はじめに がん治療からリハビリテーションへの展開
口腔・中咽頭は,構音や摂食・嚥下が行なわれる場そのものであり,そこに発生したがんを治療すれば多かれ少なかれ構音や摂食・嚥下機能が障害される.特に手術を行えば,切除部が欠損になるばかりでなく,周辺の運動や知覚も障害されることがある.放射線治療も行えば,さらに頑固な口腔乾燥にも悩まされる.頚部リンパ節転移に対する頚部郭清術が行われれば,頚部・肩の運動障害を起こすこともある.切除部の解剖学的欠損に対しては,再建外科の進歩により即時再建が可能となり治療期間が短縮されるなど大きな進歩が見られる.それに対して障害へのアプローチは,機能訓練,歯科補綴的手法,機能改善手術などが個々には行われているものの,リハビリテーション医療としての系統的なとり組みやチームアプローチはあまり行なわれていない.
口腔・中咽頭がんの治療は,放射線治療と手術を主体に行われている.早期がんであれば放射線治療だけで治癒する可能性が高く,治療後の障害は比較的軽度ですむし,生命予後も比較的よい.進行がんでは手術が必要となり,さらに術後(術前の場合もあるが)の放射線治療や抗がん剤による化学療法を併用することが多くなる.がんが進行しているほど治療内容は複雑化し,治療後の障害は重度になり,さらに大きな問題として生命の予後(見通し)も不良となる.口腔・中咽頭がんの治療成績(5年生存率)は次第に向上してきたものの,現在でもおおよそ50〜60%である.口腔・中咽頭がんは日本全国で年間数千人が発症しているものと推定される.
病名告知の有無を問わず,生命予後に不安をもち,さらに治療後の障害に直面した口腔・中咽頭がん患者に対する医療は,これまでがん治療医(以下治療医)や看護職が中心となって行なわれてきた.しかし,それだけでは十分な対処はできず,患者の自主的努力や家族の介助・支援に頼るところが大きかった.口腔・中咽頭がんでは,その特殊性から最初の治療からフォローアップはもちろん,経過が悪ければターミナルケアも同一施設で一貫してかかわることが多く,それなりの利点のある一方,患者と接する医療スタッフが限定されることによる弱点も併せもつことになる.がん治療の柱の1つとして,リハビリテーションの必要性は唱えられてはきたが,そこまでなかなか手が回らない現状や,せまく術後治療としてとらえられていたりで,全人間的な復権を目指す“障害の医学”としてのリハビリテーションの視点をもった取り組みは少なかった.
各地にあるがん治療の専門施設に,常勤のリハスタッフや補綴を専門とする歯科医はほとんどいない.また大学病院や総合病院にはリハスタッフはいても,それぞれの事情で口腔・中咽頭がん治療後のリハビリテーションにあたることは少ない.一方,リハビリテーションに関する情報の広がりから,口腔・中咽頭がん治療後の患者が,障害の軽減を願ってリハスタッフのいる施設を探して相談に行ったり,リハビリテーション科を受診する事例がみられるようになった.これも患者の自主的努力である.ところがリハサイドからは「いったい何をしてよいのか,さっぱり分からない」との戸惑いの声が聞こえたりする.何の準備もないところにいきなり受診されるのだから,無理もない.このような状況の中で,「口腔・中咽頭がんの治療後のリハビリテーションも扱う」という意思表示が一部ではあるがリハサイドからもなされつつあることは,患者に役立つばかりではなく,治療医をはじめとした治療スタッフ側にも大きな光明をもたらすものと思われる.
口腔・中咽頭がんと診断され,治療医から手術が必要と説明を受けた患者は短期間に多くのことを考え,決断しなければならない.書店へ走って医学書を買い漁っても,どんぴしゃりの記載を見つけることはまずできない.喉頭摘出後のような,指導・援助してくれる患者団体があるわけでもない.治療医や看護職員に尋ねてみるしか情報の入手ができない.「手術をすれば治るのだろうか.手術後はどんな状態になるのだろうか.仕事を続けることはできるのだろうか.手術を避ける方策はないのだろうか」などなど疑問は山積している.そして治療医にいろいろ聞いてみたいのだが「あんまりしつこく聞くと,いやな患者だと思われはしないか」とまで心配する.
