2012年7月29日(金),標記講演会が,ルブラ王山(名古屋市千種区)で70名あまりの参加者を集めて行われた.本会は,歯科医師・歯科衛生士らがベーシックな歯周治療を学ぶスタディグループ「PAFの会」(代表:名古屋市開業・清水雅雪氏)の20周年を祝うもので,会員以外の参加者も多数集めての開催となった.
午前中の講演では,浦口良治氏(東京医科歯科大学臨床教授)が登壇.「歯周炎は多くの場合,標準的な治療を行えば治る」として,歯周治療の拠り所となる基礎的な組織学,病態学等の知識を,会場への問いかけを交えながら解説した.また,歯周病の基本的な考え方の変遷に伴い,近年では歯周組織に接する歯面に定着する細菌叢を一定以下にコントロールする「歯周インフェクションコントロール(Periodontal Infection Control)」の考え方が提唱されているとして,歯肉縁上のインフェクションコントロール,根面のデブライドメントの2つからなる歯周インフェクションコントロールの概念を詳説した.
また,午後からは会員の歯科衛生士2名(清水歯科医院・溝口淳美氏,橋村南美氏)が自身が担当した症例を通して歯周治療におけるさまざまな問題点を提示.それを受ける形で会場の参加者から不適切なSRPを行ったことで起こる問題点,長い上皮性付着に対する考え方,根分岐部へのアプローチ,メインテナンス(SPT)で行うべきこと等多岐にわたる質問が投げかけられ,その一つひとつに浦口氏が文献や臨床歯周病学に基づいて解説を加え,ディスカッションが行われた.
熱気のこもったディスカッションは時間いっぱい続き,本会は惜しまれながら閉会した.
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