やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

まえがき
症例による 現代医学の中の漢方診療

 現今では主として,漢方診療には次のような意義がある.
 (1) 軽症ではあるが難治の病気の治療法
 (2)自己免疫疾患などの難治の慢性病の治療法
 (3)免疫力が低下している重症感染症などにおいて免疫力を賦活させる治療法
 (4)諸手術後の回復を良くするための治療法
 (5)がんの再発防止のため,末期ガンのQOLを良くするためのBRM(Biological Response Modifier: 生物学的応答調節物質)のひとつとして等々.
 日常の臨床では,漢方薬方を“証”を目標にして処方しなければうまく治せない場合がある一方,的確な病名診断のもとに洋薬と漢方薬を併用しなければならない場合がある.前者と後者の併用もまたしばしば行なわれ,前述のように漢方治療の領域は多岐にわたる.
 生体の内部情報を精細に分析し専門分野の細分化の道をひた走る現代医学に対し,近代医学より古い歴史を持つ漢方は,生体の内部情報を検査によって知ることのできなかった時代の制約のもとに,随証療法(随証治療)が提唱された.病態生理学と薬理学がなかった時代に,実在する眼前の症候群のみを重視しそれと薬方を直結させたのは,その時代としては極めて実証的であったといわれる.しかし多彩な症候を呈している眼前の病人から,一つの薬方の証を絞り込む作業すなわち診断は,症候と薬方との関係が典型的であれば容易であるが,そうでなければ決して容易ではない.
 漢方の日本化の先達 吉益東洞は,傷寒論と金匱要略の各薬方名の次に“証”を書き,その薬方の条文の症候群と直結させた.「随二其証一,而処レ方.不レ拘二病名病因一」「蓋方証相対」「大建中湯証曰.心胸中大寒痛.嘔不レ能二飲食一」(「東洞先生問答書」「薬徴」『東洞全集』呉秀三,芸備医学会編,吐鳳堂,1918年)
 この場合,“証“ではなく,“証”の文字が用いられている.現在は,正しいことを言って諫める意の証が俗用されているが,証には言葉を登らせる・上げる・明らかにする・記載する等の意味がある.
 すなわち治療上の指針すなわち薬方の根拠を明らかにするのが“証”である.
 “証”という語には,単なる薬方の適応証であるというのみならず,具体的な症候群を超え,その奥にある《脾(裏)虚の寒》というように病態の本質を一元論的に集約し抽象化する努力を込めることもできる.
 一人の病人の主訴から各症候に至るまで外部情報全体を総括し集約し抽出された,ある抽象的な概念を証とすることもできる.この証は症候群ではなく,抽象的であるが疾病の本質に迫ろうとしている.この場合,証という概念は虚実,寒熱,表裏等の対立概念の組み合せや五行五臓等の基本的な考え方,それに12経絡,乃至は6経絡に対する経絡治療(私の場合,かつては人迎脈口診であり,現在は筋診断治療法)上の診断から導き出される.病は標準からの偏位である.その偏りが《脾(裏)虚の寒》という証であれば,脾虚を補し寒を温める薬方は自ずから絞られてくる.寒に基づく腹痛が主訴であれば証はさらに絞り込まれ,大建中湯という薬方と結びつけられる.
 証という概念があることを知ることにより,さらに一般に,物事の核心となる問題点を探し出そうという姿勢が身に付くようになる.それは,患者の治療経過を追うときに必要な目安(症候および検査項目)を常に意識させる.診療上重要な着眼点は何かという問題意識を常に抱かせる.
 一般には軽視されているけれども,診療上の大切な着眼点の一つは“便秘“である.重症と軽症の如何に関わらず,病名の如何に関わらず,“便秘”の解消は自然治癒力促進の鍵であり,非常に重要な治療の着眼点でありかつ目安である.この場合,便秘は治療効果判定の目安であって上述の証ではない.便秘を除く他の症候群から導き出された“証”が異なればそれに応じて薬方は異なり,必ずしも下剤は用いられない.
 而して便秘をもたらした,背景にある全体的な症候群から抽出した“証“に対応する薬方で治療して,治療の目安である便秘をはじめほとんどの症状が軽快すれば,この随証治療は総合的に成功したと考えられる.“証”が「裏寒」であれば「清熱」性の下剤では効果的でなく,温める薬方で大腸の蠕動は自ら促進され快便が得られ便秘は治る.すなわち,“証”は,便秘―下剤という短絡的な観念よりも,治療上本質的な概念である.
