11月23日(金・祝),アカデミーヒルズ(東京都港区)において「健康長寿につながるインプラントオーバーデンチャー」をメインテーマに標記会が開催された(大会長・田中譲治氏・MACS研究会主宰・千葉県開業).
大会長講演「インプラント適応症を広げる磁性アタッチメント~積極的活用法」では,田中氏が顎堤吸収を止めるため早いうちにインプラントを埋入することが有効であることを指摘,さらに顎堤吸収してしまった症例には,埋入本数が少なくかつ方向の制限が小さい磁性アタッチメントを用いたインプラントオーバーデンチャーが有利であることを述べた.また,長寿社会における高齢者のレベル評価方法を紹介,人生100年計画での歯科治療の考え方を提示した.
特別講演「2012磁性アタッチメントのこれまでとこれから」では,水谷紘氏(前東医歯大准教授)が磁性アタッチメントの利点と欠点を具体的に指摘,それを踏まえたサバイバルレートを紹介した.さらに,欧米で磁性アタッチメントへの評価が低い理由に質の劣る製品があることを踏まえ,氏がISO(国際標準化機構)へ磁性アタッチメントの規格を提案し,ISO13017として承認されるまでの過程を述べた.さらに今後は,磁性の特徴を生かしたインプラントの開発に期待し,講演を締めくくった.
ほかにも課題講演2題,一般講演5題により,さまざまな角度からインプラントオーバーデンチャーの有用性が語られ,さらに最後の総合討論においては高齢社会における要介護状態になったインプラント患者への対応についても触れられ,幅広いテーマを含んだ有意義な一日となった.
【新刊】田中譲治先生『インプラントオーバーデンチャーの基本と臨床 磁性アタッチメントを中心に』
http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=443690