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第67回日本口腔衛生学会・総会開催される
 5月18日(金)~20日(日),札幌市教育文化会館(札幌市中央区)にて,標記学会・総会(学会長:千葉逸朗氏/北海道医療大)が行われ,約800名の関係者が参加した.
 シンポジウム3「すべての人にカリエスマネジメントを」では,はじめに座長の杉山精一氏(千葉県開業)がう蝕の検出からリスクアセスメント,治療,メインテナンス・モニタリングまでの流れを示す“う蝕治療の診療指針”を策定することの必要性を訴え,N.Pittsが2009年に提唱した指針をもとに作成した草案を提示し,議論を深めていきたいとした.
 続く,花田信弘氏(鶴見大)は「う蝕の検出について」を,名生幸恵氏(日歯大)は「生態学的プラーク説を考慮したカリエスリスクアセスメント」を,斉藤 仁氏(北海道開業)は「非切削う蝕治療の臨床」を,林 美加子氏(阪大)は「日本歯科保存学会「う蝕治療ガイドライン」が推奨する永久歯のう蝕マネジメント」をテーマに登壇し,それぞれ診療指針案の各項目について,解説と症例提示を行った.齲蝕の検出方法やカリエスリスクアセスメント,う蝕治療ガイドラインの現状,臨床の視点からの有用性等が確認された.
 シンポジウム4「すべての子どもたちを齲蝕フリーに―う蝕を平均値で考えない―」では,座長・相田 潤氏(東北大)がう蝕は他の疾患と比べ有病率がもっとも高く,歯科医療費の総額も膨大であることや,う蝕の分布が偏在している健康格差の問題などを提起した.
 松本伊智朗氏(北大)は「子育て家族の貧困と健康」をテーマに,子どもの貧困が増加傾向であることや貧困が心身の健康を害している実態をデータから示した.続く,岩田真紀代氏(厚労省)は,「すべての人が,到達しうる最高基準の健康を享有するために」と題して,国の歯科口腔保健の推進に関する専門委員会において,う蝕と歯周病の有病者率が増加傾向にあり,ポピュレーションアプローチの一層の推進が必要であることが指摘されたと報告した.
 秋野憲一氏(札幌市)は「歯科疾患の健康格差縮小に向けた地方自治体の取り組み」について,北海道歯・口の健康づくり推進条例に基づくフッ化物洗口事業や,障害者へのより充実した対応として協力医の知事指定を行う制度を紹介.最後に,木暮ミカ氏(明倫短大)が「学校歯科保健におけるプリシード・プロシードモデルを活用したう蝕・歯肉炎予防プログラムによる自立支援強化の試みについて」をテーマに登壇.学校・家庭・かかりつけ医が児童の口腔内状況を共有することを目的に同氏が発案した「歯の健康シート」を用いた個別指導例などが紹介された.
 シンポジウム6「すべての歯科衛生士が一生誇りをもって行える業務に向けて『歯科衛生士は一生の仕事です』」(座長:尾崎哲則氏/日大)では,石井拓男氏(東歯大短大)が「歯科衛生士の業務を評価した公的医療保険」をテーマに登壇.歯科衛生士業務に関する法改正と保険診療の変遷を解説し,歯科衛生士の目覚ましい発展を強調.続いて武藤智美氏(北海道歯科衛生士会)が「地域医療での歯科衛生士の魅力 訪問歯科診療を通じて」と題して,訪問診療で歯科衛生士に求められる役割を示すとともに,「患者と長くお付き合いできる魅力的な仕事である」と述べた.武井典子氏(日本歯科衛生士会)は「歯科衛生士のデビューから復帰まで応援します!」をテーマに,医科歯科連携による生活習慣病への対応,地域包括ケアシステムの構築など,今後さらなる広がりが予想される歯科衛生士の役割に言及したほか,日本歯科衛生士会による復職支援の現状を述べた.
 次回の学会・総会(学会長:花田信弘氏/鶴見大)は,2019年5月22日(水)~24日(金),滋賀県立県民交流センター ピアザ淡海(滋賀県大津市)にて開催予定である.

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