 すなわち,薬方に対応する“証”が,単なる症候・病名よりも優先される.病名よりも個々の患者の個人差が優先される.証を求めて模索した例を,便秘・気管支喘息等の病名の下に集めた症例集が,第1章 証を目標とした漢方処方の使い方である.この場合医師は,大腸下部の悪性腫瘍の主症状は便秘であることを銘記していなければならないのは当然である.悪性腫瘍に対する治療法の第一選択は手術である.漫然とした下剤の投与は,誤診・誤治療のもとになる.悪性腫瘍の診療が一つの大きな柱である現代では,古典的な単なる随証治療一点張りというものはあり得ない.随証治療をするにしても,悪性腫瘍の存在の有無をはじめ,常に病名診断と病名治療を意識していなければならない.漢方診療単独,あるいは漢方と現代医学的診療との併用のいずれであるかを問わず,予期せぬ悪い結果が生じたらこれからは訴訟の対象になり得るであろう.
 “証”を模索して処方した一つ一つの症例に,検査データを付し古典を引用したりして考案を加えられたものが,第2章 漢方診療の症例の検討である.1969年から1977年にかけて『漢方の臨牀』誌に「漢方診療検討録」として連載させていただいたものがあり,だいぶ古い記録である.藤平 健先生・柴崎保三先生・石野信安先生に御講評をお願いして書いていただいた貴重な紙上討論の部分もそのまま付した.往時の学恩を謹んで感謝申し上げる.その他,1974年から現在に至るまで連載し続けている「診療メモ」(月刊むすぶ)他からも収録した.一人の患者さんの病歴から治療法の経過とその反省を書いた医案は古来,重要視されてきた.症候等の記載が不十分であり考察も浅く,優れた先人の医案には及ぶべくもないが,検査データや手術所見などを付記したこういう医案の書き方もあったということである.
 漢方薬方にはBRM(Biological Response Modifiers=生物学的応答調節物質)(参照:本書185頁の[註])に属するものがあり,生体の免疫力を活性化させる作用がある.生体防禦機構が破綻し免疫力が低下した場合の肺炎等の治療には,抗生物質による化学療法だけではうまくいかない.抗生物質の使い過ぎでむしろ,MRSA(メチシリン耐性黄色ぶどう球菌)感染症などの薬剤耐性菌感染症になることをおそれる.
 広義の免疫療法が必要であるこれらの場合には漢方薬方単独か,漢方薬方と抗生物質の併用が初めから必要と考えられる.衰弱している場合には単なる補液にとどまらず,代謝賦活剤としての漢方薬方は有益である.手術後のがんの再発防止のために,進行がんの終末医療においても良いQOLを維持するためにも,漢方薬方の意義は大きい.これら比較的重症に対する漢方治療の症例も第2章の終わりに付す.
 日本の漢方界ではあまり重要視されていないが,非常に優秀な生薬の中にサフラン(番紅花)がある.サフランの効果たるや切れ味は非常に良い.サフランの薬理はかなり解明されており,薬理作用を考量しながらサフランの“証“を新たに構築することができそうである.如何なる疾患においてもサフランの精神神経安定作用は,疾病の自然治癒の促進に役立つ.サフランの代表的な薬理作用である血小板凝集抑制作用・抗凝固作用・栓溶促進作用(血栓形成の予防に常用)とを合わせれば,“自律神経失調症および血栓性の疾患すなわち■血(血■)”という新たなるサフランの“証”が構築される.サフランの証は虚実を問わないので,サフランは使いやすい.第3章 サフランを含む処方の効用では,筆者のその治療例を御紹介する.この場合使用したサフラン自身は生薬であるが,サフランと併用した他の処方のほとんどはエキス剤である.(本章は1999年の第9回漢方治療研究会で発表したものに加筆し推敲を加えたものである)
 比較的安全とされてきた漢方薬にも,副作用がある.第4章 漢方薬の副作用は著者が経験した症例である.これらは二度と繰り返したくない経験例であるから,誤診・誤治療例とともに極めて貴重なものである.問題となったこれらの処方は,烏頭,紅参(コウジン末)を除けば全てエキス剤であったということに注目すべきである.薬用人参に関しては農薬を用いた栽培の実際について,烏頭・附子についてはその薬理・意義・市販品の実際などについてまとめたものを付している.
