やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第2版の序
 2001年に大綱化カリキュラムへの改訂に対応して第1版が出版されて以来,さまざまなご意見,ご助言をいただき,感謝する次第である.今回第2版を刊行するにいたった.
 第2版の特徴として,以下の3点があげられる.
 第1点は図版を2色化し,より見やすくし,人体構造をより理解しやすいように努めたこと,第2点は人体構造について,さらにより理解を深めるために,必要と思われる図を新たに追加したこと,第3点は用語に欧文を付したことである.
 第1版でも述べているが,21世紀の医学・医療の臨床各分野に対応できる学問体系としての基本的な考え方がこの本の内容に含まれており,解剖用語の記憶にとどまらず,臨床医学における科学的思考の基盤形成に役立てることを望んでやまない.
 2005年 初春
 佐藤健次

第1版の序
 解剖学は人体の基本的な構造を知るための最も基礎的な学問であるとともに,医学・医療系専門科目の出発点として学ぶ重要な学問でもある.
 人体解剖学は先人たちの多大なる業績のもとに,体系化され,完成された学問とされているが,超音波診断や外科手術の向上とともに,近年新たな知見も見いだされ,さらに発展する学問であるとも考えられる.
 本書は臨床検査技師のみならず,医療系の高度専門職業人を目指すコメディカル・サイエンス領域の方がたに医学・医療の諸分野を理解する基礎知識として十分役立てていただけるよう,臨床各分野との関連をも考慮に入れ,肉眼解剖学を中心に組織学的記載を併せて,できるかぎり図版を多くしつつ簡明に記述した.
 今回,カリキュラムの改正(大綱化)にあたり,多くの模式図を組み入れることにより,その内容を一新し,読者の理解が深まるように努力し,さらには解剖学としての学問体系の基本的な考え方についてもふれておくこととした.
 本書を学んだ諸君が科学的思考基盤をもち,新たな時代の要請に対応しえる知識・技術を有したコメディカル・サイエンティストとして十分に能力を発揮すべく巣立っていくことを強く望むものである.
 最後に,本書を作製するに際し,ご意見,ご要望,ご助言などを賜りました多くの方がたに対して深く感謝する次第である.
 2001年 春
 佐藤健次
第1章 序論
 I.解剖学とは
 II.体形の概要
 III.人体の構成単位
第2章 細胞,組織と発生
 I.細胞
  1-細胞の構造
   [1]細胞核 [2]細胞質
  2-細胞分裂
   [1]有糸分裂と無糸分裂 [2]細胞周期 [3]減数分裂 [4]細胞の増殖
 II.組織の種類
  1-上皮組織
  2-支持組織
   [1]結合組織 [2]軟骨組織 [3]骨組織 [4]血液とリンパ
  3-筋組織
   [1]骨格筋 [2]平滑筋 [3]心筋
  4-神経組織
 III.ヒトの発生
  1-受精,着床
  2-胚葉形成
  3-組織・器官発生
  4-外形の変化
第3章 骨格系
 I.総論
  1-骨の働き
  2-骨の形状
  3-骨の構造
  4-骨の発生と成長
   [1]骨の発生 [2]骨の成長
  5-骨の連結
   [1]不動結合 [2]可動結合
  6-関節
   [1]関節の構造 [2]関節の数による分類 [3]運動軸による関節の分類
 II.各論
  1-頭蓋骨
   [1]脳頭蓋 [2]顔面頭蓋
  2-体幹の骨
   [1]椎骨の基本型 [2]頚椎 [3]胸椎 [4]腰椎 [5]仙骨 [6]尾骨 [7]胸郭 [8]骨盤
  3-上肢の骨
   [1]上肢帯骨 [2]上腕骨 [3]前腕骨 [4]手の骨
  4-下肢の骨
   [1]下肢帯骨 [2]大腿骨 [3]下腿骨 [4]足の骨
  5-代表的な関節
第4章 筋系
 I.総論
  1-筋の形と構造
  2-筋の補助装置
  3-筋線維の性状による筋分類
  4-骨格筋の分類
 II.各論
  1-頭頚部の筋
   [1]表情筋 [2]咀嚼筋(深頭筋群)
  2-頚部の筋
   [1]浅頚筋 [2]側頚筋 [3]前頚筋群 [4]後頚筋
  3-胸部の筋
