第2版 はじめに
本書の第1版が世に出てから10年が経過した.この間に多くの読者から手紙や電話による質問や問い合わせをいただき,交流分析に対する関心が今なお広まりつつあることを知り,著者としては大きな喜びである.
この10年間の心身医学の動向をみると,生活様式や生活習慣の面からも病気をとらえ,臨床各科の患者さん一般について,身体医学と行動科学の両面から全人的医療を実践する“行動医学”の方向へと発展している.この視点に立つとき,心の不適応は行動の不適応をも意味することになり,適切な行動を再獲得する方法も心理療法の仲間入りを果たし,重要な位置を占めるようになっている.ここに,人間行動のうち,コミュニケーションの意味を探究する交流分析との接点が見出され,今後,対人関係の障害内容や機制などにも,自己理解を深める必要性がますます問われることになろう.
このたび,第2版の出版にあたり,行動科学的な視点を踏まえて,第1版のいくつかの箇所を変更あるいは加筆させていただいた.特に,ラケット感情(第10章),ゲームの扱い方(第11章),脚本分析(第12章)の領域では,筆者がセラピストとして関与した症例を提示し,グループにおける個人療法の過程や実際の面接でのやりとりの記述にかなりのスペースを割いた.これらの症例の後に,理論からの考察を加えてみたが,読者からのご批判をいただければ幸いである.
第13章は,日本交流分析学会の創立者である池見酉次郎先生(故人,九州大学名誉教授)を中心に学会が取り組んできた課題──いかにして日本的交流分析を健全な形で発展させるか──について,第21回大会(1997)で,筆者が「わが国における交流分析の今後の展望」と題して行った特別講演をまとめたものである.自我状態の中のAを中心とする自己コントロールを目指す西洋的TAに対して,性格全体を統合し,かつ人間を超えた宇宙の摂理との交流を求めるS(セルフ)への気づきを得るところに,日本的交流分析の特徴がある,という主張である.
本書が,医療,教育,子育て支援などの分野で心理的アプローチを模索されている方々にとって,一つの入門書としての役割を果たすことを願ってやまない.
最後に,本書の第2版の出版に一方ならぬご援助をいただいた医歯薬出版の担当諸氏に厚く御礼申し上げる.
2000年10月 著 者
第1版 はじめに
人が自分に関する真実―自分も気づかない隠れた動機,生育歴の中で形成された近道反応など―を知り,自分の内的世界の立て直しをはかるとき,心身相関の病気から解放される.これは精神分析のアプローチである.しかし,実際には多くの患者は,精神分析を施す治療者を持つことができず,また,精神分析の学習を望む医師やサイコロジストも,なかなかその機会に恵まれていないのが現状である.
何らかの形で,患者が自己認識を得るのを助ける方法はなかろうか.また,本格的な精神分析の訓練は将来求めるとして,日常の臨床の場で費やしうるエネルギーの範囲内で活用できる精神療法はなかろうか.この問いを解決する試みの一つとして,私たちは交流分析法(transactional analysis,略してTA)に取り組んできた.TAは1971年に九州大学心療内科において初めて医療に導入されてから,15年を超える段階にある.この間に日本交流分析学会,日本交流分析協会,さらには日本TA協会が設立され,医学界ばかりでなく,教育界,産業界の領域にも普及し,人間関係の改善法としても関心を持たれるに至っている.1989年の1月には,米国ハワイ州において開催された国際TA協会(ITAA)の冬季大会に,わが国からも多数の研究者が参加している.
本書はTAを臨床の場に導入した初期に書かれた「交流分析と心身症」(1973年)を,その後のTAの研究・発展を含めて訂正,加筆したものである.本書ではE.Berneによって創始されたTAをできるだけ忠実に紹介することを第一の目的とした.TAの本質は「ゲーム分析」(Game analysis,第9章)にあるといわれる.この人間関係に生じる悪循環の分析に,Berneがどのような観点から取り組み,それらをパターン化し,さらにゲームからの解放を考えてきたかを,)に詳しく考察したつもりである.