 漢方診療に限らず私は誤診・誤治療には重大な関心があり,「失敗に学ぶ」という一章を別に書いている(橋本行生:『病を知り己れを知る』農文協,1994).これに私自身の漢方診療を含んだ自験例を付して,本書の終わりに第5章 誤診・誤治療論を掲げる.この章で提起されている最も大きな主題は現今の,副腎皮質ホルモン剤の安易な濫用に対する批判である.この副作用の本質を考究し,強力な漢薬を使用すれば安易な副腎皮質ホルモン剤の投与を避け慢性関節リウマチ等の治療をすることが可能ではないか,ということを述べている.
 第116例を除いて,付記した私の自験例は恥ずべきものであるけれども,この章は広く医療全体における誤診・誤治療論を展開しようとしたものである.医学にも「失敗学」がつくられなければならない.人は失敗の原因を深く掘り下げそこから得られる教訓を,次の成功の土台としなければならない.第5章の終わりの,「危機管理の思想」は短い文章であるが,失敗の研究における私の基礎的な考え方を述べたものである.
 「治療学」の先覚者,故・板倉 武先生(1889-1958)は次のように訓えられたといわれる.「治験例を書くとき,次のような反省をしながら記録して欲しい.証ノ従って処方を指示し,効果を認めたときでも,それが最も適切なものであったかどうか,もっとよい証に合った処方がなかったか,また,そのとき患者が何かほかの薬を併用しなかったか,民間薬や他の療法を行なわなかったか,それがどのように作用したかをも考慮する必要がある.もし効果のなかったときは,正しくはどの処方がよかったか,或いは洋薬なり他の療法を併用した方がよかったか,或いは処方の中の薬の良否を確かめ,分量が適当であったかどうかなどを慎重に考慮し,最も適切な治療法を再考する必要がある.」(矢数道明:板倉武先生の思い出.『板倉武先生顕彰記念文集』板倉武先生顕彰記念文集編集委員会,医聖社 ,1988)
 本書は漢方の治療理論の書ではなく,筆者がこれまでその時々に書いてきた,漢方診療を含む診療録とその医案を素材としたものである.かねて尊敬申し上げる板倉武先生の上記の御遺訓に,幾分なりとも添うことができればと願いつつ,原稿を推敲し編集した.漢方は治療学の一分野として位置づけられている.
 症候の事実や検査データ等についてはそれらの記録が不十分・不完全であってもそのまま記載し,当然のことではあるが,それらに対して改竄や捏造はこれを一切していない.3例を除けば他は,素稿が書き下ろしではないので,各症例の記述の仕方には必ずしも一貫性がないことを御容赦いただきたい.漢方の各種基礎概念や治療理論等については,それぞれの成書を御参照いただきたい.これは限られた一個人の臨床であるから,その守備範囲は広くない.これは滄海の一滴のようなものであるが,本書が「治療学」建設のための一基礎の一石となり得れば光栄である.
 2003年 4月
 橋本行生
 まえがき

第1章 証を目標にした漢方処方の使い方
 1.便秘の治療
  下剤を用いた便秘の治療
   第1例  小承気湯
   第2例  桃核承気丸・桂枝茯苓丸
   第3例  当帰四逆湯加大黄
   第4例  当帰四逆加呉茱萸生姜湯加大黄
  下剤を用いない便秘の治療
   第5-1例 当帰四逆加呉茱萸生姜湯
   第5-2例 当帰四逆加呉茱萸生姜湯
   第5-3例 当帰四逆加呉茱萸生姜湯
   第6例  頭痛・嘔吐の便秘に桂枝茯苓丸・当帰芍薬散
   第7例  慢性腎炎の便秘に八味丸
   第8例  胃下垂の便秘に補中益気湯加附子
   第9-1例 大建中湯
   第9-2例 右下腹部痛と便秘に大建中湯
   第10例 壊死性胆嚢炎(胆石症)に紫円(紫円)
 2.気管支喘息の治療
   第11例 麻杏甘石湯
   第12例 厚朴麻黄湯
   第13例 苓甘姜味辛夏仁黄湯
