やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

発刊の序
 臨床検査技師になるためには,幅広い領域についての知識を短期間のうちに習得することが求められている.またその内容は,医学・検査技術の進歩に伴い常に新しくなっている.さらに,学生生活を締めくくり実社会に出ていくための関門となる国家試験はきわめて難関で,臨床検査技師を目指す学生の負担は大きい.
 本書は,膨大な量の知識を獲得しなければならない学生に対し,効率的に学習を進めるために,そして少しでも勉強に役立つよう,学校での授業の理解を深め,平素の学習と国家試験対策に利用できるように配慮してつくられた.国家試験出題基準をベースに構成され,臨床検査技師教育に造詣の深い教師陣により,知っておかなければならない必須の知識がまとめられている.
 「学習の目標」では,国家試験出題基準に収載されている用語を中心に,その領域におけるキーワードを掲載し,「まとめ」では,知識の整理を促すようわかりやすく簡潔に解説することを心掛けた.一通り概要がつかめたら,◯×式問題の「セルフ・チェックA」で理解度を確認し,要点が理解できたら,今度は国家試験と同じ出題形式の「セルフ・チェックB」に挑戦してもらいたい.間違えた問題は,確実に知識が定着するまで「まとめ」を何度も振り返ることで確かな知識を得ることができる.「コラム」には国家試験の出題傾向やトピックスが紹介されているので,気分転換を兼ねて目を通すことをおすすめする.
 持ち運びしやすい大きさを意識して作られているので,電車やバスの中などでも活用していただきたい.本書を何度も開き段階を追って学習を進めることにより,自信をもって国家試験に臨むことができるようになるだろう.
 最後に,臨床検査技師を目指す学生の皆さんが無事に国家試験に合格され,臨床検査技師としてさまざまな世界で活躍されることを心から祈っております.
 新臨床検査技師教育研究会



 『臨床検査知識の整理』と題するシリーズが企画されたのは1980年頃である.当時,医歯薬出版で出版していた教科書は表紙が赤であったことから,「赤本」とよばれていた.そこで本シリーズの表紙は「青本」とよばれるように表紙を青にすることに決まり,さらに同じ時期に色鮮やかな青のユニフォームの西武ライオンズが話題をさらったことにあやかって色鮮やかな青を選んだという経緯がある.
 編者は新臨床検査技師教育研究会になっていたが,『臨床化学』は実は私が今日までずっと一人で書き続けてきた本である.何回かの改訂のたびに,時代に取り残されないように,国家試験問題などを参考にして,力を入れて書き改めてきた.今回,このシリーズが『ポケットマスター臨床検査知識の整理』と名前を変えてリニューアルするにあたって編者に私の名前が出ると知ったときは本当に望外の喜びであった.これを機会に,新たな息吹を入れてさらに充実した内容になるように,執筆者に私の教え子である,栗原由利子氏と外園栄作氏に加わってもらった.
 化学,生化学そして臨床化学と項目ごとに一本の道にまとめ,順を追って読んでいけばすんなり頭に入っていく構成とした.国家試験対策用に使ってもらうことを念頭に入れたが,さらに臨床現場で学生を指導する臨床検査技師の方にも有用な本であることを願っている.
 発刊にあたり,本書編集にご協力いただいた平林幸氏に深く感謝するとともに,在職中は旧シリーズに力を注いでくれ,さらに定年退職するにあたってポケットマスターとしてリニューアル刊行を決めていただいた,塗木誠治氏に深く感謝いたします.
 2019年1月
 芝 紀代子
1 生命のメカニズム
2 生物化学分析の原理と方法
3 無機質
4 糖質
5 脂質
6 蛋白質
7 非蛋白性窒素
8 生体色素
9 酵素
10 薬物,毒物(血中薬物モニタリング)
11 骨代謝
12 ホルモン
13 ビタミン
14 疾患マーカー
15 そのほかの検査
 索引