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第26回日本顎関節学会総会・学術大会開催される

7月20日(土),21日(日),学術総合センター一橋記念講堂(東京都千代田区)にて第26回日本顎関節学会学術総会・学術大会が開催された.大会長は木野孔司氏(東医歯大)で,およそ700名が参加した.

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教育講演「新たな顎関節症の概念とは」(矢谷博文氏・阪大)では,2011年から同学会が取り組んでいる顎関節症の症型分類の改訂について説明がなされた.米国における顎関節症の診断基準であるDC/TMDは科学的・疫学的な根拠をもとに改訂を繰り返しているのに対し,わが国の症型分類は1996年のものが最新で,両者は乖離が大きくなっていた.講演では同学会が取り組んできた改訂の経緯と改定案のポイントが示された.

 これに先立つシンポジウム「顎関節症の初期治療は今後どうあるべきか」では,顎関節症の初期治療について3人の演者からの発表があった.
 「スプリント治療の適用と限界」では水口 一氏(岡山大)が顎関節症に対するスプリント治療の適応範囲と,エビデンスの少なさに起因する限界点を示した.
 「運動療法の適応と今後の展開」では羽毛田 匡氏(長野県開業)が顎関節症に対する運動療法のエビデンスはIIIb型に対するものしかないと説明.また,顎関節症の急性期に行うのではなく,慢性期にリハビリテーションとして行うことがよいと述べた.
 最後の「診療ガイドラインで咬合調整を行わないことになった根拠と利用法」では湯浅秀道氏(豊橋医療センター)が,顎関節症の初期治療では咬合調整を行わないことを推奨とし,診療ガイドライン自体も基本的には顎関節症の専門家でない臨床家が治療の初期段階に用いることを想定している,と説明した.

その他,イブニングシンポジウム「歯科医は精神科医とどのように連携するか」では宮岡 等氏(北里大学)が精神科医の立場として,「精神科では区別すべき疾患は多数あるので,安易に顎関節症由来の症状と判断しない」「歯科が治すべき疾患は歯科でしっかり治療をする」「抗うつ薬や抗てんかん薬などは強力副作用があり,ひとたび服用されると離脱が難しい場合もあるので,安易に処方しない」など,患者を紹介してくる歯科医師に対しての要望が挙げられた.
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イブニングシンポジウムでの質疑応答

次回,第27回日本顎関節学会総会・学術大会は2014年7月19日(土),20日(日)に九州大学医学部百年講堂(福岡市)で開催される.

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