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第4回日本歯科衛生教育学会総会・学術大会開催される

11月30日(土),12月1日(日),千葉県立保健医療大学(千葉市美浜区)にて,標記大会(大会長:日下和代氏/千葉県立保健医療大学歯科衛生学科学科長)が開催された.歯科衛生学教育の向上を目的とする本会は,2010年に前身となる歯科衛生士専任教員秋期学術研修会から発展・発足し,本年で4回目の大会開催となる.
1日目,教育講演Ⅰ「歯科衛生士に必要なデンタルバイオフィルム駆逐戦略の智慧」では,奥田克爾氏(東京歯科大学名誉教授,帝京平成大学薬学部教授)がデンタルバイオフィルムの成り立ちや特徴,対応について解説.口腔内細菌が唾液,歯肉溝滲出液を栄養源として形成するバイオフィルムが,口腔内だけでなく,細菌性心内膜炎,インフルエンザ,誤嚥性肺炎など死につながる全身疾患にも関与するとして,デンタルプラークの危険性に警鐘を鳴らすとともに,口腔内管理の役割をもつ歯科衛生士が健康長寿の担い手であると期待を寄せた.
続く,教育講演Ⅱでは,山根源之氏(東京歯科大学名誉教授)が「全身状態の把握と周術期管理の歯科衛生教育での視点」をテーマに登壇.歯科治療の際に注意すべき全身疾患,周術期の口腔管理に必要な知識,対応について解説し,全身状態への配慮の必要性を訴えた.また,歯科衛生士教育におけるオーラルメディシン学の履修,総合病院での実習経験,カルテを読む力をつけるための教育など,超高齢社会に対応しうる歯科衛生士を養成するための具体的な方策を提言した.
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奥田氏
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山根氏

シンポジウム「歯科衛生学の発展を目指して―歯科衛生過程を考える―」では,船奥律子氏(四国歯科衛生士学院専門学校教務主任),原 久美子氏(広島大学歯学部口腔保健学専攻講師),佐藤陽子氏(宮城高等歯科衛生士学院教務主任)が登壇.歯科衛生過程とは,歯科衛生業務を科学的・論理的に展開するためのツールで,近年わが国の歯科衛生士教育に取り入れられている.歯科衛生過程がより広く教育に浸透することを目指した本シンポジウムでは,各演者が自校での導入方法やその過程,教員の理解を深めるための研修会などの取り組みについて紹介した.
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シンポジウム質疑応答の様子

2日目は松井恭平氏(前千葉県立保健医療大学健康科学部教授,前全国歯科衛生士教育協議会会長)による特別講演Ⅰ「歯科衛生士教育のこれから」が行われた.今後ますます高齢化が進んでいくなか,在宅歯科医療の需要は増加し,口腔咽頭吸引などのより専門的な知識と技術が必要となることは間違いないという.そのような社会に応えるための考える力をもった歯科衛生士の育成を目指し,客観的な評価を伴う教育の底上げ,それぞれの養成校が魅力的で特徴のあるカリキュラムで教育を行っていくことの重要性を述べた.
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松井氏

特別講演Ⅱでは,岩永雅也教授(放送大学教授)が「生涯教育―教養と専門性の実りある融合を目指して―」と題し講演.教育機関を卒業し社会での経験を経た後,再び教育機関に戻り継続学習を行うリカレント型の教育が主流となっていると述べ,就労後に主体的に再学習することは学習効果が高く,より専門性を磨くことにつながるので,歯科衛生士教育においても,そのような学習の場を提供することが重要であると説いた.
閉会式では,歯科衛生学の発展のために本学会で情報を共有し,知見を広め,同職種の横のつながりをより強固にしていくことが重要であると締められた.参加者は384名と盛況であり,学会の着実な進展を印象づける2日間となった.
次回は,兵庫県歯科医師会館にて2014年11月29日(土),30日(日)の日程で開催予定(大会長:田中義弘氏/兵庫県歯科衛生士専門学校校長).

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