次にBerneが晩年に体系化し始めた「人生脚本」(第12章)にも,かなりのページをさいた.そこではGouldingらのBerne以後の研究を紹介し,精神分析の重要なテーマの1つである反復強迫あるいは運命強迫からの解放について,症例を通して検討した.脚本分析は本格的精神療法(major psychotherapy)に属するものであるが,治療者の生育歴を探る自己分析の方法としても,活用していただけるものと思う.
著者らが研究してきた領域にも新しい章をもうけた.第7章の「エゴグラムとOKグラム」がそれである.各自我状態が放出していると仮定される心的エネルギーの量をグラフ化したものがエゴグラムであるが,今日,わが国のTA研究者の間に,多大の関心を集めている.著者らも質問紙法を用いたエゴグラムを開発してきたが,最近は対自・対人関係の態度(基本的構え)を「OKグラム」によってとらえ,患者の内界と外界を統合的に理解する方法を用いている.本書には被験者が採点できる両種のテストをのせておいた.
第13章は,日本交流分析学会第9回大会で筆者が「精神分析と交流分析」と題して行った会長講演を文章にまとめたものである.そのために,文体がそれまでの章とやや異なり,著者個人の問題にも言及している.しかし,精神分析的な立場をふまえて,交流分析を行う以上,自分にとってそれがどういう意味があるのかについて述べることが必要だと思うので,あえてこのままの形で載せていただくことにした.
最後の章では,TAを応用した症例を3つ紹介するが,これらはすべて著者の参加したグループでTAを学ばれた方々が,医療にそれを応用され,日本交流分析学会あるいはその機関誌に発表されたものである.したがって,前書にあった“自験例”を,すべて最近の症例によって入れ替えた形になっている.これらの症例から,TAが臨床の場で,有効に活用できることを知っていただければ,幸いである.
今日,家庭における養育機能の変化の影響を受けてか,他者との関係で,人格の感情的な部分と知性的な部分を分割・遮断してしまう人が増えているという.TAのゴールの一つは,知性,感情,創造性,身体感覚,さらには行動の間に与うかぎり開放的で,無理のないコミュニケーションをうち立てることにある.TAの理論と技法によって,本書を読まれる治療者が自己を知り,よりよく統合された自己を求めていかれることを,著者としては願うものである.
おわりに,本書の出版に際して,ご支援下さった,医歯薬出版の石田孔久氏に厚く御礼申し上げます.
1989年12月 著 者
本書の第1版が世に出てから10年が経過した.この間に多くの読者から手紙や電話による質問や問い合わせをいただき,交流分析に対する関心が今なお広まりつつあることを知り,著者としては大きな喜びである.
この10年間の心身医学の動向をみると,生活様式や生活習慣の面からも病気をとらえ,臨床各科の患者さん一般について,身体医学と行動科学の両面から全人的医療を実践する“行動医学”の方向へと発展している.この視点に立つとき,心の不適応は行動の不適応をも意味することになり,適切な行動を再獲得する方法も心理療法の仲間入りを果たし,重要な位置を占めるようになっている.ここに,人間行動のうち,コミュニケーションの意味を探究する交流分析との接点が見出され,今後,対人関係の障害内容や機制などにも,自己理解を深める必要性がますます問われることになろう.
このたび,第2版の出版にあたり,行動科学的な視点を踏まえて,第1版のいくつかの箇所を変更あるいは加筆させていただいた.特に,ラケット感情(第10章),ゲームの扱い方(第11章),脚本分析(第12章)の領域では,筆者がセラピストとして関与した症例を提示し,グループにおける個人療法の過程や実際の面接でのやりとりの記述にかなりのスペースを割いた.これらの症例の後に,理論からの考察を加えてみたが,読者からのご批判をいただければ幸いである.
