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第22回 ライオンNew Year セミナー 開催される

 

 去る120日(日),第22回ライオンNew Year セミナーが公益財団法人ライオン歯科衛生研究所主催で開催された(於:東京・津田ホール).

 本回のテーマは「健康寿命の延伸をめざして ―ライフステージとともに考える歯科衛生士の役割―」.歯科衛生士,歯科医師が参加し,定員400名の会場は満席となった.

 午前の部・伏木 亨氏(京都大学大学院農学研究科 教授)は,基調講演「おいしさの秘密~舌と脳で感じるおいしさのメカニズムに迫る~」に登壇.人間は「おいしさ」を瞬時にざっくりと判断しているとし,「おいしさ」を科学的に説明し客観的に評価するために,①生理(生きていくうえで必要なおいしさ),②文化(食文化),③情報(情報がリードする食),④報酬(やみつきのおいしさ)の4分類することを提案した.現在では,「おいしさ」を数式で表わす試みを行っており,それによる今後の食品評価,食品開発への展望についても述べた.

 

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伏木 亨氏

 

 

 午後の部では,3名の歯科医師が登壇した.

 佐々木 洋氏(杉並区・UTAKA DENTAL佐々木歯科)は「口から育つこころと身体 ~口から見える子どもの生活と未来」と題し,古来から現代までヒトの成育(子育て・子育ち)や環境,食との関係を解説.話す,笑う,コミュニケーションをとる,呼吸するなど,人間の生命活動の根底を担う「口」は,単に栄養の入口ではなく,人生全体の幸せが入ってくる“窓”であり,そこに関わることのできる歯科専門職の“支援職としての可能性”についても強調した.

 続く山本龍生氏(神奈川歯科大学社会歯科学講座 准教授)は,「歯科からできる健康寿命延伸への貢献」と題して講演.歯と口の健康状態が認知症や転倒,要介護認定の原因となるという近年の研究結果を紹介しながら,特に全身疾患との関係性が示唆される歯周病については,その予防が非常に重要であること,その予防手段の一つとして,歯肉の活性化効果のあるブラッシング方法(つまようじ法)についてもいくつかの研究結果,エビデンスとともに解説した.

 最終講演では井上 誠氏(新潟大学大学院医歯学総合研究科摂食・嚥下リハビリテーション学分野 教授)が「食べることができなくなったとき ~これだけは知っておきたい知識と支援」をテーマに登壇.基礎研究なしには正しい病態理解,適切な医療対応は難しいとし,嚥下障害の臨床とともに,関連器官の解剖・生理についても解説.近年の研究では,随意運動である咀嚼が非随意運動(反射)である嚥下を抑制する可能性が示唆されることから,歯科医療職が口腔期に正しくアプローチすることで,患者の嚥下機能を担保できる可能性があることを訴えた.また,いわゆる「摂食・嚥下リハビリテーション」は米国の医療現場発の考え方・アプローチであり,介護現場でのニーズが中心となる日本の状況下で,そのまま臨床に導入することが難しい場面があることも強調した.

 

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佐々木 洋氏

 

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山本龍生氏

 

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井上 誠氏

 

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