やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

まえがき
 1991年に,日本リハビリテーション病院協会が提唱した地域リハビリテーション(以下,リハ)の定義は「障害をもつ人々や老人が住み慣れたところで,そこに住む人々とともに,一生生き生きとした生活が送れるよう,医療や保健,福祉および生活にかかわるあらゆる人々がリハビリテーションの立場から行う活動のすべてをいう」とされています.この定義に盛り込まれている考えかたは,地域で活動する医療・保健・福祉のスタッフ,ボランティアおよび地域住民の共通の目標と連携の必要性をわかりやすく示していると思います.ところで,この定義にある「リハビリテーションの立場」を生活における自立の支援,生活の質の向上を図ることと解釈すると,このことも医療・保健・福祉の共通の立場となりうると考えます.
 さて,医療・保健・福祉相互の連携は,しばしば強調されておりますが,連携が成立するための方法はあまり知られていません.
 図1に示すような医療・保健・福祉が互いに手をとりあって患者・障害者にアプローチするという縦割型の連携モデルでは,アプローチの目的の具体化が図られていないことが多く,実際的な活動を引き出すことが少ないと思われます.そのほかにもいくつか理由があります.本来,組織体はそれぞれ独自の目的をもって,長い歴史のなかで発展をとげてきており,よほどの必要性がないかぎり,相互の境界領域に乗り入れをすることはありません.しかし,この境界領域にこそ患者・障害者の切実な問題があるのです.一般的にいえば,各組織体のなかで,各専門家が技術をみがき,知識を豊かにすることにエネルギーを割くほうが,境界領域に首を突っ込むよりは一見専門性が高められるように思われがちです.
 現在多くのリハスタッフが病院に閉じ込もり,患者・障害者の生活の実態にあまり関心をもたない実状は,単なるマンパワーの不足のみとはいい切れないように思われます.
 さて,次いで図2に医療・保健・福祉の横割型連携モデルを示しました.このモデルは,地域リハの定義にある共通の目標を達成するにはどのようなプログラムが必要かを協議し,プログラムの内容に応じてスタッフが参加していくことを表しています.
 私は長らく,県の民生部(現在の健康福祉部)の巡回相談事業に参加してきました.現在のように在宅介護支援センターや介護老人保健施設が普及していない時代のことです.県の福祉担当者が主宰し,医療側は医師,看護師,PT(理学療法士),OT(作業療法士),ケースワーカー,保健側は地域の保健センターの保健師,福祉側は市町村の担当者であり,医療側の評価の後,カンファレンスが開かれます.
 ある脳卒中患者の例をあげてみましょう.この患者は保健センターのリハ教室にここ2年間,週2回参加していましたが,最近,歩行の耐久性と体力が次第に低下しているという保健師の情報と,PTの評価に基づき,福祉担当者よりホームヘルパーの紹介を受け,PTより歩行の介助の方法,見守り方法を助言し,とくに地域にある階段の昇降を十分に行うというプログラムを立てました.このプログラムは歩行の耐久性と体力の向上という,医療・保健・福祉が参加するプログラム1を選択したことになります.しかし,図2にみるようにすべてのプログラムに連携が必要なのではなく,より専門性の高いプログラムでは専門職が個々に実施できることはいうまでもありません.地域の保健センターでの保健師とPT,OTの参加によるさまざまな生活改善プログラムはプログラム3に相当します.このような横割型の連携は,連携の必要性の認識とプログラムの目的の共有化が図られれば,病院内のPTやOTと病棟の看護師,介護老人保健施設内のPTと居室の看護師,通所リハのスタッフ間でも成立します.
 ここでこの連携を助けるための諸条件を考えてみましょう.実はこのことが本書の発刊の趣旨でもあり,第I部,第1章の「移動について知っておくこと」でも述べてありますが,キーワードは「システム化」,「共有化」そして「信頼性」です.
 システム化についていえば,先に例としてあげた巡回相談のような連携チームの編成があります.
