やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第2版に寄せて

 初版の嚥下障害ポケットマニュアルは幸いにも多くの読者に歓迎された.その後,いろいろなご意見を頂き,またいくつかの新知識,修正などを入れてわずか出版後2年ではあるが改訂する運びとなった.ハンディな大きさに多くの内容を盛り込むことは大変ではあるがやりがいのあることである.
 主な改訂は,(1)レイアウトとしてメモの欄を設けたこと,(2)印刷のカラーで読みにくいところを直したこと,(3)図の修正(今回もSTの新居素子さんが快く担当してくれた),(4)不足分の内容を補い,新知見を追加したこと,などである.これによって使い勝手がさらに良くなり,臨床現場でより役立つ小冊子になったと思われる.
 今後も皆様のご意見を取り入れてより良いポケットマニュアルにしてゆきたいと考えている.
 尚,第2版からは情報の正確さと読者の便宜を図るため,「刷」を重ねて大きな修正,追加などがあった場合には,医歯薬出版のホームページに修正情報を載せることとした.適宜ご参照いただければ幸いである.
 2003年2月
 聖隷三方原病院嚥下チーム
 代表 藤島一郎

まえがき

 本書はポケットやカバンに入れて手軽に持ち運べ,実際の臨床の場で必要な手技と知識をコンパクトに調べやすいようにまとめたものである.嚥下障害は患者数も多くベッドサイド,在宅,外来などで常にその場の対応が必要とされる.嚥下障害に関しては多くの著書や雑誌の特集号が出され,講習会や研究会,学会などで知識を得る機会が多くなったが ,目の前の患者さんに何をどうすればよいかというときすぐ調べられるハンディな本は少ない.当初は聖隷三方原病院の嚥下セミナーテキストを念頭においていたものであったが,より多くの人に活用いただけることを考えて出版される運びとなった.
 本書の特徴はポケットサイズということの他に「訓練法の実際」について多くのページを割いていること,また,たくさんのイラストを用いてSTや看護職員などが具体的な訓練法を理解しやすいように解説している点である.訓練法はあいうえお順で引きやすくし,症状別の対処法も巻末にまとめて表にしてある.脳卒中や神経疾患などの機能的原因による成人の嚥下障害を中心に記載しているが,嚥下障害臨床全般のエッセンスを盛り込むように努力した.小児に関しては同じ聖隷福祉事業団おおぞら療育センターの横地健治先生に執筆していただいた.きれいなイラストはSTの新居素子さん,表紙は清水一男氏に描いていただいた.深謝いたします.
 皆様のご意見,ご批判を仰ぐと共に嚥下障害ビデオシリーズなどと合わせて活用していただければ幸いである.
 2001年8月
 聖隷三方原病院嚥下チーム
 代表 藤島一郎
 第2版に寄せて……(藤島一郎)
 まえがき……(藤島一郎)

1:基礎的知識……(藤島一郎)
2:嚥下障害の病態と原因……(藤島一郎)
3:スクリーニングと精査,評価……(薛 克良,藤島一郎)
4:リハビリテーションの考え方と治療……(藤島一郎,高橋博達)
5:リスク管理と呼吸器合併症……(薛 克良, 藤島一郎,稲生 綾)
6:訓練法
 摂食・嚥下訓練の実際……(小島千枝子,北條京子,新居素子,前田広士, 藤島一郎)
 肺理学療法……(神津 玲,朝井政治)
 運動療法……(阿部郁代,宮崎哲哉)
 OT訓練……(植田真理子,齊藤容子)
7:病棟における摂食・嚥下障害の看護……(中村純子,勝田英子)
8:歯科の役割……(大野友久,相澤秀夫,高柳久与)
9:口腔ケア……(小宮山ひろみ)
10:経管栄養……(藤森まり子)
11:嚥下食とレシピ……(新村紀子,金谷節子)
12:重症心身障害児(者)の嚥下障害と治療……(横地健治)
13:口腔,咽頭手術後の嚥下障害,嚥下障害の手術……(袴田 桂,関 敦郎)
 嚥下障害の症状別対処法(表)
 嚥下造影(VF)評価用紙
 誤嚥性肺炎のリスクマネージメントマニュアル
 摂食・嚥下障害の症状と看護計画
 学会・研究会,教科書・ビデオ

 索引