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口から食べる幸せを守る会 第一回大会が開催される

 7月13日(土),「口から食べる幸せを守る会第一回大会」が横浜市開港記念会館(横浜市)において開催された.同大会はNPO法人「口から食べる幸せを守る会」が主催する大会で,経口摂取の重要性の普及・啓発や経口摂取のための技術のスキルアップを目的とした活動を行うことを目的としている.法人理事長および第一回大会長は看護師の小山珠美氏(東名厚木病院・神奈川県).
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横浜開港記念会館の会場の様子

13日の大会長基調講演『口から食べたい願いが叶う高齢社会の実現を!』では,演者の小山氏が自身の臨床現場における体験から,患者が口から食事を食べられるために医療者が力を尽くすことの重要性と,そうした経験から発した同会発足の経緯を述べた.本講演では歯科医師の藤本篤士氏(札幌西円山病院)が座長を務めた.
  セッション1『急性期・回復期・在宅をつなぐ医師,歯科医師からの提言』では,急性期病院勤務の医師からは入院後早期からの経口摂取の必要性について,回復期病院勤務の医師からは回復期リハビリテーションにおける経口摂取の重要性が述べられ,歯科医師の五島朋幸氏(東京都開業)が登壇.在宅の患者に対する口腔ケアの必要性や,自身が結成した「新宿食支援研究会」において,経口摂取困難者の情報をすくい上げるための介護職やケアマネジャーへの教育の方法などを紹介した.
  セッション3『“口から食べたい”を地域で支える-震災後からの気仙沼地区での取り組み-』では東日本大震災後に被災地での医療活動にあたった医師看護師からの発表に続き,歯科医師の一瀬浩隆氏(山谷歯科医院・東名厚木病院)が登壇.医療ボランティアとして被災地に赴いたところ,現地では摂食・嚥下のケアに需要があることに気付いたという体験や,そこで小山氏が行う経口摂取訓練の技術を目の当たりにし,自らもその技術を磨くことを決意,現在では気仙沼市の歯科医院と神奈川県厚木市の東名厚木病院を往復し,診療に当たっていると述べた.
 こうした医療従事者による発表のほかにも,経口摂取困難な状況から立ち直った患者自身や,それを支えた家族・老人ホームの関係者からの体験談も披露されるなど,「口から食べる」ことに関して様々な立場からの意見が発表された.
  翌日14日(日)には会場を神奈川県立保健福祉大学(横須賀市)に移し,「実技セミナー」が行われた.本セミナーは高齢者の摂食・嚥下障害者に対する摂食評価のスキルや安全な食事介助技術などをについての実技を通して身につけるという目的を持って行われた.4名程度のグループに対して東名厚木病院摂食嚥下療法部のスタッフがアドバイザーとして配置され,他の参加者を模擬患者として摂食訓練や食事介助の方法を演習した.本セミナーには歯科医師や歯科衛生士も参加していた.
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実技セミナーで口腔ケアについて説明する一瀬氏(中央)

 歯科医師としてアドバイザーを勤めた一瀬氏は「歯科医師が摂食・嚥下のケアについて学ぶことは,自分の医院で診療を行う高齢の患者を最期までケアできるということにつながると考えている.そうした意味でも歯科医療関係者にも興味をもっていただきたい」と話した. 次回大会は2014年7月12日(土),13日(日)に神奈川県立保健福祉大学で開催.実技セミナーや研修会は今後各地で開催予定.

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