治療医には,このケースは手術を避けて通ることはできないという考えがあるが,手術で完治する保障はなく,同じ手術でも術後の障害は一様ではないので「治るためには手術が必要です.術後の障害はある程度覚悟してください」ぐらいの説明になる.もっと詳しく知りたいと思いつつ「手術しなければどうなりますか?」と問えば,「あと2カ月ですね.早く決心してください」こんなやりとりがあったと患者から聞いたことがある.そして家族が「患者を説得する」役回りを負わされることもある.もちろん家族が詳しい知識を授けられているわけではない.
もし,主治医から「私のみたところ,手術が必要ですね.おおよそこんな手術になります.もし手術をしなければですか? 放射線治療とか薬物治療とか,あれこれ考えられますが,やはり治るためには手術を避けては難しいと思います.他の専門医師の意見も聴かれてはどうですか」と,迷う患者にはセカンドオピニオンを求めることを積極的に勧めたり,さらに「術後の障害は大変だと思います.一度,リハビリテーション担当の医師やスタッフのところへ行って,大まかな話を聴いてもらいましょう.治療は私たちが,リハビリテーションは彼らがと,よく相談しながら分担して,精一杯させてもらいます」と,リハビリテーションの実際や効果を担当者から直接説明を受けることができれば,患者は尊重された「自己決定権」に基づいて判断できるようになるのではないだろうか.
ここまで一足飛びには進めないにしても,がん患者の治療からリハビリテーションまでを一連の医療として系統的・組織的にとり組む体勢を整え,決定は患者自身の判断に委ねることが健全な医療の姿として定着していくことを期待したい.現状ではリハビリテーションを行える体勢は,ほとんどと言ってよいほどできていない.医学的管理を含めてリハビリテーションの方針を立てるのはリハビリテーション担当医師の役割だが,がん患者の障害にもとり組むリハビリテーション科の医師か,リハビリテーション医療の考え方のできる治療担当科(耳鼻咽喉科,口腔外科)の医師がそれにあたらなければならない.そのような医師が必要であり,医師から指示や相談を受けて訓練にあたるスタッフも育てなければならない.主たる対象は構音障害,摂食・嚥下障害なので言語聴覚士が中心となろうが,頚部・肩の運動障害では理学療法士にも加わってほしい.他に補綴を専門とする歯科医,歯科衛生士,歯科技工士などの参加を欠かすことはできない.入院中は患者の一番身近にいる看護職の理解・協力も不可欠である.
これらの関連する職種の人達が,口腔・中咽頭がん治療後のリハビリテーションのあり方を理解し,積極的にとり組むきっかけになればと願って本書の出版を企画した.口腔・中咽頭がんのリハビリテーションはこれから始まる分野であるし,考えの至らぬ点も多々あることと思う.明日への糧とするため,感想,異論,批判などを頂戴できれば幸いである.
なお,本書は口腔・中咽頭がんのリハビリテーションを述べたものであり,構音,摂食・嚥下機能の基礎や,訓練法を詳しく述べることを目的としたものではないので,これらについては詳述できなかった.他の成書を参照いただきたい.解剖学的名称や分類,手術法の分類などは原則として『頭頚部癌取扱い規約』(金原出版1991)に基づいて記述した.がんの進行度を示すTNM分類,Stage分類には通常UICCの分類が用いられるが,本書中に1997年版UICC分類を紹介したので参考にしていただきたい.執筆者は,各分野で口腔・中咽頭がんの治療・リハビリテーションに従事する第一線の方々にお願いした.とりわけリハビリテーション科の小山,石田両医師に執筆陣に加わっていただけたことは望外の喜びである.
2000年5月 溝尻源太郎
口腔・中咽頭は,構音や摂食・嚥下が行なわれる場そのものであり,そこに発生したがんを治療すれば多かれ少なかれ構音や摂食・嚥下機能が障害される.特に手術を行えば,切除部が欠損になるばかりでなく,周辺の運動や知覚も障害されることがある.放射線治療も行えば,さらに頑固な口腔乾燥にも悩まされる.頚部リンパ節転移に対する頚部郭清術が行われれば,頚部・肩の運動障害を起こすこともある.切除部の解剖学的欠損に対しては,再建外科の進歩により即時再建が可能となり治療期間が短縮されるなど大きな進歩が見られる.それに対して障害へのアプローチは,機能訓練,歯科補綴的手法,機能改善手術などが個々には行われているものの,リハビリテーション医療としての系統的なとり組みやチームアプローチはあまり行なわれていない.
