3月30日(土),アクトタワー(浜松市)にて標記会が開催された.今回は「欠損歯列のリスク・欠損補綴のリスク」と題し,講師に宮地建夫氏(歯科診療室・新宿NS)を招聘した.
最初にDMC会員のケースプレが行われた.田畑慎也氏(佐藤歯科医院)が「上顎臼歯部欠損をコーヌスを用いて咬合を再建した1例」と題し,患者の希望などからコーヌス義歯を用いた症例を供覧した.また,山田真吾氏(山田歯科医院)は「すれ違い咬合一歩手前の一症例」と題し,下顎前歯部の突き上げから上顎前歯を守ることを優先した補綴設計を行った症例を呈示した.
続いて今回の講師である宮地氏が登壇し,「欠損歯列」と「欠損補綴」とは別に考えるべきであり,「欠損歯列」は歯数ではなく咬合支持で表される咬合損傷の病態ということを指摘.さらに,欠損歯列におけるエンドポイントは無歯顎ではなく咬合崩壊と考え,咬合三角は咬合崩壊の過程を定量化してつかみ,重症化を防止するためのツールであることを述べた.
さらに宮地氏は最初に行われたDMC会員のケースプレについてもコメントし,両症例とも診断の難しいケースであり,避けなければならないエンドポイントは田畑氏の症例が前後的すれ違い,山田氏の症例が左右的すれ違いであると分析.両氏の症例とも,介入により歯列を守るという方針は有効であるとの見解を示した.