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日本補綴歯科学会 第123回学術大会 開催される

 5月24日(土)~25日(日),仙台国際センター(仙台市)において標記の学術大会が「補綴歯科から発信する医療イノベーション」をテーマ開催,2,000名強の参加者を集めた.大会長は佐々木啓一氏(東北大).

 24日の臨床スキルアップセミナー,『可撤性補綴装置としてのインプラントの活用を考える』(座長:鮎川保則氏・九州大)では西村正宏氏(鹿大),近藤尚知氏(岩手医大)が講師として登壇.インプラントによる可撤性補綴装置の基礎的な知識や適応症例,治療の勘所などを豊富な症例をもとに紹介.

 特別講演1『老いても最後まで生活者たらんために―補綴歯科医療に期待するもの―』(座長:矢谷博文氏・阪大)では辻 哲夫氏(東京大学高齢社会総合研究機構 特任教授)が高齢社会のなかでの歯科補綴のあり方に言及.氏の取り組みである“柏プロジェクト”の事例を紹介しつつ,地方自治体を巻き込んだ多職種連携の重要性を訴えた.

 委員会セミナー『ノンメタルクラスプデンチャーとは―適応とその留意点―』(座長:藤澤政紀氏)では大久保力廣氏(鶴見大)が,ノンメタルクラスプデンチャーの現状や適応となる症例について紹介.続いて笛木賢治氏(医科歯科大)が,2013年に同学会が公表したポジションペーパーについて解説.ノンメタルクラスプデンチャーについては口腔内に適応後の調査結果などがほとんどなく,今後はエビデンスを集めることによって学会としてガイドラインなどの作成に取り組みたいとした.

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多くの聴衆が詰めかけた会場


 イブニングセッション『質の高い全部床義歯の印象を目指して ―印象法の考察と重要なポイント―』ではコーディネーターである松田謙一氏(阪大)を中心とした比較的若手の発表者(熱田生氏・九大,松丸悠一氏・日大松戸,佐藤佑介氏・医科歯科大)が印象採得(主に従来型印象法と閉口印象法)についてレクチャー.会場に詰めかけた聴衆からは日常臨床における印象採得時のコツや指導法など,活発な質問が寄せられていた.

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イブニングセッションで質疑に答える登壇者

 翌25日の臨床リレーセッション3『オベイトポンティックを考える』(座長:金田貴哲・たか歯科医院,園山 亘・岡山大)では白石和仁氏(白石歯科医院),大村祐進氏(おおむら歯科医院),木村好秀氏(和田精密歯研株式会社)が登壇.残存歯の有無による外科処置の必要性の考察や,クリーピングを期待したティッシュサポート,的確なマージン設定の重要性など「元あった組織の再現が長期的な予後を得るために重要」との見解が示された.

 教育講演『日本補綴歯科学会は歯科医療機器開発にどのように貢献できるか-産学連携の在り方を中心として』では,高橋英和氏(医科歯科大)が登壇.ある機器が医療機器として認証・承認されるまでの流れの解説に続いて,歯科分野特有の問題点(小規模企業が多く認証・承認を受けるまでのコストに耐えられない,機材が使用される環境や方法が独特で評価のための項目が定めづらい,など)を指摘.それを乗り越えるための産学連携や医工連携が今後重要になると話した.

 専門意見週単位認定セミナー『―補綴専門医としての全部床義歯のスキル―』(座長:水口俊介氏・医歯大)では,人工歯の選択と排列法の要件を鱒見進一氏(九歯大)が,機能的咬合印象(FGPと咬合圧印象を一回として採得する手法)を用いた臨床例を大久保力廣氏(鶴見大)が,適応能力の低下した超高齢者に対して不適合となった義歯をサルベージする手法を皆木省吾氏(岡山大)がそれぞれ紹介.学生教育で習う“スタンダード”から脱却することが専門医には求められるとの見解を示した.

 次回の日本補綴歯科学会 第124回学術集会は,2014年5月29日(金)~31日(日)の期間,大宮ソニックシティ(さいたま市)において,大川周治氏(明海大)を大会長として開催予定.

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