 共有化については,リハとケアの理念・知識の共有化です.知識についてみてみると,ケアスタッフの養成カリキュラムのなかで,疾患に関する知識,障害に関する知識が著しく少ないと思われます.このことは要介護度と自立度の理解を大きく妨げています.「要介護の状態にある」ということには,自立度に影響している精神・心理的,身体的,環境的要因が背景にあり,これらの要因を調整することによって改善が得られる可能性があり,固定したものではないということに十分留意しなければならないと思います.
 次いで信頼性ですが,信頼性の構築には,しばしば個々のスタッフのパーソナリティを含む難しい問題があります.具体的には病棟・居室でケアスタッフが日常困っている事柄について,リハスタッフがどのように対応してきたかによって,時間をかけて築かれると思います.とくに病棟・居室の夜間帯に起きるような事柄について,リハスタッフが何ら情報をもたず関心もないとすれば,連携などが成立するはずがありません.
 このように本書は,まずリハスタッフとケアスタッフとの連携を図るための知識の共有化を目指し,第一線で活躍されている看護師,ホームヘルパー,ケアマネジャーの方々を主な対象と考えていますが,そのほかにリハスタッフが現在,自己の病院,施設のなかで実施されるプログラムの効果を実際の生活の場で検証するために,実生活の場に乗り込んでいき,ケアスタッフを援助していただきたいという願いもこめられております.
 今後ともケアの現場におけるサービスの水準の向上がリハスタッフに対する新たなニーズを掘り起こし,このことがリハスタッフのプログラムの修正・改良に役立つようなサイクルを形成し,利用者により質の高いサービスが提供できることを切に望んでおります.
 終わりに,この本の編集にご協力いただいた執筆者の方々に心から謝意を表するとともに,本書の編集に多大なご協力をいただいた医歯薬出版・編集部および関係スタッフの方々に深謝いたします.
 2000年8月
 窪田俊夫

あとがき
 わが国は世界有数の長寿国となりました.人口の高齢化は急速に進み,2050年には全国平均で3人に1人が65歳以上になると推計されています.しかし2050年を待つまでもなく,地域によってはすでに高い水準の高齢社会になっています.
 平成12年4月,地域における高齢者の生活を支える仕組みとして介護保険制度が開始されました.平成16年度までの実績をみると,介護保険制度の利用者は年ごとに増加しています.高齢化が進むなか,財政的に,あるいは制度を支えるマンパワーの面でこの制度を今後も存続できるのか,それが危惧されるようになりました.そこで5年ごとに行われる介護保険制度の見直しにあたって,利用者の内訳が分析されました.その結果,要支援・要介護1といった軽度者の増加が著しいことがわかりました.すなわち従来の介護保険サービスは,軽度者の身体機能や生活能力の改善に役立っていないことが問題とされたのです.
 これらのことから,平成18年4月に実施された改訂後の介護保険制度においては,軽度者を対象とした新たな予防給付が創設され,これも市町村に創設される「地域包括支援センター」がそのマネジメントを実施することになりました.
 「新予防給付」のメニューには,訪問介護(ホームヘルプ),通所介護(デイサービス),通所リハビリテーション,福祉用具貸与,訪問看護,ショートステイ,グループホームなどの従来からあるサービスも,内容が見直されたうえで継続されます.ただし,生活機能を低下させる可能性がある家事代行型の訪問介護については,原則行わないことになりました.一方,新しいサービスとして,筋力向上トレーニング,栄養改善,口腔機能向上などがメニューに加えられました.
 さらに新しく創設されるサービスに「地域支援事業」があります.これは介護保険サービスの受給資格が認定されなかった人のうち,放置しておくと要支援・要介護状態になるおそれのあるハイリスク高齢者に対する事業です.「地域支援事業」は,ハイリスク者を高齢者人口の5%程度と見込んで,介護保険の財源から市町村が提供する介護予防サービスです.このなかには転倒予防教室,栄養指導,認知症(痴呆)予防,うつ予防,閉じこもり予防などのプログラムが加えられる見込みです.
