
高齢化社会の進行に伴い,高齢者の飲酒問題が増加している.高齢者は少量の飲酒でもアルコールの影響を受けやすく,転倒や暴言・暴力など酩酊時の問題を起こしやすい.高齢者のアルコール依存症は,定年後に暇な時間ができるといった環境の変化がきっかけになることが多い.介入には過度な直面化はせず,プライドを損なわないような配慮が必要である.高齢になってから発症したアルコール依存症は予後が比較的よい.高齢のアルコール依存症は認知症と合併しやすいが,Wernicke-Korsakoff症候群,Alzheimer型認知症などさまざまな原因がある.認知症の合併例でも断酒をすることによって認知機能低下や周辺症状の改善が期待できる.

高齢者,飲酒,アルコール使用障害,アルコール依存症,認知症