口腔・中咽頭がんの治療は,放射線治療と手術を主体に行われている.早期がんであれば放射線治療だけで治癒する可能性が高く,治療後の障害は比較的軽度ですむし,生命予後も比較的よい.進行がんでは手術が必要となり,さらに術後(術前の場合もあるが)の放射線治療や抗がん剤による化学療法を併用することが多くなる.がんが進行しているほど治療内容は複雑化し,治療後の障害は重度になり,さらに大きな問題として生命の予後(見通し)も不良となる.口腔・中咽頭がんの治療成績(5年生存率)は次第に向上してきたものの,現在でもおおよそ50〜60%である.口腔・中咽頭がんは日本全国で年間数千人が発症しているものと推定される.
病名告知の有無を問わず,生命予後に不安をもち,さらに治療後の障害に直面した口腔・中咽頭がん患者に対する医療は,これまでがん治療医(以下治療医)や看護職が中心となって行なわれてきた.しかし,それだけでは十分な対処はできず,患者の自主的努力や家族の介助・支援に頼るところが大きかった.口腔・中咽頭がんでは,その特殊性から最初の治療からフォローアップはもちろん,経過が悪ければターミナルケアも同一施設で一貫してかかわることが多く,それなりの利点のある一方,患者と接する医療スタッフが限定されることによる弱点も併せもつことになる.がん治療の柱の1つとして,リハビリテーションの必要性は唱えられてはきたが,そこまでなかなか手が回らない現状や,せまく術後治療としてとらえられていたりで,全人間的な復権を目指す“障害の医学”としてのリハビリテーションの視点をもった取り組みは少なかった.
各地にあるがん治療の専門施設に,常勤のリハスタッフや補綴を専門とする歯科医はほとんどいない.また大学病院や総合病院にはリハスタッフはいても,それぞれの事情で口腔・中咽頭がん治療後のリハビリテーションにあたることは少ない.一方,リハビリテーションに関する情報の広がりから,口腔・中咽頭がん治療後の患者が,障害の軽減を願ってリハスタッフのいる施設を探して相談に行ったり,リハビリテーション科を受診する事例がみられるようになった.これも患者の自主的努力である.ところがリハサイドからは「いったい何をしてよいのか,さっぱり分からない」との戸惑いの声が聞こえたりする.何の準備もないところにいきなり受診されるのだから,無理もない.このような状況の中で,「口腔・中咽頭がんの治療後のリハビリテーションも扱う」という意思表示が一部ではあるがリハサイドからもなされつつあることは,患者に役立つばかりではなく,治療医をはじめとした治療スタッフ側にも大きな光明をもたらすものと思われる.
口腔・中咽頭がんと診断され,治療医から手術が必要と説明を受けた患者は短期間に多くのことを考え,決断しなければならない.書店へ走って医学書を買い漁っても,どんぴしゃりの記載を見つけることはまずできない.喉頭摘出後のような,指導・援助してくれる患者団体があるわけでもない.治療医や看護職員に尋ねてみるしか情報の入手ができない.「手術をすれば治るのだろうか.手術後はどんな状態になるのだろうか.仕事を続けることはできるのだろうか.手術を避ける方策はないのだろうか」などなど疑問は山積している.そして治療医にいろいろ聞いてみたいのだが「あんまりしつこく聞くと,いやな患者だと思われはしないか」とまで心配する.
治療医には,このケースは手術を避けて通ることはできないという考えがあるが,手術で完治する保障はなく,同じ手術でも術後の障害は一様ではないので「治るためには手術が必要です.術後の障害はある程度覚悟してください」ぐらいの説明になる.もっと詳しく知りたいと思いつつ「手術しなければどうなりますか?」と問えば,「あと2カ月ですね.早く決心してください」こんなやりとりがあったと患者から聞いたことがある.そして家族が「患者を説得する」役回りを負わされることもある.もちろん家族が詳しい知識を授けられているわけではない.
もし,主治医から「私のみたところ,手術が必要ですね.おおよそこんな手術になります.もし手術をしなければですか? 放射線治療とか薬物治療とか,あれこれ考えられますが,やはり治るためには手術を避けては難しいと思います.他の専門医師の意見も聴かれてはどうですか」と,迷う患者にはセカンドオピニオンを求めることを積極的に勧めたり,さらに「術後の障害は大変だと思います.一度,リハビリテーション担当の医師やスタッフのところへ行って,大まかな話を聴いてもらいましょう.治療は私たちが,リハビリテーションは彼らがと,よく相談しながら分担して,精一杯させてもらいます」と,リハビリテーションの実際や効果を担当者から直接説明を受けることができれば,患者は尊重された「自己決定権」に基づいて判断できるようになるのではないだろうか.