 今回の改正では,介護が必要となる原因として,従来の脳卒中だけでなく,廃用症候群,認知症(痴呆)への対応が重要視されました.認知症の場合には,従来の大型施設での入所サービスではなく,居住地でサービスを受けられることが必要と考えられています.
 すなわち今後の高齢社会では,軽度者が重度者となることを予防し,その上で重度の障害をもつことになった高齢者に対しては,施設で生活するのではなく地域スタッフの支援を受けながら地域で生活する,という図式が描かれているのです.高齢者が住み慣れた地域で生活を継続するとき,その生活の質を高め,介護者の負担を軽減するには介護保険制度が必須です.しかし介護保険は,責任の主体が国や都道府県ではなく,市町村に置かれます.この結果,機能障害・生活障害の評価や,機能を維持したり,障害を軽減するためのプログラムを市町村や介護保険事業所のスタッフが作成することになります.軽度の障害者に対する定型化されたプログラムは良いのですが,医学的合併症や複合的な障害を抱える高齢者を対象とした場合には,適切な評価や障害解消のためのプログラムを作成することは簡単ではありません.このような事例の問題を地域で解決するには,病院やリハ施設に勤務するリハスタッフとの連携が必要です.この点についての認識は少しずつ広まっており,地域スタッフがリハスタッフのもつ知識や技術から支援を得るためのさまざまな仕組みが,それぞれの地域で工夫されています.
 さて本書は,平成12年に亡くなられた前・中伊豆リハセンター長の窪田俊夫先生が企画され,私が監修を担当させていただいたものです.ご存じの方が多いとは思いますが,ここで窪田先生について少しご紹介させていただきます.
 窪田先生は1991年から約10年間,「臨床歩行分析研究会」の会長を務められました.この研究会は,医師,セラピスト,エンジニア,メーカーなどさまざまな職種の方々が参加し,歩行分析とその臨床応用技術に関する情報を交換する場となっています.歩行分析技術は他の医療技術に比較すると,医療現場への普及は十分ではありません.医療現場には歩行障害をもって治療を受ける人の数は多いのです.しかし,歩行障害は緊急性の低い障害と考えられているために,歩行分析技術はなかなか一般病院に普及していません.このような状況で窪田先生は,歩行分析技術の普及のために努力を重ねておいででした.とくに,さまざまな職種,さまざまな立場の方々が参加される研究会においては,穏やかで細やかな気配りとともに,確実なリーダーシップを発揮して会を運営されていました.
 「歩行分析」に関する先生のご研究は質量ともに充実しています.医歯薬出版から発刊されていて,わが国の臨床歩行分析技術の集大成である「歩行障害の診断・評価入門」および「歩行関連障害のリハビリテーションプログラム入門」2冊も,窪田先生の企画と監修のもとで発刊されました.
 先生は,中伊豆リハセンター長として,地域リハの充実にも積極的に関わっておいでで,さまざまなアイデアと行動力を発揮されました.そのご経験のなかで,移動動作に困難を感じる高齢者の事例には,経験のあるリハスタッフからのアドバイスが問題を解消できることをみてこられました.歩行障害は病院でこそ優先度が低い治療対象ですが,地域生活においては歩行や移動が困難になると,本人の生活の質が低下するだけでなく,介護者には大きな負担を強いることになります.したがって,地域における移動障害をもつ人々への援助はきわめて重要な問題です.
 歩行と移動障害の専門家であり,同時に地域リハについても深い関わりをもっておられた窪田先生は,保健師やケアマネジャー,ヘルパーなどの地域スタッフと,病院で働くリハスタッフとの知識の架け橋が必要と考えられ本書を企画されました.先生は,本書の第I部の執筆を担当されていますが,体調を崩されるなかで気力を振り絞って綴られました.そして本書のその他の部分は,窪田先生と同じく,地域スタッフと病院リハスタッフとの架け橋を作りたいと願う医師・理学療法士・作業療法士・ケースワーカー・エンジニアといった人達が協働作業で執筆したものです.
 私たちの力不足で,窪田先生が企画されてから5年以上の月日を費やしてしまいました.しかし介護保険改訂などの状況をみると,いまこそ本書は窪田先生が意図されていた通りの役割を発揮できる環境に置かれたと思います.
