 7 肉体的活動と運動
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 目標心拍数
  参考資料・例1 低血糖の処置
  参考資料・例2 各種運動で消費されるエネルギー
  参考資料・例3 運動の際にとる間食の例
  参考資料・例4 運動プログラムの計画を立てる
 8 経口糖尿病薬
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 経口糖尿病薬
 9 インスリンのすべて
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 インスリンの作用時間
  視覚資料・例2 インスリンプログラム
  視覚資料・例3 インスリンの注射部位
  視覚資料・例4 インスリンと食事のタイミング
  参考資料・例1 インスリンの比較
  参考資料・例2 インスリンを注射する
  参考資料・例3 低血糖の処置
 10 糖尿病をモニターする
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 正常な血糖値とインスリン値
  視覚資料・例2 糖尿病記録表の記入例
  参考資料・例1 糖化ヘモグロビン(HbA1C)
  参考資料・例2 糖尿病記録表
 11 血糖値を制御する
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 正常な血糖値とインスリン値
  視覚資料・例2 インスリンの作用時間
  視覚資料・例3 目標血糖値
  参考資料・例1 低血糖の処置
  参考資料・例2 グルカゴンの使い方
  参考資料・例3 シックデイのガイドライン
 12 ストレスと対処法
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
 13 個人の衛生習慣
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 足の点検
  視覚資料・例2 足の爪を切る
  視覚資料・例3 泌尿生殖器系
  参考資料・例1 フットケアのガイドライン
 14 長期合併症
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 循環系
  視覚資料・例2 正常な眼
  視覚資料・例3 毛細血管瘤
  視覚資料・例4 増殖網膜症
  視覚資料・例5 網膜剥離
  視覚資料・例6 正常な腎臓
  視覚資料・例7 大血管疾患
  視覚資料・例8 神経系
  視覚資料・例9 創傷治癒
  参考資料・例1 糖尿病合併症のための資源
 15 行動の変更
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  参考資料・例1 行動変更の計画
 16 統合する
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  ワークシート1・状況 1 医療/地域共同体
  ワークシート2・状況 2 社会(家族)
  ワークシート3・状況 3 社会
  ワークシート4・状況 4 シックデイ
  ワークシート5・状況 5 旅行
  ワークシート6・状況 6 休日
  ワークシート7・状況 7 経済
  ワークシート8・状況 8 経済(健康保険/雇用政策)
  ワークシート9・状況 9 経済(生命保険)
  ワークシート10・状況10 配偶者のために
  ワークシート11・状況11 軌道に乗せ続ける

発展編

 17 食物と体重
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  参考資料・例1 食物グループ中の栄養素とエネルギー
 18 心臓の健康のための食事
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 食事計画を立てる理由
  視覚資料・例2 血中脂質の種類
  視覚資料・例3 食物中の脂肪の種類
  参考資料・例1 コレステロール源と脂肪源
  参考資料・例2 食物繊維源
  参考資料・例3 ナトリウムを多く含む食物
  参考資料・例4 代替調味料
 19 炭水化物の計量
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 栄養素が血糖に変わる速度
  視覚資料・例2 炭水化物の選択
  参考資料・例1 炭水化物が含まれる食物
  参考資料・例2 食品交換と食品成分に関する参考文献
  参考資料・例3 1回分量に含まれる炭水化物の計算法
  参考資料・例4 食品中の炭水化物
 20 糖尿病食品交換表
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 食事計画を立てる理由
  視覚資料・例2 食品交換グループ
  視覚資料・例3 栄養素が血糖に変わる割合
  視覚資料・例4 食品交換グループの栄養素
  視覚資料・例5 脂肪交換グループ
  視覚資料・例6 食事計画のサンプル
  視覚資料・例7 でんぷん交換グループ
  視覚資料・例8 果物交換グループ
  視覚資料・例9 牛乳交換グループ
  視覚資料・例10 他の炭水化物交換グループ
  視覚資料・例11 野菜交換グループ
  視覚資料・例12 肉(肉代替物)交換グループ
  視覚資料・例13 フリーの食品
  参考資料・例1 未調理食品と調理済み食品の分量
  参考資料・例2 標準の重量と体積
 21 食事計画を立てるために食品交換表を用いる
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 食事計画
  視覚資料・例2 食事計画のサンプル
  参考資料・例1 食事計画のサンプル
  参考資料・例2 食事計画
  参考資料・例3 糖尿病患者のための料理ブック
  参考資料・例4 アルコール飲料の交換単位
 22 交換価を計算する
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  参考資料・例1 食品交換グループの栄養素
  参考資料・例2 食物ラベルから食品交換価を計算する
  参考資料・例3 レシピの食品交換価を計算する
 23 健康な性生活と糖尿病
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 性反応のサイクル--肉体的変化
  視覚資料・例2 加齢に伴う性機能の変化
  視覚資料・例3 正常月経周期
  視覚資料・例4 避妊法
  視覚資料・例5 陰茎プロテーゼ--半硬性
  視覚資料・例6 陰茎プロテーゼ--膨張性
 24 妊娠と糖尿病
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 インスリンの作用時間
  視覚資料・例2 妊娠中のインスリン需要
  視覚資料・例3 妊娠中の体重の増加
  参考資料・例1 月経周期表
  参考資料・例2 妊娠時の低血糖の処置
 25 インスリンポンプ療法
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 インスリンの作用時間
  参考資料・例1 インスリンポンプのためのインスリンプログラム
  参考資料・例2 低血糖の処置
  参考資料・例3 グルカゴンの使い方
 26 強化インスリン療法
   目的
   予備知識
   目標
   内容
   必要な資料
   提示の方法
   展開の仕方
   技能チェックリスト
   評価の方法
   記録の方法
  視覚資料・例1 正常な血糖値とインスリン値
  視覚資料・例2 インスリンの作用時間
  視覚資料・例3 従来のインスリンプログラム
  視覚資料・例4 強化インスリンプログラム
  視覚資料・例5 インスリンと食事のタイミング
  参考資料・例1 インスリンの比較
  参考資料・例2 強化インスリン療法プログラム
  参考資料・例3 低血糖の処置
  参考資料・例4 グルカゴンの使い方
 参考文献

資料編

 医療専門職のための情報源
 糖尿病患者のための情報源
 補助文献
 教育目標のサンプル
 アメリカ糖尿病協会の教材
 アメリカ糖尿病協会について

索引