第13章は,日本交流分析学会の創立者である池見酉次郎先生(故人,九州大学名誉教授)を中心に学会が取り組んできた課題──いかにして日本的交流分析を健全な形で発展させるか──について,第21回大会(1997)で,筆者が「わが国における交流分析の今後の展望」と題して行った特別講演をまとめたものである.自我状態の中のAを中心とする自己コントロールを目指す西洋的TAに対して,性格全体を統合し,かつ人間を超えた宇宙の摂理との交流を求めるS(セルフ)への気づきを得るところに,日本的交流分析の特徴がある,という主張である.
本書が,医療,教育,子育て支援などの分野で心理的アプローチを模索されている方々にとって,一つの入門書としての役割を果たすことを願ってやまない.
最後に,本書の第2版の出版に一方ならぬご援助をいただいた医歯薬出版の担当諸氏に厚く御礼申し上げる.
2000年10月 著 者
第1版 はじめに
人が自分に関する真実―自分も気づかない隠れた動機,生育歴の中で形成された近道反応など―を知り,自分の内的世界の立て直しをはかるとき,心身相関の病気から解放される.これは精神分析のアプローチである.しかし,実際には多くの患者は,精神分析を施す治療者を持つことができず,また,精神分析の学習を望む医師やサイコロジストも,なかなかその機会に恵まれていないのが現状である.
何らかの形で,患者が自己認識を得るのを助ける方法はなかろうか.また,本格的な精神分析の訓練は将来求めるとして,日常の臨床の場で費やしうるエネルギーの範囲内で活用できる精神療法はなかろうか.この問いを解決する試みの一つとして,私たちは交流分析法(transactional analysis,略してTA)に取り組んできた.TAは1971年に九州大学心療内科において初めて医療に導入されてから,15年を超える段階にある.この間に日本交流分析学会,日本交流分析協会,さらには日本TA協会が設立され,医学界ばかりでなく,教育界,産業界の領域にも普及し,人間関係の改善法としても関心を持たれるに至っている.1989年の1月には,米国ハワイ州において開催された国際TA協会(ITAA)の冬季大会に,わが国からも多数の研究者が参加している.
本書はTAを臨床の場に導入した初期に書かれた「交流分析と心身症」(1973年)を,その後のTAの研究・発展を含めて訂正,加筆したものである.本書ではE.Berneによって創始されたTAをできるだけ忠実に紹介することを第一の目的とした.TAの本質は「ゲーム分析」(Game analysis,第9章)にあるといわれる.この人間関係に生じる悪循環の分析に,Berneがどのような観点から取り組み,それらをパターン化し,さらにゲームからの解放を考えてきたかを,)に詳しく考察したつもりである.
次にBerneが晩年に体系化し始めた「人生脚本」(第12章)にも,かなりのページをさいた.そこではGouldingらのBerne以後の研究を紹介し,精神分析の重要なテーマの1つである反復強迫あるいは運命強迫からの解放について,症例を通して検討した.脚本分析は本格的精神療法(major psychotherapy)に属するものであるが,治療者の生育歴を探る自己分析の方法としても,活用していただけるものと思う.
著者らが研究してきた領域にも新しい章をもうけた.第7章の「エゴグラムとOKグラム」がそれである.各自我状態が放出していると仮定される心的エネルギーの量をグラフ化したものがエゴグラムであるが,今日,わが国のTA研究者の間に,多大の関心を集めている.著者らも質問紙法を用いたエゴグラムを開発してきたが,最近は対自・対人関係の態度(基本的構え)を「OKグラム」によってとらえ,患者の内界と外界を統合的に理解する方法を用いている.本書には被験者が採点できる両種のテストをのせておいた.
第13章は,日本交流分析学会第9回大会で筆者が「精神分析と交流分析」と題して行った会長講演を文章にまとめたものである.そのために,文体がそれまでの章とやや異なり,著者個人の問題にも言及している.しかし,精神分析的な立場をふまえて,交流分析を行う以上,自分にとってそれがどういう意味があるのかについて述べることが必要だと思うので,あえてこのままの形で載せていただくことにした.