ここまで一足飛びには進めないにしても,がん患者の治療からリハビリテーションまでを一連の医療として系統的・組織的にとり組む体勢を整え,決定は患者自身の判断に委ねることが健全な医療の姿として定着していくことを期待したい.現状ではリハビリテーションを行える体勢は,ほとんどと言ってよいほどできていない.医学的管理を含めてリハビリテーションの方針を立てるのはリハビリテーション担当医師の役割だが,がん患者の障害にもとり組むリハビリテーション科の医師か,リハビリテーション医療の考え方のできる治療担当科(耳鼻咽喉科,口腔外科)の医師がそれにあたらなければならない.そのような医師が必要であり,医師から指示や相談を受けて訓練にあたるスタッフも育てなければならない.主たる対象は構音障害,摂食・嚥下障害なので言語聴覚士が中心となろうが,頚部・肩の運動障害では理学療法士にも加わってほしい.他に補綴を専門とする歯科医,歯科衛生士,歯科技工士などの参加を欠かすことはできない.入院中は患者の一番身近にいる看護職の理解・協力も不可欠である.
これらの関連する職種の人達が,口腔・中咽頭がん治療後のリハビリテーションのあり方を理解し,積極的にとり組むきっかけになればと願って本書の出版を企画した.口腔・中咽頭がんのリハビリテーションはこれから始まる分野であるし,考えの至らぬ点も多々あることと思う.明日への糧とするため,感想,異論,批判などを頂戴できれば幸いである.
なお,本書は口腔・中咽頭がんのリハビリテーションを述べたものであり,構音,摂食・嚥下機能の基礎や,訓練法を詳しく述べることを目的としたものではないので,これらについては詳述できなかった.他の成書を参照いただきたい.解剖学的名称や分類,手術法の分類などは原則として『頭頚部癌取扱い規約』(金原出版1991)に基づいて記述した.がんの進行度を示すTNM分類,Stage分類には通常UICCの分類が用いられるが,本書中に1997年版UICC分類を紹介したので参考にしていただきたい.執筆者は,各分野で口腔・中咽頭がんの治療・リハビリテーションに従事する第一線の方々にお願いした.とりわけリハビリテーション科の小山,石田両医師に執筆陣に加わっていただけたことは望外の喜びである.
2000年5月 溝尻源太郎
はじめに―がん治療からリハビリテーションへ―……溝尻源太郎
第1章 口腔・中咽頭がんの基礎的理解
1.口腔・咽頭の構造と機能
1 口腔の構造と機能……赤澤登
1)口腔の解剖
2 咽頭の構造と機能……井上健造
1)咽頭の解剖
2)咽頭の生理
2.口腔がんの特性と治療……赤澤登
1 主要症状と疫学的(統計的)事項
2 心理的特徴と社会背景
3 進行度分類
4 治療法とその副作用
1)放射線治療
2)手術
3)切除範囲と機能形態障害の評価
5 進行度に応じた治療法の選択
6 予後の推定
1)生命の予後
2)機能的予後
7 審美的な問題
3.中咽頭がんの特性と治療……井上健造
1 中咽頭がんの特性
2 中咽頭がんの治療
1)中咽頭がんの放射線治療
2)中咽頭がんの手術
3)化学療法
3 治療法の選択と予後
1)治療法の選択
2)治療結果
3)おわりに
4.頸部の構造と機能……藤本保志
1 体表から見て触れてわかる構造
1)甲状軟骨
2)舌骨
3)下顎骨
4)胸鎖乳突筋
5)気管
2 体表から見にくい構造
1)筋
2)神経
3)頸部リンパ節
3 頸部郭清術
1)頸部郭清術の分類と術後の障害
2)適応の概要
3)リハビリテーションでの着目点
第2章 口腔・中咽頭がんとリハビリテーション
1.がん治療とリハビリテーション医療をとりまく諸問題……溝尻源太郎
1 術後治療とリハビリテーション
2 リハビリテーション医療の特徴
3 がん患者に必要な医療
4 患者の自己決定権と自己責任
5 口腔・中咽頭がんとリハビリテーションの接点
6 口腔・中咽頭がんのリハビリテーションの現況
7 口腔・中咽頭がんとリハ医・コメディカルスタッフのかかわり
