2012年11月17日(土),熊本県歯科医師会館(熊本市)にて,標記発表会が開催された.本会は,熊本県内の歯科医師によるスタディグループKDM(熊本デンティストミーティング)所属歯科医院のスタッフによる発表会で,会所属の歯科医師,歯科衛生士,歯科衛生校の学生など,240名あまりが参加した.
前半では,経験年数2年~20年までの歯科衛生士7名が日常臨床における取り組みを症例を通して発表.基本に忠実な歯周治療を行った症例から,矯正治療を併用した歯周治療におけるアプローチ,診療室から訪問歯科診療へとつなげる取り組み,患者の個体差に配慮した歯周治療など,それぞれに異なる視点より考察を加え,発表後には参加者を交えた質疑応答が行われた.
最後を飾った井手和子氏(天草市・松田歯科医院)は,術後20年が経過した長期症例を発表.メインテナンスの主体はあくまで質の高いプラークコントロールであるとしながらも,患者さんの加齢変化にともなってアプローチを変えるなど,“口腔だけでなく人を見る”臨床姿勢が求められているとした.
つづいての特別講演では,「歯周治療における診査・診断・治療計画」をテーマに栃原秀紀氏(熊本市開業)が登壇.歯周治療においては,科学に基づいた診査・診査と患者さんの個別性に配慮した治療計画立案がその基本となると述べ,歯周病の診査・診断の方法,X線写真の活用,一歯ごとの診断など歯周治療の基礎を解説した.また,経過を追い,自らの臨床を評価するためには,規格性のある資料の採取が欠かせないと改めて強調した. 本発表会は来年も開催される予定.