2013年10月20日（日），松本歯科大学（長野県塩尻市）にて，「患者さんと共に歩む歯科医療」をテーマに標記ミーティングが開催された．本会は，スタディグループ・綾の会（金子至代表/長野県大町市開業）が主催するもので，県内外から歯科医師，歯科衛生士，歯科技工士など，260名あまりが参加した．
会の冒頭では，副代表の宮下 徹氏（長野県伊那市開業）が，「綾の会30周年を振り返る」と題して登壇．自身の長期症例を振り返りながら，初期より歯科衛生士担当制を敷き，綿密な情報共有のもとチーム医療を実践してきた会の歩みを振り返った．
つづく「歯周基本治療の臨床とその背景」では，綾の会所属の歯科衛生士が，“歯周基本治療の可能性と歯周組織再生療法”“歯周病と咬合力”“加齢と歯周病”の3つのテーマにて症例を発表．下野氏が，歯周基本治療による治癒の形態，咬合力が歯周組織に影響を与えるメカニズム，加齢による組織の変化等，各々の症例に関連する病理学的バックグラウンドを解説し，病理的な視点をもって臨床に取り組むことの重要性について言及がなされた．
午後からは，歯科医師，歯科衛生士，歯科技工士の分科会に分かれて講演が行われた．
歯科医師分科会では，「歯周再生療法の最前線」をテーマに，二階堂雅彦氏（東京都開業）が講演．
重度歯周病症例へのアプローチに関する歴史的な経緯を踏まえ，再生療法の歯周治療における位置づけについて，基礎的背景・文献的背景を中心に解説．重度歯周病症例の見極めに基づいた，歯周基本治療と歯周組織再生療法との棲み分け，また再生療法成功のためのキーポイントを整理された．
歯科衛生士分科会では，「なるほど納得！ シャープニング実習」と題して，シャープニングのハンズオン実習が行われ，動画やシャープニングを簡便にするためのガイド等を用いた実習は，わかりやすいと参加者から好評の声が聞こえた．
会のクロージングとしては，金子代表が「患者さんと共に歩む歯科医療」と題し講演．患者中心の医療を質の高いチーム医療のもとで行うこと，超高齢化社会を見据え，ライフステージ（時間軸）に配慮した医療を実現することなど，会の今後の方向性を宣言し，“患者中心の歯科医療”を掲げる同会の30周年にふさわしい濃密な会となった．
