序
1987年のカリキュラム改正では従来臨床検査総論I,IIとされていたものが検査総論,検査管理総論,臨床検査総論の3つに分けられた.その際,本書は前2者に関する事項を除き,新たに一般検査の新しい検査項目や新知見を加え,さらに「定性試験紙の取り扱い」の項を設けた.
その後約10年間の医学,臨床検査技術の進歩,発展はまことにめざましいものがあり,毎回部分的な修正は行ってきたものの,もはや根本的に改訂を行う必要があると感じられるようになった.とくに,内視鏡検査,超音波検査の進歩は著しく,そのため臨床現場においては胃液や十二指腸液検査が行われる頻度はきわめてまれとなった.
前回の改訂では,これらの項目を大幅に割愛し,基本的項目のみにとどめ,採血器具その他に関しても若干の修正を加えるにとどめた.このとき改訂をしたのは尿タンパクの定性・定量法の項と尿沈渣の項である.尿沈渣については,「尿沈渣検査法」や日本臨床検査標準協議会の「提案指針」をもとに改訂した.また新たに妊娠反応の項を設けたほかに,現状に即して若干の修正を加えた.
今回は,2000年4月のカリキュラム改正に基づいてさらに若干の修正を行った.とくに検査結果と疾患との関係についてより詳しく説明を加えた.検査機器の自動化,システム化の急激な進歩のため,学校教育と検査現場との隔たりが大きく,教育の現場で何をやるべきか大変考えさせられるのが現状である.病院の検査現場ではもはや用手法で検査することはほとんどなくなっているが,どんな状況でも対応できるような基礎的な学力をつけるよう,また教科書であるという観点から必要と思われるもの,歴史的な検査法などは残した.
本書が学生の教科書として,また臨床検査における手引書として,引き続き愛用されることを望むものである.また,今後より良いテキストとするため,各方面からのご意見やご叱正をいただければ幸いである.
2001年2月 著者
1987年のカリキュラム改正では従来臨床検査総論I,IIとされていたものが検査総論,検査管理総論,臨床検査総論の3つに分けられた.その際,本書は前2者に関する事項を除き,新たに一般検査の新しい検査項目や新知見を加え,さらに「定性試験紙の取り扱い」の項を設けた.
その後約10年間の医学,臨床検査技術の進歩,発展はまことにめざましいものがあり,毎回部分的な修正は行ってきたものの,もはや根本的に改訂を行う必要があると感じられるようになった.とくに,内視鏡検査,超音波検査の進歩は著しく,そのため臨床現場においては胃液や十二指腸液検査が行われる頻度はきわめてまれとなった.
前回の改訂では,これらの項目を大幅に割愛し,基本的項目のみにとどめ,採血器具その他に関しても若干の修正を加えるにとどめた.このとき改訂をしたのは尿タンパクの定性・定量法の項と尿沈渣の項である.尿沈渣については,「尿沈渣検査法」や日本臨床検査標準協議会の「提案指針」をもとに改訂した.また新たに妊娠反応の項を設けたほかに,現状に即して若干の修正を加えた.
今回は,2000年4月のカリキュラム改正に基づいてさらに若干の修正を行った.とくに検査結果と疾患との関係についてより詳しく説明を加えた.検査機器の自動化,システム化の急激な進歩のため,学校教育と検査現場との隔たりが大きく,教育の現場で何をやるべきか大変考えさせられるのが現状である.病院の検査現場ではもはや用手法で検査することはほとんどなくなっているが,どんな状況でも対応できるような基礎的な学力をつけるよう,また教科書であるという観点から必要と思われるもの,歴史的な検査法などは残した.
本書が学生の教科書として,また臨床検査における手引書として,引き続き愛用されることを望むものである.また,今後より良いテキストとするため,各方面からのご意見やご叱正をいただければ幸いである.
