はじめに

　本テキストは，1昨年，大阪府社会福祉協議会大阪社会福祉研修センターが実施しました「介護支援専門員習熟研修会」の講義録をもとにし，その後，講師に加筆修正いただいたものです．
　「介護支援専門員習熟研修会」は，本会が担当実施いたしました介護支援専門員実務研修受講者の意見・要望を受けとめて企画をしたもので，講師・受講者共々モチベーションを高めながら研修を進行し，大きな手応えとさらなる課題が感じられた研修でした．
　平成12年4月にわが国で初めて介護保険制度がスタートし，数か月の混乱は大変なものでした．介護保険によって介護負担が軽減されたり，より質の高いサービスを提供されるようになった利用者の方々は増えました．しかし，利用者の方々の困惑，不安，サービス量の不足など大きな問題が全国に渦巻きました．一方，利用者をサポートする介護支援専門員の多くは，予想より厳しい業務環境に陥りました．ケアプランを作成するための深夜業，給付管理に追われる日々．そのなかで，いかに利用者の声と思いを受けとめた仕事ができるのかという葛藤を抱えつつ利用者とその家族を支えてこられました．
　このような大きな波を乗り越えてこられた全国の介護支援専門員の皆さまに「介護支援専門員習熟研修テキストPart 2」をおおくりします．今回は，関西学院大学の渡部律子教授の「相談面接技術トレーニング」に絞って発行することになりました．
　本書を読み進まれると，介護支援専門員にとって相談援助面接技術が大変重要な習得課題であると痛感されることでしょう．基本視点からはじまり演習を豊富に掲載して，実際のトレーニングに生かせるように工夫されています．自習用にまたグループ学習用にぜひご活用ください．介護支援専門員としての力量アップがはかられますことを確信しております．
　なお，和歌山市で起こりました介護支援専門員による事件は，全国に強い衝撃を与えました．事件後の5月20日に開催されました「大阪府介護支援専門員協会」（2000年3月結成）では，昨年5月より検討をかさねていた「倫理綱領」が採択され，和歌山事件をふまえて「介護支援専門員の信頼回復にむけての緊急声明」が発表されました．協会の先駆的で真摯な取り組みに敬意を表しますとともに，全国の皆様にお伝え申し上げます．
　最後に，今回執筆者であり，ご多忙ななか介護支援専門員へいつもあたたかいご支援を続けてくださっておられます渡部律子教授に深く感謝申し上げます．また，日々高齢者福祉に奔走しつつ本企画に熱心にご協力いただいております社団法人日本社会福祉士会会長（大阪社会福祉士会会長）の杉村和子氏と(有)たむらソーシャルネット代表の田村満子氏に厚くお礼申し上げます．
　2001年7月　社会福祉法人大阪府社会福祉協議会