最後の章では,TAを応用した症例を3つ紹介するが,これらはすべて著者の参加したグループでTAを学ばれた方々が,医療にそれを応用され,日本交流分析学会あるいはその機関誌に発表されたものである.したがって,前書にあった“自験例”を,すべて最近の症例によって入れ替えた形になっている.これらの症例から,TAが臨床の場で,有効に活用できることを知っていただければ,幸いである.
今日,家庭における養育機能の変化の影響を受けてか,他者との関係で,人格の感情的な部分と知性的な部分を分割・遮断してしまう人が増えているという.TAのゴールの一つは,知性,感情,創造性,身体感覚,さらには行動の間に与うかぎり開放的で,無理のないコミュニケーションをうち立てることにある.TAの理論と技法によって,本書を読まれる治療者が自己を知り,よりよく統合された自己を求めていかれることを,著者としては願うものである.
おわりに,本書の出版に際して,ご支援下さった,医歯薬出版の石田孔久氏に厚く御礼申し上げます.
1989年12月 著 者
第2版はじめに
第1版はじめに
第1章 交流分析(transactional analysis;T)
1 今,なぜ自己認識が必要か
2 交流分析の概要
1.構造分析(structural analysis)
2.交流パターン分析(transactional analysis)
3.ゲーム分析(game analysis)
4.脚本分析(script analysis)
3 交流分析の始祖Eric Berne
第2章 自我状態
1 自我分析
2 親の自我状態P
1.Pの2つの型
2.診断法
3 大人の自我状態A
1.Aの機能
2.診断法
4 子供の自我状態C
1.Cの3つの型
2.診断法
第3章 ストローク
1 ストロークとは
2 ストロークの諸相
1.陽性のストローク
2.陰性のストローク
・症例
第4章 基本的な構え
1 基本的な構えとは
2 基本的な構えの4つの型
1.“私はOKでない.他人はOKである”
2.“私はOKである.他人はOKでない”
3.“私はOKでない.他人もOKでない”
4.“私はOKである.他人もOKである”
第5章 時間の構造化
1 人生と時間
2 時間の構造化
1.閉鎖
2.儀式
3.活動
4.雑談
5.ゲーム
6.親密さ(親交)
第6章 構造分析
1 構造分析とは
・症例
2 自我状態の病理
1.疎外(exclusion)
2.汚染(contamination)
3.汚染の除去(decontamination)
第7章 エゴグラムとOKグラム
1 エゴグラムとは
2 エゴグラムと心身症
3 エゴグラムの読み方
・症例
4 治療者のエゴグラム
5 治療への応用
・症例
6 エゴグラムとOKグラム
1.基本的な構えとOKグラム
2.エゴグラムをより深く読むために
第8章 交流パターン分析
1 交流とは
2 相補的交流
3 交叉的交流
4 裏面的交流
5 交流の方向
1.CPからの発信
2.NPからの発信
3.Aからの発信
4.FCからの発信
5.ACからの発信
第9章 ゲーム分析
1 ゲームとは
2 人はなぜゲームを演じるのか
3 ゲームの実際
1.キック・ミー(Kick Me)
2.仲間割れ(Let's You and Him Fight)
3.あなたのせいでこんなになったんだ(See What You Made Me Do)
4.ひどいもんだ(Ain't It Awful)
5.決裂(大騒ぎUproar)
6.さあ,とっちめてやるぞ(Now,I've Got You,You Son of a Bitch)
7.あなたを何とかしてあげたいと思っているだけなんだ(I'm Only Trying to Help You)
8.苦労性(Harried)
9.ラポ(rapo)
10.シュレミール(Schlemiel)
11.精神療法(精神医学)
12.暗黙の了解(貧乏)
13.診断主義者(温室Green-house)
14.こんなに私が無理しているのに(Look How Hard I've Tried)
15.義足(Wooden Leg)
16.おろか者(Stupid)
17.法廷(Court room)
