やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

発刊の序
 臨床検査技師になるためには,幅広い領域についての知識を短期間のうちに習得することが求められている.またその内容は,医学・検査技術の進歩に伴い常に新しくなっている.さらに,学生生活を締めくくり実社会に出ていくための関門となる国家試験はきわめて難関で,臨床検査技師を目指す学生の負担は大きい.
 本書は,膨大な量の知識を獲得しなければならない学生に対し,効率的に学習を進めるために,そして少しでも勉強に役立つよう,学校での授業の理解を深め,平素の学習と国家試験対策に利用できるように配慮してつくられた.国家試験出題基準をベースに構成され,臨床検査技師教育に造詣の深い教師陣により,知っておかなければならない必須の知識がまとめられている.
 「学習の目標」では,国家試験出題基準に収載されている用語を中心に,その領域におけるキーワードを掲載し,「まとめ」では,知識の整理を促すようわかりやすく簡潔に解説することを心掛けた.一通り概要がつかめたら,◯×式問題の「セルフ・チェックA」で理解度を確認し,要点が理解できたら,今度は国家試験と同じ出題形式の「セルフ・チェックB」に挑戦してもらいたい.間違えた問題は,確実に知識が定着するまで「まとめ」を何度も振り返ることで確かな知識を得ることができる.「コラム」には国家試験の出題傾向やトピックスが紹介されているので,気分転換を兼ねて目を通すことをおすすめする.
 今回,購入者特典として,スマートフォンやタブレットで閲覧でき,どこでも学習できるよう電子版を用意した.書籍とあわせて,電車やバスの中などでも活用していただきたい.本書を何度も開き段階を追って学習を進めることにより,自信をもって国家試験に臨むことができるようになるだろう.
 最後に,臨床検査技師を目指す学生の皆さんが無事に国家試験に合格され,臨床検査技師としてさまざまな世界で活躍されることを心から祈っております.
 新臨床検査技師教育研究会




 『ポケットマスター臨床検査知識の整理 遺伝子・染色体検査学』は,『最新臨床検査学講座 遺伝子・染色体検査学』をもとに,臨床検査技師国家試験対策に対応した基礎知識の整理を目的につくられています.また,臨床検査技師国家試験対策のみならず,その先にある遺伝子関連認定試験など,卒後のスキルアップを目指した試験準備の副読本としても十分利用できる内容となっています.
 遺伝子検査は,平成30年12月に施行される医療法の改正により,精度管理確保のため,業務経験を有する医師または臨床検査技師の責任者の配置が求められており,臨床検査技師にとってその重要性がますます高まっています.
 そのようななかで,本書は,遺伝子の基礎と遺伝子異常と疾患,遺伝子検査法,染色体の基礎と染色体検査法に分かれて専門家に分担していただき,できるだけわかりやすい内容に努めるよう執筆されています.また,重要な語句や関連事項をコラムで解説し,理解の助けとなるよう工夫されており,効率よく国家試験に必要な知識や臨床に役立つ要点を習得できるようになっています.自身の知識を確認するためや実務初心者の知識確認に,ぜひ本書を利用してほしいと考えています.
 2018年11月
 編者を代表して 大島利夫
1 遺伝子の基礎
 A 細胞の構造と機能
 B 遺伝子の構造と機能
 C DNAの複製
 D 遺伝情報の伝達と発現
 E 遺伝子の異常
2 遺伝子検査法
 A 遺伝子関連検査の種類
 B 検体の取扱い
 C 核酸抽出
 D 核酸増幅
 E 解析法
 F 倫理
 G 検査機器
3 染色体の基礎
 A 染色体の構造と機能
 B 分類と命名法
 C ヒトの染色体地図
 D 染色体の異常
4 染色体検査法
 A 細胞培養法
 B 標本作製法
 C 分染法
 D 核型分析
 E fluorescence in situ hybridization〈FISH法〉
 F 検査機器

 索引