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日本歯科衛生学会 第8回学術大会開催される

 2013年9月14日(土)~16日(祝),神戸国際会議場・神戸商工会議所(神戸市中央区)にて,「歯科口腔保健の新たな展開―歯と口の健康を守り,生きる力を支えよう―」をテーマに標記学術大会が開催され,過去最大の2,100名あまりの参加者,200余の演題を集めた.

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 大会初日の14日には,「医科歯科連携」「臨地実習教育」「災害支援」「口腔ケアアセスメント」「歯科衛生研究」の5つをテーマにしたワークショップが行われ,それぞれ小グループでの事例報告・討議がなされた.

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 続く15日の教育講演「大規模災害における歯科衛生士の役割―命を守る歯科へ―」では,足立了平氏(神戸常盤大学短期大学部 口腔保健学科 教授)が,自身が体験した阪神淡路大震災および新潟県中越地震,東日本大震災での支援の体験を交え,大規模災害における歯科医療職の役割を解説.特に,“preventable death(救えた命)”と称される震災関連死のうち,大きな割合を占める肺炎については,歯科医療職による口腔ケアの啓蒙が大きな予防効果を発揮すると解説した.また,災害が起こっていない「静穏期」に,高齢者の栄養状態の改善や口腔ケアの浸透など,“口から食べる環境づくり”を行うことが,災害時にも命を守ることにつながると強調した.

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 また,特別講演「健康日本21(第2次)と歯科口腔保健法による今後の歯科口腔保健」では,三浦宏子氏(国立保健医療科学院・統括研究官)が登壇し,健康日本21(第2次)および歯科口腔保健法の内容に基づき,今後の歯科保健政策の方向性について解説.健康日本21(第2次)においては,新たに地域・社会経済状況などによる「健康格差」の是正が目標として掲げられているほか,歯科口腔保健法においても,ライフステージに応じた口腔保健の促進,障害者(要介護高齢者も含む)の歯科検診の充実など,高齢社会を見据えた視点が盛り込まれており,今後は,それらの歯科ニーズの変化に対応した歯科衛生像士が求められているとした.

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 最終日の16日には,シンポジウム「医科歯科連携によるチーム医療の推進をめざして」が行われ,向井美惠氏(昭和大学名誉教授),大野友久氏(聖隷三方原病院 歯科),石井美和氏(神戸市立医療センター中央市民病院),浅井美樹氏(宮崎市郡歯科医師会 宮崎歯科福祉センター 在宅歯科医療連携室)らが講演.向井氏は,チーム医療においては,情報の共有化およびそれぞれの知識・能力を活かし,互いの専門性を統合するチームマネジメント能力が求められているとしたうえで,今後は,互いの専門性を信頼したうえで成り立つ「Interdisciplinary Team」から,互いの専門性の重複を踏まえ,チームに欠落している領域を協働して補い合う「Transdisciplinary Team」への転換が望まれると解説した.また,大野氏は,自身が働く総合病院における医科歯科連携の実際について,栄養サポートチーム,呼吸器サポートチーム,緩和ケアチーム等の実例を交えて説明.歯科の介入が多くの医科領域で必要とされている一方,教育の欠落により,チーム医療に参画できる人材が不足している点,“歯科医師の指導のもと”という法律文面が歯科衛生士の医科歯科連携を妨げている実情などについて指摘がなされた.また,石井氏,浅井氏は,病院,地域歯科福祉センターにおける医科歯科連携の取り組みについて紹介し,これからの歯科衛生士には他職種に向けて歯科の専門性を発信し,実績を積み重ねていくこと,全身疾患についても幅広い知識を身につけ,協働の基盤をつくることなどが求められていると語った.

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 歯科衛生士の専門性の深化,広がりが感じられた本会は盛会のまま終了した.次回は,2014年9月13日(土)~15日(祝),大宮ソニックシティ(埼玉県さいたま市)にて行われる予定.

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