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244巻13号 2013年3月30日
第5土曜特集循環器病学における臨床研究
はじめに
第5土曜特集 循環器病学における臨床研究――いかに確実に臨床に還元するか はじめに 朝倉正紀
  著者は臨床研究を主体的に行う立場から,10年ほど前に臨床研究を支援する立場に変わった.そのとき,臨床研究を行っていたときには生じなかったひとつの疑問が自分の頭に生じた.その疑問は“臨床研究はなぜするのか?”である.
 著者はよくその質問をいろいろな方に投げかける.その答えは当初1つか2つと思っていた.しかし,実際は質問する人の立場の違いで答えがこれほども違うのかと思うほど,違っていた.読者のみなさんはどのようにお答えになるであろうか.“目の前で苦しんでいる患者のため”が一番多い答えであろうか.いや,“次世代の子供や孫のため”であろうか.しかし,学会発表や論文を書くために,“研究者自身のため”の臨床研究も多いのではなかろうか.企業に勤めている方に聞くと“会社のため”が本当のところという人もいる.危機的状況にあるわが国を考えると“国のため”という人もいる.また,純粋に“真理探究のため”という研究者もいる.ほかにもさまざまな答えはあるであろう.“臨床研究をなぜするか”の答えはおそらく1つではないであろうし,質問自体に意味がないのかもしれない.
 ひとついえることは,このような臨床研究に対する考え方が異なった立場の人たちが協力して,ひとつの臨床研究を進めていく必要があるということである.しかし実際は,臨床の最先端にいる医師に代表される臨床研究者と,臨床研究コーディネーターに代表される臨床研究支援者の間の認識のずれは大きい.この大きな認識のずれを臨床研究支援者は強く実感しているのに,臨床研究者は気づいていないことが多い.
 また,わが国から発信される臨床研究の成果は非常に多いにもかかわらず,一流誌に採択されグローバルに評価される臨床研究は少ない.この一因は,わが国の研究者の臨床研究に対する認識の甘さと知識不足によると考える.すなわち,グローバルな臨床研究の基準に目を向けず,研究者個人の基準で進められる臨床研究がわが国には多い.この現状は,グローバル基準を採用しなかったために世界市場から取り残されたわが国のガラパゴス携帯と似ているのではなかろうか.
 研究者が臨床研究のグローバル基準を習得することは重要であるが,臨床研究に関する大学教育はまだ緒についたばかりで,すでに大学を卒業した研究者に臨床研究の知識を得る機会は少ない.著者自身が臨床研究について研鑽の途上であり,その私が教えを乞いたいと思う臨床研究における各分野の第一人者の方々に執筆をお願いさせていただいた.
 本特集が,わが国の循環器病学の臨床研究における成果を確実に世界の臨床現場に還元できることの一助になれば幸いである.