18.警官と泥棒(Cops and Robbers)
4 ゲームの法則
1.進行過程にみられる法則
2.自我状態の変化にみられる法則
3.共生関係(Symbiosis)
4.役割の変遷にみられる法則
第10章 ラケット感情
1 ラケットとラケット感情
2 ラケット感情の性質
3 真正の感情と代用感情
1.基本的同情とは
2.正常な情動反応とラケット感情
3.治療におけるラケット感情の功罪
4.あなたのラケット感情に気づくために
4 ラケット感情の書き替え
・症例
第11章 ゲームの扱い方
1 どう打ち切るか
1.交叉的交流を用いること
2.フィードバック的交流
3.Aの姿勢をとること
4.値引きを拒むこと
5.ラケット感情をストロークしない
6.否定的ストロークに強く反応しない
・症例
2 ゲームと値引き
1.値引きとは
・症例
第12章 脚本分析
1 人生早期の決断
2 脚本
3 脚本のでき方
・症例
4 脚本の母型と禁止令
1.脚本の母型(script matrix)
2.禁止令
5 治療者の脚本
6 ゲームと人生脚本
7 脚本の診断
1.“勝者““敗者”“非勝者”
2.時間の構造化と脚本
8 脚本分析の実際
1.脚本の法則
2.脚本装置(script apparatus)
・症例
・症例
第13章 わが国における交流分析の今後の展望
1 セルフ(S)の概念
1.観察する自我としてのセルフ
2.“自然の子”としてのS
3.実存的セルフ
4.Sの性質
2 日本式交流分析のS以外のセルフ概念
1.S.Freud,H.Hartmanら
2.C.R. Rogersのセルフ理論
3.H.Kohutの自己心理学
4.その他の周辺概念
3 Sの自覚に達するにはどうするか
1.池見教授の歩まれた道
2.M.James――スピリチュアルへの道
3.サイコシンセシス(精神統合)
4 Sをどのようにして臨床に応用するか
1.システム理論の応用
2.トランス・パーソナル心理学
3.TAネットワークづくり
4.実存的アプローチ
おわりに
第14章 示唆に富む症例
1 交流分析による問題解決例
1.交流分析導入までの経過
2.ゲームに気づく
3.ゲームの実際
4.ゲームの中断
5.ゲーム中断の経過と成果
6.考察
2 食行動異常患者の治療過程―エゴグラムからの観察
1.治療方針
2.治療経過
3.まとめ
3 交流分析を含む心身医学的アプローチが有効であった気管支喘息の一例
1.治療経過
本書のための参考文献
心身症を対象とした交流分析の参考文献
わが国で発行されている主な交流分析の著書および訳書
Eric Berneの主要論文および著書(年代順)
索引
第1版はじめに
第1章 交流分析(transactional analysis;T)
1 今,なぜ自己認識が必要か
2 交流分析の概要
1.構造分析(structural analysis)
2.交流パターン分析(transactional analysis)
3.ゲーム分析(game analysis)
4.脚本分析(script analysis)
3 交流分析の始祖Eric Berne
第2章 自我状態
1 自我分析
2 親の自我状態P
1.Pの2つの型
2.診断法
3 大人の自我状態A
1.Aの機能
2.診断法
4 子供の自我状態C
1.Cの3つの型
2.診断法
第3章 ストローク
1 ストロークとは
2 ストロークの諸相
1.陽性のストローク
2.陰性のストローク
・症例
第4章 基本的な構え
1 基本的な構えとは
2 基本的な構えの4つの型
1.“私はOKでない.他人はOKである”
2.“私はOKである.他人はOKでない”
3.“私はOKでない.他人もOKでない”
4.“私はOKである.他人もOKである”
第5章 時間の構造化
1 人生と時間
2 時間の構造化
1.閉鎖
2.儀式
3.活動
4.雑談
5.ゲーム
6.親密さ(親交)
第6章 構造分析
1 構造分析とは
・症例
2 自我状態の病理
1.疎外(exclusion)
2.汚染(contamination)
3.汚染の除去(decontamination)
第7章 エゴグラムとOKグラム
1 エゴグラムとは
2 エゴグラムと心身症