   第14例 小青竜湯加石膏
   第15例 小青竜湯加附子
   第16例 小青竜湯去麻黄加杏仁・附子
   第17例 百合固肺湯

第2章 漢方診療の症例の検討
   第18-1例 発熱に桂枝湯エキス
   第18-2例 発熱に桂枝湯エキス
   第19-1例 発熱に麻黄湯エキス
   第19-2例 発熱に麻黄湯エキス
   第20例  急性咽頭炎と葛根湯エキス(併病の治療)
   第21例  腹満感と大承気湯エキス
   第22例  軽度の感染症に桂枝湯および麻黄湯エキス
   第23例  悪寒戦慄・発熱・胸痛・腹痛に小柴胡湯エキス
   第24例  頻尿・しびれ感に真武湯エキス
   第25例  尿意頻数(先天性股関節脱臼)に心蓮子飲
   第26例  立ちくらみに苓桂朮甘湯加附子
   第27例 アレルギー性鼻炎に麻黄附子細辛湯エキスと平胃散エキス
   第28-1例 アトピー性皮膚炎に補中益気湯エキス
   第28-2例 アトピー性皮膚炎に補中益気湯
   第29例 アトピー性皮膚炎・気管支喘息に六味丸および八仙丸
   第30例 アトピー性皮膚炎・気管支喘息・アレルギー性結膜炎・アレルギー性鼻炎に四物湯加方
   第31例 百日咳に頓嗽湯
   第32-1例 手掌の湿疹に大青竜湯
   第32-2例 くしゃみ・背痛に大青竜湯
   第33例 麻疹(はしか)の漢方治療
   第34例 狭心症に■楼湯
   第35例  心不全に木防已湯
   第36例  労作性狭心症に小建中湯加大黄
   第37例  肺気腫に小建中湯
   第38例  三叉神経痛に小建中湯加防風・附子・細辛
   第39例  全身性エリテマトーデスの浮腫に五苓散
   第40例  顔面神経麻痺に当帰芍薬散料加附子
   第41例  流行性角結膜炎に小青竜湯か越脾(婢)加朮湯か
   第42-1例 高血圧症に越脾(婢)加朮湯
   第42-2例 高血圧症に越脾(婢)加朮湯
   第43例 関節痛に附子理中湯
   第44例 煩躁・嘔吐に半夏瀉心湯
   第45例  上腹部痛・悪心・嘔吐に甘草瀉心湯
   第46例  反復性臍疝痛に甘草瀉心湯
   第47例  肩凝り・頭痛・胃弱に呉茱萸湯
   第48例  胃潰瘍に黄連湯
   第49例  胃潰瘍に温経湯
   第50例  熱い口内炎に三黄瀉心湯(合病の治療)
   第51例  口内炎に黄連解毒湯去山梔子加甘草
   第52例  舌炎に温灸と甘草瀉心湯加黄柏
   第53例  妊娠悪阻に当帰四逆加呉茱萸生姜湯・半夏厚朴湯・人参湯(兼病の治療)
   第54例  子宮復古不全に四君子湯加方
   第55例  慢性肝炎に茯苓飲
   第56-1例 頭痛に黄耆桂枝五物湯
   第56-2例 頭痛に黄耆桂枝五物湯加大黄
   第57例 慢性腎不全・人工透析の■痒・煩渇に四物湯エキス・消風散エキス
   第58例  脳梗塞に四物湯加黄連・山梔子
   第59例  脳出血の後遺症に加味八仙湯加大黄・附子
   第60例  糖尿病・緑内障に四逆湯
   第61例  急性肺炎に四逆湯
   第62例  栄養失調に四逆湯
   第63例  無声・下痢に通脈四逆湯加桔梗
   第64例  急性肝炎・不正性器出血・蕁麻疹に茵■蒿湯
   第65例  壊死後性肝硬変症に大柴胡湯エキス・大承気湯エキス他
   第66例  肝硬変症と大柴胡湯去大黄
   第67例  胆道閉鎖症の肝硬変症に小柴胡湯
   第68例  胃がん手術後の腸狭窄に大建中湯
   第69例  膵がん乃至はスキルス胃がんに小建中湯と十全大補湯
   第70例  肝硬変症B型・肝細胞がんに加味帰脾湯他
   第71例  大腸がん手術後・肝転移・肺転移・粉瘤に桃核承気湯エキス・荊芥連翹湯エキス・大柴胡湯エキス他

第3章 サフラン(番紅花)を含む処方の効用
  サフランの成分
