7月28日（土），29日（日）の2日間，福岡県歯科医師会館（福岡市中央区）において，第12回経基臨塾発表会が開催された．
経基臨塾（会長：武富啓起氏／佐賀県開業）は，下川公一氏（福岡県開業）が主宰する下川公一臨床セミナーの修了生でつくるスタディグループである．セミナーは1993年に「寺子屋」という名称でスタートし，今年で19年を迎える．
今年の発表会は，1日目は症例相談会で，8名の修了生による各人15分間の発表ののち，下川氏による10分間の講評が行われた．テーマは彎曲根管の根管治療のベーシックなものから，インンプラントによる前歯部の審美補綴などアドバンスの症例まで広範囲にわたり，ときに優しくときに厳しいコメントは聴く者に多くの示唆を与えた．
2日目は，下川歯科医院40周年の節目を記念して，下川氏による「私の歯科医療人生40年間の記録」と題したまる1日の特別講演が行われた．勤務医時代に初めて治療した根管治療のケース，および開業1日目に来院した咬合再建のケースから始まり，根管治療，歯周治療，欠損補綴，インプラント，矯正治療と，臨床の取り組みの目標設定を徐々に広げていった歴史を紹介．多数の症例の良好な経過ばかりでなく，長期経過のなかでみえてきた問題点も惜しみなく披露し考察を加えた．
さらに近年の取り組みとして，顎関節症状や不定愁訴などを訴える患者に対して咬合治療を行い，主訴の解決とともに顔貌の変化を追求していった多数の症例を提示，考察を加えて，会場を埋めた，韓国からの約50名の参加者を含む350名余りの聴講者に大きな感銘を与えた．
