12月1日(日),北海道歯科医師会館講堂(札幌市)において,標記の例会が開かれた.例会では北海道SJCD会長の松本和久氏の挨拶に引き続き,桑田正博氏(愛歯技工専門学校)による講演が行われた.
今回の講演は北海道SJCDがかねてから企画をしていたもので,10時から16時という長時間に渡るもの.桑田氏は講演冒頭,「通常の学会では2時間程度の時間しか頂けないが,今回の北海道SJCD例会のように,1日かけて話をさせてもらえるのはありがたい」と話した.
講演は桑田氏が1962年に米国に派遣され,派遣先のニューヨークでの活動の話から始まった.現地で協力関係となった歯科医師や歯科技工士との共同作業に触れ,PFM(Porcelain fused metal)の開発とその普及について紹介した.また,クラウン製作には欠かせない,支台歯形成についても話を進め,1970年代に発表した論文や最近の著書『Tooth Preparation』(医歯薬出版刊)にも触れ,支台歯形成の重要性について触れた.
休憩を挟んで後半は,義歯の色について,豊富な画像とともにその知見が紹介.「そこにあるべきものをそこに再現する」という原則のもと,とりわけ前歯部をより自然に見せるための配色法や注意点が語られた.
続いて咬合について話が進んだ.米国時代学んだ咬合の考え方を紹介しつつ,「上下の歯同士の関係のみならず,頭蓋骨の解剖に応じた適切な咬合を目指している」,と話し,咬合に関しての氏の最近の活動や研究成果にも言及した.
講演中,折にふれて歯科技工の重要さや歯科医師と歯科技工士の協力の大切さに触れ,北海道SJCDについては,「会員のおける歯科技工士の割合が高いということだが,それはとてもうれしいことだ.歯科医師だけでなく歯科技工士も,こうした場で勉強を積み重ねてほしい」とエールを送った.
会場からの質問に壇上から回答する桑田氏
会場からは熱心な質問が桑田氏に寄せられた