2001年2月 著者
序
カラー図版
第I章 臨床検査技師の役割と使命
I.発達の歴史と将来性
II.医療チームと検査技師
第II章 臨床検査に関する心構えと一般的注意
第III章 採血法
I.採血行為の範囲
II.採血の種類
III.採血に際しての注意事項
1-採血目的の認識
2-患者の不安感の解消
3-採血に対する十分な準備
4-手技の熟練
5-感染の予防
6-採血事故とその対策
IV.毛細管血の採血
1-目的
2-使用器具
3-耳垂(耳朶)採血
4-指頭採血
5-足底採血
V.静脈採血
1-使用器具
2-採血部位の解剖学
3-採血手技
VI.乳幼児の採血
1-毛細管血の採血
2-静脈血の採血
VII.採血後の管理
1-名前とラベルの確認
2-抗凝固法
3-血清・血漿の分離
4-血液の保存
第IV章 一般検査
1.概論
I.一般検査とは
II.一般検査の範囲
III.一般検査の重要性
IV.簡易検査法とは
V.簡易検査施行上の注意
2.尿 urine
I.基礎知識
1-尿検査の重要性
2-尿の生成
3-尿の組成
4-尿の種類と採尿法
5-尿の防腐・保存法
II.一般的性状
1-尿量
2-外観
3-尿比重
4-尿浸透圧
5-反応(pH)
III.尿定性試験紙の取り扱い
1-種類
2-保存法
3-操作法
4-判定
5-精度管理
IV.化学的検査
〔A〕タンパク質 protein
1-予備知識
2-尿タンパク定性,半定量試験
3-尿タンパク定量法
4-特殊タンパク体
5-尿タンパク質検査の意義と評価
〔B〕糖 Sugar
1-予備知識
2-尿糖の定性,半定量法
3-定量法
4-尿糖検査の意義と評価
〔C〕アセトン体(ケトン体)acetone bodies
1-予備知識
2-定性,半定量法
3-アセトン尿検査の意義と評価
〔D〕胆汁色素(ビリルビン)bilirubin
1-予備知識
〔E〕ウロビリン体 urobilin bodies
1-予備知識
2-ウロビリノゲン検査法
3-ウロビリン検査法
4-黄疸尿検査の意義と評価
〔F〕ポルフィリン体・ポルホビリノゲン porphyrin bodies・porphobilinogen
1-予備知識
2-採尿と保存方法
3-ポルフィリン体定性検査法
4-ポルホビリノゲン定性検査法
5-尿ポルフィリン体検査の意義と評価
〔G〕フェニルケトン体 phenylketone bodies
1-予備知識
2-試験紙法
3-尿濾紙法
4-ガスリー法
〔H〕アルカプトン alcapton
〔I〕血尿および血色素尿 hematuria and hemoglobinuria
〔J〕5-ヒドロキシインドール酢酸 5-Hydroxyindoleacetic acid
〔K〕バニリルマンデル酸 Vanillylmandelic acid
〔L〕脂肪 fat
〔M〕インジカン indican
1-予備知識
2-検査法
3-尿インジカン検査の意義と評価
〔N〕妊娠反応
V.腎機能検査
1-尿濃縮・希釈試験
2-フィッシュバーグ濃縮試験
3-PSP(phenolsulfonphthalein)排泄試験
VI.尿沈渣の形態学的検査法
1-採尿,保存法
2-鏡検用標本の作製法
3-尿沈渣の染色法
4-鏡検法
5-鏡検所見
6-定量検査法(Addis法)
7-尿沈渣検査の意義と評価
VII.細菌尿の定性
1-尿中亜硝酸塩の検出
3.糞便 feces
I.基礎知識
1-糞便の成分
2-採便,保存法
3-量
4-臭気
II.一般的性状
1-形状
2-色調
3-病的付着物
III.化学的検査
1-反応
2-潜血反応
3-胆汁成分
