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第59回秋季日本歯周病学会学術大会 開催される
10月6日(木)~8日(土),朱鷺メッセ(新潟市)にて,第59回秋季日本歯周病学会学術大会が「良質な超高齢社会をむかえるための歯周病管理」をテーマに開催された(大会長:佐藤 聡氏/日歯大新潟).

特別講演Ⅰでは,辻 哲夫氏(東京大)が「超高齢社会の医療介護政策の展望と歯科界への期待」のテーマで講演.超高齢社会にある我が国においては,虚弱人口の増加が喫緊の課題であり,フレイルの早期の段階での予防が重要になることを強調.生活を支える医療においては「食べ続けられること」がキーワードとなり,そこでは歯科が主役であるべきとの見解を示した.

特別講演Ⅱでは,Gunnar Dahlen氏(イエテボリ大)が「Microbial Ecology in the Periodontal Pocket Impact on Treatment in Juveniles and Adults 」と題し講演.若年者から高齢者までの各ライフステージにおける歯周病病態の特徴とそこでの対応について,細菌学的な知見―特にAaがどのように関与するのかを中心に解説.

シンポジウムⅡ「日本におけるインプラントの課題と展望」では,渡邉文彦氏(日歯大新潟),林 丈一朗氏(明海大),若林健史氏(東京都)が登壇.渡邉氏は日本口腔インプラント学会理事長の立場より,「インプラント治療を受けてよかった」と思ってもらえるために,さまざまな立場の知見を集約する必要性を強調.林氏は,より簡単なプラークコントロール・より低侵襲なティッシュマネジメント,より確実なメインテナンスプログラムを確立していく必要性に触れた.若林氏は術後の改変を前提とした上部構造設計の必要性を提言した.


歯科衛生士シンポジウム「お家に行こう!―いま求められる,食支援―」では,菊谷 武氏(日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック),石黒幸枝氏(米原市地域包括医療福祉センター「ふくしあ」),米山久美子氏(地域栄養サポート自由が丘)が登壇した.
 まず菊谷氏が,「食べることが難しくなった患者に歯科は何ができるのか?」と題して講演.現在,認知症やその他の疾患により歯科医院に来ることのできない高齢者はすでに90%にのぼると述べ,今後は「不健康寿命を支える歯科医療」という考え方が求められるようになると提言.また,外来と訪問診療はひとつながりの医療であるため,一般の歯科医院にいる歯科衛生士こそが高齢者の変化に気づく目と意識をもつことの大切さを訴えた.

 つづく石黒氏は「口を支え,食を支える~チームで行う食支援~」と題して登壇.在宅医療支援拠点診療所に勤務する立場から,訪問診療を実施する流れや多職種連携の実際について解説した.在宅医療における高齢患者のさまざまな症例資料を提示しながら,歯科衛生士が気づくことのできるポイントを解説し,専門性を発揮しながら多職種チームに参画することも歯科衛生士としてのやりがいにつながると強調した.
 
 米山氏は「地域で支える食支援―訪問管理栄養士の立場から―」と題して講演.実際の在宅医療患者の症例をとおして,多職種連携における管理栄養士の活動内容を紹介した.特に「食形態」や「義歯」といった患者の「食べること」に関する対応には歯科医師,歯科衛生士による協力は欠かせないことを訴え,今後も在宅患者に「安全で安心な食の楽しみ」を提供していくためには歯科医療職との連携が重要であると述べた.



講演する菊谷氏
講演する石黒氏
講演する米山氏
ディスカッションの様子
 歯科衛生士教育講演「がん治療を口から支える歯科衛生士の役割―超高齢社会,多歯時代を迎えて―」では,久野彰子氏(日本医科大学附属病院口腔科)が登壇.はじめに,現代では通院しながらがん治療を受ける患者が増えたことから,地域の歯科医院の協力の必要性を述べ,がん化学療法による副作用として何が起きるかを,口腔粘膜炎等を発症した入院患者の症例を提示しながら紹介.がん治療においては歯科医療職による口腔清掃が欠かせないとし,がん患者に対する緊密な関わりと,絶え間なく適切な支援を行っていくことの重要性を述べた.

 会場は満席となり,別室にサテライト会場が設けられるほどの大盛況ぶりであった.
講演する久野氏
大盛況を博した会場

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