2017/09/14
9月10日(日),ホテルマイステイズ御茶ノ水(東京都千代田区)にて,河原英雄氏講演会「50年の臨床を振り返って」が開催された.
本講演会は,スタディグループ救歯会(代表:伊藤公二氏/東京都)の主催にて,河原英雄氏(大分県・歯科河原英雄医院)を外来講師に招いたもので,グループ内外より50名の参加者を集めての開催となった.
講演では,50年の臨床の変遷と,その背景としての揺るぎない信念が余すところなく紹介されるとともに,特に前歯部で噛み切れる総義歯製作のポイント,リマウントによる義歯調整についてのノウハウがレクチャーされた.
氏の提唱する総義歯治療のエッセンスは『“かみつきがいい”入れ歯』(生活の医療社,2016年)として書籍にもまとめられているが,欧米のナイフとフォークの食文化とは異なり,箸の文化をもつわが国においては,前歯で噛み切れることが重要であり,リンガライズドオクルージョンではなく,バランスドオクルージョンが義歯に求められる咬合であると述べられた.また,患者が本当によく噛めているかどうかは,フードテストによってのみ確認できることであり,動画による評価・検証が症例報告には必須であると強調された.
氏が歯学部の学生時代に感じた歯科医療への違和感――「“歯科医師が喜ぶこと”と“患者が喜ぶこと”の差異」を常に意識し,本当に患者のためになることを追求し続けた50年の臨床の姿は,多くの感動を呼んだ.