やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 理学療法士・作業療法士の評価実習や臨床実習を,なるべく苦労せず乗り切るための戦いは,学校に入学したと同時にはじまります.
 学生生活で一番辛くキビシイであろう実習を,どのようにしたら乗り切ることができるでしょう? それは,実習までの約203年間をどう過ごすかで,天と地ほどの差があります.
 また,実習を乗り切るための努力を入学当初から続けていくと,自然に人間関係がうまくとれるようになったり,立ち振る舞いがうまくできるようになったりと,思わぬ副産物をもたらしてくれます.実はこの副産物が後の実習で必要になってきますし,社会に出てから自分を守ってくれる大きな武器にもなります.
 話は変わりますが,理学療法士・作業療法士は卒後の臨床において,お互いを“先生“と呼び合うことが多くあります.コメディカルで“先生”と呼び合っているのは,とても珍しい光景です.私は,いまだかつて看護師さんや薬剤師さんが,お互いに“先生”と呼び合っているのを見たことがありません.ですので,自分で言うのもなんですが理学療法士・作業療法士は,コメディカルの中でも少し浮いた存在のように思います.それはやはり,理学療法士・作業療法士なりのコミュニティーや人間関係,仕事への自信やプライドなどがあるからだと思います.
 そんな世界に飛び込んでいくわけですから,ポイントは
  そこでのやり方・考え方にどれだけ染まることができるかで決まる
 ことにあると言っても過言ではありません.もちろん礼儀や挨拶などは言わずもがなです.理学療法士・作業療法士だけではなく,実際はどの職種や社会でも同じことだと思います.そこのやり方・考え方ってどこにでもあるんですよね.
 さて,今この本を読んでくださっている方は,これから実習を控えた学生さんが多いかと思います.実習前には,“伝説の実習地“や“先輩方の武勇伝”などで,漠然と不安になるものですよね.ですがそんなに心配する必要はありません.これからお話しする実践術で,少なくとも
  スーパーバイザーとの関係をうまく築くことができ,実際にレベルアップした以上に評価してもらえる
 と思います.一生懸命頑張ることはとても大切ですが,実習はなんといっても
  スーパーバイザーに気に入られてナンボです.
 では皆さん,らくらく実習を乗り切ってしまいましょう!

 注)この本で書き記すことは,
   あくまで,個人的な体験や考えによるもの
  です.すべてを信じてしまうと,
   あなたに不利益をもたらしてしまう
  かもしれません.ぜひ鵜呑みにせずに,この実践術を
   自分なりに消化して,自分なりの答えを出して
  ください.自分を信じることはとても重要です.あなたは,実習が不安でこの本を見ていることと思います.その不安な気持ち(危機感)があれば,おのずとやるべきことが見つかりますので,そんなに心配しないでくださいね!
1.はじめに
2.らくらく実践術一覧
3.らくらく実践術に入る前に!
4.大切なスキルは,評価や治療技術ではありません!
5.どんな実習があるのでしょう?
6.実習の流れを理解しよう!
7.コレさえできれば実習地がホームに変わる!?
 7-1 上手に見学する方法!
 7-2 自然な立ち振る舞いって!?
 7-3 さらに上手に見学する方法!
 7-4 エンターテイナーを目指しましょう!
 7-5 空気を読む!コミュニケーション術
8.らくらく実践術の説明
9.おわりに