8 自験例を省みて
2.口腔・中咽頭がんの診断・治療の進め方とリハのかかわり……溝尻源太郎
1 初診から治療方針の決定まで
2 入院そして手術の実施
3 本格的なリハビリテーションの開始
4 退院後や再入院時のリハビリテーション
3.リハビリテーションのチームアプローチ……溝尻源太郎
4.リハビリテーションの進め方……溝尻源太郎
1 障害の診断
2 障害の評価
1)切除範囲と機能形態障害の評価
2)能力障害の評価
3)社会的不利の評価
4)心理的障害の評価
3 リハビリテーション目標の設定
1)リハの適応症例
2)主目標と副目標の設定
4 リハビリテーション処方
1)処方箋の内容
5 リハビリテーションの実施
6 効果判定
5.リハビリテーション医学・医療の立場からみた悪性腫瘍……小山祐司,石田暉
1 リハビリテーション医学・医療の立場からみた悪性腫瘍
1)リハビリテーションの全体像
2)国際障害分類と基本的アプローチ
3)チーム医療
2 悪性腫瘍に対するリハビリテーション
1)アプローチの原則
2)臨床意志決定とインフォームド・コンセント
3)疼痛
4)全身的体力消耗状態
5)心理的問題
3 口腔・中咽頭がんと心理・社会的問題
第3章 構音障害のリハビリテーション
1.機能評価と訓練……熊倉勇美
1 訓練の実際
2 患者の抱える問題
3 言語聴覚士の果たす役割
4 構音障害の評価
5 構音障害の特徴
6 構音訓練の原則
7 構音訓練の順序と重症度別アプローチ
8 構音障害改善のしくみ
9 構音訓練の具体的
10 構音障害のリハビリテーションのまとめ
2.補助診断と機能訓練への応用
1 パラトグラフィ……今井智子
1)パラトグラフィについて
2)健常人のエレクトロパラトグラフィパタン(EPGパタン)
3)舌切除患者のパラトグラムパタン
4)治療への応用
2 X線透視,超音波断層法……古川政樹
1)口腔・咽頭造影検査
2)超音波断層法
3)検査の意義
3.歯科補綴的アプローチ……小野高裕・堀一浩・野首孝祠
1 口腔がん術後患者の構音障害の様相
2 補綴的アプローチの種類
3 顎義歯による構音機能回復
4 舌接触補助床による構音機能回復
4.手術的介入……津田豪太
1 口腔がんによる構音障害
1)口唇不全への対応
2)舌運動障害への対応
2 咽頭がんによる共鳴・構音障害
1)鼻咽腔閉鎖不全への対応
2)舌根不足への対応
3)その他の障害への対応
第4章 摂食・嚥下障害のリハビリテーション
1.咀嚼機能回復のための口腔内診査と機能評価法……小野高裕・耕田英樹・野首孝祠
1 口腔腫瘍術後患者の組織欠損と機能障害の関係
1)上顎領域の口腔腫瘍術後患者の機能障害
2)下顎領域の口腔腫瘍術後患者の機能障害
2 形態的診査
1)固有口腔形態の診査
2)口腔周囲組織の診査
3)形態的診査からどの程度咀嚼機能回復を予測できるか
3 咀嚼機能評価法
1)食品摂取状況の評価
2)咀嚼機能評価における基本的項目
3)咀嚼能力の客観的評価
4)唾液分泌機能
5)味覚
4 おわりに
2.口腔・咽頭期の機能評価
1 問診・アンケート(口腔・中咽頭がん術後嚥下障害の評価)……藤本保志
1)嚥下機能の評価の目的とその必要性
2)問診すべき項目
3)嚥下機能評価基準(Swallowing Ability Scale)
4)頭頸部外科病棟における嚥下障害への取り組み
2 摂食・嚥下の観察……津田豪太
3 補助診断……津田豪太
1)ビデオ嚥下造影検査
2)ビデオ嚥下内視鏡検査
3)嚥下内圧測定
4)筋電図
5)嚥下音
6)超音波検査
3.術後早期の咀嚼・嚥下機能訓練と歯科補綴的アプローチ……小野高裕・野首孝祠
1 術後早期の間接訓練
1)開口訓練
2)舌運動訓練
3)口唇・頬の訓練
2 術後早期の直接訓練(歯科補綴的アプローチ)
1)上顎領域のがん患者に対する術後早期の歯科補綴的アプローチ
2)下顎領域のがん患者に対する術後早期の歯科補綴的アプローチ
