Ishiyaku Dent Web

歯科医師・歯科技工士・歯科衛生士のポータルサイト

ヘルスケアミーティング2013開催される

 10月26日(土),27日(日),シェーンバッハ・サボー(東京都千代田区)にて,ヘルスケアミーティング2013が開催された.
 勉強に重きをおいた1日目には,「歯周炎の予防と治療―病因論と時間軸を踏まえて」岡 賢二氏(大阪府開業),「日常臨床から考えるカリオロジー」伊藤 中氏(大阪府開業)の教育講演が行われた.岡氏は,「歯周病は慢性疾患であるため,長い時間軸でみていかなければならない」として,長期症例と自院の統計的資料を用いて解説.「歯周病のほとんどはSRPと予防でコントロールが可能である」との岡氏の発言どおり,予防・メインテナンスを徹底することによって歯周病が管理できることが示された内容であった.ただし,喫煙は歯周病の管理下においても大きなリスク因子になるとして,注意を促した.
 続く伊藤氏は,「平均DMFTの低い集団ほどカリエスフリー率が高くなるが,歯の萌出から齲窩発生までの時間も長いため,齲蝕管理が難しくなる」と,齲蝕罹患者が減少しているなかでの課題を提起し,リスクアセスメント,予防の方法,齲蝕の検出方法等について詳細説明した.リスクについては,口腔内の状態から,唾液の自浄作用,食習慣の変化,社会的な環境まで言及し,全人的な視野が必要であることを説いた.また,齲蝕の検出については,基本は視診とX線写真であると強調したうえで,新たに開発されているさまざまな検出方法を紹介し,「それぞれの利点,欠点を理解したうえで用いるべき」と話した.
HCM1.JPG岡氏
HCM2.JPG伊藤氏


 2日目,基調講演では「新しいう蝕治療の概念について」と題し,Domenick T.Zero氏(インディアナ大学歯学部教授)が登壇した.Zero氏は,カリエスマネジメントの導入,初期齲蝕の探知とアセスメント,齲蝕進行停止・回復・予防の戦略等について,エビデンスをベースに解説した.ICDASの分類やリスク因子,保護因子の評価方法などについて紹介し,「診断はリスク評価をしたうえで,行わなければならない」と警鐘を鳴らした.また予防の戦略として,齲蝕の発症が「細菌」「食事」「宿主」のどこにおもに起因しているのかを考慮し,予防処置を行うことを求め,フッ化物の応用やシーラント,唾液刺激,食事指導など具体的な処置のエビデンスレベルを含め解説した.
HCM3.JPGZero氏

 続いて開催されたシンポジウム「カリエスマネジメントの普及とその問題点の克服」にて,杉山精一先生(千葉県開業)は小児,若年者患者に対して,定期的に来院してもらい齲蝕治療マネジメントを行った成果を報告.桃井保子氏(鶴見大学保存修復学講座教授)は日本歯科保存学会の「う蝕治療ガイドライン」の現状と問題点,展望を紹介.花田信弘氏(鶴見大学探索歯学講座教授)は「健康日本21(第2次)」や歯科に関する国際的な政策声明を紹介.藤原 卓氏(長崎大学医歯薬学総合研究科小児歯科学講座教授)は,齲蝕が発症する前の感染症としての性格の齲蝕について解説した.
 次回「ヘルスケアミーティング2014」は,高齢者歯科をテーマに,11月23日(日),24日(月)に関西地方で開催予定である

■他のニュース記事をさがす

日付から記事をさがす
<2024年4月>
31123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
2829301234
567891011
キーワードから記事をさがす

人気の歯科書籍(キーワード別)

歯科雑誌 最新号