   [1]浅胸筋 [2]深胸筋 [3]横隔膜
  4-腹部の筋
   [1]前腹壁筋 [2]側腹筋 [3]後腹筋
  5-背部の筋
   [1]浅背筋 [2]深背筋
  6-上肢の筋
   [1]上肢帯筋群 [2]上腕筋 [3]前腕筋群 [4]手の筋群
  7-下肢の筋
   [1]下肢帯筋群 [2]大腿筋群 [3]下腿筋群 [4]足の筋群
第5章 脈管系
 I.血管系
  1-血液循環
   [1]血液循環 [2]胎生期の循環系
 II.動脈系
  1-動脈壁の構造
  2-心臓
   [1]心臓の弁膜 [2]心臓壁の構造 [3]心臓の刺激伝導系 [4]心臓の栄養血管
  3-大動脈系
   [1]大動脈 [2]脳の動脈 [3]顔部と頚部の動脈 [4]腹大動脈の枝 [5]総腸骨動脈 [6]上肢の動脈 [7]下肢の動脈 [8]触診可能な動脈
 III.静脈系
  1-大静脈系
   [1]上大静脈 [2]下大静脈
  2-奇静脈系
  3-皮静脈系
  4-門脈系
 IV.リンパ系
  1-リンパ系の構成
  2-リンパ本幹
   [1]一次リンパ本幹 [2]二次リンパ本幹
  3-リンパ節の構造
   [1]リンパ管とリンパ節 [2]領域リンパ節
  4-リンパ性器官
 V.胸腺と脾臓
  1-胸腺
  2-脾臓
第6章 呼吸器系
  1-鼻
  2-副鼻腔
  3-咽頭
  4-喉頭
   [1]喉頭軟骨 [2]声門 [3]支配神経
  5-気管と気管支
  6-肺
   [1]肺の位置関係 [2]肺の区域 [3]肺の組織構造
  7-胸腔(胸膜腔)
  8-縦隔
第7章 消化器系
 I.総論
  1-消化管の構成
  2-消化管の組織構造
   [1]粘膜 [2]筋層 [3]漿膜または外膜
 II.各論
  1-口腔
   [1]口唇 [2]歯 [3]口蓋 [4]舌 [5]口腔腺
  2-咽頭
   [1]鼻部 [2]口部 [3]喉頭部 [4]粘膜構造
  3-食道
   [1]粘膜構造
  4-胃
   [1]胃の形状 [2]胃の構造
  5-小腸
   [1]十二指腸 [2]空腸と回腸 [3]小腸の構造
  6-大腸
   [1]盲腸 [2]結腸 [3]直腸 [4]大腸の構造
  7-肛門
   [1]肛門管の構造
  8-肝臓
   [1]肝臓の位置関係 [2]肝臓の構造
  9-胆嚢
  10-膵臓
   [1]膵臓の構造
 III.腹腔(腹膜腔)
第8章 内分泌系
  1-下垂体(脳下垂体)
   [1]下垂体前葉 [2]下垂体中間部 [3]下垂体後葉
  2-松果体
  3-甲状腺
  4-上皮小体(副甲状腺)
  5-副腎(腎上体)
  6-性腺
   [1]精巣 [2]卵巣
  7-膵臓
第9章 生殖器系
 I.男性生殖器
   [1]精巣(睾丸) [2]精巣上体(副睾丸) [3]精管 [4]前立腺 [5]尿道球腺(カウパー腺) [6]陰茎 [7]陰嚢 [8]精巣下降
 II.女性生殖器
   [1]卵巣 [2]卵管 [3]子宮 [4]腟 [5]女性外陰部 [6]会陰
第10章 泌尿器系
  1-腎臓
   [1]髄質と皮質 [2]腎小体 [3]尿細管 [4]腎動脈の腎内分布
  2-尿管
  3-膀胱
  4-尿道
   [1]男性の尿道 [2]女性の尿道   5-尿生殖三角
第11章 神経系
 I.中枢神経系
  1-大脳(終脳)
   [1]大脳の構造
  2-小脳
  3-間脳
  4-中脳
  5-橋
  6-延髄
  7-脳室
  8-脳脊髄膜
  9-脊髄
   [1]灰白質 [2]白質 [3]脊髄の伝導路
 II.末梢神経系
  1-脳脊髄神経
   [1]脳神経
  2-脊髄神経
   [1]脊髄神経の重要な枝
  3-自律神経
   [1]交感神経系 [2]副交感神経系
第12章 感覚器系
  1-視覚器
   [1]視覚器の構造 [2]視覚器の組織構造 [3]眼球の神経支配 [4]副眼器(付属器)
  2-聴覚器・平衡覚器
   [1]外耳 [2]中耳 [3]内耳
  3-味覚器
  4-嗅覚器
  5-皮膚
   [1]皮膚の付属器
第13章 横断解剖
索引