3 リハビリテーションにおける術後早期の位置づけ
4 おわりに
4.リハビリテーションの実際
1 口腔・咽頭衛生……藤本保志
1)口腔・中咽頭がん患者の口腔・咽頭の衛生状態
2)口腔・中咽頭がん患者の口腔咽頭ケア
3)口腔ケアは嚥下の訓練になるか
4)おわりに
2 口腔・咽頭期の機能訓練……津田豪太
1)リハビリテーションに求めるもの
2)術後急性期の機能訓練
3)術後急性期以降の機能訓練
3 段階的訓練,食形態の工夫など……津田豪太
1)リハビリテーションプランとゴール設定
2)間接的訓練
3)直接訓練
4)気管切開の取り扱い
5)放射線治療後の嚥下障害への対応
6)筋皮弁の変化への対応
7)バイオフィードバックを使ったイメージづくり
5.顎顔面補綴治療による機能回復……小野高裕・野首孝祠
1 顔面欠損症例に対する補綴治療
2 高齢舌癌術後患者に対する補綴治療
3 インプラントを用いた上顎がん術後患者の機能回復
4 おわりに
6.手術的介入―舌がん・咽頭がん手術治療における嚥下機能改善手術・誤嚥防止手術―……藤本保志・長谷川泰久
1 誤嚥防止/嚥下機能改善の術式
2 嚥下機能改善手術の時期について
3 手術の前に把握したいこと
1)解剖・生理から
2)術前嚥下透視検査
4 嚥下機能改善手術・誤嚥防止手術の適応
1)喉頭挙上術
2)輪状咽頭筋切除術
3)喉頭挙上術・輪状咽頭筋切除術の有用性と限界
4)喉頭挙上術・輪状咽頭筋切除術の欠点
5 第2群.永久気管孔は残るが,発声可能な術式
6 第3群.喉頭全摘術
7 嚥下機能改善手術の実際
1)切除
2)輪状咽頭筋切除
3)喉頭挙上術
4)術後管理
5)喉頭挙上術後の嚥下動態
8 二期手術
1)二期手術決断に際しての確認事項
2)二期手術の特徴
3)症例
9 今後の課題
1)喉頭挙上術をするしかないか,どのように吊り上げるか
2)輪状咽頭筋切除は両側必要か
3)長期にわたる機能の推移について
付章 知っておきたいステップアップ・ケア
1.リハビリテーションにおける口腔ケア……小野高裕・谷岡望・野首孝祠
1 口腔がん術後患者の口腔環境
1)全身および口腔内状態の問題点
2)口腔内および補綴装置の清掃における問題点
3)生活習慣病における問題点
2 口腔ケアにおける診査・診断
3 口腔衛生指導の実際
1)機械的プラークコントロール
2)化学的プラークコントロール
3)補綴装置の装置指導
4)唾液分泌低下への対応
5)食生活指導
4 歯科医療従事者による口腔衛生管理(プロフェッショナルケア)
2.頸部・肩関節の運動障害……皿田和宏
1 肩関節のバイオメカニズム
2 副神経麻痺を呈した肩のリハビリテーション
3 頸部のリハビリテーション
4 症例
おわりに……熊倉勇美
和文索引
欧文索引
サイドメモ
1.なぜ「口腔・中咽頭」なのか
2.歯科の中での役割分担
3.放射線治療と抜歯
4.口腔・中咽頭がんの予後とリハでの注意
5.目につきやすい変化に注意
6.嚥下障害では先行期から食道期まで
7.リハ処方の実例
8.ビデオ撮影のコツ
9.構音訓練法
10.歯科補綴か再建か(硬口蓋欠損の対策)
11.本項(口腔ケア)に関連する用語
第1章 口腔・中咽頭がんの基礎的理解
1.口腔・咽頭の構造と機能
1 口腔の構造と機能……赤澤登
1)口腔の解剖
2 咽頭の構造と機能……井上健造
1)咽頭の解剖
2)咽頭の生理
2.口腔がんの特性と治療……赤澤登
1 主要症状と疫学的(統計的)事項
2 心理的特徴と社会背景
3 進行度分類
4 治療法とその副作用
1)放射線治療
2)手術
3)切除範囲と機能形態障害の評価
5 進行度に応じた治療法の選択
6 予後の推定
1)生命の予後
2)機能的予後
7 審美的な問題
3.中咽頭がんの特性と治療……井上健造
1 中咽頭がんの特性
2 中咽頭がんの治療
1)中咽頭がんの放射線治療
2)中咽頭がんの手術
3)化学療法
3 治療法の選択と予後
1)治療法の選択
2)治療結果
3)おわりに