3 エゴグラムの読み方
・症例
4 治療者のエゴグラム
5 治療への応用
・症例
6 エゴグラムとOKグラム
1.基本的な構えとOKグラム
2.エゴグラムをより深く読むために
第8章 交流パターン分析
1 交流とは
2 相補的交流
3 交叉的交流
4 裏面的交流
5 交流の方向
1.CPからの発信
2.NPからの発信
3.Aからの発信
4.FCからの発信
5.ACからの発信
第9章 ゲーム分析
1 ゲームとは
2 人はなぜゲームを演じるのか
3 ゲームの実際
1.キック・ミー(Kick Me)
2.仲間割れ(Let's You and Him Fight)
3.あなたのせいでこんなになったんだ(See What You Made Me Do)
4.ひどいもんだ(Ain't It Awful)
5.決裂(大騒ぎUproar)
6.さあ,とっちめてやるぞ(Now,I've Got You,You Son of a Bitch)
7.あなたを何とかしてあげたいと思っているだけなんだ(I'm Only Trying to Help You)
8.苦労性(Harried)
9.ラポ(rapo)
10.シュレミール(Schlemiel)
11.精神療法(精神医学)
12.暗黙の了解(貧乏)
13.診断主義者(温室Green-house)
14.こんなに私が無理しているのに(Look How Hard I've Tried)
15.義足(Wooden Leg)
16.おろか者(Stupid)
17.法廷(Court room)
18.警官と泥棒(Cops and Robbers)
4 ゲームの法則
1.進行過程にみられる法則
2.自我状態の変化にみられる法則
3.共生関係(Symbiosis)
4.役割の変遷にみられる法則
第10章 ラケット感情
1 ラケットとラケット感情
2 ラケット感情の性質
3 真正の感情と代用感情
1.基本的同情とは
2.正常な情動反応とラケット感情
3.治療におけるラケット感情の功罪
4.あなたのラケット感情に気づくために
4 ラケット感情の書き替え
・症例
第11章 ゲームの扱い方
1 どう打ち切るか
1.交叉的交流を用いること
2.フィードバック的交流
3.Aの姿勢をとること
4.値引きを拒むこと
5.ラケット感情をストロークしない
6.否定的ストロークに強く反応しない
・症例
2 ゲームと値引き
1.値引きとは
・症例
第12章 脚本分析
1 人生早期の決断
2 脚本
3 脚本のでき方
・症例
4 脚本の母型と禁止令
1.脚本の母型(script matrix)
2.禁止令
5 治療者の脚本
6 ゲームと人生脚本
7 脚本の診断
1.“勝者““敗者”“非勝者”
2.時間の構造化と脚本
8 脚本分析の実際
1.脚本の法則
2.脚本装置(script apparatus)
・症例
・症例
第13章 わが国における交流分析の今後の展望
1 セルフ(S)の概念
1.観察する自我としてのセルフ
2.“自然の子”としてのS
3.実存的セルフ
4.Sの性質
2 日本式交流分析のS以外のセルフ概念
1.S.Freud,H.Hartmanら
2.C.R. Rogersのセルフ理論
3.H.Kohutの自己心理学
4.その他の周辺概念
3 Sの自覚に達するにはどうするか
1.池見教授の歩まれた道
2.M.James――スピリチュアルへの道
3.サイコシンセシス(精神統合)
4 Sをどのようにして臨床に応用するか
1.システム理論の応用
2.トランス・パーソナル心理学
3.TAネットワークづくり
4.実存的アプローチ
おわりに
第14章 示唆に富む症例
1 交流分析による問題解決例
1.交流分析導入までの経過
2.ゲームに気づく
3.ゲームの実際
4.ゲームの中断
5.ゲーム中断の経過と成果
6.考察
2 食行動異常患者の治療過程―エゴグラムからの観察
1.治療方針
2.治療経過
3.まとめ
3 交流分析を含む心身医学的アプローチが有効であった気管支喘息の一例
1.治療経過
本書のための参考文献
心身症を対象とした交流分析の参考文献
わが国で発行されている主な交流分析の著書および訳書
Eric Berneの主要論文および著書(年代順)
索引