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2014年臨床歯科を語る会

 7月4日(金)~6日(日),クロス・ウェーブ府中(東京都府中市)にて,2014年臨床歯科を語る会が開催された(実行委員長:千葉英史氏/千葉県開業).

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 5日の全体会「保存治療と補綴処置のはざまで」では,栃原秀紀氏(熊本県開業)が登壇.特に重度歯周病患者への補綴介入の判断について,豊富な長期経過症例から報告・検証が行われ,その基礎をなす臨床記録の重要性についても強調された.
 同日午後の分科会は,「10年先を考える」「重度歯周病罹患歯の保存に努める」「CBCTの臨床応用」の3プログラムが展開.「10年先を~」では,補綴後に起こりうるトラブルを10年というスパンで区切ることで整理し,あるべき補綴設計や適切な術後対応について検討が行われた.「重度歯周病~」では,若手からベテランまでさまざまな歯の保存の取り組みが紹介され,歯周基本治療や再生療法の位置づけ等,多岐にわたるディスカッションが展開された.

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 続くテーブルクリニックは,「歯髓温存療法」「若手のための咬合再構成講座」「インプラントの埋入位置の検討」の3題.「歯髄温存~」では,歯髄温存のための基本的事項の整理から,各種温存法の比較,さらには長期的な症例の経過までが示された.「若手のための~」では,補綴物製作にあたり特に習熟が求められる咬合採得に関して,チェックバイトの意味や咬合器の再現性など,間接法操作の背景とノウハウが丁寧にレクチャーされた.
 夜の部屋では,中島美砂子氏(国立長寿医療研究センター)をゲストに招き「歯髓再生療法の現在」の講演が行われ,世界的にも氏がリードする歯髄再生の研究動向について,再生医療全般の状況も交えて紹介され,今後に期待を抱かせた.

 6日の全体会「パーシャルデンチャーのプロビジョナルレストレーション」では,金子一芳氏(東京都開業),高野遼平氏(新潟県勤務),西島泉氏(東京都開業),長谷川善弘氏(愛知県開業),楡井喜一氏(新潟県開業),設楽幸治氏(東京都開業)が登壇.プロビジョナルレストレーションから得られるさまざまな情報より,症例の特徴を的確に把握し,補綴設計に反映させるためのノウハウがディスカッションされた.プロビジョナルを単なる暫間装置とせず,そこで何を確認し分析するものなのか,まさに歯科医師としての臨床姿勢が問われるステップであることが確認された.
 

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 1本の歯へのこだわりから,一口腔としての機能の視点,そして患者の人としての要素へのアプローチまで,同会は臨床家の総合力の研鑽機会といえ,来年には35回の節目を迎える蓄積と伝統を感じる3日間であった.

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