4.頸部の構造と機能……藤本保志
1 体表から見て触れてわかる構造
1)甲状軟骨
2)舌骨
3)下顎骨
4)胸鎖乳突筋
5)気管
2 体表から見にくい構造
1)筋
2)神経
3)頸部リンパ節
3 頸部郭清術
1)頸部郭清術の分類と術後の障害
2)適応の概要
3)リハビリテーションでの着目点
第2章 口腔・中咽頭がんとリハビリテーション
1.がん治療とリハビリテーション医療をとりまく諸問題……溝尻源太郎
1 術後治療とリハビリテーション
2 リハビリテーション医療の特徴
3 がん患者に必要な医療
4 患者の自己決定権と自己責任
5 口腔・中咽頭がんとリハビリテーションの接点
6 口腔・中咽頭がんのリハビリテーションの現況
7 口腔・中咽頭がんとリハ医・コメディカルスタッフのかかわり
8 自験例を省みて
2.口腔・中咽頭がんの診断・治療の進め方とリハのかかわり……溝尻源太郎
1 初診から治療方針の決定まで
2 入院そして手術の実施
3 本格的なリハビリテーションの開始
4 退院後や再入院時のリハビリテーション
3.リハビリテーションのチームアプローチ……溝尻源太郎
4.リハビリテーションの進め方……溝尻源太郎
1 障害の診断
2 障害の評価
1)切除範囲と機能形態障害の評価
2)能力障害の評価
3)社会的不利の評価
4)心理的障害の評価
3 リハビリテーション目標の設定
1)リハの適応症例
2)主目標と副目標の設定
4 リハビリテーション処方
1)処方箋の内容
5 リハビリテーションの実施
6 効果判定
5.リハビリテーション医学・医療の立場からみた悪性腫瘍……小山祐司,石田暉
1 リハビリテーション医学・医療の立場からみた悪性腫瘍
1)リハビリテーションの全体像
2)国際障害分類と基本的アプローチ
3)チーム医療
2 悪性腫瘍に対するリハビリテーション
1)アプローチの原則
2)臨床意志決定とインフォームド・コンセント
3)疼痛
4)全身的体力消耗状態
5)心理的問題
3 口腔・中咽頭がんと心理・社会的問題
第3章 構音障害のリハビリテーション
1.機能評価と訓練……熊倉勇美
1 訓練の実際
2 患者の抱える問題
3 言語聴覚士の果たす役割
4 構音障害の評価
5 構音障害の特徴
6 構音訓練の原則
7 構音訓練の順序と重症度別アプローチ
8 構音障害改善のしくみ
9 構音訓練の具体的
10 構音障害のリハビリテーションのまとめ
2.補助診断と機能訓練への応用
1 パラトグラフィ……今井智子
1)パラトグラフィについて
2)健常人のエレクトロパラトグラフィパタン(EPGパタン)
3)舌切除患者のパラトグラムパタン
4)治療への応用
2 X線透視,超音波断層法……古川政樹
1)口腔・咽頭造影検査
2)超音波断層法
3)検査の意義
3.歯科補綴的アプローチ……小野高裕・堀一浩・野首孝祠
1 口腔がん術後患者の構音障害の様相
2 補綴的アプローチの種類
3 顎義歯による構音機能回復
4 舌接触補助床による構音機能回復
4.手術的介入……津田豪太
1 口腔がんによる構音障害
1)口唇不全への対応
2)舌運動障害への対応
2 咽頭がんによる共鳴・構音障害
1)鼻咽腔閉鎖不全への対応
2)舌根不足への対応
3)その他の障害への対応
第4章 摂食・嚥下障害のリハビリテーション
1.咀嚼機能回復のための口腔内診査と機能評価法……小野高裕・耕田英樹・野首孝祠
1 口腔腫瘍術後患者の組織欠損と機能障害の関係
1)上顎領域の口腔腫瘍術後患者の機能障害
2)下顎領域の口腔腫瘍術後患者の機能障害
2 形態的診査
1)固有口腔形態の診査
2)口腔周囲組織の診査
3)形態的診査からどの程度咀嚼機能回復を予測できるか
3 咀嚼機能評価法
1)食品摂取状況の評価
2)咀嚼機能評価における基本的項目
3)咀嚼能力の客観的評価
4)唾液分泌機能
5)味覚
4 おわりに
2.口腔・咽頭期の機能評価
1 問診・アンケート(口腔・中咽頭がん術後嚥下障害の評価)……藤本保志
