2017/11/13
2017年11月11日(土),12日(日),つくば国際会議場(茨城県)において,標記の大会が,「口から食べる~介護予防から咽頭ケアまで~」のテーマで開催された.
同会は加藤武彦氏(神奈川県)を中心として,訪問歯科診療における義歯製作などを学ぶ会として活動し,現在では歯科医療職のほかに介護・老健施設などからも参加者を集めている.
11日の特別講演では東内京一氏(埼玉県和光市市役所)が「和光市における地域包括ケアシステムの実践」をテーマに,東内市自身が手がけた埼玉県和光市における高齢者施策とその実施内容について解説.和光市という地域の規模や住民の実情に合わせた高齢者の実態把握や,それに応じたケアマネジメントの実際を紹介し,実際に効果の上がっている地域包括ケアシステムの形を提示した.
続いては山口敏夫氏(特別養護老人ホーム光の苑・北海道)による「闇の苑から愛の苑へ 光の苑4年9カ月のチャレンジ」と題した発表が行われた.職員の離職率が高く,また,特養稼働率も低かった同苑に施設長として着任した山口氏による施設改善の取り組みと,摂食嚥下や口腔ケアをはじめとした各種研修会への参加や実施による組織・地域におけるケアの質の向上を示した.
次に,米山武義氏(静岡県)が「我々は『口腔医療時代』を迎える準備ができていますか!?」をテーマに発表.米山氏による誤嚥性肺炎研究を紹介しつつ,今後の歯科医療は歯科疾患のみならず全身を見据えた口腔管理を目指さなければならないとし,そうした「口腔医療の時代」において,歯科医療職をはじめとした各職種はなにをしなければならないのか,その道筋を示した.
最後には塩田芳享氏(ジャーナリスト)による「『口腔医療革命・食べる力』に行き付くまでの経緯」が発表された.氏の近著『口腔医療革命・食べる力』(文春新書)は加藤武彦氏をはじめとした各種歯科医療従事者への取材により構成されていた書籍だが,そうしたエピソードや歯科医療に寄せる期待などが示された.