  女性性器に対する作用
  血小板凝集抑制作用・抗血液凝固作用・線溶促進作用
  精神神経安定作用
  制がん作用
  抗酸化物質としての意義
  その他
  副作用と禁忌
  服用の仕方
  サフランを含む処方の効用(病名と証に基づく治療)
   第72例 生理痛・アトピー性皮膚炎に十全大補湯エキス他加サフラン
   第73例 生理痛・遅発月経・稀少月経に桂枝茯苓丸料エキス他加サフラン
   第74例 生理痛・胃下垂に六君子湯エキス他加サフラン
   第75例 生理痛・子宮内膜症に■帰調血飲エキス他加サフラン
   第76例 生理痛・子宮内膜症(子宮腺筋症)に桂枝茯苓丸料エキス他加サフラン
   第77例 不正性器出血に当帰芍薬散料エキス他加サフラン
   第78例 卵巣腫瘍に桂枝茯苓丸料エキス他加サフラン
   第79例 網膜中心静脈分枝閉塞症に補中益気湯エキス他加サフラン
   第80例 僧帽弁閉鎖不全・心房細動に補中益気湯エキス加サフラン
   第81例 心房細動・心房粗動にサフラン他
   第82例 脳梗塞にサフラン
   第83例 冠動脈硬化症にサフラン
   第84例 陳旧性心筋梗塞・糖尿病に冠心II号方加サフラン
   第85例 心筋梗塞にサフラン
   第86例 ベーチェット病に黄連解毒湯エキス他加サフラン
   第87例 混合性結合組織病に小柴胡湯エキス他加サフラン
   第88例 シェーグレン症候群に帰脾湯エキス加サフラン
   第89例 慢性胃炎・自律神経失調症に五積散エキス加サフラン
   第90例 上腹部痛に五積散エキス加サフラン
   第91例 仮面うつ病に桂枝加竜骨牡蠣湯エキス加サフラン
   第92例 パーキンソン病に桂枝加竜骨牡蠣湯エキス加サフラン
   第93例 自律神経失調症に桃核承気湯エキス他加サフラン
   第94例 自律神経失調症・高血圧症にサフラン
   第95例 自律神経失調症・慢性甲状腺炎(橋本病)・肥大型心筋症に桃核承気湯エキス加サフラン
   第96例 発作性上室性頻拍症・原発性胆汁性肝硬変症・慢性関節リウマチに大柴胡湯エキス他加サフラン
   第97例 慢性扁桃腺炎に小柴胡湯エキス他加サフラン
   第98例 帯状疱疹に四逆湯他加サフラン
   第99例 前立腺肥大・慢性前立腺炎に三黄瀉心湯エキス加サフラン
   第100例 直腸がんに八味地黄丸料エキス他加サフラン
   第101例 膀胱がん・狭心症・高血圧症・前立腺肥大に八味地黄丸料エキス加サフラン

第4章 漢方薬の諸問題
   第102例 八味地黄丸料エキスによる薬疹
   第103例 烏頭の中毒
   第104例 小柴胡湯エキス他による急性肝炎
  薬用人参の諸問題
  薬用人参の効用
   第105例 不安神経症に帰脾湯エキス他
  薬用人参の副作用
   第106例 再生不良性貧血に低血糖
   第107例 潰瘍性大腸炎に下痢
   第108例 浮腫
   第109例 高血圧
   第110例 夏季の薬疹
   第111例 尋常性■瘡(面皰)
   第112例 乳がん手術後,細胞性免疫能増大によるものと思われる薬疹

第5章 誤診・誤治療論
 誤診・誤治療の分類
  1 不注意(単純ミス)
  2 無知,経験不足,情報不足
  3 拙劣な診療技術
  4 戦略の失敗
  5 治療上の理論的な誤り
  6 思想性の欠如
   第113例 盲腸周囲膿瘍と盲腸がん
   第114例 無数の肝内結石・胆汁性肝硬変症
   第115例 膵がんあるいはスキルス胃がんによる腸閉塞・腸穿孔
   第116-1例 副腎皮質ホルモン剤の連用からの漢薬による離脱(慢性関節リウマチ)
   第116-2例 副腎皮質ホルモン剤の連用からの漢薬による離脱(慢性関節リウマチ)
 失敗の研究(危機管理の思想)

 索引
 あとがき