1)嚥下機能の評価の目的とその必要性
2)問診すべき項目
3)嚥下機能評価基準(Swallowing Ability Scale)
4)頭頸部外科病棟における嚥下障害への取り組み
2 摂食・嚥下の観察……津田豪太
3 補助診断……津田豪太
1)ビデオ嚥下造影検査
2)ビデオ嚥下内視鏡検査
3)嚥下内圧測定
4)筋電図
5)嚥下音
6)超音波検査
3.術後早期の咀嚼・嚥下機能訓練と歯科補綴的アプローチ……小野高裕・野首孝祠
1 術後早期の間接訓練
1)開口訓練
2)舌運動訓練
3)口唇・頬の訓練
2 術後早期の直接訓練(歯科補綴的アプローチ)
1)上顎領域のがん患者に対する術後早期の歯科補綴的アプローチ
2)下顎領域のがん患者に対する術後早期の歯科補綴的アプローチ
3 リハビリテーションにおける術後早期の位置づけ
4 おわりに
4.リハビリテーションの実際
1 口腔・咽頭衛生……藤本保志
1)口腔・中咽頭がん患者の口腔・咽頭の衛生状態
2)口腔・中咽頭がん患者の口腔咽頭ケア
3)口腔ケアは嚥下の訓練になるか
4)おわりに
2 口腔・咽頭期の機能訓練……津田豪太
1)リハビリテーションに求めるもの
2)術後急性期の機能訓練
3)術後急性期以降の機能訓練
3 段階的訓練,食形態の工夫など……津田豪太
1)リハビリテーションプランとゴール設定
2)間接的訓練
3)直接訓練
4)気管切開の取り扱い
5)放射線治療後の嚥下障害への対応
6)筋皮弁の変化への対応
7)バイオフィードバックを使ったイメージづくり
5.顎顔面補綴治療による機能回復……小野高裕・野首孝祠
1 顔面欠損症例に対する補綴治療
2 高齢舌癌術後患者に対する補綴治療
3 インプラントを用いた上顎がん術後患者の機能回復
4 おわりに
6.手術的介入―舌がん・咽頭がん手術治療における嚥下機能改善手術・誤嚥防止手術―……藤本保志・長谷川泰久
1 誤嚥防止/嚥下機能改善の術式
2 嚥下機能改善手術の時期について
3 手術の前に把握したいこと
1)解剖・生理から
2)術前嚥下透視検査
4 嚥下機能改善手術・誤嚥防止手術の適応
1)喉頭挙上術
2)輪状咽頭筋切除術
3)喉頭挙上術・輪状咽頭筋切除術の有用性と限界
4)喉頭挙上術・輪状咽頭筋切除術の欠点
5 第2群.永久気管孔は残るが,発声可能な術式
6 第3群.喉頭全摘術
7 嚥下機能改善手術の実際
1)切除
2)輪状咽頭筋切除
3)喉頭挙上術
4)術後管理
5)喉頭挙上術後の嚥下動態
8 二期手術
1)二期手術決断に際しての確認事項
2)二期手術の特徴
3)症例
9 今後の課題
1)喉頭挙上術をするしかないか,どのように吊り上げるか
2)輪状咽頭筋切除は両側必要か
3)長期にわたる機能の推移について
付章 知っておきたいステップアップ・ケア
1.リハビリテーションにおける口腔ケア……小野高裕・谷岡望・野首孝祠
1 口腔がん術後患者の口腔環境
1)全身および口腔内状態の問題点
2)口腔内および補綴装置の清掃における問題点
3)生活習慣病における問題点
2 口腔ケアにおける診査・診断
3 口腔衛生指導の実際
1)機械的プラークコントロール
2)化学的プラークコントロール
3)補綴装置の装置指導
4)唾液分泌低下への対応
5)食生活指導
4 歯科医療従事者による口腔衛生管理(プロフェッショナルケア)
2.頸部・肩関節の運動障害……皿田和宏
1 肩関節のバイオメカニズム
2 副神経麻痺を呈した肩のリハビリテーション
3 頸部のリハビリテーション
4 症例
おわりに……熊倉勇美
和文索引
欧文索引
サイドメモ
1.なぜ「口腔・中咽頭」なのか
2.歯科の中での役割分担
3.放射線治療と抜歯
4.口腔・中咽頭がんの予後とリハでの注意
5.目につきやすい変化に注意
6.嚥下障害では先行期から食道期まで
7.リハ処方の実例
8.ビデオ撮影のコツ
9.構音訓練法
10.歯科補綴か再建か(硬口蓋欠損の対策)
11.本項(口腔ケア)に関連する用語