4-トリブレー反応
IV.顕微鏡的検査
1-前準備
2-塗抹標本の作り方
3-食物残渣
4-細胞成分
5-寄生虫卵
4.喀痰 sputum
I.基礎知識
1-喀痰の採取法
2-喀痰の保存
II.一般的性状
1-量
2-外観
3-臭気
4-異常物質
III.顕微鏡的検査
1-鏡検標本の作り方
2-好酸球
3-弾力線維
4-シャルコー・ライデンの結晶
5-心臓病細胞
6-放線菌ドルーゼ
5.胃液 gastric juice
I.基礎知識
1-胃液の成分
2-胃液検査の目的
3-胃液採取法
II.一般的性状
III.顕微鏡的検査
IV.化学的検査
1-酸度測定
6.十二指腸液 duodenal juice
I.胆汁採取法
1-ゾンデの挿入法
2-採液法
II.一般的性状
1-混濁
2-色調
III.顕微鏡的検査
IV.胆汁検査の意義
V.膵液の検査
1-膵液の採取
2-pancreozymin-secretin試験(PS test)
3-膵液検査の臨床的意義
7.脳脊髄液 cerebrospinal fluid
I.基礎知識
1-脳脊髄液の生成,成分
2-採取法
II.一般的性状
1-圧測定
2-色調
3-混濁
4-反応
5-比重
III.細胞学的検査
1-細胞数の算定法
2-細胞種類の検査
3-細胞学的検査の意義と評価
IV.化学的検査
1-総タンパク量
2-グロブリン反応
3-タンパク分画
4-膠質反応
5-髄液の糖
6-トリプトファン反応
7-髄液のクロール
8.穿刺液 punctured fluid
I.基礎知識
II.一般的性状
1-外観
2-比重
III.化学的検査
1-Rivalta反応
2-Runeberg反応
3-総タンパク量測定
IV.細胞学的検査
V.細菌学的検査
VI.穿刺液検査の意義と評価
和文索引
欧文索引
カラー図版
第I章 臨床検査技師の役割と使命
I.発達の歴史と将来性
II.医療チームと検査技師
第II章 臨床検査に関する心構えと一般的注意
第III章 採血法
I.採血行為の範囲
II.採血の種類
III.採血に際しての注意事項
1-採血目的の認識
2-患者の不安感の解消
3-採血に対する十分な準備
4-手技の熟練
5-感染の予防
6-採血事故とその対策
IV.毛細管血の採血
1-目的
2-使用器具
3-耳垂(耳朶)採血
4-指頭採血
5-足底採血
V.静脈採血
1-使用器具
2-採血部位の解剖学
3-採血手技
VI.乳幼児の採血
1-毛細管血の採血
2-静脈血の採血
VII.採血後の管理
1-名前とラベルの確認
2-抗凝固法
3-血清・血漿の分離
4-血液の保存
第IV章 一般検査
1.概論
I.一般検査とは
II.一般検査の範囲
III.一般検査の重要性
IV.簡易検査法とは
V.簡易検査施行上の注意
2.尿 urine
I.基礎知識
1-尿検査の重要性
2-尿の生成
3-尿の組成
4-尿の種類と採尿法
5-尿の防腐・保存法
II.一般的性状
1-尿量
2-外観
3-尿比重
4-尿浸透圧
5-反応(pH)
III.尿定性試験紙の取り扱い
1-種類
2-保存法
3-操作法
4-判定
5-精度管理
IV.化学的検査
〔A〕タンパク質 protein
1-予備知識
2-尿タンパク定性,半定量試験
3-尿タンパク定量法
4-特殊タンパク体
5-尿タンパク質検査の意義と評価
〔B〕糖 Sugar
1-予備知識
2-尿糖の定性,半定量法
3-定量法
4-尿糖検査の意義と評価
〔C〕アセトン体(ケトン体)acetone bodies
1-予備知識
2-定性,半定量法
3-アセトン尿検査の意義と評価