目 次
わが国における臨床研究の現状
わが国の臨床研究の現状と未来……川上浩司 詳細
血管内イメージングの臨床研究……平山篤志 詳細
わが国における循環器領域の医薬品開発の現状と今後の展望――審査の立場から……品川香 詳細
わが国の医療機器開発における現状と今後の課題……方眞美 詳細
厚生労働省の視点からみた先進医療の成果の活用……宮田俊男 詳細
トランスレーショナル研究開発に向けた文部科学省の取組み……彦惣俊吾 詳細
わが国における医師主導治験の現状と課題……山本学 詳細
わが国の臨床研究を支援する組織
国立循環器病研究センターの臨床研究支援部門……山本晴子 詳細
未来の医療技術を創り育む――大阪大学医学部附属病院未来医療開発部の取組み……齋藤充弘・他 詳細
臨床開発基盤の強化と臨床試験合理化への挑戦――臨床研究情報センターにおける橋渡し研究推進と臨床試験支援……永井洋士・他 詳細
京都大学における臨床試験支援――データセンターの機能と役割……手良向聡・他 詳細
東京大学医学部附属病院臨床研究支援センター――早期・探索的臨床試験から市販後の臨床試験までのシームレスな支援体制……荒川義弘・山崎力 詳細
大学における臨床研究支援組織――慶應義塾大学の経験から……佐藤裕史 詳細
AROとして活動開始した千葉大学医学部附属病院臨床試験部……花岡英紀 詳細
臨床試験を運営するために必要な組織
中央事務局……青谷恵利子 詳細
研究者主導臨床研究におけるモニタリング――わが国の臨床研究に欠落しているモニタリングをどうするか……吉田浩輔 詳細
臨床研究の質向上に必要なデータマネジメントの役割……横堀真 詳細
臨床研究コーディネーターによる臨床研究の実施支援……土井香 詳細
臨床研究ネットワーク:循環器臨床試験ネットワークの構築の必要性……北風政史・朝倉正紀 詳細
臨床研究をデザインするうえで知っておきたい知識・最新トピックス
臨床研究を計画する際に考慮すべきことは?……朝倉正紀 詳細
臨床試験はどのようにデザインするのか――試験デザインで考慮すべきこと……上坂浩之 詳細
非劣性試験の選択――デザイン,モニタリング,統計解析における問題……濱崎俊光・Scott R.Evans 詳細
First-in-Human試験の実際――立案から施行まで……熊谷雄治 詳細
主要評価変数をどう設定するか――複数の主要評価変数の扱い……寒水孝司 詳細
イベント情報をどのように評価するか……杉本知之 詳細
アダプティブデザインをいかに適用するか……森川敏彦 詳細
アダプティブデザインとデータモニタリング委員会……折笠秀樹 詳細
解析対象集団をどのように設定・解釈するか(ITT,FAS/PPS)……柴田大朗 詳細
診断法の開発はどのように行うか……嘉田晃子 詳細
欠測データにどのように対応するか……松山裕 詳細
わが国の疾患登録研究から学ぶ
わが国の慢性心不全登録観察研究JCARE-CARD研究から学ぶ−−Evidence & pitfall……筒井裕之 詳細
慢性心不全登録研究(CHART-2研究)から学ぶ――Evidence & Pitfall……坂田泰彦・他 詳細
急性心不全登録研究(ATTEND registry)から学ぶ――今後の課題も含めて……佐藤直樹 詳細
急性心筋梗塞登録研究(OACIS)から学ぶ――Evidence & Pitfall……坂田泰彦・小室一成 詳細
冠動脈インターベンション登録研究(j-Cypher Registry)から学ぶ――EvidenceとPitfall……中川義久 詳細
わが国の循環器臨床試験から学ぶ
CASE-J・CASE-J Ex試験から学ぶ――研究成果・意義と試験実施システム……上嶋健治 詳細
JIKEI HEART Studyのエビデンスとピットフォール……清水光行 詳細
PEARL Studyから学ぶ――Evidence & pitfall……岡亨・小室一成 詳細
J-WINDから学ぶ――Evidence & Pitfall……北風政史・他 詳細
JPADから学んだこと――糖尿病患者における心血管イベント一次予防に対するアスピリンの効果……副島弘文・小川久雄 詳細
循環器臨床研究の展望
冠動脈疾患に対するデバイス治療の現在および未来……圓谷隆治・安田聡 詳細
急性心筋梗塞における再灌流障害抑制を目的とした治療法の開発……石原正治 詳細
不整脈疾患に対する新規治療アプローチ――有効性と安全性の向上を目指して……山崎浩・青沼和隆 詳細
心不全におけるあらたな治療法の開発状況――医薬品・医療機器……安斉俊久 詳細
循環器領域における再生医療への挑戦――細胞シート……澤芳樹 詳細
iPS細胞技術を用いた新しい循環器疾患研究……江頭徹・福田恵一 詳細
循環器領域におけるバイオ医薬品の開発……中山博之・藤尾慈 詳細
わが国の循環器疫学研究の現状と今後の展望……大平哲也・磯博康 詳細
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