
低髄液圧症候群は,髄液の漏出が原因となって生じる低髄液圧によって引き起こされる病態である.起立性の頭痛を代表とする体位による症状の変化がその特徴である.近年,外傷性頸部症候群(むち打ち症)などをはじめとする多くの不定愁訴を有する症例の多くが低髄液症候群(脳脊髄液減少症と提唱する考え方もある)によるという報告がなされ,医療現場のみならず社会的な問題に発展している.日本脳神経外傷学会では 2006年より,このような諸問題を解決するために医学的見地から学術的な検討を重ねた.すなわち,具体的には各施設へのアンケート調査,文献検討,症例登録による前向き調査などを行った.そして,2010 年 3 月にこれらの結果に基づいた最終的な報告として,診断基準について公表した.交通事故などの外傷後に多彩な不定愁訴を呈するような疾患の診断には,だれからみても明白な診断基準を作成することが重要である.とくに画像診断を中心とした診断方法の標準化を行うことはきわめて重要である.

外傷,低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症),診断基準,症状,画像診断