〔D〕胆汁色素(ビリルビン)bilirubin
1-予備知識
〔E〕ウロビリン体 urobilin bodies
1-予備知識
2-ウロビリノゲン検査法
3-ウロビリン検査法
4-黄疸尿検査の意義と評価
〔F〕ポルフィリン体・ポルホビリノゲン porphyrin bodies・porphobilinogen
1-予備知識
2-採尿と保存方法
3-ポルフィリン体定性検査法
4-ポルホビリノゲン定性検査法
5-尿ポルフィリン体検査の意義と評価
〔G〕フェニルケトン体 phenylketone bodies
1-予備知識
2-試験紙法
3-尿濾紙法
4-ガスリー法
〔H〕アルカプトン alcapton
〔I〕血尿および血色素尿 hematuria and hemoglobinuria
〔J〕5-ヒドロキシインドール酢酸 5-Hydroxyindoleacetic acid
〔K〕バニリルマンデル酸 Vanillylmandelic acid
〔L〕脂肪 fat
〔M〕インジカン indican
1-予備知識
2-検査法
3-尿インジカン検査の意義と評価
〔N〕妊娠反応
V.腎機能検査
1-尿濃縮・希釈試験
2-フィッシュバーグ濃縮試験
3-PSP(phenolsulfonphthalein)排泄試験
VI.尿沈渣の形態学的検査法
1-採尿,保存法
2-鏡検用標本の作製法
3-尿沈渣の染色法
4-鏡検法
5-鏡検所見
6-定量検査法(Addis法)
7-尿沈渣検査の意義と評価
VII.細菌尿の定性
1-尿中亜硝酸塩の検出
3.糞便 feces
I.基礎知識
1-糞便の成分
2-採便,保存法
3-量
4-臭気
II.一般的性状
1-形状
2-色調
3-病的付着物
III.化学的検査
1-反応
2-潜血反応
3-胆汁成分
4-トリブレー反応
IV.顕微鏡的検査
1-前準備
2-塗抹標本の作り方
3-食物残渣
4-細胞成分
5-寄生虫卵
4.喀痰 sputum
I.基礎知識
1-喀痰の採取法
2-喀痰の保存
II.一般的性状
1-量
2-外観
3-臭気
4-異常物質
III.顕微鏡的検査
1-鏡検標本の作り方
2-好酸球
3-弾力線維
4-シャルコー・ライデンの結晶
5-心臓病細胞
6-放線菌ドルーゼ
5.胃液 gastric juice
I.基礎知識
1-胃液の成分
2-胃液検査の目的
3-胃液採取法
II.一般的性状
III.顕微鏡的検査
IV.化学的検査
1-酸度測定
6.十二指腸液 duodenal juice
I.胆汁採取法
1-ゾンデの挿入法
2-採液法
II.一般的性状
1-混濁
2-色調
III.顕微鏡的検査
IV.胆汁検査の意義
V.膵液の検査
1-膵液の採取
2-pancreozymin-secretin試験(PS test)
3-膵液検査の臨床的意義
7.脳脊髄液 cerebrospinal fluid
I.基礎知識
1-脳脊髄液の生成,成分
2-採取法
II.一般的性状
1-圧測定
2-色調
3-混濁
4-反応
5-比重
III.細胞学的検査
1-細胞数の算定法
2-細胞種類の検査
3-細胞学的検査の意義と評価
IV.化学的検査
1-総タンパク量
2-グロブリン反応
3-タンパク分画
4-膠質反応
5-髄液の糖
6-トリプトファン反応
7-髄液のクロール
8.穿刺液 punctured fluid
I.基礎知識
II.一般的性状
1-外観
2-比重
III.化学的検査
1-Rivalta反応
2-Runeberg反応
3-総タンパク量測定
IV.細胞学的検査
V.細菌学的検査
VI.穿刺液検査の意義と評価
和文索引
欧文索引