 終わりに本書の完成のために,多くの労を取ってくださった医歯薬出版・編集部に深謝いたします.
 2006年4月
 大橋正洋
まえがき
第I部 移動の援助とは
 1.移動について知っておくこと(窪田俊夫)
  1)移動にはどのような種類があるか
  2)移動を行う目的は
  3)なぜ移動が不自由になるのか
  4)移動を援助するには
 2.事例にみる移動の援助
  事例1 腰痛の夫が妻の在宅介護を続けるために,福祉用具選定と住宅改修に助言が必要であった例(永井清広)
  事例2 介護老人福祉施設入所中の女性で,立つ・座る動作の介助方法に助言が必要であった例(佐野和彦)
  事例3 腰痛再発のため家庭での歩行が困難になっていた男性へ,腰痛軽減と移動介助方法の指導が必要であった例(佐野和彦)
  事例4 デイサービス送迎のために,階段昇降を安全に行える方法の指導が必要であった例(土屋辰夫)
  事例5 家庭内で転倒することが多かった女性に,歩行運動などの指導が必要であった例(青田安史)
  事例6 機能低下と昼夜逆転などの問題改善に,住環境の調整を指導した例(青田安史)
  事例7 入院患者の起き上がり動作自立に,リハスタッフから看護スタッフへ助言を行った例(紅野利幸)
  事例8 四肢麻痺患者の寝返り動作自立について,リハスタッフから看護スタッフへ助言を行った例(紅野利幸)
第II部 移動を難しくする原因
 1.移動を難しくする病気(大橋正洋)
  1)脳血管障害-1(片麻痺)
   (1)どのような脳血管障害があるか
    (1)脳梗塞 (2)高血圧性脳出血
   (2)検査でわかることは
   (3)どのような症状があるか
    (1)片麻痺とは (2)片麻痺の随伴症状
   (4)片麻痺のリハビリテーション
  2)脳血管障害-2
   (1)さまざまな脳血管障害
    (1)ラクナ梗塞 (2)前大脳動脈領域の脳梗塞 (3)後大脳動脈領域の脳梗塞 (4)脳底動脈領域の脳梗塞 (5)橋出血 (6)小脳出血 (7)脳くも膜下出血
   (2)リハビリテーションの考え方
  3)骨関節疾患-変形性関節症
   (1)どのような病気か
   (2)どのような症状が問題になるか
   (3)特徴的な検査所見は何か
   (4)治療をどうするか
  4)骨関節疾患-関節リウマチ
   (1)どのような病気か
   (2)どのような下肢症状があるか
    (1)リウマチ足 (2)リウマチ膝 (3)リウマチ股
   (3)特徴的な所見は何か
    (1)診察所見 (2)検査所見
   (4)治療をどうするか
    (1)基本的考え方 (2)保存的治療 (3)外科的治療
  5)パーキンソン病
   (1)どのような病気か
   (2)どのような症状があるか
   (3)診断に有効な方法は何か
   (4)治療をどうするか
  6)対麻痺
   (1)対麻痺とは
   (2)どのような原因があるか
   (3)どのような症状があるか
  7)下肢切断
   (1)下肢切断の原因と合併症
   (2)切断手術
   (3)義足歩行へ向けてのプログラム
  8)脳性麻痺
   (1)どのような病気か
   (2)どのような症状があるか
    (1)障害型 (2)加齢による障害の重度化
   (3)特徴的な検査所見は何か
   (4)治療をどうするか
  9)移動障害を起こすその他の病気
   (1)脊髄小脳変性症
   (2)筋萎縮性側索硬化症
   (3)多発性硬化症
   (4)多発性神経炎
   (5)筋ジストロフィー
 2.移動を難しくする障害(紅野利幸)
  1)廃用症候群
   (1)寝たきりとは
   (2)廃用症候群とは
   (3)症状と予防
    (1)循環機能力の低下 (2)呼吸機能力の低下 (3)筋力の低下 (4)関節の拘縮 (5)骨粗鬆症 (6)褥瘡 (7)心の変化(閉じこもり) (8)誤用症候群と過用症候群
  2)転倒・骨折
