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27巻9号 2018年8月号
特集 小児骨関節疾患の治療とリハビリテーション
特集にあたって
 今号編集担当者が大学病院リハビリテーション(以下リハ)科に入局した1984年(昭和59年),水曜日のリハ科外来PT室は大変であった.整形外科の側弯外来に合わせて,リハ科側弯クリニックがあるためである.制服の下にミルウォーキーブレースをのぞかせた,たくさんの中学,高校の女生徒の患者さんと,心配そうなお母さん(時にはご両親)が,整形外科医師診察前の身体評価(筋力,関節可動域とモアレ装置による写真撮影)と,整形外科診察後の側弯体操の確認,指導にひっきりなしにやってくる.診療開始と同時の朝から,夕方遅い時間まで続いていた記憶がある.ところがベテランPTによると,1970年代リハ科開設当初の先股脱(先天性股関節脱臼,現在は発育性股関節形成不全)外来の大変さは,この比ではなかったということである.赤ちゃんと不安そうなご両親,時には祖父母でごった返し,赤ちゃんの泣き叫ぶ声が混乱に拍車をかける.そんな中で,おむつを替える時の注意点や抱っこの仕方を指導する訳である.PTの精神的,肉体的ストレスは相当なものであったろうと想像できる.
 1985年(昭和60年度)の総務省統計局国勢調査によれば,総人口1億2,104万人のうち,15歳未満の年少人口は2,604万人で,総人口の21.5%を占め,15歳?64歳の生産年齢人口は8,253万人(68.2%),65歳以上の老年人口は1,247万人〔10.3%(うち75歳以上471万人,3.9%)〕であったが,2015年(平成27年度)国勢調査では,総人口1億2,709万人,年少人口は1,588万人(12.6%),生産年齢人口は7,628万人(60.7%),老年人口3,346万人〔26.6%(うち75歳以上1,612万人,12.8%)〕である.整形外科の治療対象が高齢者の退行性疾患にシフトしたのは当然のことである.いつの頃かリハ科側弯クリニックはなくなり,先天性股関節脱臼も,特発性側弯症も,リーメンビューゲルも,ミルウォーキーブレースも,過去の歴史になってしまった感があったが,患者さんが減っても疾患がなくなるはずはない.専門の医療機関に集中する形でずっと続いていたのである.治療成績の向上に向けた技術革新を真摯に続けながら.
 小児整形外科疾患に対するリハ医療の役割は何か,というのが本企画のテーマであるが,社会の宝である子どもの命と健康をいかに守り,国の未来を託すのか,空前絶後の少子高齢化社会の中で,医療職としてだけでなく,国民の一人として思いを巡らせていただきたい.
 Evidence Based Medicine の価値観が診療に大きな影響を与え,リハ医療においては,古くから経験的に行われてきた物理療法,運動療法,治療体操,装具療法等,コントロールスタディが難しい治療法は,エビデンスレベルが低いとされて,ガイドラインから外されるという事態が起こっている.整形外科的手術も同様であろう.
 だが,今回の特集で紹介したような,長い歴史の中で多くの専門家の努力によって洗練され,今に続いている治療技術の価値は薄れることはない.
 サッカーワールドカップの熱狂の後は,静かに読書し,臨床医学の深淵に触れ,至福の時間を過ごしましょう.(編集委員会)
目 次
小児骨関節疾患のUp to Date  芳賀信彦
側弯症の治療  川上紀明
発育性股関節形成不全・ペルテス病の診断と治療  金郁
先天性内反足・外反扁平足  町田治郎
小児のスポーツ傷害(外傷と障害)  帖佐悦男
新連載
最近の人工関節置換術と術後のリハビリテーション 
1.人工股関節全置換術─現在よく用いられている外科進入法の特徴とリハビリテーションの注意点  松原正明 
連載
巻頭カラー  医療職に知ってもらいたい 移動・移乗補助用具 
2.リフト  保田淳子 
リハビリテーション医療が支える障がい者スポーツ―現状と課題 
2.肢体不自由(上・下肢切断・不自由等)  中村太郎,指宿立・他 
ニューカマー リハ科専門医 
  佐田七海子 
基礎研究がリハビリテーション医療を変える 
5.誤嚥性肺炎の基礎研究  海老原覚,岡崎達馬 
リハビリテーションにおける教育論 
7.スタッフ教育─リハビリテーション病院における教育研修体制の構築  菅原英和,池田吉隆・他 
医療的ケア児・重症心身障害児(者)への在宅地域生活支援 
2.小児等在宅診療を通じ地域支援を考える─福祉・保健との連携─  宮田章子 
生殖医療・妊孕性温存・出生前診断の今 
4.女性脊髄障害者の妊娠・出産・育児について  道木恭子 
歴史への誘惑 
第56回 辞書の時代―「江戸ハルマ」と「長崎ハルマ」―  江藤文夫 

臨床経験 
実車評価で運転不可と判断された高次脳機能障害者に対する実車リハビリテーションの試み:当院の運転再開支援プログラムの紹介と事例提示  豊倉穣,稲村卓哉・他
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