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第5回「頑張っている歯科衛生士への応援メッセージ」講演会開催される
 10月10日(月・祝),ピュアリティまきび(岡山県)にて標記会が開催され,約50名の歯科衛生士,歯科医師が参加した(主催:岡山県保険医協会).本講演会は杉山総子氏(静岡県・米山歯科クリニック/歯科衛生士)の最終講演であり,杉山氏の講演(午前・午後)のほか,岡山県内で訪問歯科診療に携わる宇高恵美子氏(コープ倉田歯科/歯科衛生士),山口妙子氏(はなふさ歯科医院/歯科衛生士)も登壇した.
演者・杉山総子氏
 現在71歳,訪問診療歴26年の杉山氏は,育児休業期間10年を経た45歳時,現・勤務先院長である米山武義氏(静岡県・米山歯科クリニック院長/歯科医師)と出会い,現在に至る.本講演は,「口が開けば心も開く」「私たちの口への関わりは,その方が納得して天国へ旅立つためのひとつのお手伝いにしましょう」という米山氏との二人三脚での歩み,これまでの患者さん・ご家族とのエピソードを元に展開され,テクニック解説にとどまらない,医療職としての姿勢や視点といった,氏の臨床経験に基づくエッセンスが語られた.

 講演テーマは,『歯科衛生士の前に,ひとりの人間として向き合えること』.午前の部(第一部)では,歯科訪問診療に関する教科書も器材もなかった26年前,米山氏とともに,歯ブラシ1本と志を道具に,要介護高齢者,障害者と向き合ってきた出発点からのエピソードが紹介された.要介護者と対応するときには特に,医療的な考え方だけでなく,福祉の理念を学ぶことが役立つとし,相手(患者,施設利用者)がどのような障害をもっていても,“意志をもった一人の人”であることを常に念頭に置いて接し,ケアにあたるという自身の臨床理念についても触れた.また,故・飯田五十平氏(東京都開業)の言葉を用い,「健康とは,幸せとは,(他者と比較したり,数値ではかるものではなく)自分自身が感じるもの」であると解説した.

 午後の部(第二部)では,脳血管疾患後,重度後遺障害のある一人の患者が,医療・介護の力を借りながらも,施設内で自立して生活するまでの長期経過が紹介された.当初,後遺症により発語ができず,周囲に心を閉ざしていた患者が,杉山氏の熱意と愛情溢れる口腔リハビリを受け入れ,徐々に変化していく様子が写真やビデオにより伝えられた.さらに,患者の心身の変化とともに,リハビリテーションとしての具体的な手法についても解説された.
会場内の様子
 歯科衛生士としてのプロの姿はさまざまあり,自分がどの姿を求め,何を学び経験していくかもさまざまであること,医療者自身も患者との関わりのなかから学びの場を与えられていることなどが語られた.自らの血となり肉となる知識・経験がしっかりしていれば,患者と向き合う際,自信と余裕をもって専門性の高い仕事を進めていくことができるという.また,医療職である前に,一人の人間として,白衣を脱いだときが勝負であること,理解ある歯科医師との出会い,パートナーとしての関係性が,自らの歯科衛生士人生にとって大きな宝物となったとまとめた.最後に,その人その人違う人生に思いを馳せながら,その方(患者さん)の人生の手伝いができる歯科衛生士という職種の素晴らしさ,やりがいを場内に伝えた.
 なお,杉山氏は今後,地元・静岡で訪問診療を続けられるという.

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