   (1)転倒とは
    (1)頻度 (2)転倒場所 (3)原因 (4)転倒しやすい人
   (2)転倒・骨折の予防
    (1)トレーニング (2)屋内環境の整備 (3)屋外環境への対策
第III部 移動を助ける用具と環境
 1.移動を助ける道具・機器(金子誠喜)
  1)杖
   (1)ステッキ
   (2)T字杖
   (3)多脚杖
  2)肘杖
  3)腋窩杖(松葉杖,腋窩支持クラッチ)
  4)歩行器
   (1)歩行器
   (2)歩行車
  5)車いす
   (1)車いすの構成
    (1)駆動輪 (2)キャスタ (3)ハンドリム (4)ブレーキ (5)グリップ (6)シート (7)アームサポート (8)バックサポート (9)レッグサポート (10)フットサポート  (11)ティッピングレバー
   (2)車いすの種類
    (1)手動式 (2)介助用 (3)電動式車いす
   (3)車いすの操作方法と注意事項
    (1)車いす介助の仕方 (2)車いす取り扱いの注意点
 2.移動を助ける環境の整備(相良二朗)
  1)移動を困難にしている生活環境の要素
  2)水平移動
   (1)生活動線の確保
   (2)段差の解消
   (3)通行幅員の確保
   (4)手すりの設置
   (5)床材の選択
   (6)建具の問題
   (7)照明
  3)垂直移動
   (1)階段昇降
   (2)住宅用エレベータ
   (3)階段昇降機
  4)戸外への移動
   (1)あがり框部分の段差解消
   (2)屋外スロープの条件と昇降機
   (3)建具と施錠
   (4)共用空間
 3.移動を助ける社会資源の活用(田中 晃)
  1)さまざまな制度の活用上の留意点
   (1)障害のある人の利用できる制度を広く複数でとらえる
   (2)社会保障制度間の優先順位の原則
  2)移動のための福祉用具に関する制度の利用
   (1)治療上,必要な装具は医療保険制度を活用
    (1)利用手順(申請方法) (2)患者の自己負担額
   (2)障害児・者として身体障害者福祉法や児童福祉法を活用
    (1)対象となる補装具の種類 (2)基準外の車いすや電動車いすの交付 (3)介護保険適用者の車いす,電動車いす,歩行器の交付 (4)交付を受けるための手続き (5)日常生活用具の給付と貸与
   (3)介護保険法による福祉用具の貸与と購入
    (1)福祉用具の貸与 (2)福祉用具の購入 (3)介護保険対象外 (4)その他の制度
    (1)労災保険労働福祉事業
  3)住環境を整備するために
   (1)身体障害者に対する住宅改修費の助成
   (2)介護保険制度による住宅改修費の支給
    (1)住宅改修費(手すりの取り付けや段差の解消など)の支給
    (2)対象改修工事
   (3)公営住宅の利用
   (4)介護保険外の高齢者福祉
  4)外出を援助するサービス
   (1)運転免許取得費用補助
   (2)訓練センターでの無料教習
   (3)駐車禁止規制除外ステッカー
   (4)自動車税・自動車取得税の減免制度
   (5)有料道路通行料の割引
   (6)JR,航空,バスなどの運賃の割引
   (7)福祉タクシー利用券
   (8)移送サービスの利用
  5)介護予防のための市町村事業などの利用
   (1)転倒予防教室
   (2)機能訓練
   (3)その他
  6)通所介護(デイサービス)・通所リハビリテーション(デイケア)の利用
   (1)通所介護(デイサービス)
   (2)通所リハビリテーション(デイケア)
第IV部 移動を助ける技術
 1.基礎的移動動作の援助
  1)移動動作のバイオメカニクス(土屋辰夫)
   (1)バイオメカニクス
   (2)介助のバイオメカニクス
   (3)バイオメカニクスの基本知識
    (1)身体をモデル化する (2)身体には3つの力が働く (3)姿勢は3つの力の釣り合いでつくられる (4)介助の力は第4の力
   (4)介助者の身を守るために知っておきたいバイオメカニクス
    (1)てこの働きを考えて介助する (2)支持基底面は広いほど安定する (3)介助を受ける人と介助する人の力を正しく評価する
  2)起き上がり動作(土屋辰夫)
   (1)動作の理解
    (1)起き上がり動作は難しい (2)背中が固くなると動作は難しくなる (3)障害者は頑張りすぎることがある
   (2)援助のポイント
    (1)正しい動作をアドバイスする (2)動作の方向に沿って力を加える (3)介助を受ける人の協力を得るようにする (4)起き上がったらできるだけ座っていてもらう
  3)立ち上がり動作(佐藤房郎)
   (1)動作の理解
   (2)援助のポイント
    (1)座位姿勢を立ち上がりやすい状態に整える (2)介助者は介助を受ける人の動作を妨げない位置に立つ (3)運動障害の程度に合わせて介助のポイントを変える (4)介助を受ける人に立ち上がりを妨げる動作を回避する
  4)歩行(佐藤房郎)
   (1)動作の理解
   (2)援助のポイント
    (1)左右の重心移動を促す (2)バランスを崩しやすい方向に立つ  (3)相手のリズムを乱さないようにする
  5)段差昇降(佐藤房郎)
   (1)動作の理解
   (2)援助のポイント
    (1)麻痺のない側の下肢でコントロールする (2)バランスを崩さないように体幹をコントロールする
  6)床上移動(座位移動)(佐藤房郎)
   (1)動作の理解
   (2)援助のポイント
    (1)臀部の移動を介助する (2)手と足の位置と力を入れる方向を指示する (3)麻痺側が移動を妨げないようにする (4)摩擦抵抗を減らす
  7)床からの立ち上がりと床に下りる動作(佐藤房郎)……
   (1)動作の理解
   (2)援助のポイント
    (1)バランスを崩さないように片膝立ちを促す (2)麻痺のない側の下肢へ重心移動してから立ち上がる (3)床に下りるときは手をつく位置とタイミングを指示する (4)片膝立ちを保持できない人の立ち上がりの介助
  8)移乗動作(トランスファー)(平田 学)
   (1)動作の理解
    (1)移乗動作の流れ (2)方向転換は難しい動作 (3)ベッドや車いすなどの条件に影響されやすい動作
   (2)援助のポイント
    (1)介助を受ける人の能力を評価する (2)移乗の準備をする (3)介助を受ける人を抱え上げないようにする (4)少し待って次の動作を介助する
   (3)具体的な方法
    (1)立ち上がれる場合 (2)立ち上がれない場合
  9)車いす乗車姿勢を整える(平田 学)
   (1)動作の理解
   (2)援助のポイント
    (1)臀部の位置を確認する (2)体幹の姿勢を整える (3)ときどき姿勢を変える
   (3)具体的な方法
    (1)深く腰かける (2)浅く腰かける (3)臀部を座面中央に移動する
  10)車いす移動(平田 学)
   (1)動作の理解
   (2)援助のポイント
   (3)具体的な方法
    (1)段差の昇降 (2)坂道の移動
 2.応用的移動動作の援助
  1)日常生活における移動動作(永井清広)
   (1)屋内移動
    (1)立位移乗 (2)座位移乗 (3)全面介助移乗
   (2)排泄動作
   (3)入浴動作
    (1)衣服の着脱 (2)段差越え (3)洗 体 (4)浴槽の出入り
  2)生活関連動作における移動動作(土屋辰夫)
   (1)外出
    (1)バスに乗る場合 (2)駅を利用する場合 (3)電車に乗る場合 (4)車の乗り降り (5)街を歩く場合 (6)エスカレータに乗る場合 (7)車いすでの外出
   (2)買い物
   (3)家事(森田千晶)
    (1)掃除 (2)洗濯 (3)調理 (4)後片づけ

あとがき(大橋正洋)